サクラさん
「あまりに悲しく暖かい
愛の奇跡の物語」という
フレコミなので甘~い
恋愛ものかと思って
いたんですが、読んで
みると恋愛はほぼない
ですし、むしろドライ
で男性的というか…

ハンサム 教授
『博士の愛した数式』
ですね。

でも “男性的”かなあ;^^

サクラさん
っていうと語弊がある
かもしれませんが(😹)、
往年のプロ野球選手たち
のカード探しに熱中する
とか、江夏投手の背番号
に特別な意味を発見する
とか、またそれを含めて
数学の美しさにハマって
いたり……



むしろ男性が追いかけ
そうな世界では
ないですか。

ハンサム 教授
そういえばそうかな。

作者の小川洋子さんは
「可愛くて素敵な人」
(文庫本「解説」による)
とされる女性作家で、
本の装丁や宣伝文句も
女性好みというか、
女性をターゲットにした
雰囲気ですね。

映画ではそれがさらに
女性寄りに変形された
ようにも見えますが、
原作の内容は歓迎しない
女性も多いかな?

特に数学嫌いだったり
すると…;^^💦

サクラさん
だから読書感想文も
ホントは男子向きなのに
男子が書かないから、
私が狙ってやろうかと。

つまり”男の視点”で隙を
突いてみようという
戦略なんですが。

ハンサム 教授
それはいい。

“男の視点”とはいっても
君は女性だから”女の
視点”も入る…
両方が補い合って”両性
的”なユニークな感想文に
なりそうですね!

ともかくこの本は”文部
科学省特別選定作品”
にも指定されていますし
ズバリ狙い目です


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というわけで、おなじみ”感想文の書き方”
シリーズ第265回となる今回は第55回
読売文学賞・第1回本屋大賞受賞の
小川洋子さんの名作『博士の愛した数式』
(2003)に挑戦です!
   👇


その映画化作品(2006年。寺尾聡・
深津絵里主演、小泉堯史監督)の
DVDはこちら。
   👇



実は小説をまだ読んでいなくて、
映画も見ていない。

だからストーリーも知らない?

そういう人はこちらの映画予告編を
見ておくだけだけでも、大まかな
ところはわかると思いますよ;^^💦   👇




読書レポート例文(2000字程度)

それではそろそろ取りかかりましょうか。

今回は字数制限2000字(原稿用紙5枚)で
サクラさんが書いたものをハンサム教授の
添削指導で完成させたという設定の、
やや高度な読書感想文をお目にかけます。

中学生にはハードルが高いかもしれず、
高校生にもやや高度な”批評文”または
“読書レポート”に近い文章になって
いますが、決して難解ではありません。

大いに参考になるはずですから、
まずはじっくりと読んでみてください。

 最後の一段落で、私は息を
呑んでしまった。

これほど美しい段落で物語を
閉じていく長編小説は読んだ
ことがない、という強い感動に
襲われたのだ。


 その最終場面に居合わせる人物は、
「80分しか記憶がもたない」という
脳の障害に苦しみ、今は施設で余生を
送る「博士」と、彼を定期的に訪問
している元家政婦の「私」、そして
その息子で10歳のころから博士に
愛された「ルート」(この愛称も
博士の命名)の3人である。

結果的に「最後の訪問」となった
その日、今や22歳になっている
ルートは博士から「2以外のすべての
素数は二種類に分類されると、
知っているかね」と「私」が無数回
受けてきた質問を受け、これに
正しく答えていく。

      

「私」が横から、ルートは教員採用
試験に合格して「来年の春から、
数学の先生です」と誇らしく口を
挟むと、感動した博士はルートを
抱こうとして震え、ルートがその腕を
取ると、「江夏のカードが揺れる」。

「江夏」は博士が大ファンだった
阪神タイガースの左腕エース・
江夏豊であり、「私」とルートの
必死の努力で見つけたそのレアものの
カードを博士はこの施設ではいつも
首にかけているのだ。

それに続くのが、暗闇のなか、
「江夏ただ一人が光に浮かび
上がっている」という最終段落の
場面である。

今まさに、左手を降り
下ろした瞬間だ。

右足はしっかりと土をつかみ、
ひさしの奥の目は、キャッチャー
ミットに吸い込まれてゆくボールを
見つめている。

マウンドに漂う土煙の名残が、
ボールの威力を物語っている。

生涯で最も早い球を投げていた
江夏だ。

縦縞のユニフォームの肩越しに
背番号が見える。

完全数、28。    (11章)


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 「完全数、28」という最後の一句は
もちろんここで突然出てくるわけ
ではない。

それは物語の前半から積み上げられて
きたピースの一つであり、その意味が
ここで美しくはじける、その現場に
居合わせる感動を私は登場人物たちと
共有したのだと思う。


 博士の家政婦になって間もないころ、
数の美しさを説いてやまない博士の
話にとんちんかんな対応をするしかない
「私」だったが、やがてその面白みに
引き込まれていく。

そしてある日、おずおずと博士に
報告した発見がこれ――「28の約数を
足すと、28になるんです」――だった。

それが「完全数だ」と博士は喜び、
「28」の前には「6」しかなく、
後に続くのは「8128」「3350336」
「8589869056」だと苦もなく数字を
並べるので、「私」は驚いたものだ。

     
   
 やがてルートが博士から宿題を
出されるようになり、それを一緒に
考える「私」が何事かを「発見」
すると、「ある不思議な瞬間」が
訪れる。

無残に踏み荒らされた砂漠に、
一陣の風が吹き抜け、目の前に
一本真っさらな道が現われた。

道の先には光がともり、私を
導いていた。

その中へ踏み込み、身体を浸して
みないではいられない気持ちに
させる光だった。

今自分は閃(ひらめ)きという
名の祝福を受けているのだと
わかった。    (3章)

  

 これこそは「私」が自身の才能に
目覚めた瞬間であり、博士と「私」
とが”師弟”として結ばれたことへの
「祝福」だったともいえるだろう。

その実現が博士との偶然的な出会いなしに
ありえなかったことは言うまでもない。

このような”師弟”関係の物語に小説前半の
美しい幸福感があり、この幸福が博士の
記憶障害という特殊な事情によって
崩壊していくという悲劇の予感が後半の
美しさを支えているように思う。

  
 高校中退の家政婦にすぎない「私」が
数学的才能に目覚めるなんてありそうに
ないと思うなら、それは読みが浅いのだ
と思う。

彼女が高校を退学したのは、ルートを
身ごもってしまったからで、そう
なったのは、教養豊かな大学生が
電気工学の知識で「私」を魅了して
しまったからとされている。

そんな分野に魅了されたこと自体が
彼女に数理的センスがあったことの
証明だし、その二人の血を受けた
ルートが博士によって道をつけられた
数学の才能を伸ばしていけたのも、
やはりセンスに恵まれていた証拠
として納得が行く。

    

 このようにして、感覚的でも論理的
でもある意味からなるピースを随所に
埋め込んで進んで来たこの物語は、
最後の一段落でそれらのすべてを
一挙に爆発させるような効果を
挙げていると思う。


 この小説の成功について、数学者の
藤原正彦氏は「数学と文学を結婚
させた」と評している
(新潮文庫「解説」)。

が、「結婚」という比喩はどうだろうか。

「私」も博士も結婚による幸福を
経験していないし、今後それがある
ようなきざしも描かれていない以上、
私はそぐわない気がする。

ここはむしろ「数学と文学の友愛を
教える」とでも評してはどうだろう。

「私」の誕生日から来る「220」と
博士がかつて受賞した学長賞の賞品番号
「284」とが「友愛数」であることの
発見(1章)も物語の重要なピースの
一つだったからである。 (1992字)


どうです?

なかなかよく書けていると
思いませんでした?


これをそのままコピペすることは
もちろん厳禁ですが、ところどころ
つまみ食いして、自分らしい文章に
変えて使ってもらうのはかまい
ませんよ~;^^💦

400字とか800字とかの短い字数で
書く場合は、引用部分などはカットし、
あらすじも省略するなど、適宜、
工夫して自分らしいものを作り上げて
ください。

逆にもっと字数がほしい場合は、
自分が思ったことや思いだした経験や
どんどん入れて膨らましていけば
いいわけです。

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“恋愛”か”師弟愛”か

さて、上記の読書感想文、
読んでどう感じましたか?

いきなりエンディング(最終段落)の
批評から始めるところなど、なかなか
ウマいと思いませんでした?

もちろんマネをする必要はないのですが、
こういう風に終わりの方から書くという
のは、最後までしっかり読んでいる
ことを示す意味もありますので、
考えてみてもいい手法でしょう。


内容的にはどうか?

ネット上の感想記事などを見渡すと、
映画の影響もあるのか、ストーリーを
“恋愛”に接近させて読んでいるものが
多いようです。

これには映画で、博士とその義姉(浅丘
ルリ子)との間に不倫の関係があったという
三文小説的な(つまり、ひどく通俗的な)
設定を入れてしまったことも影響している
のでしょうが、はたしてどうなのか。

「私」と博士との間の、たしかに
「暖かい」感情に、”恋愛”的な要素は
どれほど含まれているのでしょうか。

      

これにはもちろん、いろんな見方が
あっていいわけですが、サクラさんの
感想文がそれを認めていないことは
明らかでしょう。

こういう風に立場をはっきりさせるのも
感想文やレポートを書く上では大切な
ことですが、それはともかく、それでは
二人の「暖かい」感情は一体、何なのか?

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上記の感想文からそれを示す言葉を拾う
なら、「師弟」の感情、つまり”師弟愛”
ということになるのだろうと思います。

「私」にあった数学的才能を見事に
引き出した師匠としての美しさが『博士の
愛した数式』にはあふれていること。

サクラさんが感想文で指摘したかった
“愛”がそちらの方だったことは
間違いないでしょうね。
👉このような、やや特殊な
形での”師弟愛”を扱った本も
結構あり、それぞれに感想文の
素材に好適です。

関心のある人は以下の記事も
ご参照ください。

火花(又吉直樹)で感想文どう書く【2000字(5枚)の例文つき】

ビリギャルで読書感想文!【1200字例文つき】さやか自身の文章を盗め!

            



まとめ

さあ、これだけ情報があれば、もう
大丈夫ですよね、『博士の愛した数式』
で書く読書感想文。


ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、でもやっぱり自信が…

だってもともと感想文の類が苦手で、
いくら頑張って書いても評価された
ためしがないし(😿)…
具体的に何をどう書けばいいのか
全然わからない( ̄ヘ ̄)…?

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う~む。そういう人は発想を転換して
みるといいかもしれない;^^💦

そもそも日本全国で盛んに奨励されている
読書感想文の発祥の源は「コンクール」。

    

各学校の先生方の評価基準もおのずと
「コンクール」での審査に準拠する
形になっているのです。


だから、読書感想文の上手な人は
そのへんのことが(なんとなくでも)
わかっている人。

さて、あなたはどうなのかな?
👉「コンクール」での審査の基準を
知るには、実際に出品され大臣賞などを
受賞している感想文をじっくり読んで
分析してみるのがいちばんです。

こちらでやっていますので、
ぜひご覧ください。

読書感想文の書き方【入賞の秘訣4+1】文科大臣賞作などの分析から

セロ弾きのゴーシュで読書感想文!コンクール優秀賞作(小2)に学ぶ

                 

アルジャーノンに花束を の感想文例!市長賞受賞作【2000字】に学ぶ

    

そちらで解説している「書き方」を
踏まえて、当ブログでは多くの感想文例を
試作し提供してきましたが、このほど
それらの成果を書籍(新書)の形にまとめる
ことができましたので、ぜひこちらも
手に取ってご覧ください。
  👇


買う前にその「予告編」が見たい
という人は、こちらでどうぞで。

読書感想文 書き方の本はこれだ!サイ象流≪虎の巻≫ついに刊行!!!

            


👉上記の本『読書感想文 虎の巻』は
当ブログで提供し続けてきた「あらすじ」
や「感想文」関連のお助け記事の
ほんの一部でして、載せきれていない
記事もまだまだ沢山あります。

気になる作品がありましたら、
こちらのリストから探して
みてください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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