島崎藤村 破戒で読書感想文 【400字の例文つき】でラストを考察


サクラさん
『破戒』って、なんとなく
“破壊”的な小説かと思って
たんですけど、読んで
みたらそうじゃなくて、
しっくりまとまって
平和的でした(👅)

ハンサム 教授
まとまりすぎ、平和
すぎという批判もあるん
じゃないかな;^^💦

サクラさん
藤村先生、むしろもっと
“破壊”的になってくれても
よかったんじゃないかと…

    


ハンサム 教授
ええ。だから感想文を
書くなら、そのへんに
突っ込んでみたら
どうかな?

サクラさん
あ、それいいですね。
いただきま~す(😻)
 

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「感想文の書き方」シリーズも
ついに第130回に到達((((((ノ゚⊿゚)ノ

今回は島崎藤村の歴史的名作にして
問題作、『破戒』(1906)に挑戦です!


なにしろあの夏目漱石も一読するや
「明治の小説として後世に伝ふべき
名篇也」(森田草平宛書簡)と絶賛。

かつ「辛抱して仕舞迄よませて後、感心
させる作」(前田林外宛書簡)と評した
傑作中の傑作ですから、これは「辛抱して」
読み通してもらうしかありません。
   👇




え? そんな時間はない?

時間はあるけどムツカシそうで、
とても読み通せそうにない…?

それでは、せめてこちらの記事で
「あらすじ」を仕入れておきましょう。


島崎藤村 破戒のあらすじ:簡単/詳しくの2段階で解説



感想文の例(400字)

はい、ストーリーがしっかり理解できたら、
さっそく感想文に取り組みましょう。

まずはみなさんのために字数制限400字
(400字詰め原稿用紙1枚)でハンサム
教授が試作した文章をお目にかけます。

たんなる感想でなく論理的・批判的な
突っ込みもありますので、「批評文」を
求められている場合でも十分通用する
と思いますよ。

 島崎藤村の『破戒』を面白く読んだ。

「面白く」などと言うのは不謹慎かも
しれないが、主人公の丑松が自分の
身分を明かせないために行動できない、
そのじれったさで読者を引き込むように
作ってあった、という意味である。

 追い詰められた丑松はついに「新平民」
という素性を明かし、そのような卑しい
身でありながら教えてきたことを生徒らに
土下座して謝るのだが、ここで私は
つらくなり、また疑問に感じた。

     115733

生徒らもこのあと校長のところへ嘆願に
行くくらいなのだから、丑松はそこまで
卑屈になる必要はなく、むしろこの機会に
差別の理不尽さを教えるべきなのでは
ないかと思ったのだ。

 さらに疑問に感じたのは退職後の展開で、
アメリカ行きがすんなりと決まってしまう
のだが、丑松が何をどう考え、アメリカで
何をしようとしているのかは、よく
わからないままだった。

あくまで日本にとどまって差別撲滅の
ために立ち上がるという結末の
方がよいのにと思った。
          (398字)

どうです?

うまくまとまっているでしょう。

これをそのままコピペすることは
もちろん厳禁ですが、適宜、自分らしい
ものに文章を変えて使ってもらうのは
かまいませんよ~;^^💦


もちろん採り上げるテーマも上記の
感想文のような議論でなくても、主人公を
はじめ、その周りの登場人物の行動や
心理について、自分の感じたことを率直に
書いていけばいいんですよ。
        
        

それぞれの人物がどなんな人で、それぞれ
どんな問題があるかは、最初に紹介した
「あらすじ」記事の方で、かなり書きこんで
ていますので、そちらを参考にして
もらえればと思います。


📚 父の「戒め」を「破る」主人公

さて、自分なりの感想文を考えていくために
この小説について、もう一度いろんな
角度から光を当ててみましょう。

丑松は被差別部落の出身者で、そのことを
「隠せ」という父の「戒め」を守って生きて
きながら、ついにはそれを「破る」…
というのがタイトルの「破戒」という
言葉の意味ですね。



ですので、作品の主題に真っ向から挑む
王道中の王道は、この「破る」という
場面での丑松になった場合「自分なら…」
どうだろうか、と考えてみることしょうね。

とすると、そこで一つのポイントになるのが、
自分自身に差別を受けた経験があるかないか
ということで、経験ある人は自分の場合と
丑松の場合とを比較していくことで、
よいものが書ける可能性は大。

でも、似たような経験のまったくない
人はどうすればいいんでしょうかね?


一つの方法としては、『破戒』について
書かれた解説や評論を読み、それへの
自分の反応を書くということがあります。

いちばん手っ取り早いのが岩波文庫版
『破戒』の巻末に掲載されている
野間宏の評論「『破戒』について」。


ここでの野間さんの主張に対して賛成・
反対のどちらかの意見を書いていけば、
立派な感想文になるはず

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「破戒」できていないという批判

『破戒』の重要な登場人物の一人に、丑松と
同じく被差別部落出身者ながらそれを
公表して本を書いている猪子蓮太郎
という人があります。

野間さんは、この蓮太郎のセリフを
批判的に読み込むんですね。

蓮太郎の長いセリフの中途に「いくら
われわれが無知な卑しい者だからと言って…」
という部分があるのですが、これをとらえて
「蓮太郎さえが部落民を卑しいものと
認めている」ことの証拠だというのです。

    

この読み方自体がおかしいと批判することも
できると思いますが、それはさておき、
ともかく野間さんは蓮太郎のこの意識が
作者藤村自身のものでもあると見て、
『破戒』の終わらせ方を批判するのです。

すなわち丑松が「生徒たちの前に土下座して
自分の出身を告白し、その後、新天地を
求めてテキサスに渡る」という結末。

〔このことは〕藤村が部落民の問題を
人間の問題として、十分考えつくす
ことができなかったことを
あらわにしているのである。
〔中略〕
破戒とは父のさずけた戒(いましめ)
の意味を根底からくつがえす心を
もって、自らその戒を破り去り、
父にそのような封建的な戒を
もたらせたもの、不合理な社会に
たいするたたかいを宣言すること
でなければならないのである。

テキサスへ新天地を求めるなどと
いうのは、逃げていくことを示す
ものにほかならない。

(引用は上記の岩波文庫版から)

「丑松思想」を克服?

教育学者の灘本昌久京都大学教授によると、
野間さんのこの丑松否定論は、部落解放
運動の公式の考え方と合致していました。

つまり「丑松」は「部落民であることを隠して
コソコソ生活する」者の代名詞として否定的に
扱われ、1970年代の『解放新聞』などでは
「丑松思想を克服しよう!」といった
スローガンがよく唱えられていたとのこと。

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それで灘本先生自身もこの公式見解を受け
入れていたのですが、年を取って読み直すと
別の丑松像が見えてきたというのです。

最後に丑松が詫びるのは「差別社会」に
ではなく、ついに自分の素性を打ち
明けられなかった蓮太郎や生徒たちに
であって、彼はこう言いたいのだ、と。

「自分は精一杯誠実に生き」、教育して
きたが、唯一不誠実であったのが
「穢多であることを隠して来たこと」。

それは「自らを貶めること」であったから、
「教育者として心から謝罪する」。

もし自分をやはり「不浄で交わることの
できない人間」と思い、追放するなら、
「甘んじて自分はそれに従おう」。
(引用元:瀬川丑松、テキサスへ行かず

    

この意味では「隠せ」という父の戒めを
積極的に「破って」前へ進もうとしている
わけですから、それはそれで「不合理な
社会にたいするたたかい」の一環と
見ることもできる……

というふうにも書いて行けそう
ではないですか?


大江磯吉はモデルではない

ともかく『破戒』が大変な力作・労作である
ことは間違いなく、藤村はこれを書くために
実際に被差別部落に張り込み、何年もかけて
取材したとのことです。

そのことから、丑松のモデルになった人物
としてよく挙げられるのが大江磯吉
(1868―1902)です。


大江は長野県の飯田学校上等科を抜群の
成績で卒業後、ただちに同校下等科の
助教に採用されながら、被差別部落の
者だとの中傷から1年で解雇されて
しまいます。

その後、各地で教師を務め、校長として
赴任した鳥取では、就任当初から身分を
公表したのですが、病魔に襲われ
34年の生涯を閉じました。

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飯田という舞台とか、経歴とか、たしかに
類似点が多いので、この人物と照らし
合わせるのも面白そうです。

ただ、藤村自身は「丑松という人物の
直接のモデルというものはなかった」
(「眼醒めたものの悲しみ」)と書いて
いますので、「丑松=大江」と短絡
しないよう注意しましょう。



まとめ

さあ、どうでしょう。

書けそうですか? 読書感想文。

ともかく、各種「差別」の問題は現代でも
完全に消えたわけではありませんよね。

この問題に正面から立ち向かった作品
ですから、真面目に取り組めば優良感想文に
なる可能性は高いですし、そうならなくても、
大いにやりがいのある仕事・勉強には
なるはずです。

たとえば日本人みんながなじんでいる「鬼」
という存在にも「差別」の問題は絡んで
いますので、そういった少し離れた
トピックと関連させて書くのも一法ですね。

「鬼」の問題についてはこちらの
記事をご参照ください。

節分の鬼は怖い?それとも可哀想?豆まきは続けるべき??

節分は「鬼は~内」で行こう!豆まきの由来、歴史的な意味は?2

桃太郎は「悪くない鬼を退治した」から悪い?画像で子供に説く


また上記別記事の「やや詳しいあらすじ」
でふれていますドストエフスキーの
『罪と罰』と引き合わせて、どこを
どう盗んでいるかを調べた上で、なぜ
この小説に学ぼうとしたかを考える……
というのも面白いんじゃないでしょうか。



ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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