芥川龍之介 トロッコの伝えたいことは?あらすじを押さえて解説・考察
やあやあサイ象です。
「感想文の書き方」シリーズも
はや第58回、「あらすじ」暴露
サービスとしては第35弾。
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今回は芥川龍之介の『トロッコ』
(1922)のあらすじを解説した上で
この作品はいったい何が言いたいのか❔
というメッセージというか主題を
分析してみたいと思います((((((ノ゚🐽゚)ノ
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さて、一口に「あらすじ」をといっても、
話の骨子だけでいいという場合から、
読書感想文を書く、あるいは授業の
指導案をつくるんだから詳しくないと……
という場合まで、千差万別でしょう。
そこで「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ(^^)у
ごく簡単なあらすじ
まずはぎゅっと要約した「ごく簡単」ヴァージョンの「あらすじ」。
8歳の良平は、軽便鉄道敷設工事で使って
いるトロッコに乗ってみたかったので、
「押してやろうか」と土工に声を掛け、
その後、二人の土工とともにかなり
遠くまでトロッコで移動してしまう。
やがて「われはもう帰んな」と言われて
良平は泣きそうになりながら、
線路伝いに走って帰り、家の門口
(かどぐち)へ駆け込むと、
大声で泣き続ける。
いるトロッコに乗ってみたかったので、
「押してやろうか」と土工に声を掛け、
その後、二人の土工とともにかなり
遠くまでトロッコで移動してしまう。
やがて「われはもう帰んな」と言われて
良平は泣きそうになりながら、
線路伝いに走って帰り、家の門口
(かどぐち)へ駆け込むと、
大声で泣き続ける。
え? なんだか要領を得ない?
ま、それはそうでしょうね。
では、「やや詳しい」ヴァージョンの
方を見てください。
やや詳しいあらすじ
では始めましょう。原作に切れ目はありませんが、
わかりやすさのため、私の判断で
「前置き」+「起・承・転・結」の
5部に分けています。
「 」内は原作からの引用です。
【前置き】
小田原・熱海間の軽便鉄道を敷設する工事が始まった時、良平は8歳で、
工事現場の土工(作業員)たちが、
トロッコで土を運搬する作業を
よく見に行っていた。
土工たちは土と自分たちをトロッコに
のせて線路を下り、平地につくとそこに
土を捨て、今度はトロッコを押して
線路を上っていくのだが、それが面白
そうで、自分も乗りたいと思ったのだ。
2月初旬、良平は6歳の弟と、弟と
同い年の隣家の少年と3人で、
トロッコが置いてある村はずれに行き、
土工の姿が見えないのをいいことに、
3人でトロッコを押し、上れるところ
まで上ると、トロッコに飛び乗って
線路を下った。
「ほとんど有頂天になって」いたが、
「この野郎!」と土工に怒鳴られ、
逃げ出した。
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【起】
10日ほど経って、良平が一人でトロッコを眺めていると、二人の若い
土工がトロッコを押して線路を
上ってくる。
「おじさん。押してやろうか」と
声を掛けると、快諾されたので、
二人の間に入って押し始める。
急に線路が下りになると、「やい、
乗れ」といわれて飛び乗り、良平は
「押すよりも乗る方がずっといい、
行きに押す所が多ければ、帰りにまた
乗る所が多い」などと考える。
【承】
平地に着きトロッコが止まると、また押して先に進んでいく。
やがて海が見えてくると「余り遠く
来過ぎた事が、急にはっきりと感じ
られ」、トロッコの上で風を切っても、
もう「面白い気持ちにはなれなかった」。
芥川の師、夏目漱石ゆかりの熊本「峠の茶屋」
土工たちは、茶店のところでトロッコを
止めると、おかみさんを相手に悠々と
茶を飲むので、良平はいらいらする。
もう一つ坂を越えると、土工たちは
またそこの茶店に入り、良平は
「帰る事ばかり気にしていた」。
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【転】
茶店から出てきた土工たちが、「われはもう帰んな。おれたちは今日は向う
泊(どま)りだから」と言うので、
良平はあ然とし()、これまで
トロッコで移動してきた道のりを、
一人で歩いて戻らなければならない
ことを理解する。
泣きそうになりながら、土工たちに
「取って付けたようなお辞儀をすると、
どんどん線路伝いに走り出した」。
途中、土工にもらった駄菓子も、
履いていた板草履も道ばたに捨て、
着物も汗で濡れたのが気になって、
ついには羽織も脱ぎ捨てる。
暗くなっていくなか、「命さえ
助かれば」と思いながら走る。
【結】
村に着いて、村人が「どうした?」と声を掛けても答えず、家の門口
(かどぐち)へ駆け込むと、
良平は大声に、わっと泣き出す。
号泣の激しさに近所の人まで集まる
ほどで、理由を聞かれても
泣き続るだけだった。
26歳となって東京の雑誌社で校正の
仕事をしている良平は、今でも突然、
理由もなくその時の自分を思い出す。
塵労(世間の苦労)に疲れた彼の
前には、今もあの時のように
「薄暗い薮や坂のある路が、細々と
一すじ断続している」
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作者の伝えたいことは?
え? やっぱりよくわからない?それじゃあもう、全文をじっくりと
読み直すしかありませんね。
え? それはしんどくていやだ?
しょうがないですねえ……
そういう人には朗読を聴いて
いただきましょうか。
さて、作者の伝えたいことというか、
?この小説の主題はどのへんにあると
考えるべきでしょうか。
うーん、まじめに考え出すと
なかなかむずかしいかもしれませんね。
その解釈というか、考え方は最後の1段落
(上記「詳しいあらすじ」では最後の5行)
を重視するかしないかによって、かなり
変わってくるのではないでしょうか。
この段落はなくっても小説は成立する
はずですが、その場合は、主題として
追求されていたのは
・突然放り出された8歳の少年の不安感
といったところになるでしょう。
ところが、最終段落が付け加えられる
ことで、そこに、
・26歳にしてすでに疲れた青年が
前途を思っての不安感
という(それまで読者に与えられて
いなかった)新しいモチーフがとつぜん
入り込んで、作品が一挙に重層化
するわけですね。
ここが一つのミソ(妙味を出すための
仕掛け)ではあるでしょう。
でも、ミソはそれだけではありません。
第一、この仕掛け(最終段落)なしでも
「いい小説」として読めたはずですから。
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まとめ
さあ、もう書けますよね、読書感想文……。主題はもちろん上記のような「不安感」
(8歳でも26歳でも)ばかりではなく、
いろいろに見つけていくことが
できるはずですよ。
ぜひ今一度、全文を読み直して
考えてみてくださいね。
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