黒い雨(井伏鱒二)のあらすじ 簡単/詳しくの2段階で解説 | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

黒い雨(井伏鱒二)のあらすじ 簡単/詳しくの2段階で

やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズ第56回の
今回は「あらすじ」暴露サービスの
第33弾。

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採り上げるのは、井伏鱒二の歴史的名作
『黒い雨』(1965-66)です。


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さて、一口に「あらすじ」を知りたい
といっても、話の骨子だけでいいという
場合から、読書感想文を書くんだから
多少詳しくないと…という場合まで、
千差万別でしょう。

そこで出血大サービス((((((ノ゚⊿゚)ノ

「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の2ヴァージョンを
用意しましたよ~(^^)у


ごく簡単なあらすじ(要約)

まずは、ぎゅっと要約した
「ごく簡単なあらすじ」。

広島への原爆投下で被爆した小畠村の
閉間重松(しずま・しげまつ)・
シゲ子夫妻は、同居する姪の矢須子
(やすこ)の縁談を進めるため、
彼女が被爆していないことを証明すべく
矢須子の、ついで重松自身の当時の
日記の清書を始める。

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日記の記述から焦土広島の惨状が
浮かび上がるとともに、
矢須子の被爆という事実が、
皮肉にも証明されていく。

矢須子が秘密にしていた原爆病が
ついに発覚し、やがてほとんど
絶望的な様相を呈するが、重松は
なおも「奇蹟」に望みをかける。

え? これではなんのことかわからん?

まあ、それはそうでしょう。
読書感想文など書こうという人には
これで足りるわけはありませんよね。


というわけで、より詳しいあらすじが
どうしても必要になります。

ネタバレにはなりますが、この作品の
場合、それは大きな問題にはならない
でしょう。

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やや詳しいあらすじ

それではさっそく参りましょう。

原作は「一」~「二十」の20章構成ですが、
これを私の勝手な判断で「起承転結」に
4分しています。


☔【起】(一)

広島市への原子爆弾投下より数年後の
広島県東部、三方を山に囲まれた
高原にある神石郡小畠村。

そこに住む閉間重松・シゲ子夫妻と、
その姪で、養女のように同居する、
結婚適齢期の矢須子の一家を
中心に物語は進む。

     

昭和20年8月6日朝の原爆投下の瞬間、
重松は広島市内横川駅で被爆して
顔などにかなりの傷を受け、早々に
医師から「原爆病」と診断されていた。

が、シゲ子は市内千田町の自宅にいて
むしろ無事だったし、矢須子は社用で
爆心から遠い場所にいたため直接の
被爆はなく「異常なし」と診断されていた。

ところが、矢須子に縁談が持ち上がるたびに
「市内で勤労奉仕中に被爆した」という、
あらぬ噂が流れて破談になるという
経緯が繰り返されてきていた。

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終戦から4年10か月目に来た縁談は
「勿体ない」ほどの話で、重松は今度こそ
話が流れないようにと、「被爆者定期
健康診断」の診断証明書を仲人に送る。

ところが、それがむしろ「気が利いてい
て間が抜ける」結果をもたらし、仲人は
「原爆投下の日から小畠村に帰るまでの
矢須子の足取り」を知りたいと言ってくる。


矢須子はシゲ子と二人、しくしく
泣きながら、昭和20年当時つけていた
日記を重松に渡す。

👉以下、重松が書き写す矢須子の日記の
八月五日~九日の記述が置かれます。



☔【承】(二~四)

日記の清書を途中から頼まれたシゲ子は、
「黒い雨に打たれたこと」を記述した
箇所で筆を止め、「省略したほうが
宜しい」のではと重松に相談する。

「あの頃なら、黒い雨のことを人に
話しても、毒素があることは誰も
知らんので、誤解されなんだでしょう。
でも、今じゃ毒素があったこと、
誰でも知っています」

  
   (出典:広島平和資料館)


日記のその箇所を読んだ重松は、
近時の矢須子に「色っぽさが増して
来た」のも縁談に大いに乗り気
だからだ、とますます重責を感じる。


やがて、被爆当時、自分がつけていて、
小学校の図書館に寄付することに
していた「被爆日記」を「矢須子の
日記の付録篇」として仲人に提出しよう
と考え、これの清書も並行してやり始める。
👉以下、被爆から玉音放送の15日までを綴る
この「被爆日記」と、終戦4年10か月を経た
現在の閉間家周辺を描写する記述とが
交互に置かれる形で小説は進行します。


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☔【転】(五~十五)

「被爆日記」の清書を進める過程で、
皮肉にも矢須子の間接的被爆が
明らかになっていき、ちょうどそれを
裏付けるように、現在の矢須子も徐々に
「原爆病」の症状を見せ始める。


「被爆日記」によれば、重松夫婦は
空襲の際の避難場所として打ち合わせて
いた広島文理大学のグラウンドで落ち合い、
消息を伝える貼り紙をするために家に戻った。

このとき矢須子と合流したのだが、
矢須子はそれ以前、船で広島市に
向かう途中に瀬戸内海上で黒い雨を
浴びていた。

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しかも再会した重松らと燃え上がる
広島市内を逃げ回ったため、その
過程で残留放射能も浴びていたのだ。


「被爆日記」は、8月6日以降の
焦土の広島に累々と横たわる死体と、
まだ生ある瀕死の人々を坦々と
客観的に描写していく。

【その一例】

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穴ぼこに死体が多すぎて焔が
下火になると、穴のほとりへ
どしりと死人を転がして行く。

その弾みに、死体の口から
蛆のかたまりが腐乱汁と共に、
どろりと流れ出るものがある。

穴のそばへ近づけすぎた
死体からは、焚火の熱気に
堪えきれぬ蛆が全身から
うようよ這い出して来る。


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「この屍(むくろ)、どうにも
手に負えなんだのう」
トタン板をかいて来た先棒の
兵がそう云うと、
「わしらは、国家のない国に
生まれたかったのう」
と相棒が云った。

👉このあたりの記述を朗読で
お聞きいただくことも
できます。


6日の朝、出勤途中の横川駅で
被爆した重松は、なんとか出社すると、
多くの同僚の死体に迎えられる。

火葬場も満員、死亡診断書などの
手続きもできず、自分らで焼くしか
ないだろうということになる。

「死者は丁重に葬らなければならない。
君は坊さんの代わりになってお経を
読みたまえ」と工場長に言われ、
重松は近くのお寺に行って僧に
お経を習いもする。

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どう書く?感想文

さあ、いかがでした?

感想文やレポートを書くのに使えそうな、
いくつかのポイントが見えてきたんじゃ
ないでしょうか。

え? まだダメ?

👉それでしたら、こちらの記事で
書き方を探ってみてください。

黒い雨で読書感想文【1000字の例文つき】印象に残る場面から

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👉また戦争文学・戦争映画にも様々あり、
多様な世界が広がっています。

そのいくつかについては下記で詳しく
情報提供していますので、ぜひご参照
ください。

愛を読む人(泣ける映画と原作) ハンナはなぜ怒った?他5つの”なぜ”

    


シンドラーのリスト 赤い服の女の子の意味は?詳しいあらすじ(原作照合)

  


火垂るの墓(野坂昭如)のあらすじ:作者の気持ちを考える?

夏の花(原民喜)のあらすじと解説❁感想文で抜け出すには?

芋虫(江戸川乱歩)のあらすじ:伏字だらけの問題作!内容は?



ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、具体的にどう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。
👉当ブログでは日本と世界の種々の
文学作品について、「あらすじ」や
「感想文」関連のお助け記事を
量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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