芥川龍之介 羅生門のあらすじを短く【&詳しく】伝えたいことは?
やあやあサイ象です。
「感想文の書き方」シリーズも
はや第32回にして「あらすじ」暴露
サービスとしては第9弾。
芥川龍之介の『羅生門』(1915)で参ります!
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さて、一口に「あらすじ」を、といっても、
話の要点だけでいいという場合もあれば、
読書感想文を書くんだから多少詳しくないと
という人もあって、千差万別でしょう。
ですので、ここは出血大サービス!
短くまとめた「ごく簡単なあらすじ」
と「やや詳しいあらすじ」の
2本立てで用意しましたよ~(^^)у
短くまとめたあらすじ(要約)
まずはぎゅっと要約した”短い”あらすじ。解雇された下人が羅生門の下で
途方にくれている。
生きるために盗人になろうかとも
思うが、「勇気」が出ないでいる時、
死人の髪の毛を抜いている老婆を
見つけ、悪への反感・憎悪に駆られる。
立派だったころの羅生門(模型)
問われた老婆は「これは自分が生きる
ための行いで、この死人も生前は
生きるために悪事を働いたのだから
私を許すだろう」と主張する。
すると下人は、それなら「恨むまいな。
おれもこうしなければ、餓死をする」と
老婆の着物をはぎとり、消え去る。
え? なんだか要領を得ない?
というわけで、やはり「やや詳しい」
方のあらすじを見ていただく
ことになるんですね。
やや詳しいあらすじ
では始めましょう。原作に切れ目はありませんが、
わかりやすさのため、私の判断で
「起承転結」の4部に分けています。
【起】
災いが続いてさびれた平安京の羅生門は、狐狸や盗人が棲むほどの
荒廃ぶりで、引き取り手のない死体の
捨て場所とさえなっていた()。
雨降りの暮れ方、人影もない羅生門の
下で、若い下人(身分の低い者)が
雨宿りしていた。
彼は数日前、仕えていた主人に
解雇されて生計の道を絶たれ、
「盗人になるより外(ほか)に仕方がない」
とも考えながら、それを積極的に
肯定するだけの「勇気」が出ないでいる。
【承】
下人は羅生門の上の楼で夜を明かそうと思い梯子を上ると、
誰かが火を動かしている。
楼内をのぞくと、土人形のような
腐乱死体がいくつも転がっており、
そのなかで、火をともした木ぎれを
持った老婆がうずくまって、女の
死骸から髪を引き抜いている()。
髪の毛が一本づつ抜けるにしたがい、
下人の心からは恐怖が消えて、この
老婆へ憎悪、あるいは「あらゆる
悪に対する反感」がつのる。
下人には髪を抜く理由がわからず、
したがって「合理的には、それを善悪の
いづれに片づけてよいか知らなかった」
ものの、この羅生門の上で死人の髪の
毛を抜くということが「それだけで
既に許すべからざる悪」と思える(-_-メ。
ついさっき自分が盗人になる気で
いたことを、きれいに忘れている。
【転】
老婆に襲いかかって組み伏せ、刀をつきつけて「何をしていたか」と問うと、
老婆は「抜いた髪を鬘(かつら)に
しようと思うた」と釈明する。
悪い事かも知れぬが、ここの
死人どもは皆、そのくらいな事を
されてもいい人間だ。
わしが髪を抜いた女も、生前は蛇の
干物を干魚だと偽って売り歩いていた。
が、それはそうせねば飢え死にする
からのことで、わしは悪いとは思わぬ。
だから、わしのした事も大目に
見てくれるであろ。
【結】
老婆の話を聞くうち、下人の心に、さっき門の下では欠けていた
「勇気」が生まれる。
老婆の襟上(えりかみ)をつかんで、
「では、己(おれ)が引きはぎを
しようと恨むまいな。
己もそうしなければ、餓死をする
体なのだ」と言うや、着物を
はぎ取って蹴倒し、梯子をかけおりて、
夜の闇へ消えていく((((((ノ゚⊿゚)ノ。
作者が伝えたかったことは?
え? やっぱりよくわからない?それじゃあもう、全文を読んでもらう
しかありませんね。
え? それはしんどくていやだ?
それでは、とっておきの朗読でも
聴いていただきましょうか。
え? やっぱりわからん?
作者は何がいいたいの?
この作品を通して芥川が
伝えたかったことって何?…
感想文を書こうという人は
それをしっかり考えてみなくては
いけませんよね。
結局、「人のエゴイズムとは
こういうもの…」
といったところでしょうか。
そのへんの問題をもう少し追究するために、
最後に、「下人の心理」にしぼっての解説
というか要点整理をしておきましょう。
下人は「選択」を変えてゆく
たとえば物語の進展とともに、下人の「良い、悪い」についての判断が
二転三転します。
この変化に目をつけて整理してみる
というのが一法ですね。
下人の判断を示す文章を次の3段階に分けて
対応部分の原文を引用してみます。
髪の毛を抜いていると
認識した時
あらゆる悪に対する反感が、
一分毎に強さを増して
来たのである。
この時、誰かがこの下人に、
さっき門の下でこの男が
考えていた、饑死をするか
盗人になるかと云う問題を、
改めて持ち出したら、
おそらく下人は、何の未練もなく、
饑死を選んだ事であろう。
それほど……
2.老婆に刃を突きつけ、
その生死が自分の意志に
支配されていると認識した時
この意識は、今までけわしく
燃えていた憎悪の念を、
何時の間にか冷ましてしまった。
3.老婆の所行は餓死しない
ためにはやむを得ない
行為であり、また老婆が
髪の毛を抜いている女の
生前の所行も同様である
と認識した時
下人の心には、
或勇気が生まれて来た。
それは……さっきこの門の上へ
上って、この老婆を捕えた時の
勇気とは、全然、反対な方向に
動こうとする勇気である。……
「では己が引剥(ひはぎ)
をしようと恨むまいな。
己もそうしなければ、
餓死をする体なのだ」
こうしてみると、もし3でなく1か2の
時点で下人が事を起こしていたならば、
彼の最終的な行動はまったく違うもの
になり、したがって物語全体も全然
異なる結末を迎えたはずですよね。
ですから、3つの時点における
思考内容の違いは重要でしょう。
同じ人間なのに、なぜこうも考えが
違うのでしょうか。
何をきっかけに変わって
いったのでしょうか。
そのへんをめぐって、
自分が下人ならどうだったろうか、
と考えてみたら、きっといい
感想文が書けますよ~(^^)у
まとめ
え? なんなくボヤーっと書けそうなことは浮かんできたけど、
具体的にどう書いていいか、
わからない( ̄ヘ ̄)?
それならズバリ、こちらの記事を
参考にしちゃってください。
・羅生門で感想文を【600~800字の例文つき】登場人物の言い分は?
それから名匠、黒澤明監督の作品で、
世界的傑作と見られている映画『羅生門』
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・羅生門(映画)のあらすじと解説//黒澤明は”藪の中”に何を投じた?
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合わせてみる、というのも
一法ですね。
当ブログには芥川の作品にかんして
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・芥川龍之介 蜜柑のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説
・芥川龍之介 鼻のあらすじ 👃簡単/詳しくの2段階で解説
・トロッコ(芥川龍之介)のあらすじ:簡単/詳しくの2段階で
・蜘蛛の糸(芥川龍之介)のあらすじ◎簡単/詳しくの2段階で
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・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょ~~(^O^)/
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