人間失格で読書感想文【高校生用2000字の例文】伝えたいことは? | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

人間失格で読書感想文【高校生用2000字の例文】伝えたいことは?

サクラさん
太宰治の『人間失格』
で読書感想文を書こう
と思うんですが、
どう書いたものか…

ハンサム 教授
読んでいて気に
かかったことは?


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サクラさん
主人公はなぜあんなに
次々と女性にモテて
しまうのか…

映画の生田斗真さん
ほどのイケメンなら
わからないでもない
ですが、太宰って
それほどじゃ…(😹)

ハンサム 教授
何を言うんです、
男は顔じゃない!




サクラさん
顔じゃなきゃ、
何なんですか!

ハンサム 教授
…じゃないかな;^^💦

葉蔵の口からは女性を
メロメロにしてしまう
言葉が、考えないでも
スルッと出てしまうん
でしょう。

サクラさん
ああ、そんな感じ
ですよね。

そういう人は世渡りも
上手かと思ったら、
これが全然ダメで
「人間失格」と…

ハンサム 教授
ええ。そこは矛盾の
ようにも感じますよね。

その矛盾に食らいつく
ことができれば、
素晴らしい感想文に
なるはずですよ。
 

というわけで、”感想文の書き方”第3回は、
太宰治の代表作『人間失格』(1948)です。
   👇  

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「読書感想文」の場合ばかりでなく、
「読書レポート」として、より高度で
論理的なものを要求されている場合にも
通用する文章の書き方を考えて
いきますよ~。


オオーッと、『人間失格』をまだ
ちゃんと読んでいない?
👉そういう人はこちらで、ストーリーを
確認しておいてくださいね。

太宰治 人間失格のあらすじ:生田斗真主演映画の原作をネタバレありで

     


それよりまずは生田斗真さんの”イケメン”
葉蔵を拝みたい?

映画『人間失格』(荒戸源次郎監督。2010)の
予告編ならこちらでどうぞ。👇



2000字の読書感想文/読書レポート

はい、ストーリーが確認できましたら、
さっそく感想文に取り組みましょう。

まずはハンサム教授が「字数制限2000字」
(400字詰め原稿用紙5枚)の場合を
想定して高校生向けに試作した感想文を
お読みください。

 『人間失格』は、まだ27歳ながら
「狂人」として精神病院に入れられた
男が半生を語った三冊の手記から成る
小説で、これが作者の「はしがき」と
「あとがき」に挟まれる形に
なっている。

男の名は大庭葉蔵で、本文中
「人間失格」という語句は出てこない
けれども、このタイトルが主人公の
葉蔵を指していわれていることは
明らかだ。

ところが「あとがき」の結びには、
手記を作者に見せたマダムの
「葉ちゃんは……神様みたいないい子
でした」という最大級の誉め言葉が
置かれており、この締め方からすれば、
作者が葉蔵について本気で「人間失格」
と断罪しているのでないこともまた
自明だろう。

    

 ところで「人間」の語が個人としての
ヒトを指すようになったのは江戸時代
からで、もとは文字通り「人と人の
間」、つまり「世間」と「社会」とかの
意味だった(『日本国語大辞典』)。

この視点から言い換えれば、葉蔵個人は
「神様みたいないい子」だけれども、
「人と人の間」での生き方において
「失格」だった、という風に作者は
葉蔵を提示したいのだろうと思う。

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 幼児期の葉蔵は、周囲の人の感情の
「性質、程度が、まるで見当つかない」
ことの「不安と恐怖」から、「道化」で
つねに人を笑わしておくという虚構的な
処世術を発明し、これに熟達していった
のだという(「第一の手記」)。

このようにして人工的に構築された
パーソナリティと持ち前の美貌により、
中学校進学のため家を出て以来、葉蔵は
行く先々で女性に愛されてしまう。

たとえばある女性から「私を本当の
姉だと思ってくれていいわ」と
言われると、葉蔵は「そのキザに
身震いしながら、自分は、『その
つもりでいるんです』と、愁(うれ)えを
含んだ微笑の表情を作って答え」る
などして、じきに深い仲になって
しまうのだ(「第二の手記」)。

    

のちの述懐によると、彼は「ひとの
暗示に実にもろくひっかかるたち」で、
たとえば「このお金は使っちゃ
いけないよ、と言っても、お前の
事だものなあ、なんて言われると、
なんだか使わないと悪いような、
期待にそむくような、へんな錯覚が
起って、必ずすぐにそのお金を使って
しまう」人であり(「第三の手記」)、
女性に対してもこの「たち」が働いて
しまうのだとも考えられる。


 このあたりを読んで私が少々不思議に
思うのは、彼の特異なパーソナリティの
根本的な成因として、他人の感情の
「性質、程度が、まるで見当つかない」
…ということがあったはずなのに、
こういう場合の葉蔵はずいぶん的確に
相手の感情について「見当」をつけて
いるではないか、ということである。

そもそも考えてみると、「道化」で
人を笑わせ続けるということも、
その時々の相手の感情について
「見当」をつけられない人間には
不可能なことではないだろうか。

  

 ここに葉蔵というキャラクターの
不自然さ、人工性があると私は思う。

葉蔵が作者の太宰治自身をモデルとした
造形であることは間違いないだろうが、
葉蔵の「道化」的な性格が周囲の
人々への「不安や恐怖」から生まれた
とする部分は太宰本人の事実とは
違うように思うのだ。

実際、初期の短編小説「黄金風景」
などにに描かれた少年期の太宰は別に
「道化」などせず、平気で女中を
いじめたりしていたのである。

太宰自身に「道化」的傾向があったと
しても、それはおそらく他人への
「恐怖」にもとづくという病的なもの
ではなかっただろう。

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 『人間失格』にはそのほかにも
いくつか理解しきれない部分が
あったが、それらはいずれも、
このような虚構部分と太宰自身の
生の声とが矛盾をきたすことに
よっているように思える。

たとえば友人の堀木に「お前の、
女道楽もこのへんでよすんだね。
これ以上は、世間が、ゆるさない
からな」と難詰された葉蔵が、
こういう人の言う「世間」は要するに
その人自身のことではないかと
気づく経緯(「第三の手記」)。

その時「世間とは個人じゃないかと
いう、思想めいたものをもつように
なり」、それ以来「多少、自分の意志で
動く事が出来るようになりました」
というのだが、なぜそうなるのか、
私にはこの部分が実はよくわからない。

 

 ただここも、「世間」とは「人と人の
間」であり、すなわち「人間」という
語の本来の意味もそれだった、という
日本語の歴史を踏まえることで
解けてくるのかもしれない。

つまり「世間」はつまるところ「人間」
だということを、たいていの日本人は
無意識のうちに学んでいるのだが、
葉蔵のような特異な人物はこの時まで
それを解せず、「何しろ、強く、
きびしく、こわいもの」と一個の
妖怪ででもあるかのように
実体化してきていた。

その迷妄がようやく解けて、世の中の
実態が見えてきたことで「自分の意志」
ももてるようになったのだ、と。

つまりはやっと大人になりかけていた
矢先に事が起こって、精神病院に入れ
られてしまうという展開がこれによって
いっそう悲劇的に見えてくるわけで、
これもおそらく作家的技巧の一環
なのである。        (1995字)

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どうです?

さすが教授…ではないですか?;^^💦。

内容は読書感想文より「読書レポート」
の方により適しているかもしれませんし、
レベル的にも、大学・大学院でも通用
するところまで行ってるんじゃないかと
思います。


…ということもあり、いずれにせよ
言うまでもないことですが、これを
このまま丸コピ(まるまるコピペ/丸写し)
して提出するのは厳禁ですよ(👿)
(絶対バレますし)

なので、使うなら部分的に”つまみぐい”
して、自分の文章に書き直すように
してくださいね。

それでうまくまとめられれば、場合に
よっては激賞されて、文学部へ行けとか、
学者になれとか色々言われて
しまうかもしれませんよ~;^^💦

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生まれて、すみません

もちろん、『人間失格』で書く読書感想文、
読書レポートのネタとしては、上記の
例文のようなもの以外にも色々と
考えられます。

たとえば「人間失格」というタイトルは
太宰治の代名詞のようにもなっている
わけですが、これが英訳ではどうなって
いるかと言いますと…

No Longer Human (もはや人間でない)
というんですから、なかなか
ドキッとさせます。


⦅英訳『人間失格』表紙⦆

この「人間失格」と並んでやはり太宰の
代名詞のように目されているのが、
生まれて、すみません。ですね。

これがどこから来ているかと言いますと
初期作品「二十世紀旗手」(1937)の
副題に掲げられている文句なんです。


ともかく、これら「すみません、失格
云々の言葉を繰り出すことの背後には
生まれて、すみません」とまで
思わせてしまう「世間」(その実態は個人
であるところの)への精一杯の反抗、面当て、
抗議といったものが貼りついています。

そのような意味での「世間」への反逆
こそが太宰文学全般の動力というか
エネルギーになっていたのでしょう。



もしあなたが、「世間」に対して
なんらかの違和感をもつ人なのであれば、
あなたの感想文にとって、太宰文学は
格好のステップボードになるはずです。

『人間失格』以外にも適当な作品を
見つけて、是非トライしてください。
👉太宰のほかの作品をめぐっては、
こちらで情報提供していますので、
ぜひ参照してください。

斜陽(太宰治)のあらすじと感想◎簡単/詳しくの2段階で解説

斜陽(太宰治)の感想文を簡単に【800字の例文つき】

太宰治おすすめ作品「カチカチ山」💛名言《惚れたが悪いか》

  

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人間失格から河童へ:太宰の芥川”愛”で連想の感想文を書こう

太宰治 津軽のあらすじと感想文:タケ母子との心の交流を…

👉太宰の本を早く安く手に入れたい
という場合は、Amazonが便利です。
こちらから探してみてください。


太宰治の本:ラインナップ



まとめ

さあ、これでもうバッチリですよね。

『人間失格』に関しては、読書感想文
だろうと読書レポートだろうと、
何でも来いだ!…

      

ん? それなりにテーマは浮かんで
きたけど、でもやっぱり自信が…

だってもともと感想文の類が苦手で、
いくら頑張って書いても評価された
ためしがないし(😿)…
具体的に何をどう書けばいいのか
全然わからない( ̄ヘ ̄)…?

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う~む。そういう人は発想を転換して
みるといいかもしれない;^^💦

そもそも日本全国で盛んに奨励されている
読書感想文の発祥の源は「コンクール」。

   

各学校の先生方の評価基準もおのずと
「コンクール」での審査に準拠する
形になっているのです。


だから、読書感想文の上手な人は
そのへんのことが(なんとなくでも)
わかっている人。

さて、あなたはどうなのかな?
👉「コンクール」での審査の基準を知るには
実際に出品され大臣賞などを受賞している
感想文をじっくり読んで分析してみるのが
いちばんの早道。

こちらでやっていますので、
ぜひご覧ください。

読書感想文の書き方【入賞の秘訣4+1】文科大臣賞作などの分析から

セロ弾きのゴーシュで読書感想文!コンクール優秀賞作(小2)に学ぶ

    

アルジャーノンに花束を の感想文例!市長賞受賞作【2000字】に学ぶ

  

そちらで解説している「書き方」を
踏まえて、当ブログでは多くの感想文例を
試作し提供してきましたが、このほど
それらの成果を書籍(新書)の形にまとめる
ことができましたので、ぜひこちらも
手に取ってご覧ください。
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買う前にその「予告編」が見たい
という人は、こちらでどうぞで。

読書感想文 書き方の本はこれだ!サイ象流≪虎の巻≫ついに刊行!!!

   

👉上記の本『読書感想文 虎の巻』は
当ブログで提供し続けてきた「あらすじ」
や「感想文」関連のお助け記事の
ほんの一部でして、載せきれていない
記事もまだまだ沢山あります。

気になる作品がありましたら、
こちらのリストから探して
みてください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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