東野圭吾の本でおすすめは?初心者もOK!涙と感動の人気作品10冊! | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

東野圭吾の本でおすすめは?初心者もOK!涙と感動の人気作品10冊!

サクラさん
著書300冊以上で映画化
・ドラマ化も数知れず、
汲めども尽きない才能の
持ち主、東野圭吾さん。

私も読んでみようと思う
んですが、なにしろ
初心者なので、どこから
入っていけばいいのか
困ってしまいます。

ハンサム 教授
そこを間違えると、
なあんだ、こんな世界か
とタカをくくって
背を向けてしまうかも。

それは惜しいことで、
傾向は多彩ですから、
自分に合うタイプの
作品に出会えると
いいですね。

サクラさん
今まで読まなかった
のも、実は犯人捜しの
探偵ものにはあまり
心を惹かれなかった
からなんです(😹)

ハンサム 教授
なるほど。東野ワールド
はたいていミステリー
仕立て。



でも犯人は初めから分か
っていたり、推理より
SF的趣向や恋愛や家族
愛が物語の中心だったり
実にいろいろです。

きっとお気に入りが
見つかるはずですよ。

サクラさん
ズバリ、ベスト1の
タイトルは❓💦

ハンサム 教授
う~ん…それが言える
ほど、君という人を
知りません(これこそ
永遠のミステリー
かな;😻💦)

ともかく推理小説として
の出来云々は置いといて
初心者にも入りやすい
ベスト110を私なりに
選んでみましたよ。


Sponsored Links

というわけで本日のターゲットは、
本格ミステリー(推理/探偵小説)を
足場にどんどんその物語世界を広げて
きたエンターテインメント文学の
スーパースター、東野圭吾さん。

そのおすすめの本を特に初心者向けに
厳選・紹介して参ります。


なにしろ作品は多彩、それぞれが
ジャンル横断的。

これは推理もの、これはSF,これは
社会派の人情もの…という風に分ける
のは難しいので、ここではとりあえず、

➊涙と感動の社会派ミステリー
➋先端科学に挑戦するSF的冒険


の2つに(いささか無理矢理ですが)
ジャンル分けしてみました。


この➊と➋とはキレイに切り分けられる
ものではないので、あくまでどちらを
主体に読みたいかという読者の好みの
判断材料と考えてください。

   

SF的要素を加えることで展開に
スリリングさを増している傑作は、➋に
集められるほど数多いのですが、これは、
東野さんがもともと大阪府立大学工学部
電気工学科を出て技術畑を歩んだ理系の
人だという強みにもよっているわけですね。

それぞれオススメ順に4~5作を並べ、
簡単な⦅あらすじ⦆のあとに、背景や
ポイントを解説した⦅読みどころ⦆を置いて
いきますので、自分に合いそうな作品を
見つけてもらえればと思います。

内容はザっと以下のとおり。


Sponsored Links

➊涙と感動の社会派ミステリー

では、参りましょう。

こちらのグループは、トップの
『人魚の眠る家』に出てくる「脳死」
状態の子を動かすテクノロジーなどを
別とすれば、SF的要素はほとんど
見当たりません。

主題はいずれも人と人との心のつながり、
人生の岐路でどう判断するか…といった
シリアスなところにあるようで、そのぶん
涙に誘われることもしばしばです。

各作品の発表年を(  )内に示しておきます。
  1. 『人魚の眠る家』(2015)
  2. 『手紙』(2003)
  3. 『白夜行』(2000)
  4. 『悪意』(1996)
  5. 『容疑者Xの献身』(2006)

1.『人魚の眠る家』

⦅あらすじ⦆
IT系機器メーカー「ハリマテクス」の
社長播磨(はりま)和昌は、妻の薫子
(かおるこ)とは別居中だが、長女・
瑞穂の小学校受験の面接の練習を
させる教室に二人で来ていた。

そこへ瑞穂がプールで溺れたという
連絡が入り、病院へ急行すると、
担当医はすでにいわゆる「脳死」状態に
あると説明し、臓器移植の意思の有無に
ついて尋ねる。

一晩検討してから、二人は瑞穂の
優しい心根を思い、移植に同意。

翌日、別れを告げようと二人の手で
瑞穂の手を包むようにし、弟の生人
(いくと)が「オネエチャン」と呼び
かけた時、瑞穂の手がぴくりと動く。

薫子は俄然、瑞穂の「生」を確信し
治療の継続を決意する。

  

ハリマテクスの若手研究員・星野祐也
からAIBS(人口知能呼吸コントロール
システム)の話を聞いた和昌は、これに
よる呼吸のための手術を、
さらには自社で開発中の、体を動かす
ためのANC(人口神経接続技術)装置の
設置を、いずれも巨費を投じて実行。

ANC設置以降は、星野を週に何度も自邸へ
通わせる必要があり、その過程で星野と
薫子の間には信頼以上の感情が(💖)

瑞穂を特別支援学校に入学させてからは
家庭訪問で読み聞かせをする教員との
関係や、二年後に小学生になった生人が
瑞穂のせいでこうむるイジメなど多事。

その生人の誕生日会、彼が実は一人も
友達を呼んでいなかったことが発覚し、
激怒した薫子は包丁を瑞穂につきつけて
警察を呼ぶという狂気じみた行為に。

この狂乱を鎮めたのは、瑞穂が溺れた日
一緒にいたいとこの若葉がこれまで
誰にも言えないでいたある「秘密」の
告白だった…。
⦅読みどころ⦆
脳死・臓器移植・延命治療・介護など
現代医学が高度の発展の末に抱えこんで
しまった倫理的な諸問題に挑み、
近未来SF的なテクノロジーも導入して
仕上げたホームドラマ。

6歳のいたいけな幼女の溺死に責任を
感じ、自分が代わりに死ねばよかった
と思う祖母ら(実は意外な人も…)。

夫の財力と先進テクノロジーにより
あくまで娘を生かし続けようとする
母親の執念と狂乱…
ともかく読みどころ満載も傑作!
👉全体のあらすじ(ネタバレ!)など
より詳しい情報はこちらで。

人魚の眠る家(本)のあらすじを簡単に【&詳しくネタバレありで】

          


2.『手紙』

⦅あらすじ⦆
両親に死なれ、弟と二人暮らしの
武島剛志は、弟の大学進学のための
金欲しさに空き巣に入り、その家で
殺人を犯してしまい(ドクロ)、刑務所へ。

孤独になった弟の直貴に、それから
毎月獄中の兄から手紙が届く。

  letters-664009_640

直貴は大学はいったんあきらめて
就職するが、やがて通信教育部に
入学し、転籍して普通の大学生に。

バンドでプロ・デビューしそうに
なったり、上流の令嬢と結婚しそうに
なったりするが、毎回、「強盗殺人犯
の弟」という素性がばれて頓挫する。

兄のことは隠してなんとか有名企業に
就職できたが、そこでも事実が露見
して差別を受け、理解ある妻を得た
ものの、今度は娘が差別を受ける(叫び)

直貴はついに兄への絶縁状を書く…

Sponsored Links

⦅読みどころ⦆
殺人罪で服役中の兄の存在が知れた
せいで配置換えになった主人公が、
社長から直々に差別の理由を聞きます。

これは大抵の人間の「自己防衛本能」を
重んずる「当然」の処置であり、殺人
(自殺を含め)は人と人の繋がりを無断で
断ち切る行為として絶対に許されない、
そのことをすべての犯罪者に思い
知らせる必要があるのだ…と。

この説諭に反論もできず、世間は
そんなものという実情を「運命」
として背負って生きていく主人公と
刑務所からの兄との文通…

涙なしに読み終えられない
直木賞候補作(4度目)。
👉全体のあらすじ(ネタバレ!)など
より詳しい情報はこちらで。

手紙(東野圭吾)のあらすじ//ネタバレ御免で感動のラストまで!

        

また下敷きになっている感もある
ドストエフスキーの傑作『罪と罰』を
めぐってはこちらで。

ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ【詳細版 後編】と感想文

                   


3.『白夜行』

⦅あらすじ⦆
1973年、大阪の廃墟ビルで質屋の
店主が遺体で発見され(ドクロ)、
何人かの容疑者が捜査線上に
浮かぶも、結局事件は迷宮入り。

月日は経ち、当時小学生だった
被害者の息子・桐原亮司とそれに
絡んで母に死なれた西本雪穂
(当時ともに10歳)とが歩む
その後の19年。

  

美貌を武器に玉の輿に乗り、それを
踏み台に実業界へ、さらには二度目
の結婚に乗り出すなど成功の階段を
駆け上がってゆく雪穂と、犯罪すれ
すれの世界で力をつけていく亮司。

関連事件を担当したベテラン刑事の
笹垣の聞き込み捜査などによって、
接点の有無のわからなかった二人の
相互に絡み合う犯罪的な足跡や
恋愛的な感情関係が、徐々に
明るみに出てくる。

⦅読みどころ⦆
縁がないようで実はある若い男女の、
それぞれに非行的・犯罪的な半生を
追い、重なっていく事件から
スリリングに見えてくる接点。

散乱したピースをようやく結び合わせた
老練な刑事は、クリスマスの夜、
雪穂を”女王”とする場に現れるはずの
“影”の男、亮司を狙います。

が、亮司は逮捕よりは死を選び、
その死に衝撃を受けた様子も見せない
雪穂も、心の奥で相手をどう思って
いたのかわからずじまい…

その真相は続編『幻夜』(2004)で
明かされる(かもしれない)
直木賞候補作(2度目)。
👉全体のあらすじ(ネタバレ!)など
より詳しい情報はこちらで。

白夜行のあらすじ//小説(東野圭吾)が映画の10倍も面白いワケ

          


4.『悪意』

⦅あらすじ⦆
人気作家の日高邦彦が自宅で殺害される
という事件(ドクロ)の第一発見者は、
日高の小学生時代からの友人で、
売れない児童文学作家の野々口修。

現場に赴いた加賀刑事は元中学教師で、
この野々口が元同僚であったことに
驚き、また野々口が今回の事件の
経緯を書き残しているという手記を
見せてもらう。

その記述から犯人像は明瞭に浮かび
上がるが、加賀は手記の内容と現実と
の間に微細な矛盾点を見出し、犯行は
実は野々口によるものと推理する。

     

追及に屈服した野々口は、やがて
犯行を自供するものの、その動機に
ついては、かたくなに口を閉ざす。

小学生時代からの親友で、作家として
早くデビューした日高に種々の恩恵さえ
こうむっていながら、殺人にまで及ぶ
という野々口の“悪意”はどのようにして
形成されたものなのか❓

加賀刑事の執念はむしろ犯行動機の
解明へと傾き、これにあらがう野々口
との間に心理戦が続いていく。

Sponsored Links

⦅読みどころ⦆
ああわかった、そういうことだった
のか…と一件落着したかと思いきや、
その結論を覆す物証や証言が出てきて
話は振出しに戻り、新しい証言にも
またその裏があって…

これでもか、と玉ねぎの皮をむいて
いくような叙述トリックの連鎖による
ミステリーの傑作。
👉全体のあらすじ(ネタバレ!)など
より詳しい情報はこちらで。

悪意(東野圭吾)のネタバレ ここまでやるか!の叙述トリック連鎖

          


5.『容疑者Xの献身』

⦅あらすじ⦆
花岡靖子と美里は母子家庭の
アパート暮らし。

そこを探し当てて押し入ってきた
疫病神のような元夫、富樫慎二の暴力が
ひどいので、靖子と美里は乱闘の末、
死なせてしまう(ドクロ)

呆然とする母子に、隣人の数学者・
石神が救いの手を差し伸べ、
二人は彼の指示通りに動く。

   

旧江戸川で発見された遺体は富樫と
断定され、草薙刑事は花岡母子の
アリバイに不審を抱くものの、捜査を
進めながらあと1歩のところで微妙な
ズレが生じ、母子を追い詰める
ことができない。

困惑した草薙が友人の物理学者、湯川
(ガリレオの異称をもつ「天才」)に
相談を持ちかけると、彼と石神とは
大学時代の友人と判明する。

湯川はやがて石神が犯行に絡んでいる
ことをつきとめ、独自の解明に乗り出す…

⦅読みどころ⦆
6度目の挑戦でついに手にした直木賞の
ほか、本格ミステリ大賞、アメリカ図書館
協会最高推薦図書(ミステリー部門)、
本屋大賞(4位)を受賞したほか、エドガー賞
最優秀長編賞、バリー賞新人賞のそれぞれ
候補に上がるという作家的栄誉をほしい
ままにした名作。

“容疑者X”すなわち石神の花岡靖子への
献身が「泣かせる」という部分などが
好評の主因なのでしょうが、絶賛一辺倒
というわけでもありません。

「作者が推理の手がかりを意図的に伏せて
書いて」いる点で「本格推理小説としての
条件を完全には満たしていない」という
推理作家の二階堂黎人氏の批判は、他の
作家をも呼び込む論争ともなりました。

Sponsored Links

➋先端科学に挑戦するSF的冒険

こちらのグループは、はっきり「近未来」に
時代設定されたものもあって、いずれも
SF的な想像力を大いに飛翔させた
物語展開になっています。

現実にはありえないと思える「不思議」が
なぜ起こるのか、一応はすべて科学的に
説明されていくあたりも読みどころですが、
主眼はやはり➊グループ同様、人生の
悩みに答えを求めていくところにあり、
これぞ”東野ワールド”という感動が、
いつか忍び寄ってきます。

各作品の発表年は以下の通り。
  1. 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2012)
  2. 『秘密』(1998)
  3. 『分身』(1993)
  4. 『プラチナデータ』(2010)
  5. 『変身』(1991)

1.『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

⦅あらすじ⦆
児童施設「丸光園」出身である、
敦也・翔太・幸平の三人は強盗に
入った後、盗難車が動かなくなり
近くのシャッターの下りた廃屋
「ナミヤ雑貨店」に逃げ込んだ。

その郵便口に封筒が差し入れられ、
驚いた三人は、「月のうさぎ」と名乗り
雑貨店主(浪矢雄次)に宛てた
その手紙を読んでみる。

自分はオリンピックを目指す女子選手
だが、重病の婚約者の看病のため競技を
あきらめるべきかという相談ごとで、
彼らは店主に代わって返事を書き、
裏の牛乳瓶入れに入れておく。

それが持ち去られ、何度かやり取り
するうちに、相手が生きている時間は
1979年で、彼女の目指すモスクワ五輪に
日本は参加しないのに…と頭が混乱。

    

「魚屋ミュージシャン」からの手紙は
プロのミュージシャンを目指すか魚屋を
継ぐかで迷う松岡青年のもので、三人は
さっさと魚屋を継げと書き、納得した
松岡は最後の記念として雑貨店の前で
自作曲「再生」をハーモニカ演奏。

聞きほれた三人から「あなたの曲は
ひとを救う」と返事をもらった松岡は
「丸光園」でこの「再生」を演奏し、
これに感動したセリという女性と
恋愛関係に。

が、丸光園の火災でセリの弟を助け
ようとした松岡は死んでしまい、
数年後には、セリは天才的歌手として
松岡の曲「再生」を歌っていた。


三人はやがてネット上に、浪矢雄次の
33回忌に1日だけ相談を受け付ける
という、息子の貴之が発信した記事を
見つけ、このことが「ナミヤ雑貨店」
周囲でのみ起こったタイムスリップ
という「奇蹟」を起こしたものと
理解し始める…

⦅読みどころ⦆
全5章からなる長編で、第一章は「月の
うさぎ」の、第二章は「魚屋ミュージ
シャン」の人生をたどることになり
ますが、第三章以降の主人公もそれぞれ
1979年に浪矢雄次(その実態は敦也ら
三人かもしれない)から有益な助言を
受けたおかげで、有意義な人生に
踏み出します。

彼らはみな「丸光園」の関係者で、
第五章の「迷える子犬」武藤晴美に
至ってはその創立者にほかならない
のですが、彼女の人生行路も丸光園
育ちの三人の(未来からの)助言に
よって決まっていたという「奇蹟」。

人生の不思議なめぐりあわせを考え
させる中央公論文芸賞受賞の傑作!

2.『秘密』

⦅あらすじ⦆
杉田平介の妻・直子はバスの転落事故で
死亡するが、その意識は身体だけ
生き残った11歳の娘・藻奈美の中で
生き続けているという事態が発覚。

世間的には娘になりすます直子は、
成績優秀で私立中学を経て有名進学校へ
と進むが、男子との交際のことなどで
平介との間に波風が立つ。

やがて藻奈美の身体に藻奈美の
意識が復活し、直子の意識と交替
する「二重人格」の状態に。

  

藻奈美と直子の2人格は交換日記の
ようなノートで意思を伝え合うが、
直子の意識は徐々に弱まっていく。

藻奈美は直子の指示通り、二人の
最初のデートの場所へ平介を誘い、
そこで…(叫び)
⦅読みどころ⦆
人の体に別の人の心が入り込んでしまう
という”心の入れ替わり”を軸にした
SFミステリー。

アニメ映画『君の名は。』をはじめ、
こういう超常現象をプロットにした物語は
今やむしろありふれているようですが、
1998年時点では新奇でした。

この”入れ替わり”が母娘の間に発生し、
これに気づいた夫(父)は一体どう
すればいいのか…
という深刻な実験小説ともなって、
直木賞(初の候補)は逃すも、日本
推理作家協会賞を受賞した名作。
👉全体のあらすじ(ネタバレ!)など
より詳しい情報はこちらで。

東野圭吾 秘密のあらすじ⦅ネタバレあり⦆妻が娘で娘が…???<

         


3.『分身』

⦅あらすじ⦆
東京の大学生、小林双葉は自分が
ボーカルをつとめるバンドが
テレビ出演して1週間後、母親が
ひき逃げ事故で死亡(ドクロ)

その前後の謎めいた経緯について
真相を知ろうと行動する過程で、
札幌の大学生、氏家鞠子と自分が
瓜二つだと知る。

  

鞠子は医学部教授の娘だが、彼女の
側でも5年前に母親が一家心中を図って
死ぬなどの謎があった。

出生の秘密を知ろうと探っていくうち、
やがて20年前に父が冒したクローン
技術濫用の経緯が判明(叫び)

互いに独立に自分の出生について
知ろうとしてきた双葉と鞠子とは
やがて出会う…

⦅読みどころ⦆
鞠子の視点で語られる「鞠子の章 その一」
に蓋をあけて、これに双葉の視点による
「双葉の章 その一」が続き、その後も
「鞠子/双葉」の章が交互に置かれて
ラストまでこの形が貫かれます。

縁のないようだった二人の接点がやがて
見えてき、徐々に接近して出会いそう
にもなりながら今一歩ですれ違うという
スリリングな展開。

雑誌初出時のタイトルは『ドッペルゲンガー
症候群』だったとのことで、鞠子と双葉は
互いにドッペルゲンガー(もう一人の自分)
だとも言えるわけですが、西洋文学の
伝統では、これを見た者は死ぬ運命…
ということになっています。

エドガー・アラン・ポーの『ウィリアム・
ウィルソン』(1839)、オスカー・
ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』
(1890)なんかその轍を踏んでいますが、
はたして鞠子と双葉も叫び
👉全体のあらすじ(ネタバレ!)など
より詳しい情報はこちらで。

東野圭吾 分身のあらすじ⦅ネタバレあり⦆簡単/詳しくの2段階で
         
           


4.『プラチナデータ』

⦅あらすじ⦆
近未来の東京。

たいがいの事件の犯人は特殊解析研究所
(特解研)の神楽が開発したDNA操作
システムで現場に残された毛髪や
体毛のDNAからたちまち割り出される。

若い女性が頭部を銃撃される暴行殺人
事件でも、残された精液のDNAデータ
から犯人の特定は容易と思われたが、
特解研のDNA検索システムの調査結果は
意外にも「Not Found」(システムの
データベースになし)。

  

実は多重人格症状に悩む神楽は、
大学病院脳神経科に通院しており、
その水上教授の病室では、神楽と
共同でDNA操作システムを開発して
きた蓼科(たてしな)兄妹――
重度の障害を抱えながら数学の天才
である早樹(さき)とその兄耕作
――が研究を進めている。


この大学病院の病室で蓼科兄妹が殺害
され、使用された拳銃は、NF13事件で
使われたものと同一と判明。

犯人解明の手掛かりは早樹の服に付着
していた一本の毛髪と、早樹が
コンピューターに残した「モーグル」
という名の新しいプログラムのみ。

アメリカでDNAプロファイリングの
研究をしてきた白鳥里沙の協力のもと、
毛髪のDNA解析を行った神楽は、
モニターに現れた犯人像が自分
であることに驚愕する(叫び)

     


神楽は別人格の「リュウ」に成り替わる
ため水上教授処方の「反転剤」を使うも
効果がなく、そこへいつもリュウの
描いていた白いワンピースの少女が
現れ、「あたしはスズラン」と名乗り、
消える。


警察に追われる身となった神楽は、
白鳥里沙からの情報や電子マネーを
頼りに「モーグル」を求め、蓼科兄妹の
生家のある暮礼路(ぼれろ)市に向かうが、
東京駅で弁当を買おうとしたところへ
スズランが現れ、同行することに。

隠れ家のような兄妹の研究室の
コンピューターには「補完プログラム」
の完成が近いというメールが入って
おり、これが「モーグル」と神楽は思う。


スズランに連れていかれた教会を
隠れ家にし、そこで愛し合うように
なっていた二人が結婚式のまねごとを
しているところへ、警察が踏み込む。

神楽はスズランをバイクに乗せて
逃走するが、急カーブで空中に
飛ばされ、失神(叫び)…

Sponsored Links

⦅読みどころ⦆
この先は”お楽しみ”ですが、神楽(映画では
二宮和也)と浅間(映画では豊川悦司)の
協力で犯人を追い詰めることになります。

映画では「MAOA遺伝子」について
「反社会的な行動は取らない。物事に
対しての適応能力も高い」云々の白鳥
(杏)発言があり、この部分に反応した
中野信子氏は「MAOA遺伝子」が小説
『プラチナデータ』の小道具に使われた
と書いていますが、これは映画での
話で、原作には出て来ません。

その中野著『サイコパス』によれば、
「MAOA」とは「モノアミン酸化酵素
のAタイプ」で「主にノルアドレナリン
とセロトニンを分解し全体量のバランス
を調整する」遺伝子とのこと。
👉全体のあらすじ(ネタバレ!)など
より詳しい情報はこちらで。

プラチナデータのあらすじ((ネタバレ)) 小説は映画とどう違う?

『サイコパス』について詳細は
こちらをご参照ください。

サイコパス(中野信子著) の内容 あの凄い人も実はそうだった!

        


また人格の交替を促進する「反転剤」は
多重人格小説の元祖ともいえる
『ジキル博士とハイド氏』でジキル博士
自ら発明し服用する薬品を連想させます。

『ジキル博士とハイド氏』について
詳しくはこちらでどうぞ。

ジキルとハイドのあらすじ 🌓スティーヴンソン原作を簡単に…

              


5.『変身』

⦅あらすじ⦆
成瀬純一(24歳)はある不動産屋で
少女を助けようとして強盗に
撃たれたが、世界初の成人脳移植
手術によって一命をとりとめた。

が、かつての自己の記憶が戻らない
ばかりか、気弱だったはずが粗暴と
なるなど、性格も嗜好も感性も
すっかり変わってしまい、
職場の嫌われ者に。

やがて入れ替えられた右脳のドナーが
例の事件の自殺した強盗犯だった(叫び)
という事実が判明。

    

恋人の恵にはもはや魅力を感じず、
移植手術した堂元教授の助手、
直子と深い仲になるが、彼女の
スパイ行為を疑って、絞殺して
しまう(ドクロ)

追われる身となった純一のもとに
恵が戻って来て、隠れ家へ導く。

そこで本来の純一に戻ろうと、
以前は好きで得意だった絵画に
懸命に取り組むが…

⦅読みどころ⦆
部分的な脳移植によっては発生しない
と踏んでいた人格の変化が実際に
起きてしまう…という設定の、
臓器移植の倫理問題に取り組んだ
近未来SFの悲劇的展開。

サイコパスに近い冷酷な男と化してしまう
「俺」の新しい部分を提供した強盗犯は
優しい芸術家という側面もあったという
逆説も作品に深みを与えています。

作品中で「俺」自ら語るように「二重人格」
(多重人格=解離性障害)という古く
からのテーマを新しい科学的知見で
再構築した意欲作としても読まれます。
👉全体のあらすじ(ネタバレ!)など
より詳しい情報はこちらで。

東野圭吾 変身))原作小説のあらすじ⦅ネタバレあり⦆と感想

               
  
「二重人格」を扱った小説として最も
有名な古典が、『プラチナデータ』の
ところでもふれた『ジキル博士と
ハイド氏』ですね。


Sponsored Links



まとめ

さて、いかがでしょう。

日本のエンターテインメント文学に
押しも押されもせぬ地位を築き、
外国語訳も多数、今や長者番付にも
顔を出す超人気作家、東野圭吾さんの
魅力の一端を感じ取っていただけた
でしょうか。

一つでも面白そう、自分に合いそうと
思われた作品があれば、さっそく
本を入手して読み始めてくださいね。

感想文やレポートの素材としても
どれも、もちろん文句なしですよ!
👉読書感想文対策など、東野関係の
記事はほかにも書いていますので
ぜひご参照ください。

手紙(東野圭吾)で感想文どう書く?【800字の例文つき】

秘密(東野圭吾)で感想文どう書く?【1200字の例文つき】

          


東野さんの本を早く安く手に入れたい
場合は、Amazonが便利です。

こちらから探してみてください。

東野圭吾の本:ラインナップ
 


👉また当ブログでは、東野圭吾以外にも
日本と世界の種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

こちらで探索してみてください。

「あらすじ」記事一覧

「感想文の書き方」一覧


それではまたお目にかかりましょう(😸)

(Visited 1,709 times, 1 visits today)

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ