島崎藤村 破戒のあらすじと意味//差別問題を追究した最初の日本文学 | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

島崎藤村 破戒のあらすじと意味//差別問題を追究した最初の日本文学

やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズも
このほどついに100回を突破し、
今回で第107回((((((ノ゚🐽゚)ノ

「あらすじ」暴露サービスとしては
第66弾となります。

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今回はいよいよ島崎藤村の歴史的名作
『破戒』(1906)に挑戦です。
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さて、一口に「あらすじ」を知りたい
といっても、話の骨子だけでいいという
場合から、読書感想文を書くんだから
分析・解説つきの詳しいものがほしい、
という場合まで、千差万別でしょう。


そこで出血大サービス((((((ノ゚🐽゚)ノ

「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ~~(^^)у

ごく簡単なあらすじ(要約)

まずはぎゅっと要約した
「ごく簡単なあらすじ」。

小学校教員、瀬川丑松は「新平民」
(被差別部落出身者)だが、その
素性を「隠せ」という父の戒
(いましめ)を守って生きている。

が、愛読する思想家、猪子蓮太郎は
部落出身の出自をなんら恥じないと
自ら公表している。

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父の死と葬式で帰省する前後、
蓮太郎との交流が深まるとともに、
新進政治家、高柳利三郎の結婚に
絡んで出自を知られることになり、
丑松は新平民だとの噂が広まる。

蓮太郎が暴漢に襲われて死ぬのを
機に、丑松は出自を告白する気に
なり、生徒たちに謝罪して学校を
退職し、アメリカへと旅立つ。

どうでしょう?

え? なんだかよくわからん?

それでは市川崑監督、市川雷蔵主演の
映画『破戒』(1962)の予告編を
ご覧いただきましょうか。



え? やっぱりよくわからん?

まあ、そうでしょうね。

それに、仮にも感想文を書くとなれば、
こういうストーリーに含まれている
深い意味を理解していかなければ
お話にならないわけですよね。

とういうわけで、やっぱり「やや詳しい」
ヴァージョンの「あらすじ」を読んで
いただくほかない、ということになります。

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やや詳しいあらすじ

では参りましょう。

この作品、全23章からなる長編ですが、
ストーリーは、主人公の居場所などによって
「起承転結」を踏んで進んでいく
しっかりした構成。

そこで以下の「やや詳しいあらすじ」でも
各章を「起・承・転・結」の4部に
割り振って記述していきます。

「 」内と「”」印の囲みは原文の引用で、
名言として知られるものを含んでいます。

また👉印は含まれる意味をよりよく
理解してただくための注釈ですが、
必要ないと思われたら飛ばしてください。

【起】(第一章~第五章)

「蓮華寺では下宿を兼ねた。」
(冒頭の一文として有名)

師範学校を出て3年目、信州飯山の小学校
教員、25歳の瀬川丑松がこの蓮華寺に
引っ越してくる。

前の下宿を出たのは、大日向という「大尽」
(金持ち)が「新平民」だという噂によって
そこを放逐されたからで、同じ身分の丑松が
「明日はわが身」となることを恐れたから。

  

人里離れた牧場で牧夫をしている父は、
丑松が親元を離れるとき、こう教えた。

世に出て身を立てる秘訣──〔中略〕
それは身の素性を隠すよりほかに
ない、たとえいかなる目を見ようと、
いかなる人にめぐりあおうと決して
それとは自白(うちあ)けるな、
いったんの憤怒悲哀(いかりかなしみ)
にこの戒(いましめ)を忘れたら、
その時こそ社会(よのなか)から
捨てられたものと思え。

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が、愛読する思想家で同じく部落出身の
猪子蓮太郎の新刊書『懺悔録』は冒頭から
自らの出自を明かすもので、丑松はこれを
読んで「せつない苦痛(くるしみ)を
感ずる」。

   


同僚の士族出身の老教師、風間敬之進は
酒びたりの生活がたたって、恩給が
貰えるようになる半年前の退職を余儀
なくされていたが、蓮華寺の養女に
なっているお志保は実は風間の
長女だと知る。

志保とその弟、省吾は死んだ先妻の子で、
現在の妻は何人もの子をなした強い女。

敬之進は彼女を恐れて外で呑んでいる。
👉風間一家の構成は、
ドストエフスキー『罪と罰』の
マルメラードフ一家に酷似しています。

この点ばかりでなく、ストーリーの
構成方法で『罪と罰』に学んだ形跡は
刊行当時から指摘されたところ。

『罪と罰』についてはこちらを
ご参照ください。

ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ:簡単版と【詳細版 前編】

ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ【詳細版 後編】と感想文

           


また同じように”日本版マルメラー
ドフ一家”を登場させた小説に
江戸川乱歩の『影男』もあります。
これについてはこちらで。

影男(江戸川乱歩)のあらすじ:ネタバレ御免で結末まで

         


丑松は生徒に人気のある教師で、
校長からは「学校を取ろうという
野心」を疑われるほどだが、新平民の
子である仙太が差別とイジメを受けても
堂々と味方できない自分を苦しく思う。

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【承】(第六章~第十一章)

父の死の知らせを受け、学校を休んで
郷里へ向かう丑松。

停車場で猪子蓮太郎夫妻と次の
選挙に出る市村弁護士の一行に遭遇し、
車内で話しながら行き、再会を
約して別れる。

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叔父らに会い、葬式をすますと、
蓮太郎が一人で訪ねて来る。

旅館で食事を取りながら、丑松は
どれほど蓮太郎の著作を読んで
いるかを話し、二人は風呂で背中を
流し合う。


学校の天長節で演説した新進政治家で、
停車場でも姿を見かけた高柳利三郎の
話になったが、蓮太郎によれば、彼は
被差別部落の金持ちの娘と結婚して
選挙資金を作ろうとしている。

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それはいいが、階級を越えた結婚という
事実を隠し通そうとしているのが
「新平民を侮辱した話」だと怒る。

師範学校時代からの親友で同僚の
土屋銀之助からの手紙には、農科大学の
助手への採用が決まったとあり、
丑松にもある「功名を慕う情熱」が
刺激される。

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【転】(第十二章~第十七章)

飯山の蓮華寺に戻った丑松を高柳利三郎が
訪ね、「一生のお願い」として依頼する。

「家内のことを世間の人にお話しくださら
ないように」……そのかわり、私もあなたの
ことを言わないから、と。

が、丑松はそれは「あなたの誤解」だと
しらばくれ通す。


郡視学の甥で校長の愛顧を受ける若い
教師、勝野文平が、校長に、ある
代議士候補から聞いた話として、
丑松が新平民であるという噂を話す。


「酷烈(はげ)しい、犯し難い社会
(よのなか)の威力(ちから)」が
次第に丑松の身に迫る。

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勝野文平から猪子蓮太郎の本を貸して
ほしいと言われた丑松は、一冊もない、
とまたシラを切る。

数日後、蓮太郎の本をすべて古本屋に
売り払い、泣きたい思いで「先生、
先生――許してください」と繰り返す。

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【結】(第十八章~第二十三章)

丑松が新平民だという噂が飯山の町に
広がり、学校でも蓮太郎について
文平から議論をふっかけられた丑松は
つい本音を吐いて、逆に疑惑を強める
結果となる。

「あゝ放逐――なんという一生の恥辱
(はずかしめ)であろう」と丑松は
沈み込む。

   

まだ若い自分には「願いもある。
野心もある。あゝ、捨てられ
たくない」と。   

なぜ、自分は学問して、正しいこと
自由なことを慕うような、そんな
思想(かんがえ)を持ったのだろう。

同じ人間だということを知らなかった
なら、甘んじて世の軽蔑を受けても
いられたろうものを。


蓮太郎にだけ「自分のことを話」し、
それを「最後の別離(おわかれ)」に
しようと思いついた丑松は、
折しも開催中の演説会会場へ向かう。


市村弁護士を称揚する演説で高柳利三郎の
「卑しい動機から出た結婚の真相」を
暴露した蓮太郎は、その直後、暴漢に
襲われて死ぬ。

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丑松は死んだ先輩に手を
引かれて、新しい世界の方へ
連れて行かれるようなここち
がした。告白──
〔中略〕
急に丑松は新しい勇気をつかんだ。

どうせもう今までの自分は
死んだものだ。

恋も捨てた、名も捨てた。

──新平民──先輩がそれだ──
自分もまたそれでたくさんだ。


翌朝、出校すると校長に辞表を出し、
教室で高等4年(数え年15~6歳)の
生徒たちに頭を下げる。

「今まで隠していたのは全く済まな
かった」が、私は「不浄な人間です」
と板敷きの上へひざまずく。

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やがて、例の宿を放逐された人物、
大日向がアメリカ、テキサスで農業を
始めようとしており、いっしょに行く
青年を求めているが……
という市村弁護士の話を聞き、
丑松は乗り気になる。

話が決まり、「今は鳥のように自由だ」
と思いながら、銀之助や志保に
別れを告げ、「熱い涙」を落とす。

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どう書く? 感想文

さあ、どうでしょう。

書けそうですか? 読書感想文。

現代にもくすぶり続ける「差別」の
問題に正面から立ち向かった作品ですから、
真面目に取り組めば大いにやりがいのある
仕事・勉強になりますし、優良感想文の
書ける可能性も高いんじゃないでしょうか。
👉え? 何をどう書いていいか
さっぱり見当もつかない?

それでしたら、こちらの記事で
『破戒』の感想文を書く場合の
考え方を検討していますので、
まず覗いてみてください。

島崎藤村 破戒で読書感想文 📚【400字の例文つき】でラストを考察



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ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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