芥川龍之介 蜜柑の主題を分析【あらすじを簡単に&詳しく解説】

芥川龍之介 蜜柑の主題を分析【あらすじを簡単に&詳しく解説】

やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズも
はや第39回にして「あらすじ」
暴露サービスとしては第16弾。

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今回は芥川龍之介の名作短編『蜜柑』
(1919)のあらすじを解説した上で
この作品はいったい何が言いたいのか❔
というメッセージというか主題を
分析してみたいと思います((((((ノ゚🐽゚)ノ

さてまず「あらすじ」ですが、これも、
話の骨子だけでいいという場合から、
読書感想文を書くんだからメッセージが
理解できるように多少詳しく…
という場合まで千差万別でしょう。

そこで「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ~(^^)у


ごく簡単なあらすじ

まずは原作(👇)をぎゅっと要約した
「ごく簡単」ヴァージョンの
あらすじから。
     

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ある曇った冬の日暮れ、「疲労と倦怠」
を抱えた「私」は、汽車の発車直後に
入ってきた13~4歳の下品で不潔な
小娘を不快に思う。

数分後、小娘がなぜか窓をあけようと
しはじめ、あいた時には汽車が
トンネルに入ったので、私は
煤煙を浴びて咳き込む。

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トンネルを抜けると、踏切りの柵の
向こうに3人の男の子が並んで手を
振って声を上げており、その瞬間、
蜜柑が5~6個、子供たちの上へ
降ってくる。

これから奉公先へ行く小娘が弟たちに
与えた蜜柑だ、と理解した私に
「朗(ほがらか)な心もち」が
湧き上がり、この時はじめて
「疲労と倦怠」を忘れる。

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え? なんだか要領を得ない?

話は一応わかったけど、それが
どうしたの?

作者は一体何を伝えたいのか?
要するに主題は何なのか?


感想文でも書こうという人には
これでは、そこがわからないと
どうしようもありませんよね。

というわけで、どうしても「やや詳しい」
ヴァージョンの「あらすじ」を見て
もらわないといけないんです。

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やや詳しいあらすじ

では行ってみましょう。

原作に切れ目はありませんが、
わかりやすさのため、私の判断で
「起承転結」の4部に分けています。


🍊【起】

ある曇った冬の日暮れ、横須賀発の
二等客車で発車を待つ「私」(芥川
自身を思わせる)の心には周囲の情景
によく似合う「疲労と倦怠」があった。

発車直後、13~4歳の小娘が慌ただしく
入って来、私の前の席に腰を下ろす。

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罅だらけの両頬を赤くほてらせて、
「三等の赤切符」を握って二等客室に
入ってきた、いかにも田舎者らしく
「下品な顔立ち」で不潔なこの小娘を
私は腹立たしく思う。

夕刊を読み出すと、汽車はトンネルに
入ったが、この汽車と、平凡な記事
ばかりの夕刊と、この小娘とが
「不可解な、下等な、退屈な人生の
象徴」と思える。

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🍊【承】

数分後、小娘が窓をあけようと
悪戦苦闘するのだが、私にはその
理由がわからず、冷然と眺める。

汽車がまたトンネルに入ると同時に
窓があき、煤煙を浴びて(叫び
咳き込んだ私は腹を立てる。

    


🍊【転】

トンネルを抜けると、踏切りの柵の
向こうに頬の赤い3人の男の子が並んで
立っていて、汽車を仰ぎ見ながら、
手を振って声を上げる。

その瞬間、「暖(あたたか)な日の色に
染まっている蜜柑」が、五、六個、
子供たちの上へ降ってくる。

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私は息をのみ、これから奉公先へ行く
小娘がその蜜柑で弟たちの見送りに
報いたのだと理解する。

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🍊【結】

私の心にはこの瞬間の光景が焼き
つけられ、「ある得体の知れない朗
(ほがらか)な心もち」が湧き上がる。

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小娘を見ると、私の前の席に戻って
いて、あいかわらず三等切符を
握っている。

私はこの時はじめて「疲労と倦怠」、
「不可解な、下等な、退屈な人生」を
忘れることができた。


小説の主題を分析

え? やっぱりよくわからない?

ウーム、そういう人には朗読を
聴いていただきましょうか。


この上手な朗読にもにじみ出ていると思い
ますが、作者が『蜜柑』で伝えたかった
もの、メッセージというか主題は何だった
のかといえば、それはたぶん……

第一に、
「不可解な、下等な、退屈な人生」への
「疲労と倦怠」で一杯だった「私」の心が、
ある光景の出現によって一変する、
その変化の面白さ。

第二には、
その光景自体の美しさ。
(またはそれが映し出す姉弟間の感情)

といったところになるんでは
ないでしょうか。


いや、第三、第四の問題もあると
思いますので、それはどんどん、
あなた自身が見つけていってください。

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まとめ

さあ、もう書けますよね……。

え? まだダメ?

なんだか話が地味すぎて、
どう突っ込んでいいかわからない……

作者の芥川っていう人、こんな
渋い文章ばかり書いてたの?…


いやいや、そんなことありません。

もっと奇想天外で、アッと驚くような
小説もたくさんあるんですよ。

ほかの作品と比べてみるというのも、
感想文を書く上でウマい方法です。

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