袴にブーツはおかしい?卒業式でもありえない?…でもこれ明治ファッション
着るものが決められ
ません(😿)
ありすぎて逆に困り
ますよね;^^💦
オススメですか?
やはり海老茶袴に
ブーツかな。
の卒業生はよく見かけ
ますけど、あれって
和洋折衷でおかしく
ないですか?
おかしいんですが、
明治・大正の女学生は
たいていこれでした。
だからそれが現代に
出てくると微妙な
リバイバル・ファッ
ションとして決まる
んです。
聞きました。
私もその線で狙って
みます!(😻)
👢 オヤジの目から見ると…
これまで大学の卒業式にはずいぶん出席してきて卒業生の服装もだいぶ見てきた
のですが、とても素敵に装われてる方と、
そうは申し上げにくい方とが(T_T…
まあ当然といえば、当然ですが)
いらっしゃいますね。
でもまあ、”素敵”に見えたかどうかは
すでにくたびれたオヤジの主観的判断に
すぎませんので、完全に時代遅れな感覚で
話にならないかもしれませんけど、一応の
参考にしてもらえれば、と思います。
女性で多いのはやはり和装で、
大半の方は袴を付けられますね。
もちろんほとんどはレンタルと思われ、
大学生協なんかでも扱ってますので、
わざわざ買うことはありません。
(もちろん買ってもよいのですが)
で、どうも”素敵”に見えないケースの
第一は、着物と袴とがマッチしてない
という場合ですね。
非常に華美な花柄の振り袖に
濃紺の袴とか……。
その着物なら袴はない方がいいのにな、
と思えてしまいます。
👢 「はいからさん」って誰?
で、こうした問題をめぐる女子大生たちの会話やネット上の相談コーナーなどに
出てくるのが「はいからさんみたいに
したいんだけど……」といった言い方。
そりゃあ、あんだけ着飾れば誰だって
「はいから」だよ、妙なことを言う
女子だな……などと最初は間抜けたことを
思っていたのですが、これが大きな間違い。
この「はいからさん」は、大和和紀さんの
マンガ作品「はいからさんが通る」
(1975-77)およびその映画化・テレビ
ドラマ化のヒロインを指しているのです。
(わかりましたか? オジンたち)
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この表紙に描かれている人がそれで、
大正期の女学生ということになって
いますが、着物の色・柄、袴の色ともに
派手すぎて、当時の女学生としては
ありえないんじゃないかなんて、
うるさいオヤジは思っちゃいますね。
また現代ファッションと割り切るとしても、
実際これを着こなせる人がどれだけ
いらっしゃるか……
一つの絵としては”素敵”ですけどね。
その点、映画作品(1987)での南野陽子
さんは、さすがにもう少しもっともらしい
格好をされています。
ただこの映画、南野さんの女学生姿は最初の
部分だけですし、あとはいかにも少女漫画
チックなメロドラマが続くだけなので、
作品としてはあまり期待しない方が
いいかもしれません。
見どころと言えば、相手役の阿部寛さんが
若くて、風貌も声も今とだいぶ違うので
(無理に高い声を出していたのかも)、
阿部ファンなら一見の価値ありですけどね。
👢「袴にブーツ」は正解
さて、着物のことはさておくと、どちらの「はいからさん」も「袴にブーツ」の
スタイルですね。
現代の女子大生たちのいう「はいからさん」
も要するにこのファッションを
指すようです。
でも「袴にブーツ」って
大正のころもアリだったの?
と首をひねる向きもあるかもしれませんが、
これは明治からあったので、それ自体は
問題ありません。
ただ卒業式など式典でもOKかというと、
それは正統とはいえないでしょうね。
うるさい人に言わせれば、
色無地紋付に紺の袴、足元は草履
ということになるそうですから。
これに徹することで個性美を発揮する
という手もアリかもしれませんが、
「はいからさん」で行くならば、
草履にこだわることはありません。
草履の場合、当日の天候のことなども
考えると、それなりの覚悟が
必要になりますね。
だいいち卒業式を「正式な式典」と見なす
人自体が現代ではむしろ希少ですから。
👢 “本物っぽい”はいからさん
この意味でも「袴にブーツ」は結構なので、それ用のブーツもいろいろ
取り揃えられています。
ブーツの色はたいがい黒か茶色で袴の色に
合わせて選択すればよいと思いますが、
さて、肝心の袴のほうはどうでしょう。
上に見たマンガ『はいからさんが通る』の
鮮紅色は見たことありませんが、映画の
南野陽子さんが召されている臙脂(エンジ)
のほか、紺、緑、紫などは卒業式でよく
見かける(ということはレンタルでも
流通している)色です。
袴上の着物は、正統で行くなら「色無地」
ですが、実情は、振袖、訪問着、付け下げ、
小紋など様々で、要するに「なんでもあり」
の様相を呈しています。
ただ、もし多少とも“本物っぽい”、
「明治・大正時代にほんとにいた」と
思わせる「はいからさん」を志向する
のであれば、ここももう少し
こだわりたいところです。
👢 「海老茶式部」の登場
ここで明治の小説を3点、拾い読みしてみましょう。
鈴の音高く、現れたのはすらりと
した肩の滑り、デートン色の自転車に
海老茶の袴、髪は結流しにして、
白リボン清く、着物は矢絣の風通、
袖長けれど風に靡いて、色美しく
品高き一八九の令嬢である。
(小杉天外『魔風恋風』 明治36年)
ある女教師はまた、〔もらった
ばかりの俸給を〕海老茶袴の
ひもの上からなでて、人知れず
ほほえんでみるのであった。
(第一章)
さすがに大祭日だ。
町々の軒は高く国旗を掲げ渡して、
いずれの家も静粛にこの記念の
一日(ひとひ)を送ると見える。
〔中略〕
女生徒は新しい海老茶袴、
紫袴であつた。(第五章)
(島崎藤村『破戒』 明治39年)
👉『破戒』という作品について
詳細はこちらをどうぞ。
・島崎藤村 破戒のあらすじ:簡単/詳しくの2段階で解説
女子教育の勃興、女子大学の設立、
今まで深窓にのみ閉籠められた
女子は、籠から放たれた鳥の
やうに、自由に快活に、
新しい世に出た。
海老茶の袴を着けて、紫メリンスの
風呂敷をかゝへて、庇髪にリボン
といふ、かひがひしいいでたちは、
老た人々の眼を驚かせた。
(田山花袋『妻』 明治42年)
紫は高貴なお方の召される色として
敬遠されたのだそうで、この「海老茶の袴」
というのが定番となり、「紫式部」ならぬ
「海老茶式部」が女学生の代名詞
ともなったわけですね。
そのことを踏まえると、現代の卒業式
ファッションはどうもこの「海老茶」への
こだわりが希薄のように思われます。
で、実際にはどういう色だったのかを
知る上で参考になるのが、たとえば当時の
雑誌『風俗画報』の口絵「女子高等師範
学校附属高等女学校第九回秋季運動会」。
(『風俗画報』279号〔明治36年12月10日〕復刻版より)
見渡すと、ほとんどの生徒が
「海老茶の袴にブーツ」ですね。
そう、これが「海老茶」なんですよ。
大正期の絵画でもこんな感じ。
白滝幾之助画(『明治 大正 昭和
日本のポスター』〔京都書院〕より)
しかるに現今、「女袴」として入手しやすい
範囲で「海老茶」を含むものには、
例えばこんなのがありますが、
はて、どうなんでしょう。
だいぶ違うんじゃないでしょうか。
まあ業者さんもそこは先刻ご承知で、
ほんとの「海老茶」じゃ地味すぎて
流通しないとのご判断なん
でしょうけどね。
👢「地味」に徹してシックに光る
というようなわけで、本気で「明治・大正風」を再現しようと思ったら、
誂えるしかなく、これはまた大変な
コストだということになりそうですね。
なので、そこまでは求めないとしても、
多少なりと本物志向のある人は、上の雑誌
口絵などを参考に、やはり派手さは避けて
着物は無地か矢絣、または細かい柄、袴は
もちろん「海老茶」に近い臙脂かなんかで
どうかな~なんて思う次第です。
となると、上の映画DVDでの南野陽子
さんのファッションが一応、正解という
ことになってくるわけなんですが;^^💦
さて、ともかくも、もし逆に「地味」に
こだわることでシックに決めることが
できれば、たいがいの学校の卒業式で、
あなたはじわりと深い光を放ち
審美眼ある者の目を釘付けにする
ことになるでしょう。
いっちょ挑戦してみませんか(^-^)ノ
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