赤い靴(アンデルセン童話)原作のあらすじ:怖いのはどこ?

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズもはや第75回、
「あらすじ」暴露サービスとしては
第46弾となります。

今回はぐっと対象年齢をひろげて、
小学生の読書感想文としても、
また大学生や社会人のレポートなどの
素材としても手応えじゅうぶんの
本当は怖い童話。

ハンス・クリスチャン・アンデルセンの
『赤い靴』(1843)で行ってみましょ~。



ただし絵本はどれでも、その文章は
原作から大きく変えられていますので、
本当は怖いこの童話をしっかり味わうには
下記のような原作に忠実な翻訳を
読んでもらう必要があります。



以下の「あらすじ」でも作品からの引用
(「 」内および「”」印のある
グレーの囲み)はこの楠山正雄訳を用います。

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👉 怖くない『赤い靴』

はじめに、念のため断っておきますが、
アンデルセン童話の『赤い靴』は
「赤い靴~ は~いてた~ 女の子~♪」という
歌詞ではじまるあの童謡(野口雨情作詞/本間
長世作曲)とも、それから現代のaikoさんの
曲『赤い靴』とも関係ありません。


さてこの童話ですが、女の子が赤い靴を
はいて踊り狂う、というか、靴が勝手に
踊って止まらなくなってしまう
という
作品のモチーフになっている部分は
みなさんご存じですよね?

絵本などそれぞれのヴァージョンによって
違ってくるのは、その前後――つまり、
なぜそういうことが起こって、
その後、どうなったのか――
というところなんです。

それが、日本の多くの絵本類で流通して
いるのは、だいたい似たり寄ったりの
「怖くない」もの。

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それはもちろん、子どもに過度の恐怖感を
与えないようにという現代日本人の
やさしい配慮によっているわけですね(^_^;

でもそれが原作どおりだと思ってしまうのは
大きな誤解です。


ハイ、能書きはそれくらいにして、
そろそろ参りましょう。

原作に忠実で本当は怖い(((゜д゜;)))
「かなり詳しいあらすじ」の
はじまり、はじまり~



👉 かなり詳しいあらすじ

原作に切れ目はありませんが、
わかりやすさのため、私の判断で
「起承転結」の4部に分けています。

【起】
貧しい家で母親と二人ぐらしの
かわいい女の子、カレンは夏ははだしで
冬は厚い木靴をはいていました。
 
やがて母親が死に、葬式には、
村の靴屋のおかみさんが赤い古切れで
作ってくれた靴をはいて棺桶
(かんおけ)のうしろを歩きました。

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そこを大馬車で通りかかった年よりの
奥さまが、カレンをあわれに思って
引き取ります。

幸運をもたらしたこの赤い靴を奥さまは
焼きすてさせ、かわりに上等の服を
着せたり、読み書きや裁縫を教えたり
してくれました。

人びとはカレンをかわいいといい、
は「ほんとうにお美しくって
いらっしゃいます」といいました。



【承】
あるときこの国を訪問された王女さまが
お召しの美しい赤いモロッコ革の靴に、
カレンは強くひきつけられました。

堅信礼(けんしんれい)をうける年頃に
なったカレンは、新しい靴をこしらえる
ために奥さまと行った町の靴屋で、
王女さまのとそっくりの靴を
見つけます。

奥さまは目が悪くて、   087557

それが赤いとは気づかなかったため、
買ってやり、カレンはそれをはいて
堅信礼に行きましたが、それは礼儀に
合わないことなので注目されました。


堅信のあと、カレンの靴が赤かったと
聞いた奥さまは、これから教会へは、
かならず黒い靴で行くようカレンに
命じました。


ところが、聖餐式(せいさんしき)の
日、カレンは黒い靴と赤い靴を
見比べてから、赤い靴の方をはいて
出かけてしまいます。

教会の戸口のところで、松葉杖(まつば
づえ)をついて赤みがかった長い
白ひげをはやした年よりの兵士

靴のほこりを払うというので、足を
さし出すと、「きれいなダンス靴」だ、
「踊るとき、ぴったりと足について
いますように」と靴底を手で
ぴたぴたたたきました。

教会に入ると、堂内の像までが soldier-31671_1280
いっせいにカレンの赤い靴に
目をつけました。

式のあいだも自分の靴のことばかり
考えてお祈りも忘れていたカレンが
馬車に乗ろうとすると、例の老兵が
「きれいなダンス靴ですわい」と
またいいました。

と、カレンは踊りの足をふみ出さずに
はいられず、足がひとりで、どんどん
踊りつづけていきます。

御者がつかまえ、みんなで靴を
ぬがせると、足はようやく
止まりました。

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そのうち奥さまが重い病気にかかり、
カレンがそばでお世話しなければ
ならなくなったのですが、でもその日、
カレンは町の大舞踏会(ぶとうかい)に
よばれていました。

赤い靴をながめるだけなら悪くない
だろうと、カレンは戸棚から出して
ながめます。

そして今度は、はくだけなら悪くない
と考えて、はいてみたのですが、
すると、もうカレンは舞踏会に
向かって踊りださずには
いられません((((((ノ゚⊿゚)ノ。

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【転】
ところが、カレンが行こうとするのと
反対の方へと靴は踊っていき、
町の外へ出て暗い森のなかへ
ずんずんはいってしまいます。

木立(こだち)の間に光って見えて
きたのは、赤いひげの老兵でした。

「きれいなダンス靴ですわい」
というので、カレンはびっくりして
靴をぬぎすてようとしますが、足に
くっついていて、はなれません。


それからカレンは畑だろうが  041425

原っぱだろうが、雨の日も照る日も
昼も夜も踊って踊って踊りつづけ
なければなりませんでした。


ある夜、がらんとした墓地(ぼち)に
踊りながらはいり、教会の入口のほうへ
進むと、天使がそこに立っています。

白い長い着物を着て、   天使castel-santangelo-485296_640

肩から大きな翼(つばさ)をはやし、
手には光る剣を持つ天使が、いかめしい
顔で、いつまでも踊らなくては
ならぬといいます。


「骸骨(がいこつ)になって
しまうまで踊っておれ(ドクロ)。
お前はこうまんな、
いばったこどもらが住んでいる
家を一けん、一けんと
踊りまわらねばならん。

それはこどもらがお前のいる
ことを知って、きみわるがる
ように、お前はその家の戸を
たたかなくてはならないのだ。」

「かんにんして」とさけぶ間に靴は
どんどん畑の方へ動き出し、カレンには
天使の返事が聞こえませんでした。


ある朝、踊りながら、奥さまの家から
棺がはこび出されるのを見て、カレンは
かわいがってくれた奥さまがなくなった
ことを知り、自分がみんなからすて
られ、神さまからは呪(のろ)いを
うけていると思いましたが、それでも
踊っていなければなりません。   斧 axe-149473_640

いばらや切株にあたって血を流し、
あれ野を横ぎって小さな一軒家へ
踊っていきましたが、その家には
「おのでわるい人間の首を切りおとす
役人」がいることをカレンは知って
いました。

まどガラスをたたいて話しかけ、
首を切られると「罪を悔い改めることが
できなく」なるので困りますが、どうか
「この赤いくつといっしょに、わたしの
足を切ってしまって」と頼みます。


カレンは、すっかり罪をざんげし、
役人は赤い靴をはいたままの両足を
切り落としました。

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靴はちいさな足を入れたまま、森の
奥深くへ踊っていってしまいました。

それから役人は、木の義足(ぎそく)を
こしらえてやって、罪人(ざいにん)が
うたう賛美歌をおしえました。



【結】
自分の受けた苦しみをみんなに見て
もらおうと思い、教会の入口へ行くと、
赤い靴が目の前で踊っています(叫び)。

次の日曜日にも同じことが起こって、
つくづく怖くなり、心の底から悔いを
感じたカレンは神父さんの家へ行って、
女中に使って下さいとたのみました。

給料はいらないので、「ただ、心の
ただしい人びととひとつ屋根の下で」
くらさせてほしいと頼むと、聞き入れ
られ、使ってもらうことになりました。

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カレンはよく働いて、こどもたちにも
好かれましたが、こどもたちが服の
ことや美しくなることなどを言い
あっているときは、ただ首を横に
ふるのでした。


日曜日、教会へ行こうと言われたのを
足のせいで断り、ひとり悲しく、
賛美歌の本を読んでいますと、
オルガンの音(ね)が
聞こえてきます。    112889

「ああ、神さま、わたくしをお救い
ください」とお祈りすると、お日さまが
かがやき、あの晩とおなじ天使が、
目の前に立ちました。

ばらの花のいっぱいに咲いた枝で
天井や壁にさわりますと、天井は高く
のぼって金の星がかがやき、壁は
大きく横にひろがって、教会ごと
へやのなかへと動いて来ました。

カレンは、神父さん一家といっしょの
席についており、賛美歌がおわって
顔をあげたとき、一家はカレンを
よろこびむかえます。

「これも神さまのお恵みでございます」
とカレンがいうと、オルガンが鳴り
わたり、こどもたちの合唱の声が
ひびきました。

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お日さまの光が窓からあたたかく
流れこむと、カレンのこころはの光と
よろこびであふれ、はりさけて
しまいました。

カレンのたましいは、お日さまの光に
のって、神さまのところへとんで
いったのです。

もうあの赤い靴のことをたずねるものは
ありませんでした。



👉 感想文、どう書く?

さあ、いかがでした?

コワい、コワい、コワいでしたね~
(淀川長治ふうに……といっても
ワカンナイかな、若い人には)


そしてその「怖さ」が道徳・宗教に直結
していて、主人公がコワい目にあうのは、
要するにキリスト教的な道徳と慣習に
違反したからだ……という強烈に教訓的な
ストーリー・メイキングも、これで
よく見えてきましたよね。

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ですので、感想文などを書く場合は
この道徳的な部分をしっかりと押さえた上で、
賛同するなり批判するなり、していくのが、
まずは王道かな、と思います。

このキリスト教的な説教臭こそアンデルセンの
真骨頂ともいえる次第で、この傾向は
『人魚姫』でも顕著ですし、アンデルセン童話
の先行者、グリムの場合も背徳者への懲罰は
苛酷でした。

アンデルセンのほかの童話や
やグリムやペローの童話については、
こちらもご覧ください。
童話 人魚姫(アンデルセン)のあらすじ:本当は怖い恋物語
雪の女王(アンデルセン)のあらすじ:アナ雪”原作の怖い童話
シンデレラのガラスの靴:小ささの意味は?原作は中国起源?
白雪姫は怖い?こんなに違う原作(グリム童話)とディズニー映画
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ラプンツェルのあらすじ💛グリム原作初版は何がヤバかったの?
眠れる森の美女 原作のあらすじ王子の母は人食い女だった?

   Sleeping

アンデルセンの作品はまだまだ
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💛アンデルセンの本・絵本:ラインナップ💛

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また、カレンを「美しい」といってくれる
とか、謎めいた赤いひげの老兵とかに
目をつけて、それらの物語上の役割
を考えてみるのも面白そうです。

あるいはより科学的に行きたい人なら、
踊り狂うカレンの様態のモデルになっている
らしい、むかし「舞踏病」と呼ばれた
ハンチントン病について調べてレポート……
というのも一つの手ですね。

はたまたこの童話をモチーフにした
現代ドラマ、イギリス映画の傑作『赤い靴』
(1948年アカデミー賞)を鑑賞して
比較してみましょうか。

マーティン・スコセッシ監修版の
予告編をどうぞ。



ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

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どうぞこちらからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

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