白夜行(小説)のあらすじ【ネタバレ】映画・ドラマより断然面白いワケ
泣けちゃいました(😿)
ヒロインの晴れの日に,
出てくれば捕まると
分かっていながらやはり
出てくる影の男…
刑事もの”を見るよう
でしたね;^^💦
でも原作はそういう世界
ではありませんよ。
な部分など微塵もない
ハードボイルドの世界?
評した馳星周氏によれば
“ノワール”(noir──フラ
ンス語で「黒」)とは
「人間の心の暗い部分、
邪(よこしま)な断面を
描く」もの。
雪穂と亮司はそういう
“暗い部分”で密かに
つながり、人を不幸に
して顧みない”邪”な
発展を続けた…と。
続いていたことが見えて
くるわけですが、そも
そも二人が互いに相手の
ことをどう思っていた
のか❔というも
う一つの”闇”も…
というわけで、おなじみ”あらすじ”暴露
サービスの第166弾(“感想文の書き方”
シリーズ第232回)は東野圭吾作品中
最高峰とも評価される大長編小説
『白夜行』(1997-99)ですよ~。
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2005年の舞台化を皮切りに、2006年には
TBSドラマ化(綾瀬はるか・山田孝之主演)、
2009年に韓国で映画化されるや、日本でも
負けじと2011年に映画化(堀北真希・高良
健吾主演 👇)された国際的傑作です!
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簡単なあらすじ
さて、そのあらすじを紹介していくわけですが、なにしろこれが文庫本で
850ページを超す大長編。
「簡単なあらすじ」をと言われても、
それがそう簡単な仕事ではないわけ
なんですが、しいて要約しろと言わ
れればこんな感じになるでしょうか。
1973年、大阪の廃墟ビルで質屋の
店主が遺体で発見され、何人かの
容疑者が捜査線上に浮かぶも、
結局事件は迷宮入り。
月日は経ち、当時小学生だった
被害者の息子・桐原亮司とそれに
絡んで母に死なれた西本雪穂
(当時ともに10歳)とが歩む
その後の19年。
美貌を武器に玉の輿に乗り、それを
踏み台に実業界へ、さらには二度目
の結婚に乗り出すなど成功の階段を
駆け上がってゆく雪穂と、犯罪すれ
すれの世界で力をつけていく亮司。
関連事件を担当したベテラン刑事の
笹垣の聞き込み捜査などによって、
接点の有無のわからなかった二人の
相互に絡み合う犯罪的な足跡や
恋愛的な感情関係が徐々に
明らかになっていく。
いかがでした。
これでおおよそ、どんな小説かは
わかりましたよね?
でもこの小説のほんとの面白味は
これではまだ全然わかってもらえて
いないのです。
映画との違いはこれだけでもすでに見て
とれるはずです(二度の結婚など)が、
ともかくあらかたはハンサム教授の
紹介された通りで、ハッキリ言って
小説は”ノワール”……暗いです(👿)
ですので、これにハマる読者というのは、
映画のような”人情刑事ものなどでは
なくて、もっと徹底して”暗い”世界に
浸りたいとか、冷酷無比の極悪人の
活躍を読みたいとか、裏表の使い分けが
完璧でスキのない”美悪女”に出会いたい
とか…
そういう志向をお持ちの方になら面白い
こと請け合いのこの世界…、
さあ、ご案内いたしましょう。
「詳しいあらすじ」の内部へ;^^💦
かなり詳しいあらすじ
この大長編、雑誌連載は短編連作の形で書かれたという全13章から構成されて
いますが、ここではこれを「起承転結」の
4部に分け、錯綜したストーリーを丁寧に
解きほぐしながら追っていきます。
もちろん⦅完全ネタバレ📢⦆になります
ので、犯人(これはもうバラして
いますが)とかラストシーンとか
知りたくない人は読まないで
くださいね;^^💦
あらすじ中、「 」内や「”」印の
囲みは上記文庫本からの引用です。
映画とで大きく異なる箇所など、
気になる部分には👉印の注釈を
入れていますが、必要なければ
飛ばしてください。
【起】(第一章~第四章)
1973年10月、大阪は近鉄・布施駅近く、子供の遊び場になっていた廃墟ビルで
質屋「きりはら」の主人、桐原洋介の
刺殺死体が発見される。
捜査に当たった笹垣潤三刑事は、まず
洋介の妻・弥生子および彼女の愛人と
噂される店員の松浦勇に目星を付けるが、
アリバイがあった。
次に浮上した西本文代は小3の美しい娘・
雪穂と二人で貧困生活を送る女性で、
事件当日に洋介がそのアパートを
訪ねており、愛人関係が疑われた。
しばしば西本家を訪れる男としてもう一人、
より若い寺崎忠夫にも容疑がかかったが、
寺崎は間もなく居眠り運転で事故死。
所持していたダンヒルのライターは
桐原洋介の懐から消えたものと同一
ながら、誰の指紋も検出されない。
西本雪穂に呼びだされた不動産屋が
アパートに駆けつけると、ガス中毒
による西本文代の死体があり、自殺
として処理される。
👉以上が「第一章」のあらまし。
事件後、何日かのうちに容疑者が
バタバタと死んでいくわけで、
ただの事故死や自殺とも見えません。
それらが誰の手によるものなのかは
原作でも映画でも最後の最後まで
明かされないわけですが、要するに
こうした怪事件のすべては桐原洋介の
一人息子・亮司と西本雪穂という
同い年のコンビによるもので、
二人の協力関係はこの後もずっと
(亮司の死まで)続くんですね。
孤児になった雪穂は父の従姉で近くに
住んでいた独身女性、唐沢礼子の養女と
なって改姓し、お嬢様学校の「清華女子
学園」に入って中等部3年になる。
桐原亮司の通う大江中学でカメラに凝る
秋吉雄一は、番長格の牟田俊之に脅されて
清華女子学園へ行き、美人の誉れ高い
唐沢雪穂の写真を密かに撮っていた。
雪穂にライバル心を燃やす藤村都子
(みやこ)がいて、やがて雪穂の過去に
かかわる噂を流し始める。
秋吉はやはり牟田の命令で、撮影対象を
都子に変えたが、すると間もなく都子が
脱がされるなどの暴行を受ける(強姦は
されない)という事件が発生。
警察の調べを受けた雪穂は、大江中学の
「秋吉雄一」という名札の生徒が写真を
撮りに来ていたことなどを証言し、
これにより秋吉の友、菊池文彦に嫌疑が…。
👉この事件も迷宮入りの形ですが、
最後に秋吉が牟田らのリンチに
遭うのが、牟田が処罰を受けた
ことの報復のようでもあります。
菊池の容疑は、急に映画の券を
もらって観に行っていたという
アリバイで消えるわけですが、
この券の手配者は?
「秋吉雄一」の名前まで言い当てる
雪穂の証言を含め、一連の謎は
亮司とのタッグを想定することで
解けるものとして設定されて
いるんですね。
制服のない進学校に進んでいた桐原亮司は、
ルックスのいい園原友彦らに声をかけ、
自宅マンションで中年女性の相手をさせて
金を取る商売を始めていた。
友彦は、最初の客になった花岡夕子と
その後、禁を破って私的に会うように
なったが、1か月ほど後のホテルで
3度目の行為のあと夕子が急死し、
友彦は逃走。
はじめ友彦を見捨てようとした亮司だが、
パソコンの知識がかなり高いレベルに
あると知って助ける気になる。
例の商売の客だったことから関係の
できていた銀行員の西口奈美江に協力
させ、友彦とはDNAの違う体液(自分の)
を現場に置くなどして難を逃れさせる。
高等科に進んだ唐沢雪穂に数学を教えにくる
家庭教師、工学部生の中道正晴もまた彼女に
強く惹かれている。
彼は大学院生の美濃部を中心とする
グループでパソコンゲームの制作に
携っていたが、「無限企画」という
通信販売会社が発売した『マリン・
クラッシュ』の内容が、彼らの未発表の
『サブマリン』に酷似していた。
「俺らの周りにいる誰かが、勝手に
『サブマリン』を売りとばしたという
ことなんやからな」と美濃部は怒る。
中道正晴はかつて雪穂に『サブマリン』の
内容を話し、「やってみたい」という彼女に
プログラムを収めたカセットテープを
貸しさえしていたのだった。
👉「無限企画」は後でわかるように
桐原亮司の立ち上げた会社。
彼への恩義を強く感じる園原友彦との
結束で情報を盗み取って開発、
先行発売したゲームが『マリン・
クラッシュ』というわけですね。
このように各章は短編としての
独立性を持ちながら他の章に
つながって全体を形作る…
という心憎い構成です。
【承】(第五章~第八章)
清華女子大学へ進学した雪穂は、中等部以来の親友である川島江利子とともに
近隣の永明大のダンス部学生から勧誘を
受け、見学に行く。
雪穂の美貌はたちまち男子学生の注目を
浴びたが、部長の篠塚一成(かずなり。
トップ企業、篠塚製薬社長の甥)が
心惹かれたのは、そう美しくないながら
「ユニークな娘」江利子の方だった。
雨中を一人歩く江利子に遭遇したので
車に乗せ、行きつけの美容院やブティックへ
連れて行き、美しく変貌させる。
一成を占有してきた倉橋香苗の怒りを
買いながら10回もデートするうち、
江利子はある夜、路上で何者かに襲われて
失神させられ、全裸の写真を自宅と
一成のところへ送付される。
両親が警察に届けないことにしたのは
「処女は奪われていなかった」からでも
あったが、江利子はその点が中等部時代の
藤村都子の事件に似通っていることに
思いあたる。
👉篠塚一成は、雪穂には最後まで
動かされない冷静な人物ですが、
なんと映画では一目ぼれから
結婚へと進んで悔恨の人生を
送ることになります。
映画の一成は、実は、後で出て来る
従兄で次期社長と目される篠塚康晴
(雪穂の二人目の夫となる)と無理ヤリ
“合体”させられた人物。
しかもこれに雪穂の最初の夫である
高宮誠の要素まで引き受けることに
なるわけで、かなり無理のある
人物設定なんですね。
役者の演技も訴えてくるものがなく
評価しようのないレベルですが、
まあ役作りが難しかったという
ことはよくわかります。
ともかくこのあたり、映画が
「つまらない」という評価も
受けることになった根本的な
要因かと思われます。
永明大ダンス部で篠塚一成と親友だった
高宮誠はやはり富豪の跡取りで、現在は
東京の東西電装特許ライセンス部に勤務。
大学時代、ステップを教えてほしいと
雪穂の方から声をかける形で交際を
始めて4年。
結婚式の日取りも決まっていながら、
派遣社員の三沢千都留(ちづる)に惹かれる
気持ちを抑えられないでいた。
思い返せば、雪穂との結婚を決めたのは
2年前の彼女が妊娠判定器具に出ている
「赤い二重丸」を見せ、かつ「生むなんて
いわないから」と明るく言ったことだった。
結婚を取りやめにしようと一度は決意して
千都留に会おうとするが連絡を取れず、
そのまま諦めて、雪穂と結婚する。
亮司の店「パソコンショップMUGEN」では
園田友彦のほか、その恋人の中嶋弘恵も
働くようになっていた。
ある時、友彦が使用後に所持してしていた
「赤い二重丸」の出る妊娠判定器具を
見つけた亮司は、これを借り出し、
返す時に薄く笑って言う。
男というのは弱いな。
こと話が妊娠ということになると
手も足も出えへん。
やがて「MUGEN」に「きりはら」の店員
だった松浦勇が現れ、「スーパーマリオの
海賊版」販売の話をもちかける。
友彦は反対するも、亮司は
「俺一人でやる」。
1985年の営業を大晦日で終えて乾杯し、
来年の抱負を尋ねた弘恵に、亮司は
「昼間に歩きたい」と答える。
俺の人生は、白夜の中を
歩いてるようなものやからな。
そこへ電話が入り、海賊版で「足がついた」
らしく、防犯課が捜索に来るとの情報で
三人は解散。
翌年1月3日「スーパーマリオ」海賊版
ソフトの大量発見がニュースになり、
5日に店をあけた「MUGEN」に亮司は
現れず、そのまま失踪。
代わりに現れたのは1973年の大阪の事件を
担当した刑事の笹垣だった。
【転】(第九章~第十一章)
高宮誠と結婚して2年半、妊娠の気配のない雪穂は、家事だけでは時間が余る
からと、夫の許可を得て株取引を始める。
やがて雪穂は、友人と共同経営で洋服の
店を開いて成功し、さらに2号店を開く
ために高宮家の資金をねだる。
「自分はこの女にはとてもかなわない
のではないか」と思う誠。
性的にまったく反応しなくなり
「子供を堕ろしたら、こんなふうに
なることもあるって聞いたわ」と
すすり泣く雪穂。
雪穂の発案で一緒にゴルフスクールに入る
ことにし、土曜日、二人で出かけたものの、
店からの電話に呼び出されて雪穂は去り、
誠は一人、取り残される。
そこで再会するのが、やはりゴルフを
習いに来ていたという三沢千都留。
👉話がウマすぎますが、これも
やはり雪穂=亮司コンビによって
仕組まれた「偶然」であった
ことが、読み進むにつれて
見えてきます。
誠は千都留と定期的に会うようになり、
雪穂との仲も冷え込む。
酔って帰った翌朝、雪穂が眼帯をして
いるので尋ねると、あなたが「殴ったのよ」
と言い出すが、それはまったく身に覚えの
ないことだった。
東西電装の技術システムのデータが
持ち出されたことが発覚し、誠は
自分のIDとパスワードが盗み見られて
いる可能性に思い至る。
1991年、私立探偵の今枝直己はゴルフ場で
高宮誠に偶然出会い、その妊娠中の妻・
千都留、および一緒に来ていた
篠塚一成とも知り合う。
その一成から依頼があり、従兄の康晴が
一目ぼれして結婚しようとしている
唐沢雪穂(高宮とは離婚)の「裏の顔」に
ついて調べてほしいという。
大阪の雪穂の生育地などでの徹底的な
調査の結果、今枝が導かれた主な仮説は
以下の2点。
- 中学・高校時代の2つの女子暴行
事件はいずれも雪穂自身の
仕組んだものではないか。 - 離婚した高宮への愛は薄かったが、
それはもともと雪穂の最愛の人が
あなた(一成)だったからではないか。
仕掛けられているのを発見。
翌日、大阪から笹垣刑事が今枝を訪問し、
雪穂のことを調べまわる動機について
尋ねる。
笹垣は、自分は「スーパーマリオ」の件で
指名手配中の松浦勇を追っているのだが、
この松浦と一緒に逃げた男と雪穂とが
テッポウエビとハゼのような「相利共生」の
関係にある…という比喩を持ち出す。
〔テッポウエビの穴に〕居候
しとるやつがおる。
魚のハゼです。
そのかわりにハゼはふだん穴の
入口で見張りをしとて、外敵が
近づいたら尾ひれを動かして中の
テッポウエビに知らせるそうです。
見事なコンビネーションや。
桐原亮司の写真を見せられた今枝は、彼が
1986年以降、東京のメモリックス社で
危ない仕事をしてきた「秋吉雄一」と
同一人物であることを確信する。
【結】(第十二章~第十三章)
帝都大学附属病院の薬剤師、栗原典子は帰宅途中、道端でうずくまって苦しんで
いた秋吉雄一を助けたことから、彼との
仲を深め、同棲するようになっていた。
ミステリ小説を書くため「青酸カリ」の
実物がほしいから手に入れてきてほしい
という秋吉の願いを聞き、病院から
ひそかに持ち出して渡す。
やがて探偵の今枝が失踪。
大阪では雪穂の養母、唐沢礼子が
死去し、その葬儀に出席した一成は、
雪穂の「魔力」に危うく捉え込まれ
そうになるが、辛うじて持ちこたえる。
19年前の大阪での事件の時に協働し
現在は課長の古賀刑事が上京し、
笹垣に協力するという。
実母の西本文代を殺したのも雪穂だと
いう推理に古賀が驚くと、
「あの娘はそういうことを平気でする
人間なんや」と笹垣。
将来のための「イメージ」としても
「自殺」は色眼鏡で見られるが、
「事故死」なら「世間の同情をひく」と。
10月、篠塚康晴は雪穂と結婚式を挙げたが、
4歳で死別した実母を愛慕する15歳の娘・
美佳は、新しい母に心を開かないまま。
ある土曜の午後、家政婦が出かけて
ひとり留守番をしていた美佳は、
宅配便を装う男によって犯される。
ただちに帰宅した雪穂は美佳を病院に
連れて行き、戻ると康晴らには
「風邪気味だから」などと見事に
言いつくろう。
夜が深まると美佳の部屋に雪穂が現れ、
裸になってベッドにもぐりこみ、
美佳を押さえつけて話しかける。
あたしもね、あなたと同じ
経験があるの。
ううん、もっとひどい経験。
〔中略〕
今のあなたは、あの時のあたし。
〔中略〕
かわいそうに。
その瞬間、美佳の中で「何かが弾け」、
「雪穂に抱かれたまま、わあわあと
声をあげて泣き出した」。
クリスマス・イブ。
東京で2店舗を成功させて波に乗る実業家・
篠塚雪穂がオープンする大阪1号店。
松浦勇の死体は発見ずみで、桐原亮司の
犯行だという証拠も上がっている。
雪穂とはテッポウエビとハゼの関係にある
亮司は必ず近辺に現れるはず。
そう睨む笹垣は数名の刑事を
張り込ませている。
雪穂は若い部下の夏美に、自分は
「太陽の下を生きたことなんかないの」
と語りだす。
いつも夜。
でも暗くはなかった。
太陽に代わるものがあったから。
〔中略〕
あたしはその光によって、
夜を昼と思って生きてくる
ことができたの。
〔中略〕
だから失う恐怖もないの。
前日、桐原弥生子の店を訪れた笹垣は、
あんたの殺された旦那も宮崎勤ばりの
「幼女趣味」の男だと、あの時点で
わかっていれば、捜査方法も全然
違っていたのにと託っていた。
西本家に足しげく通った桐原洋介の
(そしておそらく寺崎忠夫の)訪問の
目当ては文代でなく雪穂であったのだ。
夜も更け、亮司逮捕は諦めて帰ろうと
したころ、ある少女が手にしていた
切り絵が亮司の作品に似ていると気づく。
「サンタさんにもらった」と少女が言い、
刑事らはサンタに扮装した男を追走。
男は二階から飛び下りてクリスマス
ツリーを倒し、大の字に横たわる。
駆け寄った笹垣が仰向けにすると
胸には鋏が刺さっており、すでに絶命。
すぐそばに立っていた雪穂に笹垣が
「この男は……誰ですか」と問うと
「全然知らない人です」と
無表情に答えて立ち去る。
なぜ”猫の目”なのか
さあ、楽しんでいただけましたか?ん? 話が込み入っててやっぱり
よくわからない?
それでしたら、やはり原作をじっくりと
読み進めていただくしかありませんね。
ぜひそうしてほしいのですが、それは
そうすれば、上の「あらすじ」に
書ききれていない様々な情報や面白みも
入り込んできて、さらに楽しめること
請け合いだからです。
たとえば映画でなぜ堀北真希さんが
抜擢されたのか?
完璧な美人ぶりが何度も強調される
雪穂に、堀北さんはやや荷が重いのでは
(堀北さん、ゴメンナサイ;^^💦)…と。
ともかくこのことも原作を通読すれば
納得が行くはずなのです。
つまり雪穂について原作で何度も何度も
強調される、その美貌の特徴。
先行するドラマの綾瀬はるかさんにはなく、
堀北さんには十分に備わっているもの…
それすなわち「大きくて、どこか高級な猫を
連想させる目が印象的だった」と第一章で
早くも告げられ、その後、結末まで事ある
ごとに繰り返される「猫の目」のイメージに
ほかなりません!
ただその、やや吊り上がった目が
“猫のように”陰険で何を考えて
いるのかわからない…
というような”猫=悪(狡猾)”を前提するかの
ごとき言葉が繰り返されるところには、
猫好きとしては異論を差しはさみたく
なるかもしれませんけどね!(😾)
漱石・谷崎の流れをくむ”悪女”の極致?
それにしても、雪穂と亮司。二人のお互いへの思いは結局、
どのようなものであったのか。
結末場面で雪穂がまったく「無表情」のまま
亮司の死体に背を向けるところからすれば、
“愛”があったとすれば、それは亮司から
雪穂への一方的なものだった…
と判断するしかないのではないでしょうか。
となると、雪穂は亮司の”愛”を見事に利用
しまくったわけで、この点においてその
“悪女”ぶりにはさらに磨きがかかった…
ともいえそうです。
ただもちろん、彼女には彼女なりの言い分も
あり、なぜそんな女ができてしまったのか…
という考察も書き込まれることで、原作は
文学的な深みを加えているわけです。
こういう見方をする場合、作家・東野圭吾が
創出した雪穂という女性は、日本では
夏目漱石が『三四郎』の美禰子で先鞭を
つけた「無意識の偽善者(アンコンシアス・
ヒポクリット)」の進化の極致に
出現したもの…
とも見えてきます。
これすなわち(私見では)漱石以後最大の
文豪、谷崎潤一郎が『痴人の愛』以下、
一連の作品で追求した”悪女”とも大いに
重なる「無意識の偽善者」(自在に別人に
なってしまえる演技的人物)なんですね。
そのあたりも、じっくりと考察しながら
読み返されてはどうでしょうか。
👉『三四郎』『痴人の愛』などの
名作については、こちらで情報提供
していますので、ぜひご参照ください。
・三四郎(夏目漱石)で読書感想文 美禰子の真意をどう読むか
・痴人の愛(谷崎潤一郎)で感想文 妖婦ナオミに抵抗できる?
・卍(小説)のネタバレ 谷崎潤一郎が大阪弁で描くややこしい愛の世界
・鍵(谷崎潤一郎)のあらすじ 原作小説が映画の何倍も凄いワケ
まとめ
ん? 感想文とかレポートですか?これだけの情報やヒントがあれば
もうスイスイ書いていけますよね。
挑戦する人はやはり「あらすじ」だけでは
無理なので、本文全体をしっかり
読むことが必要でしょうね。
さらにほかの東野作品にも当たって比較・
対照などしてみると、さらにいい
アイディアも浮かぶかもしれません。
👉東野圭吾のオススメ作品は
こちらにまとめ記事を用意していますので、
ぜひその中から、自分に合うものを
探してみてくであさい。
・東野圭吾の本でおすすめは?初心者もOK!涙と感動の人気作品10冊!
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こちらから探してみてください。
東野圭吾の本:ラインナップ
ん? 書けそうなことは浮かんできたけど、
でも具体的に、どう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?
そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。
👉>当ブログでは、日本と世界の種々の
文学作品について「あらすじ」や
「感想文」関連のお助け記事を
量産しています。
参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。
・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/
こんなコメントが来ています