君の膵臓をたべたい(原作小説)のあらすじ:背景に人肉食の嗜好?

君の膵臓をたべたい(原作小説)のあらすじ:背景に人肉食の嗜好?

サクラさん
映画『君の膵臓をたべ
たい』は浜辺美波さんは
かわいいけど作品として
は「つまらない」とか
お涙頂戴のメロドラマだ
とかの酷評も……

ハンサム 教授
その一因は「君の膵臓を
たべたい」というキー
ワードの深い意味が
伝わりにくかった
ことじゃないかな。


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サクラさん
原作になった住野よる
さんの小説ではそのへん
がもっとよく伝わり
ますか?

ハンサム 教授
ええ。そんなことを
言い出す伏線として、
焼き肉屋でヒロインが
膵臓を人に食べて
もらうと魂がその人の
中で生き続ける
」という
外国の信仰のことを
言いますよね。


ハンサム 教授
さーて、そこが問題。

子牛などの膵臓料理は
英語ではsweetbreads
(甘いパン)と称されて
いるほどですし……

サクラさん
ワーオ(🙀) でもそれは
甘いかどうか知り
ませんが、韓国風の
焼肉屋さんでも食べ
られるわけで……

問題は「人間の…」と
いうところですよ。

ハンサム 教授
いや、それに執着する
人もいるらしいんです。

映画『レッド・ドラゴ
ン』のハンニバル・
レクター博士がその
権化……かな;^^💦


というわけで、おなじみ”あらすじ暴露”
サービス第181弾(“感想文の書き方”
シリーズ総計258回)の狙いは、300万部以上
という住野よるさんのベストセラー、
『君の膵臓をたべたい』(2015)を詳しく
紹介するとともに、そこに横たわる
人の膵臓を食べる」という不穏なテーマを
とことん探求すること((((((ノ゚👶)ノ
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参考までに2017年映画(月川翔監督、
浜辺美波・北村匠海主演)の予告編を
覗いておきましょうか。👇



さて、本記事の内容はザッと以下のとおり。



ごく簡単なあらすじ

それでは、原作小説に即して、まず話の
流れを骨子だけで示ししてみましょう。

高校生の「僕」は、病院のロビーで
「共病文庫」と題された日記を見つけ、
膵臓病で余命わずかだというその内容を
知ってしまう。

現れた持ち主は同じクラスの人気者、
山内桜良で、彼女は根暗な「僕」に
むしろ積極的に接近し、家族以外には
秘密にしている病気のこともすべて話す。

二人はやがて新幹線での一泊旅行まで
する仲になり、噂も立てられ、桜良の
元カレからは暴力も受ける。




入院後も病室で話し込み、正反対の
二人は自分と違う相手への「憧れ」を
自覚していく。

退院した桜良は通り魔に刺されて死ぬ。

11日後に桜良の家を訪れた「僕」は、
母親が見せてくれた「共病文庫」の
全容を読み、号泣する。

さあどうでしょう、感動しましたか?

ん? 肝心の「遺書」が出てこない?

はい、それはそうなんで、実ははっきり
「遺書」と銘打たれたものは出て
来ないんです;^^💦

ただ、最後に母親から見せられる
「共病文庫」の中に「遺書」と読める
内容が出て来るんですね。

そこまで進んでもらわないと、彼女の最期の
心理もわかりにくいので、その理解のためには
どうしても「かなり詳しいあらすじ」の方を
読んでいただくことになるのですね;^^💦

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かなり詳しいあらすじ【ネタバレあり】

では始めましょう。

「詳しい」という以上、もちろんラスト
まで包み隠さず、完全ネタバレあり
行きますので、ご注意ください。

「 」内や「”」印の白い囲みは
原文(上記文庫本)からの引用です。

映画が大きく変えている部分など、
解説があった方がよさそうな箇所には
👉印で注釈を入れていますが、
細かいことは気にしないという人は
飛ばしてください。


【起】(1~2)

4月、盲腸手術の抜糸のため病院へ来た
高校2年生の僕(志賀春樹)は、ロビーの
ソファに「共病文庫」とマジックで
手書きされた表紙の文庫本を見つける。

開いてみるとそれは日記で、膵臓病で
「あと数年で死んじゃう」が、「それを
受け止めて、病気と一緒に生きる為に書く」
などと手書きされている。


「それ、私のなんだ」と声をかけてきたのは
クラスの人気者、山内桜良で、ほとんど
初めて会話した僕に彼女は「クラスで
言わないでね」と釘を刺し、別れる。


翌朝、桜良はだけそれまで僕一人だった
「図書委員」に名乗りをあげ、僕は
彼女に仕事を教えることになる。

放課後の図書室、二人で作業。


その最中、桜良は僕に「君の膵臓を
食べたい」と告白。

「昔の人はどこか悪いところがあると、
他の動物のその部分を食べた」という
話を、昨日テレビで見たから…
と明るく話し、僕は膵臓の役割を説明
した上で、「ごめんね」と断る。

   
   “Pancreas”が膵臓

👉原書はまさにこの「告白」場面から
始まって(1)、少し前に戻る(2)という
時系列を転倒させた展開になっていますが、
この「あらすじ」ではわかりやすさのため、
コトの起こった順に記述しています。

また実は1の前に前書き的な部分があり、
この同じ告白を僕は病床の桜良にメール
したけれども、死ぬ前に彼女がそれを
見たかどうかはわからないとあります。

タイトルにもなっているこのキーワードは
物語の始まる前から提示されている
わけです。


作業を終えて二人で下校。

「残り少ない命」をこんなことに「使って
いいの?」と僕が尋ねたことから、桜良は
「残り少ない私の人生の手助けをさせて
あげてもいいよ」と言い出し、日曜の昼に
会うことに話が決まる。


焼肉屋に入り、ホルモン焼きは初めてで
敬遠する僕を尻目に、もくもくと
食べていく桜良。

   

「火葬は嫌」で「皆に食べてもらうとか
無理なのかな」と言い出した桜良は
「膵臓は君が食べてもいいよ」と告げる。

人に食べてもらうと魂がその人の中で
生き続ける
っていう信仰も外国にある
らしいよ」と。


話すうち、友達をもったこともなく、
「人に興味がない」と口にした僕に対し
「私は、君のことに興味がある」と桜良は
明言し、これまで正反対な生き方をして
きたお互いについて、知り合う。

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【承】(3~5)

その夜、隣県で通り魔的な殺人事件があり、
翌朝はクラスもその話題で騒いでいるのか
と思いきや、話題は桜良と僕が「お茶を
していた謎」。

質問された桜良は「仲良しなの」と
屈託なく答える。


さらに図書室の先生が呼んでいると嘘を
言って呼び出し、試験終了後は僕を
ケーキとパスタの店へ連れて行く
(試験期間中なので下校は早い)。

そこに桜良の親友キョウコが偶然現れ、
関係を問い詰める。

   

「仲良し、かな」と僕が口にすると、
キョウコは呆れ、桜良は喜ぶ。


二日後、桜良からメールで、テスト休みに
電車で遠出する、「どこか行きたいところ
ある?」と聞いてきたので、つい「君が
死ぬ前に行きたいところに行けばいい」
と返信。

次の日早朝、指定された通り、県内有数の
駅に集合すると、桜良が用意していた
切符で新幹線の終点まで行く。

下車してまずラーメンを食べ、学問の
神様を祀る有名な神社に参拝し、
「梅ヶ枝餅」を食べる。


👉固有名詞は避けられていますが、神社は
福岡の太宰府天満宮だと、この餅の名前から
わかります。


夕食にモツ鍋をつついた後、予約済みの
ホテルへ行くと、ホテル側の手違いで
二人は「一緒の部屋」に泊まらざるを
えないことに。

桜良がホテル下のコンビニで買ってきた
梅酒のソーダ割りを飲み、トランプの
「真実か挑戦」をしながら、話し続ける。


「君もベッドで寝なさい、反論も反抗も
認めません」と桜良が言い、僕は従う。

二人の間に十分な隙間を持つ大きな
ベッドで、「僕らは潔白だった」。

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学校では桜良を好きらしい男子から詰問
されたり、上靴を隠すなどされたことも
あって、桜良と話さない日々。

夏休み前、最後の登校日にほとんど初めて
話しかけると、前の日にある男子から
「愛の告白」を受けたなどと明るく話す。

「小さい時から一冊だけ好きだった本」
『星の王子さま』を読んでほしいから
それを借りに家へ来てほしいと言う。

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桜良の家に上がり、本棚を見ていると、
その横の壁に背中を押し付けられ、
「頬と頬が触れそうな距離に」。

桜良は自分が「死ぬまでにしたいこと」は
「恋人でも、好きな人でもない男の子と、
いけないことをする」こと…
と真っ赤な顔で真剣に言ってから、
「なーんちゃって」と大笑いする。

「彼女の悪ふざけに真剣な怒りを感じた」
僕は、肩を掴んでベッドに押し倒す。

しばらく見つめ合う桜良の目に涙が浮かび、
怒りを溶かした僕は「ごめん…」と
謝って離れる。


桜良の家を出て歩くと、学級委員の男子に
呼び止められ、桜良との関係について
しつこく詰問される。

いついに理性を失って「あの子は、
しつこいやつは嫌いだそうだよ。
前の彼氏がそうだったらしい」と
言ってしまい、いきなり殴り倒される。

  

そこへ桜良が現れ、「…最低」「嫌い」と
彼を罵倒し、僕を家に連れ戻す。

互いに謝って「仲直り」したあと、僕が
君は「彼のように君を本気で想っている
人といた方がいい。僕らはあの日、病院で
偶然に出会ったにすぎないんだから」
と言うと、「僕は彼女に叱られた」。

違うよ。偶然じゃない。

私達は、皆、自分で選んでここに来たの。
〔中略〕
運命なんかでもない。

君が今までしてきた選択と、
私が今までしてきた選択が、
私達を会わせたの。

私達は、自分の意思で出会ったんだよ。

👉一人ひとりの人生の軌跡をすべて
「偶然」の結果、その集積と見なすのか、
そうではなくて何者かの「意思/意志」が
介在してのことと見るのか。

これは大昔から哲学の大問題。

「偶然」と見えるものも、人間にその実相が
見えないだけで、すべては神の意志によって
決定された「運命」なのだと見れば、
スピノザなどキリスト教系の哲学に
接近します。

「私達は、皆、自分で選んでここに来たの」
という桜良の哲学がそこから遠いことは
明らかでしょう。


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【転】(6~7)

翌日は夏休みの補習の第一日だったが、
桜良は急遽入院。

補習の内容を教えに来てとメールで
依頼された僕は、苺を手土産に病室へ。

相変わらず明るい桜良と話し、やがて
現れるキョウコは、何回目かの見舞いの
あとでも近くの本屋で遭遇し、もし
「桜良を傷つけたら、私が、殺すから」
とライオンのように睨みをきかせる。


その翌日、「突然呼び出しのメールが
来たので行くと、思い切りの笑顔で
「病院から逃げ出さない?」と桜良。

僕が断ると「病室から」と桜良は
提案を変え、二人は売店でアイスを
食べながら話す。


「桜がどうして春に咲くか知ってる?」
という問いに、桜良は自ら答える。

桜は散ってから三か月後には次の花の芽を
つけるけれど、その芽は一度眠るのだと。

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暖かくなってくるのを待って、
それから一気に咲く。

つまり、桜は咲くべき時を
待ってるんだよ。

素敵じゃない?


「それは花粉を運ぶ虫や鳥を待って
いるだけだ」と思いながら、僕は
「なるほどね、君の名前にぴったりだ」
とも言う。

「出会いや出来事を偶然じゃなく選択だ
と考えている、君」だから、「春を選んで
咲く花」の名はぴったりだと。
   
   

次に呼びだされた土曜日の午前、桜良は
どこか「鬼気迫る様子」で、例の旅の
ホテルでやったトランプ・ゲームの
「真実か挑戦」をしたいと言う。

このゲームで質問権を得た僕は
「君にとって、生きるっていうのは、
どういうこと?」

「うっわー、真面目かよ」と茶化した
後で真剣な顔になって桜良は答える。

「きっと誰かと心を通わせること。

そのものを指して、生きるって
呼ぶんだよ」

命の湧きたつ音がした。

……ああ、そうか。

僕は気づいて、鳥肌が立った。
〔中略〕
「誰かを認める、誰かを好きになる、
誰かを嫌いになる、〔中略〕
そういう人と私の関係が、
他の人じゃない、私が生きてるって
ことだと思う」


入院期間は予定より二週間延び、
二人は心の交わりを深める。

以前は「周りの誰にも興味を持たないと
思っていた」自分が、今や通りすがりの
他人にも積極的に興味を持つように
なっていることに僕は気づく。


桜良によって「変えられたんだ」、いや
桜良的にいえば「僕は今までの選択の中で、
自分から変わることを選んだのだろう」と
僕は考える。

「僕は、本当は君になりたかった」、
どうすればなれるのかを考えていて
思いついた慣用句を彼女に贈ろうと思う。

『君の爪の垢を煎じて飲みたい』

とメールに打ち込むと、それよりもっと
好適な言葉が浮かび上がってきたので
この「渾身の言葉」を彼女に送信する。

君の膵臓を食べたい

    

が、返信は来ない。

彼女が「死ぬ時を教えるという約束を
やぶった」ことを僕はテレビの
ニュースで知る。

以前から世間を騒がせていた通り魔事件に
巻き込まれ、胸を刺されて死亡したのだ。

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【結】(8~10)

桜良の死から11日。

葬式にも出なかった僕は母から手渡された
香典をもって、桜良の家を訪ねる。


母親に通された部屋で、「桜良さんに
お借りしていたものです」と言って
『星の王子さま』を差し出すと、彼女は
それを、笑う桜良の遺影の横に置く。

実は「彼女の病気のことを知っていました」
と切り出した僕は、『共病文庫』を
見せてほしいと頼む。


泣き出した母親は、やがて僕の目を
じっと見て「君、だったのね……」
「来てくれて……本当によかった」
とそれを持ってきて渡す。

もちろん見てください、「桜良は、
あなたに向けてこれを残したんだもの」

     

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