人間失格の主人公はクズ!でも神様みたいないい子?その意味を追う
サクラさん
太宰治の『人間失格』を
読んだんですけど、意味
わかんないっす。
主人公の葉蔵は「人間の
生活というもの」が見当
つかないだとか「人間の
営みというもの」が未だ
にわからないとか言い
ますけど、人間として
生きてきたことは間違い
ないじゃないですか。
読んだんですけど、意味
わかんないっす。
主人公の葉蔵は「人間の
生活というもの」が見当
つかないだとか「人間の
営みというもの」が未だ
にわからないとか言い
ますけど、人間として
生きてきたことは間違い
ないじゃないですか。
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ハンサム 教授
だから自分はそういう
世間一般が認めるような
“人間”としては”失格”
だ、クズだ、と言い
たいのでは?;^^💦
世間一般が認めるような
“人間”としては”失格”
だ、クズだ、と言い
たいのでは?;^^💦
サクラさん
でも最後にマダムが出て
きて「葉ちゃんは、
とても素直で、よく
気がきいて…神様みたい
ないい子でした」と
弁護して終わります。
ほんとは主人公のような
人の方が”人間”らしくて
おまえらこそ”人間”失格
なんだと言われたみたい
で、イやな感じ…
きて「葉ちゃんは、
とても素直で、よく
気がきいて…神様みたい
ないい子でした」と
弁護して終わります。
ほんとは主人公のような
人の方が”人間”らしくて
おまえらこそ”人間”失格
なんだと言われたみたい
で、イやな感じ…
ハンサム 教授
そこをイヤミに感じる
か、それとも「その
通り!よく言って
くれた」と拍手するか。
そこが太宰ファンになる
かならないかの分かれ目
にもなるのでしょう。
か、それとも「その
通り!よく言って
くれた」と拍手するか。
そこが太宰ファンになる
かならないかの分かれ目
にもなるのでしょう。
というわけで、”感想文”の書き方”シリーズ
今回の素材は太宰治の『人間失格』(1948)
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「人間の生活がわからない」とは?
「人間の生活」とか「人間の営み」とかについて「見当つきません」とか「未だに
わかりません」とかいう場合の「人間」は
もちろん”(自分を含まない)大多数の
人間”という意味なのでしょう。
つまりは世話になっている友人の堀木が
「これ以上は世間が許さないからな」と
クギを刺す時、堀木の背後にある「世間」
だといってもいい。
この「世間」あるいは”大多数の人間”が
何の疑問もなく円滑に日々こなしている
「生活」や「営み」が自分にはできない…
要するにそれが『人間失格』の主人公、
大庭葉蔵の苦悩であり、この小説の主題
でもあって、作者太宰治の主張
(メッセージ)がそのあたりに
あることは明白です。
太宰治自画像
ここでこういう問いを立ててみましょう。
《大多数の人間にできていることが
なぜ彼にはできないのか?》
葉蔵に肩入れするか、突き放すか…
それはどちらでもいいので、彼はなぜ
そうなってしまったのかを、自分の
場合と照らし合わせて考えてみてください。
ホラ、感想文はスイスイと書けそうでは
ありませんか?
👉あらすじをしっかり押さえたい人は
こちらを参照してください。
・人間失格(本)のあらすじを簡潔に【&詳しく】恥多くモテた男?
僕は生れたくはありません
すこし見方を変えると、『人間失格』はまさに「生まれて、すみません。」の
世界だともいえますね。
この言葉そのものが『人間失格』に出て
くるわけではないのですが、初期作品
「二十世紀旗手」(1937)の副題に
掲げられている文句です)、作品の
テーマを集約的に表わした言葉として
持ち出してもいいでしょう。
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とすると、ここから何が連想しませんか。
「自分も生まれて、すみませんと思った
ことがある」というのもアリでしょうが、
それで行く場合、よほどうまく書かない
かぎり、すぐれた感想文にはなりません。
では何を?
「生まれて、すみません。」といえば、
産気づいた妻の生殖器に口をつけて、夫が
大声で「お前はこの世界へ生まれてくるか
どうか、よく考えた上で返事をしろ」
と尋ねる、という話を思い出しませんか。
すると腹のなかの胎児がこう
答えるんですね。
僕は生れたくはありません。
第一僕のお父さんの遺伝は
精神病だけでも大へんです。
その上僕は河童的存在を悪いと
信じていますから。Sponsored Links
そう、これは芥川龍之介の小説『河童』
(1927)のサワリですね。
国語の教科書に出ていることもあるので、
読んだ人も多いでしょう。
これが「連想」できれば、あなたは
『人間失格』または太宰から『河童』
または芥川に「飛ぶ」ことができる
わけです。
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👉こちらもご参照ください。
・河童(芥川龍之介)解説と感想文例(1200字) 暗い笑いの国へようこそ
さかさまの国、「河童国」
この胎児、まだ「世界」へ出て来ない前から「世界」についてかなり知っていること、
いやそれ以前に言語能力をもっていること
自体すでに不思議ですが、不思議だらけの
この「河童国」では、どうってこと
ありません。
生まれたときには白髪の老人で「それから
だんだん年が若くなり」今や十二三歳の
子供になっている推定年齢百十五六の
河童も出てくるくらいですから。
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ブラッド・ピット主演の映画
『ベンジャミン・バトン』を「連想」
する人もいるかもしれません。
フィッツジェラルドの原作は1922年で、
まあ影響関係はないでしょうが、近い時期に
似たようなことを発想していたもんですな。
それはともかくとして、この「子供」に
見える老河童もやはり出生前に
「生まれてくるかどうか、一応父親に
尋ねられ」たんだそうで、「河童国」へ
紛れ込んで来てしまった主人公(人間)の
人間界に戻りたいという願いを聞いて、
「出て行かれる路は一つしかない。
それはお前さんのここへ来た路だ」
と告げます。
わしだって出て行きたいが、その「路」も
また「一つしかない」と老河童は苦悩を
突き抜けた、空虚な口調でつぶやきます。
それすなわちわしの「ここへ来た路」
・・・つまりは母親の産道。
そして、それはもう存在しない・・・
いう話になります。
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どちらも作者の自殺の年に書かれた
さて、太宰と芥川の接点といえば文学少年時代の太宰がノートに「芥川龍之介」と
いっぱい書きつけていたり、芥川そっくりの
ポーズで写真を撮らせたりという太宰の
”芥川”愛”、崇拝が知られています。
またこのアイドルの自殺にショックを
受けて、まるでそれを模倣するかのように
若き太宰も自殺を試み、けっきょく芥川と
同じ三十代で自殺を遂げてしまった
ということがありますね。
この意味で、『河童』と『人間失格』は、
ともに作者の自殺の年に書かれた、遺作の
意味をもつという点でも共通しています。
それから、作品の最初に出てくる語り手が
実は主人公ではなくて、主人公の手記
(物語)を紹介する形になっている
という点も同じですね。
👉太宰や芥川の他の作品やエピソードに
関心のある人は以下の記事もご覧ください。
・斜陽(太宰治)のあらすじを簡単に【&詳しく】手紙の内容にも入って結末まで
・走れメロス(太宰治)はおかしいのに名作?あらすじを押さえ読み方解説
・太宰版「カチカチ山」《惚れたが悪いか》で書く
・芥川『羅生門』の主張は?ニーチェ的”遠近法”で
ついでにいえばこの形は、やはり教科書に
よくのっている夏目漱石の『こころ』
(1914)にも似てます。
そしてその主人公も自殺しますね
(漱石はしてませんが)。
👉漱石の『こころ』についてはこちらで。
・夏目漱石 こころのあらすじ 💙簡単/詳しくの2段階で解説
・夏目漱石 こころの感想文どう書く?【800字/400字例文つき】
そのほかいろんな共通点・相違点を、
二つの作品を読み比べて、あるいは
それらについて調べることでどんどん
抜き出してみればいいんですよ。
また調べるうちに、漱石とかフィッツ
ジェラルドとか意外な、面白いテーマに
ぶち当たるかもしれない。
それらともとの主題(ここでは『人間失格』)
を並べることで見えてくるものについて
自分の思うことを書けばいいんですよ。
自分ならどうするか……
そんなふうにやれば、ある程度の客観性が
保たれますから、「ああ、悲しかった」
「面白かった」だけの主観的な感想文とは
一線を画し、それらから水をあける
ものになるはずです。
さあ、さっそく取り掛かってみましょう。
新しい自分を発見するかもしれませんよ。
たまたま読んでくれる先生に受けなかった
としても、それは先生のほうが
力不足だったのです。
いつか誰かに評価されるはずですよ。
希望をもって前向きにいきましょう!! (^^)у
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