地獄風景(江戸川乱歩)のあらすじ 大犯罪ファルスをネタバレありで!
やあやあサイ象です。
「感想文の書き方」シリーズも
このほどついに100回を突破し、今回で
第105回((((((ノ゚⊿゚)ノ
「あらすじ」暴露サービスとしては
第65弾となります。
今回は江戸川乱歩の『地獄風景』
(1931-32)で行ってみま~す!
原作は入手困難となっているようです
ので、とりあえずマンガ版を紹介。
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はじめにお断りしておきますが、
ここではネタバレを避けるという
姑息な配慮は一切せず、
内容を惜しみなく全開しますので、
結末を知りたくない人は
絶対に読まないでください(◎◎)。
簡単(とはいえかなり詳しい)あらすじ
それでは、始めましょう。私の判断で「起・承・転・結」の
4部に分けて書いていきます。
「 」内と「”」印の囲みは
原作からの引用です。
💀【起】
M県南部のさびれた都会、Y市の億万長者、喜多川治良右衛門
(じろえもん)は33歳で独身。
父母もうるさい親戚もすべて死に絶え、
兄弟もないので、自由になる資財と
3年の年月を投じて、Y市郊外に
とほうもない遊園地「ジロ娯楽園」を
こしらえた。
3万坪の広大な敷地に山あり川あり、
池には「裸体の男女が、喜々として
戯れ泳」ぎ、人魚もいる。
そのほか大観覧車、大軽気球、
浅草十二階を移築した「摩天閣」、
「明治時代なつかしきパノラマ館」、
「地底の水族館」に
メリーゴーラウンド……
👉乱歩ファンならお気づきでしょう。
この楽園、『パノラマ島奇談』で展開され、
その後『孤島の鬼』『影男』などでも
反復された乱歩式”人工楽園”の再現。
詳しくはコチラで。
・パノラマ島奇談[奇譚]乱歩最高作(?)あらすじをネタバレ御免で
・パノラマ島奇談[奇譚]で感想文◎◎乱歩の夢見たテーマパーク
・江戸川乱歩 孤島の鬼はBLの世界)))ネタバレありで結末まで
・影男(江戸川乱歩)のあらすじ:ネタバレ御免で結末まで
この楽園で日々思うがままに遊び狂う
「猟奇の同人」が、園主治良右衛門と
その二人の恋人――木下鮎子,諸口ちま子――、
大野雷蔵と人見折枝、湯本譲次と原口麗子の
それぞれ恋人同士、三谷二郎少年と
園内監督の餌差宗助の計9人。
園内にこの9人しかいない状況で、
「ジロ娯楽園」最大の怪奇といえる
「大迷路」内部で、諸口ちま子が
短剣で殺害される(((゜д゜;)))。
その時、迷路内にいた者は大野雷蔵と
その恋人、人見折枝だけで、折枝は
現場から非常に小柄な男が
走り去るのを見たという。
小柄な男といえば三谷二郎少年と
背の曲がった餌差宗助の二人。
💀【承】
「地底の地獄めぐりの穴」のなかでサディストの湯本譲次が「愚かなる
マゾヒスト」の原口麗子を的に
「短剣投げの奇術」を楽しんでいたが、
その翌日、短剣を心臓に突き刺された
麗子の死体が発見される()。
前日から捜査をはじめていたこの地方で
名うての名探偵、木島刑事をはさんで、
譲次と治良右衛門とが互いを犯人だと
言い争っている。
そこへ、餌差宗助が駆けつけて
三谷少年の殺害を知らせる(
メリーゴーラウンドへ行って見ると
少年はピストルで心臓を
射貫かれている(
そこへ木下鮎子が来て、
風船の綱が切れて人見折枝が
転落死していると知らせる(
生き残った5人のうち「最も濃厚なる
嫌疑者」湯本譲次が引致される。
💀【転】
木島刑事が「作りものの大鯨」の胃袋に入って考えこんでいると、治良右衛門が
現れ、犯人は譲次以外にいるはずだ
という推理を述べる。
諸口ちま子の死体を発見した大野と折枝は
「背の低い」犯人も目撃しながら
「ある人の迷惑を思って」口外しない
まま、折枝は殺害された。
「背の低い」男で生き残っているのは
餌差宗助だけ……。
今度の犯罪は、譲次のような
普通の悪人の企て及ばない
狂人の夢です。
変な言い方をすれば、
この幻のジロ楽園に
ふさわしい犯罪です。
その夜から十数名の警官隊も
かけつけて、ジロ楽園の大捜索。
治良右衛門の思いつきで「地の底の
水族館」の水槽を見に行くと、
胸を刺されて投げ込まれた
餌差宗助を発見(゚_゚i)。
💀【結】
ジロ楽園開園の最大の目標であった「カーニバル祭」を、治良右衛門らは
警察の中止勧告を押し切って開催。
楽園の内部には「狂人の国の風景」が
ひろがり、治良右衛門は巡査に仮装し、
木島刑事も手ぬぐいでほおかむり
した「どろぼう」姿でこれを
楽しむ(@^(∞)^@)ノ。
それぞれに仮装した10人を並ばせて、
治良右衛門巡査が大砲で皆殺しにし、
1000メートル走を1位でゴールした
紳士は、鋼鉄のテープで体を
真っ二つにされる(
巡査姿の治良右衛門を捕えようとした
木島刑事は「どろぼう」姿のため
警官たちに取り押さえられる。
「ああ、ジロ楽園にはどのような
地獄風景が現れることだろう」
と治良右衛門は「楽園建設の最終目的」
すなわち園全体の大爆破を行う。
放心する警官隊を尻目に治良右衛門と
「女房の鮎子」は軽気球で空へ逃れ、
「果てしれぬ青空の底へ」と消える。
懸賞つきの犯人探しがファルスに
さあ、いかがでした?これで読書感想文を書く?
もちろんそれもアリですよ。
(まあ、学校側はあまり期待
していないでしょうが……)
その場合は、乱歩自身による
「作品解説」が役立つかもしれません。
1931(昭和6)年から刊行された
『江戸川乱歩全集』の付録雑誌
『探偵趣味』に「全集読者への
サーヴィス」として「毎月即興的に
執筆したもの」だといい、
その上、犯人探しの懸賞までつけた
のだが、小説はファースみたいな
ふざけたものになってしまって、
犯人当てにまことに
不適当であった。
これもまた「パノラマ島」の
幻想のくり返しで、いわば
「道化パノラマ島奇談」である。
(桃源社版全集〔1961-63〕「自作自解」)
「ファース」は”farce” (笑劇)で、
坂口安吾がこれぞ「文学のふるさと」と
賛美したあの「ファルス」ですね。
👉安吾についてはこちらを参照。
・NHK大河 軍師官兵衛より面白い坂口安吾の小説 二流の人
ともかくこれは乱歩持ち前の夢を
「ファルス」化する結果になったもので、
それはそれで納得のいく作品なのでは
ないでしょうか。
「地獄」の大好きな乱歩には『鏡地獄』
『地獄の道化師』などの作もあります。
👉この大エンターテイナー乱歩の世界を
めぐっては、かなりの記事を書きためて
います。
あなたのお気に入りをこちらから
見つけてください。
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多くの作家・作品をとりあげて、
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・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/
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