坊ちゃんで感想文どう書く?「天誅」という暴力を漱石は容認?

 


やあやあサイ象です。

ついに100回を突破した
「感想文の書き方」シリーズ。

今回は早くもその第111回((((((ノ゚⊿゚)ノ

夏目漱石の『坊っちゃん』(1906)で
行きますよ~。
   



え? まだ読んでいない?

読まないで読書感想文を書こう
というのは、主人公の「おれ」こと
坊っちゃんにも似て
なかなかいい度胸ですな。

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まあそれも結構、そういう人は
こちらの「あらすじ」でストーリーを
頭に入れてくださいね~(ニコニコ)。

夏目漱石 坊っちゃんのあらすじ&簡単なポイント解説


Ψ 坊っちゃんの暴力は許されるのか

さて、すでにストーリーを理解された
高校生・中学生の諸君にお聞きしますが、
「坊っちゃん」こと「おれ」と山嵐が
「天誅」と称して赤シャツと野だに
卵をたたきつけたり、殴ったりしますが、
こういう暴力は許されるもの
なんでしょうか。

もちろん許されないから辞職するんですが、
それは覚悟の上での行動ですし、
辞職後はむしろ幸せに帰京して
ハッピーエンドの感もありますね。

そうすると、小説の作意としては、
つまり作者の漱石先生は、この暴力を
許しているんだろうか?…という話です。

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「暴力は絶対にいかん」と徹底的に
教えられてきたはずの中学生・高校生
としては、そこをどう考えるか。

この観点から、自分のこれまでの経験にも
照らしながら、『坊っちゃん』全体を
読み直し、考え直してみませんか。

自分なりの解答を出していければ、
きっとすぐれた感想文になるはずですよ。


Ψ 漱石はよくない?

さて、そこで、あなたの結論は
どうなるでしょうか。

「暴力を肯定しているので
漱石はよくないと思います。」

と、こうなりますか。

それでもいいですが、なんか
ちょっと物足りなくありません?

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ここはもう少し、突っ込んで
みたいですよね。

暴力肯定とも解釈されかねない
この小説に込められた深い意味は?
……とか。


Ψ 素晴らしいスタート・ダッシュ

そうなると、やはり原文をちゃんと
読んでもらう必要があるでしょうね。

ともかく、まずは、冒頭。

一気に読者を引き込んでしまう
文章の威勢のよさを味わってください。

『坊っちゃん』は、こう書き出されています。

親譲りの無鉄砲で小供の時から
損ばかりしている。

小学校にいる時分学校の二階から
飛び降りて一週間ほど腰を
抜かした事がある。

なぜそんな無闇をしたと聞く人が
あるかも知れぬ。

別段深い理由でもない。

新築の二階から首を出していたら、
同級生の一人が冗談に、いくら
威張っても、そこから飛び降りる
事はできまい。弱虫やーい。
と囃したからである。(一)

         Skulls-s

この威勢のいい文章で冒頭から
ほんの数行で、早くも主人公
(語り手を兼ねる)性格が強烈に
読者に印象づけられてしまうんですね。

ここにはやはり漱石先生の
小説家としての手際、テクニックが
冴えわたっていると言えますね。

素晴らしいスタート・ダッシュ!

これ、かんたんそうで、なかなか
できるワザではないと思いますよ。



Ψ 乱暴で行く末が案じられる

この書き出しに、
「親類のものから貰った西洋製
ナイフを友達に見せ」て、
「何でも切つて見せる」と豪語する
話が続きます。

「そんなら君の指を切つて見ろと
注文したから、何だ指位この通りだと
右の手の親指の甲をはすに切り込んだ」
という武勇談です。

ところで、この話、    ナイフknife-159519_640

実は漱石の自伝小説『道草』(1915)にも
出てくる(第九十五回)ことからして、
どうやら漱石自身の経験をそのまま
書いているんですね。

実際それほど「無鉄砲」な面のある、
わがままで短気な子供だったらしい。


だから『坊っちゃん』の冒頭に
続く部分では、少年時代の「いたづら」を
さらに何件か並べたあとで、
両親が登場して

おれを見る度にこいつは
どうせ碌なものにはならないと、
おやぢが云った。

乱暴で乱暴で行く末が案じられる
と母が云った。        

という話になりますが、このあたりも
漱石が実際に言われた気配が
濃厚なんですね。

だから『坊っちゃん』の「おれ」は
漱石自身だ、だからその暴力も
否定できないんだ……というふうに
考える余地はないでもないでしょう。


Ψ 「悪」をともなうヒーロー

『坊っちゃん』の「おれ」には漱石の
江戸っ子らしい威勢のよさ、
悪くいえば乱暴な部分が拡大・
誇張されて描き出されている
といえそうです。

たとえば赤シャツらへの「天誅」は
相手の言い分を聞かない一方的なもの
ともいえそうですし、威勢のいい言動には
「田舎者」差別が丸出しになってもいて、
完全無欠の正義の味方からは……
うーむ、ほど遠いのでは?┐( ̄ヘ ̄)┌

superman-s

「おれ」という主人公を造型するにあたって、
漱石が自分の性格の一面を誇張する
方法をとったことは間違いありませんが、
それによって、「おれ」(=漱石)の
「悪」の部分もあらわになる、
というリスクをあえて冒しているんですね。

そして、この冒険にはもちろん、
漱石なりの理由、意図があったに
違いありません。


とすれば、それは何なのか。

そこへ突っ込んで、自分なりの仮説を
書くことができれば、それはもう
感想文は最上級、大学・大学院レベルの
「論文」クラスにさえなっていく
ことでしょう(*~▽~)ノ。

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Ψ 罰があるからいたづらも心持ちよく出来る

え、お前自身はそこをどう考えるのか?

そうですねえ……
要するに

漱石が「おれ」に託した美徳は、
多少の「悪」も意に介せず
振りまくほどの威勢の良さなしには
表現しきれないレベルにあった


といったところでしょうかね。

では、その美徳とは?
ということになると…、どうしても
それを言葉にせよといわれるなら、
「廉潔」…といって難しければ、
「正直」ってことになっちゃうかな。

いたずらをした中学生たちへの   030898
「おれ」の批判は厳しいもので、
そこに「田舎者」差別も浮上して
しまうわけですが、その批判の核心は、
逃げ隠れする彼らが「卑怯だ」とする
ところにありました。

おれなんぞは、いくら、
いたづらをしたって潔白なものだ。

嘘を吐いて罰を逃げる位なら、
始めからいたづらなんかやるもんか。

いたづらと罰はつきもんだ。

罰があるからいたづらも
心持ちよく出来る
。 (四)

       115733

この「心持ち」こそ『坊っちゃん』
の主題ではないかと思うほどですが、
実際、それは漱石自身が少年時代から
こだわったところらしいんです。

ともにいたずらをして、ともに罰を
受けた「悪友」篠本二郎の回想によれば、

夏目君は幼時より嘘を
吐いたことがなかつた。
(中略)
殊に夏目君は虚言(うそ)つきと
言はるゝことを、神経質かと
思はるゝ程に、気に掛けて居た。 
    (「腕白時代の夏目君」)


というんですね。

罰を受けまいとして嘘をついて逃げる
ということが決してなかった(◎◎)、と。


Ψ 純粋な人を坊ちゃんだと軽蔑する

ですから、さらに「おれ」が突き出す、
青臭いと言われかねないような
次のな主張も、実際、漱石先生が
言いたかったことに違いないんでしょう。

考えて見ると世間の大部分の人は
わるくなる事を奨励している
様に思う。

わるくならなければ社会に成功は
しないものと信じているらしい。

たまに正直な純粋な人を見ると、
坊ちゃんだの小僧だのと
難癖をつけて軽蔑する


それじゃ小学校や中学校で
嘘をつくな、正直にしろと
倫理の先生が教えない方がいい。

いっそ思い切って学校で嘘をつく
法とか、人を信じない術とか、
人を乗せる策を教授する方が、世の
為にも当人の為にもなるだろう。     (五)

人形Bloody-Rain-s

ここで改めて、題名の「坊ちゃん」の意味と
底に込められた主張も浮上するわけですね。

このへんに共感する人は
自分もそう思うという趣旨で
書いていけばいいんじゃないでしょうか。



Ψ まとめ

どうです? 書けそうですか、感想文?

上にいろんなことを書きましたが、
どれか一部分でも参考にして
もらえたらと思います。

またもっと知的・文化的に
攻めたいと思う人は,こちらの
記事も参照してくださいね。

夏目漱石 坊ちゃんに”日本”を読む『菊と刀』~感想文はこの手で

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『坊っちゃん』をはじめとした
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ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、
漱石のほかの作品をはじめ、
日本と世界の種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


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