ゲーテ ファウストのあらすじ:名言「時よ止まれ」の意味は?

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズもはや第77回、
「あらすじ」暴露サービスとしては
第48弾となります。

今回はかのヨハン・ヴォルフガング・
フォン・ゲーテ(1749-1832)の名作、
日本ではあの森鴎外が本邦初の翻訳を試みた
『ファウスト』(第一部1806、第二部
1831)に挑戦です。

       




さて、一口に「あらすじ」を、といっても、
話の骨子だけでいいという場合から、
読書感想文を書くんだから、ある程度
詳しくないと……という場合まで、
千差万別でしょう。

そこで出血大サービス((((((ノ゚⊿゚)ノ

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「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ~(^^)у

👉 ファウスト博士の伝説

まずは「ごく簡単」ヴァージョンの
あらすじ……

といっても、やはりこの歴史的名作の場合は
作品の背景について多少の前置きがないと、
意味が分かりにくいでしょうから、
まずは、前説。


15~16世紀頃のドイツに実在したと言われる
ドクトル・ファウストゥスの伝説を
下敷きに、ゲーテがほぼその一生をかけて
完成した大作の劇詩(だからすべて韻文)
がこの『ファウスト』。

        ゲーテ ゲーテ Goethe_(Stieler_1828)

錬金術や占星術を使う黒魔術師で、
悪魔と契約して最後には魂を奪われ体を
四散されたというこの博士の伝説は
早くから劇化されていました。

イギリスではシェイクスピアの先駆者と
いわれるマーロウも戯曲を書いていますが、
ゲーテも子供の頃、旅回り一座の人形劇で
「ファウスト博士」を観て強く印象づけ
られたといいます。


では、参りましょう。ぎゅっと要約した
「ごく簡単」ヴァージョンのあらすじです。


👉 ごく簡単なあらすじ(要約)

「結局何もわからない」と人生に悲観
して、自殺しようしていたファウスト
の前に誘惑の悪魔メフィストフェレス
が現れて契約を結ぶ。

「魔法でファウストを若返らせる
かわりに、もし彼が『時よ止まれ、
おまえは美しい!』と言ったら、
そのときは死んで魂を与える」と。

魔法で20代の青年に若返った
ファウストは、グレートヘンに恋し、
彼女も彼を熱愛するが、逢い引きの
ために母に飲ませた睡眠薬の分量を
誤って、母を死なせてしまう。

狂ったグレートヘンは、生まれた
赤子を殺して死刑囚として牢獄に
つながれ、メフィストフェレスの
魔法の力を借りたファウストの
救出を拒否して死ぬ。

Jesus Christ and Satan the Devil
    ファウストとメフィストフェレス

魔力を身につけ「大きな世界」での
遍歴に入ったファウストは
神聖ローマ皇帝の命で闇の世界に下り、
ギリシャ神話の世界へと旅立つ。

絶世の美女ヘレネーをよみがえらせ
結婚し、一男をもうけるが、血気に
はやるその息子は死んでしまう。

魔法の力で皇帝を助けて戦争に勝ち、
報酬として得た領地で干拓事業に
乗り出したが、老夫婦を立ち
退かせるのに失敗して殺してしまい、
その報いで失明させられる。

メフィストフェレスらが彼の墓を掘る
音を建築工事のつるはしの音に
聞き違えたファウストは、人々の役に
立つことをしていることの幸福感から、
「時よ止まれ、おまえは美しい」と
言ってしまう。

メフィストフェレスとの賭けに破れた
ファウストは死ぬが、その魂は
グレートヘンの天上での祈りによって
救われる。



え? なんだかよくわからん?

そうかもしれませんね。

それでは、ロシアの巨匠
アレクサンドル・ソクーロフ監督の
映画『ファウスト』(2012)のサワリ
(予告編)で雰囲気をつかんでもらい
ましょうか。



この映画はぐっと現実的で、
メフィストフェレスも「高利貸し」に
変えられていますね。


ともかくこれらだけでは、文豪ゲーテの
創作意図も主題もなかなか見えにくい
でしょうから、読書感想文やレポートを
書くにはどうしてもデータ不足に
なるでしょう。

なので、本気で書くには、本文を
読まなければならないのは当然ですが、
でも、それ、なかなかホネですよ。

なにしろすべて韻文   004545
(詩のように韻律を踏む)ですから、
どんな名訳でも日本人にはついて
いきにくく、物語の流れに
入りこむだけで一苦労。

はっきり言って、楽しい読書の時間……
というふうにはなりにくいでしょう。


そういうわけで、通読は遠慮したい
という向きには以下の「やや詳しい
あらすじ」でなんとかしてもらう
しかありません。



👉 やや詳しいあらすじ


【天上の序曲】
天使たちの合唱とともに壮麗に
幕開けられた舞台に、誘惑の悪魔
メフィストフェレスが現れ、
主(神)に対してひとつの賭けを
持ちかける。

人間どもは、あなたから与えられた
理性をろくな事に使っていないと
嘲るが、神はそれに対して「常に
向上の努力を成す者」の代表として
ファウスト博士を挙げる。  

今は混乱した状態で  修道士 nun-29854_640
生きているが、いずれは正しい道へと
導いてやるつもりだ、と。

メフィストフェレスは、それならと、
ファウストの魂を悪の道へと引きずり
込めるかどうかの賭けを持ちかけ、
神は「人間は努力するかぎり迷うもの」
とその賭けを容認する。



【悲劇 第一部】
老学者ファウスト博士は、あらゆる
学問を極めつくしたが、結局「結局
何もわからない」と人生に悲観し、
自殺しようとする。

自殺を企てるが、復活祭の鐘の音を
聞き、感動して思いとどまる。

メフィストフェレスが彼に近づき、
奴隷として彼に仕え、「大きな世界」の
すべてのことを体験させようと言う。

ファウストとメフィストフェレスは
賭けをする。

すなわち、ファウストが「瞬間」に
向かって「止まれ、おまえは美しい!」
と言ったら、その時ファウストは死に、
メフィストフェレスに魂をやる
という契約である。


メフィストの魔術で20代の青年に
若返ったファウストはマルガレーテ
(愛称グレートヘン)に一目惚れする。

彼女は身も心もファウストに捧げるが、
逢い引きするために母に飲ませた
睡眠薬の分量を誤り母を死なせて
しまう。

彼女の堕落を怒った兄は   The-Story-of-a-Murderer-s
ファウストに決闘を挑み、
逆に殺される。

ファウストの子を産んだ
グレートヒェンは気が狂ってその子を
殺し、その罪で死刑囚として牢獄に
つながれる。


当のファウストは、そんなこととは
つゆ知らず、魔女の祭典
「ワルプルギスの夜」に参加して
帰ってくると、逮捕された彼女との
悲しい別れが待つ。

メフィストフェレスに誘われるまま
ワルプルギスの夜に酔いしれるが、
そこで彼は、苦しむグレートヘンの
幻を見る。

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メフィストフェレスの魔法の力を借りて
牢獄から助け出そうとするものの、
彼女は悪魔と手を結んだ彼の助けを
拒んで牢獄にとどまることを選び、
そのまま死ぬ。

「女は裁かれた」という
メフィストフェレスの叫びに対して、
「救われた」という声が天上から
ひびき、ファウストはメフィストに
よってどこかへ連れ去られる。

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【悲劇 第二部】
アルプス山中で眠り続け、生気を養った
ファウストは、魔力を手に入れ、今度は
行為の人として「大きな世界」での
遍歴に入る。


神聖ローマ皇帝の城では財政破綻を
めぐって緊急会議が開かれていたが、
メフィストフェレスが新しい金融
システムを吹き込むことで解決する。

ファウストは神聖ローマ皇帝の命で
闇の世界に下り、その後、絶世の美
女ヘレネーを求め、ギリシャ神話の
世界へと、”人造人間”ホムンクルスや
メフィストフェレスとともに旅立つ。

“人造人間”が出てくるのも
おもしろいですね。

同じころイギリスではメアリ・
シェリーの”人造人間”小説
『フランケンシュタイン』
(1817,改訂版1831)が話題を
呼んでいました。

こちらをご参照ください。

フランケンシュタインのあらすじ 👻原作小説をネタバレありで

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ファウストはヘレネーをよみがえらせて
結婚し一男をもうけるが、血気にはやる
その息子は死ぬ……という形で
美は消滅してしまう。

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魔法の力で皇帝を助けて戦争に勝ち、
報酬として海岸沿いの領地をもらった
ファウストは、この土地の
干拓事業に乗り出す。

事業はほぼ成功したかに見えるが、
老夫婦を立ち退かせるのに失敗して、
殺してしまう。

その報いでファウストは、灰色の女、
「憂い」の霊に吹きかけられた
息により視力を失う。


メフィストフェレスと手下の悪魔が
彼の墓を掘る音がファウストには
建築工事のつるはしの音に聞こえ、
人々の役に立つことをしたことの
喜びに浸る。

未来の最高の幸福を予感した
ファウストは、そのときの至高の
瞬間について「この瞬間が止まって
ほしい」とも言えるものだと想い、
「時よ止まれ、おまえは美しい」と
口にする。

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こうしてメフィストフェレスとの
賭けに破れ、ファウストは死ぬが、
その魂は、俺のものだとする
メフィストフェレスの意に反して、
天上にあるグレートヘンの霊の祈りに
よって救われ、天高く上ってゆく。



👉 まとめ

さあ、どうでしょう。

だいたいの流れはつかめましたよね。


1964東京オリンピックのキャッチコピー
などにも使われたあの名言、
「時よ止まれ」も、どのような状況で
いわれたのか、わかりましたね。

つまり「瞬間」に対していわれたので、
厳密には「瞬間よ、止まれ」のはずなん
ですが、とにかく『ファウスト』の
ドラマの文脈では「それを言っちゃあ、
おしめえよ」ということだったんですね。

でもこれをひっくり返せば、それを
言いたくなるような経験ができれば、
もう人生に思い残すことなし、
終わって結構!……という話にも
なるんじゃないでしょうか。

そのへんを我が身に照らして 太陽 symbol-337163_1280
じっくりと考えてみれば、
感想文の一つや二つ、書けないことは
ないでしょう。

ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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2 Responses to “ゲーテ ファウストのあらすじ:名言「時よ止まれ」の意味は?”

  1. はじめまして。
    「ファウスト」って、こういう話だったんですね。
    肩の凝らない文章で楽しく読めて、大変わかりやすかったです。

    実は私のHPでリスト「ファウスト交響曲」を取り上げるにあたって、
    貴サイトへのリンクを貼らせていただいたのですが、
    よろしいでしょうか?

    http://www.h2.dion.ne.jp/~kisohiro/faust.htm

  2. サイ象 より:

    木曽のあばら屋さん

    楽しんでいただけて幸いです。

    リンク貼りももちろん大歓迎。

    どうやら世代も近いようで、そろそろファウスト博士の
    末路がひとごとでないような…そんな感慨は
    お持ちではないですか?

    え?とんでもない?

    それは失礼。お聞き流しください^^ゞ。

    今後ともどうぞご贔屓に。

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