マッチ売りの少女は火で何を見せる?本当は怖い童話の現代的"真実"とは?

マッチ売りの少女は火で何を見せる?本当は怖い童話の現代的”真実”とは?

サクラさん
アンデルセン童話の
『マッチ売りの少女』は
夜がふけても売れない
マッチをすって暖まろう
とすると、死んだはずの
おばあちゃんが現れる…
という切ない童話(😿)

ハンサム 教授
切ないですね。

でもこの少女って何歳
ぐらいなのかな❔❓


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サクラさん
英訳題は The Little
Match Girl
なので
まあ10歳未満の幼女
かなあ?

ハンサム 教授
はい。それが日本語では
たんに少女となっている
ところから、色々と想像
がふくらんでしまうの
かもしれません;^^💦




サクラさん
ほほ~(🙀) それは
どういう…❔❓…

ハンサム 教授
ズバリ『マッチ売りの
少女』と題した文学作品
が1966年に立て続けに
発表されました。

野坂昭如の短編小説と
別役実の戯曲ですが、
これらでの少女
20代の女性ですね。

サクラさん
で、やっぱりマッチを
売るんですか?

ハンサム 教授
「売る」というより、
マッチの火で何かを
見せる仕事ですね。

原作の少女が見たおばあ
ちゃんの幻のような、
素晴らしい何かを…


というわけでおなじみ”あらすじ暴露”
サービスの第243弾(“感想文の書き方”
シリーズとしては第330回)となる今回は
アンデルセンの童話『マッチ売りの少女』
(👇)の世界を探求((((((ノ゚🐽゚)ノ


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少女が実際に売っているのは”春”──
つまりやってることは”売春”❔❓(叫び)──
……という説もあるこの本当は怖い童話の
恐るべき”真実”❓

本日はこのアブナイ(とも読める)童話と
その日本における純文学的変奏──
野坂昭如と別役実の、どちらもタイトルは
そのまま『マッチ売りの少女』──を
タブーなく裸にしていきたいと思って
いますのでどうぞお楽しみに((((((ノ゚🐽゚)ノ

というわけで、内容は以下の通り。💃💃💃


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アンデルセン原話の簡単なあらすじ

まずは本家本元、アンデルセン作の
童話『マッチ売りの少女』(英訳題:
The Little Match Girl)から。

そのあらすじを簡単に辿っておきましょう。

大晦日の寒い夜、小さな少女が
街角でマッチを売っていました。

すべてを売り切らなければ父親に
ぶたれるので、夜になっても
家に帰れないのです。

でも、慌ただしく街ゆく人々は、
少女には目もくれず、目の前を
通りすぎていくばかり。

夜の寒さが身にしみて来たので、
少しでも暖まろうと、少女には
マッチに火をつけました。




すると、マッチの炎が大きくなって、
暖かいストーブや七面鳥などの
ごちそう、美しく飾られたクリスマス
ツリーなどに変わっていきました。

でも、それらは炎が消えると同時に
消えていく幻(まぼろし)でした。

ふと天を向くと流れ星が流れます。

少女は自分をとても可愛がってくれた
死んだ祖母が「流れ星はだれかの命が
消えようとしていることのしるし
なんだよ」と言っていたことを
思いだしました。

次のマッチをすると、その祖母の
幻が現れましたが、少女は、その
炎が消えると祖母も消えてしまう
と思い、あわてて持っていたマッチの
全部に火をつけました。

  
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幻の祖母の姿は明るい光に包まれ、
少女をやさしく抱きしめながら
天国へと昇っていきました。

新しい年の朝、少女はマッチの
燃えかすを抱えて幸せそうに
微笑みながら死んでいました。

彼女がマッチの火で祖母に会い、
天国へのぼったことは誰も
知りません。

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野坂昭如版の「御開帳」とは❓

お待たせしました。

それでは1960年代の日本に飛んで、まずは
野坂昭如による短編小説版『マッチ売りの
少女』(初出は『オール読物』1966年12月)。

野坂昭如といえば、今ではアニメ『火垂るの
墓』の原作者である”焼け跡派”作家として
しか知らないないという人が多いかも
しれませんが、実は独特の癖のある文体で
性的に猥雑な世界を展開した特異な作家。

   
  野坂昭如さん、こんな感じの人でした。

そもそもデビューを飾った小説のタイトルが
『エロ事師たち』(1963)でしたから、
親たちからすれば、子供の目に触れさせ
たくない類の作家だったことは言うまでも
ありません。

『マッチ売りの少女』も実はまさに
その種の作品。


野坂昭如『マッチ売りの少女』表紙


ヒロインお安(安子)の24年の生涯が
野坂独特の、ねちっこいリズムのある、
タラタラと続く日本語で語られます
(そういえば『てろてろ』と題した
小説もあったと思います)。

冒頭で、すでに晩年のお安(といっても
24歳なのですが、荒れた半生のせいで
50歳ぐらいに見える)が大阪西成の
ドヤ街近くの公園で営んでいる生業
(なりわい)が開示されます。

ふところからマッチ箱をとり出し、
その一本を抜いて箱にそえ左手に持ち、
右手の指に唾をつけると、股間に
当てて、二度三度押しなで、〔中略〕
「よろしいがな、まあ、腰軽うにして
いきなはれ、五十円やで」
〔中略〕
男は、痩せこけてはいても、
まごうかたなき女の脚に、お安の
風体のすさまじさを見忘れ、
いわれるままにしゃがみこむと、
お安はその肩のあたりを寝巻の裾で
おおい、と、下半身がボウと明るく
浮き出て、マッチ、一本燃えつきる
までの御開帳。

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👉「御開帳」は本来は秘仏など尊いものを
隠している幕などを特別にあけて”お見せする”
ことですが、ここでは何を”お見せする”のか、
おわかりですよね;^^💦💦

      


と、まあ、そんな次第なのですが、
このお安という女性が、どんな境遇から
変転を重ねてこんな商売で生きていく
ことになったのかを語るのがこの小説。

お安はどちらかというと頭の弱い女性と
されていて、早くに死別した実父のみを
深く愛するがゆえに若者より中年のほうが
好み……という切ない設定。

そして、性的な高揚が頂点を迎えると
いつも「お父ちゃん」と声を出しながら
“行く”……
というシーンの反復がエロティシズム
よりは、やりきれなさに火をつけます。
👇こちらの本でもお読みいただけます。

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この特異な作家、野坂昭如と『火垂るの墓』を
めぐっては、こちらでも情報提供しています
ので、是非ご参照ください。

火垂るの墓のあらすじを簡単に/&詳しく原作小説(野坂昭如)に即して

        
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別役実版の「深い闇」とは❓

次なる文学者は別役実。

小説ではなく、戯曲や童話で新しい世界を
切り開いた人で、日本における「不条理劇」
の確立者とも言われています。

その初期作品『マッチ売りの少女』は
奇しくも野坂の小説と同時期、というか
ひと月早い1966年の11月、「早稲田
小劇場」の杮(こけら)落としとして
鈴木忠志演出で初演されました。


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この劇で27歳の「女」がすること──
正確には、彼女が7歳のころにしていた
と語ること──は、野坂の小説に描かれて
いることに似ています。

そしてそれについて、彼女はある小説を
五回も読み返すことで、そこに描かれて
いる「マッチ売りの少女は、私のこと
だった
」と気づいたと言うのです。

ただ、初演の時点で野坂の小説はまだ発表
されていないわけですし、稽古期間なども
考慮すると、別役は何か月も先にこの女の
7歳時の「仕事」を発想していたものと
考えられます。

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ともかく、この若く貧しい「女」がある
老夫婦の家を訪ね、上がり込んで話し込む
のですが、彼女はその小説を五回以上も
読み返して「私のことだ」と気づき、
そこからいろんなことをハッキリと
思いだしたと言うのです。

そこへ「男の声」が入って、思いだした
仕事の内容をこのように語ります。

その子はマッチを売っていた。

マッチを一本すって、それが消える
までの間、その子はその貧しい
スカートを持ちあげてみせて
いたのである。

ささやかな罪におののく人々、
ささやかな罪をも犯しきれない人々、
それらのふるえる指が、毎夜毎夜
マッチを一本すった……。

そのスカートがかくす無限の暗闇に
むけて、いくたびとなく虚しく、
小さな灯がともっては消えて行った……。
〔中略〕
闇の上で、少女はぼんやり笑ったり、
ぼんやり哀しんだりしていた……。


この「女」がかつて読んだという「小説」
は、はたして実在したのでしょうか。

どうもそれは見つけにくいようで、彼女が
「小説」と言っているのは、アンデルセン
の童話そのものなのでしょうか❔

それとも彼女の頭に「小説」として入り
込んでいたのは、一種の都市伝説のように
して口コミで広まっていた物語──
“秘話”の類──だったのでしょうか❓

いやいや、それは都市伝説などではなく、
大阪のみならず東京新宿にも、「そういう
女性は実在した」との証言もあるには
あるのです。
(👉 由紀草一の一読三陳参照)

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ともかく別役実版のこの”元・マッチ売りの
少女”は、野坂版のお安とは違って、
しっかりした日本語を話す賢い女性で、
弟と二人の子を養う身です。

劇の後半ではこの弟も呼び込んで、
「自分が実は老夫婦のかつて亡くした
娘で、弟は欲しいと思っていた息子だ」
という暗示にかけていく…
という怖さをもった人物でもあります。
👉別役実の作品をめぐっては、こちらでも
情報提供していますので、ぜひご参照ください。

愛のサーカスの問題とは?別役実ドラマのテーマ考察からテスト対策へ

バカボンのパパの名言「これでいいのだ」の天才性⦅別役実も盗んだ?⦆

      



まとめ

さあ、いかがですか。

これだけの知識・情報がインプット
されていれば、もうあなたはいっぱしの
“マッチ売りの少女”博士。

どう突っ込まれてもドヤ顔で対応できる
でしょうし、読書感想文やレポートを
書こうかという場合も、自信満々で
取り組めるはずですよ。

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ともかく、アンデルセン童話の面白味や
問題性にふれることはできたと思います
ので、これを機に、ほかのアンデルセン
作品にも手を伸ばして、その世界を
探ってみるのも面白そうですね。
👉アンデルセンの有名な童話はどれも色々と
問題含みです。

こちらの記事などを覗いてみてください。

童話 人魚姫(アンデルセン)のあらすじ🐠本当は怖い恋物語

赤い靴(アンデルセン童話)原作のあらすじ👠怖いのはどこ?

    


雪の女王(アンデルセン)のあらすじ⛄アナ雪”原作の怖い童話

親指姫のあらすじを簡単に【&詳しく】モグラやヒキガエルから逃れて…

        
👉こちらはグリム童話ですが、アンデルセンの
源流ともみられるだけあって、やはり
問題含みのものもゾロゾロ……

たとえば、こんなのがあります。

シンデレラのガラスの靴:小ささの意味は?原作は中国起源?

  


青髭(童話)のモデル ジル.ド.レの実話とあらすじ(ペロー/グリムの違い)

      

👉アンデルセンの本を早く安く
手に入れたい場合はAmazonが便利。

こちらから探してみてください。

アンデルセンの本:ラインナップ


ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、具体的にどう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の多様な
文学や映画の作品について、「あらすじ」や
「感想文」関連のお助け記事を
量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


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