はげの上司に対策を!チェーホフ「小役人の死」は笑えない

 


やあやあサイ象です。

本日はこの小咄(こばなし)から。

でも、これたんなる小咄を超えて
生活の知恵に、また読書感想文の素材に
役立つかもしれないんです。

Sponsored Links
  


Ψ くしゃみが命取りに?

19世紀モスクワのオペラハウスでの
出来事が発端です。

オペラグラスでうっとりと感激していた
下級官吏のチェルヴャコフが、
突然、くしゃみをしてしまいます。

迷惑をかけはしなかったかと、あたりを
うかがうと、前列にいた老人がぶつぶつ
呟きながら、毛髪のまったくない頭皮や
首根っこのあたりをハンカチで拭いています。

88635e4e8a541f7dc0ae87727d1ee227_s

しかもよく見るとその人は勅任官
(高位の官吏)のブリズジャロフでは
ありませんか。
            
これはまずい、謝らなくては、
というので、身を乗り出して耳元で
「お許しください、閣下。つい……」

これを勅任官は「分かった、分かった」と
受け流すのですが、そこをさらに「どうか
お許しを……」と言葉を重ねたことが
裏目に出てしまうんですな。

 「ああ、いいから! 邪魔せんでくれ!」 
と怒鳴られてしまい、小心者の
チェルヴャコフ、あとはもう
観劇どころの騒ぎではありません。


Ψ ひたすら謝る…

幕間になると接近してまた謝罪しますが、
すると、「ああ、もういいから……。
こちらは忘れているのに、またその話かね!」
 

と勅任官はかえって苛立った表情を見せます。

≪忘れたと言いながら、目が怒ってる≫
とこの表情を読んだチェルヴャコフは、
心ここにあらずの体(てい)で帰宅し、
妻に経緯を話します。

妻の助言もあって、翌日、彼は勅任官の
ところへわざわざ謝罪に出かけるんですな。

            bald grandfather-153659_960_720

やっと会えて「昨日、図らずも……」と
やりだすや否や、勅任官は
 「もう、いい加減にしたまえ! と怒鳴って無視。

≪口をきくのもいやなんだ!……やはり、
腹を立てているんだ≫とこれを解した
チェルヴャコフは、必死になって弁明と
謝罪を重ねますが、勅任官はといえば、
うんざりした顔で、手を振りおろし、
「君は人を小馬鹿にしているだけですぞ」
と言ったきり、ドアの陰に消えます。


Ψ どうかわかってください…

「小馬鹿に」などしていないのに、
とチェルヴャコフは悩み続け、
結局、その翌日また、謝罪に出かけます。

対面するや、「小馬鹿にしよう」など
とんでもないことで……と大真面目に
弁明を始めますと、

 「出ていきたまえ!」 突然青ざめて
体をわなわなふるわせはじめた
勅任官ががなりたてた。
……
チェルヴャコフの腹のなかで
何かがぷつりと途絶えた。

見れども見えず聞けども聞こえぬ状態で
チェルヴャコフは戸口に向かい、
通りに出ると、ふらふらと歩き出した……。

放心の体で家に帰り着くと、制服を
脱ぐのももどかしく、長椅子の上に
横になると……そのまま息を引き取った。
(チェーホフ『馬のような名字』浦雅春訳 より)


いかがでしたでしょうか。

アントン・チェーホフ初期(20代前半)の
傑作、「小役人の死」(1883)をかいつまんで
紹介させていただきました。

Sponsored Links



Ψ 感想文の書き方

これは極端に喜劇化したお話ですが、
これに似た成り行きって、
人生に多々ありますよね。

チェルヴャコフのような悲劇的末路を
迎えないためにはどうしたらいいか、
よく考えておいたほうがよいかもしれません。

9b958d2410d5dbbd9be6904c726e8ff9_s

この意味でも、この悲喜劇、
当シリーズで推奨してきた「ikemen_busaiku」さん流
感想文の書き方」にもフィットしそうですね。

いわく「学校で評価される感想文」というものは、

作品を読んでの素直な「感想」などではなく、
それを読んだことをきっかけに
「自分の生活を反省する」作文なのだから、
登場人物が何らかの行動をとったとき、
「自分にはこんなことはできない」のではないかとか、
あるいは性格的に「自分にはこんなところはないか」

と反省
し、 疑問009093
その上で、「これからは自分もこうしよう」という
前向き
の決意表明にもっていくのがよい……
というものでしたね。

 
頓死まで行ってしまうチェルヴャコフは
いささか極端な戯画化ですが、極端な
ところを差し引いて考えれば、あなたにも
チェルヴャコフに似たところはありませんか?

ね? あったら、そこをよく考えて
上の図式にのせて書いていけばいいんですよ。

フ繧噬潟塔g

また、チェルヴャコフでなく
勅任官ブリズジャロフの側に立って、
自分なら……と考えてみてはどうでしょう。

良心的なよい感想文ができるかもしれません。

頭皮がもしツルツルでなく、人並みの
髪の毛に覆われていたとしたら、また違う
展開もありえた……とは思いません?

ともかく、みなさん頭皮はご大切に。

Sponsored Links

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ