イザナミは黄泉の国からなぜ出てきたのか?イザナギはなぜ逃げるのか?
この世に人間というものが発生して
そのいちはん初めの男と女…
といえば?
どうでしょう、「アダムとイブ」と
答える人が多いんじゃないでしょうか。
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でも「神がまず(自分の似姿として)
アダムを作り、その肋骨からイブを作った」
なんて、子どもでもオカシイと思うお話を
どうして日本人が持ち出すんでしょうかね?
キリスト教を信じているなら別ですけど、
全然信じてもいないのに…
しかも日本にはイザナギ/イザナミ
という立派な最初のカップル(夫婦)が
いらっしゃったというのに…です。
オッと挨拶が遅れました、サイ象です。
“感想文の書き方”シリーズ第174回、
あらすじ暴露サービスとしては
第115弾の今回は、大いに趣向を変えて
『古事記』冒頭部分のイザナギ/イザナミの
物語を追っかけます。
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イザナギ/イザナミ物語のあらすじ
この夫婦の物語でいちばん面白いのは、先立った愛妻イザナミを恋い求めて
イザナギが黄泉(よみ)の国まで行ったは
いいが、妻が姿を現すやUターンして
一目散に逃げていき((((((ノ゚🐽゚)ノ、
イザナミは彼を追って黄泉の国を
出てきてしまう……
この奇怪な事態は一体なぜ起こって
しまうのか。
ここではこの謎を追いながら、日本最初の
この夫婦の神話のストーリーを辿って
いきたいと思います。
さて、そこへ行く前にどうしても前置きが
必要になりますが、『古事記』では最高神
「天之御中主神」(アメノミナカヌシ)を
筆頭に、7柱(はしら)の神々による
世界創造の過程がまず語られ、そのあと
「次に〇〇の神。次に…」と10柱の名前が
並べられます。
イザナギ・イザナミはその締め、すなわち
16、17柱目の神々として出てくるんですね。
それでは参りましょう。
「 」内の引用は上記「ソフィア文庫」に
依拠しての『古事記』原文と現代語訳です。
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🌄【天地創造】
天上の神々の合議により、イザナギ(伊耶那岐)・イザナミ(伊耶那美)の
二神に「この浮遊する国土を固定し
整備せよ」との命令が下る。
二神は「天の浮橋」に立ち、「天の沼矛
(ぬぼこ)」を地上に下してかきまわし、
オノゴロ島を造った。
オノゴロ島に降りて「天の御柱」と寝殿を
建ててから、イザナギがイザナミに問う。
「汝が身は如何に成れる」
(君の体はどうなってる?)
「吾が身は成り成りて、成り合はぬ処
一処在り」
(完成しているが、合っていない部分
〔A〕が一か所ある)
「吾が身は成り成りて、成り余れる処
一処在り」
(完成しているが、余計な部分
〔B〕が一か所ある)
というわけで、イザナギはイザナミに
BをAに「刺し塞(ふた)ぎて」
(英訳すれば”insert”でしょうか;^^💦)
「国土(くにつち)生み成さん」と
思うんだけど…と提案しOKされる。
🌄【国生み、子生み】
「天の御柱」を互いに逆方向に回って出会ったところで交わろうという話になり、
実行する。
出会ったところでイザナミが
「あなにやし、えをとこを」
(おお、いい男だこと)と言う。
そのあとでイザナギも「あなにやし、
えをとめを」(おお、いい女だこと)
と言うが、そのあとで「女が男より
先に唱えたのはよくない」とも言う。
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それでも交わりして、二人の子が
生まれるが、育たない。
高天原に上って天神の指示を仰ぐと
「女が先に唱えたのがよくないから
やり直すがよい」。
👉「男が先」という規範意識が
この時代にすでにあったことを示すもので、
ちょっと笑えますね。
でも考えてみればそれは当然かも。
すでに”男系”の天皇制が確立しており、
『古事記』はそれを正当化するための
神話でもあったわけですから。
そのとおりにすると、イザナミはまず
淡路島、ついで「身一つにして面(おも)
四つ」の四国、さらに「隠岐の三子嶋
(みつごのしま)」、「筑紫嶋」(九州)、
壱岐、対馬、佐渡を生み、最後に本州を
生んだ。
🌄【イザナミの死】
二神はその後も自然界の諸要素を代表する神々を生んでいくが、「火神」を
出産する際にイザナミが焼け死ぬ。
怒ったイザナギが火神の首をはねると、
剣についた血から「雷神」「剣神」の
神々が生まれる。
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🌄【黄泉の国訪問】
イザナギは、イザナミに会いたいと思い「黄泉(よみ)の国」
(地下にある死者の世界)へ行く。
黄泉の国の御殿の扉から出迎えた
イザナミに、イザナギいわく
「私と君とで作った国はまだ完成して
いないから、戻って来てくれ」
イザナミこれに答えて
「あなたが早く来てくれなかったので、
もう黄泉の国のものを食べて、ここの
住人になってしまった。
でも愛(いと)しいあなたが来たので、
私も帰りたい。
これから黄泉の国の神と談判するので
その間は私の姿を見ないでね」
そう言って御殿の中へ戻ったが、
イザナギは待ちきれなくなって、
左側の髪に付けていた櫛(くし)の
歯を折って、それに火をともして
御殿に入って中をのぞいた。
そこには見たものは、無数の蛆
(うじ)のたかる腐乱死体。
頭、胸、腹、陰部、左右の手足に
それぞれ八種類の雷(魔物)が
生まれている。
恐れをなしたイザナギが逃げ出すと
イザナミは「よくも私に恥を
かかせたね」とヨモツシコメ
(黄泉の魔女)に追わせた。
イザナギが頭に付けていた黒い木の
つるの輪を投げつけると山ぶどうの木が
生え、魔女がそれを食べているすきに
逃げる。
また追ってくるので、今度は右がわの髪に
付けていた櫛の歯を投げると、
タケノコが生え、魔女がそれを食べる間に
逃げる。
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【縁切りとその後】
イザナミは自分の体の八つの雷神に黄泉の国の魔軍を編成させ、
あくまで追撃させる。
地上との境界である「黄泉比良坂」
(よもつひらさか)まで逃げたイザナギが
そこにあった桃の木から桃を三つ取って
投げつけると、全員退却した。
そこでイザナギは桃に「私を助けてくれた
ように、この国の民を苦難から救ってくれ」
と頼んだ。
イザナミ自身が追ってきたので、
イザナギは巨大な岩で黄泉比良坂を
ふさぎ、二神は岩をはさんで
縁切りの言葉を交わす。
「愛しいあなたがこんな仕打ちをする
のなら、私はあなたの国の人々を一日
千人絞殺してやる」とイザナミが言い、
「それなら、私は一日に千五百もの
産室を建ててやろう」イザナギは
答える。
これをもって、今も一日千人死に、
千五百人生まれるのである。
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夫婦のたどる道は神代も同じ?
こうして黄泉の国を見て目が穢れてしまったイザナギが禊(みそぎ)を
する…と『古事記』の物語は続きます。
左目を洗うと日神アマテラス(天照大御神)
が、右目を洗うと月神ツクヨミ(月読命)が
さらに鼻を洗うとスサノオ(須佐之男命)が
生まれた…
と重要な神々がやっと出てくるわけですね。
でもイザナギ・イザナミ夫妻の物語は
これで終わりです。
なんだか恐ろしくもあり、笑える
ようでも泣けるようでもありますね。
おおらかに交わったこの二神の名の
「イザナ」の部分は「誘(いざな)う」
の意、「キ(ギ)」と「ミ」は男女の
性を表すものと考えられています。
まあ、互いに誘惑し、結ばれて子をなし、
そのあとは離別あり(死別とも生別とも
解釈できますね)、闘争(逃走も;^^💦)
あり…と現代の夫婦もふつうに通過する
(可能性のある)経験が見事に凝縮
されているではないですか。
明白な「縁切り」まで行くところが
あるいは”日本的”といえるのかも
しれません。
おとぎ話でも「鶴の恩返し」「雪女」など
離別に終わるものが結構多いのが日本の
特色と言われていますから。
👉「雪女」についてはこちらの記事を
ご参照ください。
・小泉八雲の怪談 雪女のあらすじ 破局を呼び込む”宿命の女”?
👉またスサノオ以降の神々で『古事記』の
ヒーローといえばオオクニヌシノミコト。
この神の物語や七福神の「大黒天」との
関係についてはこちらもどうぞ。
・因幡の白兎のあらすじを簡単に🐰 古事記はこう語っていた
・七福神の名前の覚え方:新作決定版!🐢でもなんで浦島太郎が?
👉ともかく『古事記』は歴代の天皇は
「神の子孫」であり、一般人とは違う
のだから従うべきだと下々(しもじも)
のものを教え諭す物語として編まれて
いるわけですね。
(現代でもそういう神話を国民に
押しつけている国は世界のあちこちに
あるようですが…;^^💦)
この種の「皇祖皇宗」意識が現代の
天皇家にも絶無ではないらしいことに
関してはこちらをご参照ください。
・柏餅の葉っぱ 天皇陛下はなぜお食べになったのか…
まとめ
さあ、これでもうイザナギ・イザナミ夫妻に関するかぎり、あなたの知識は
カンペキです。
なにしろ『古事記』にはこれ以上詳しい
ことは書かれていないんですから。
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ん? それでもなんだかよくわからん?
それではこちらの動画でおさらいして
おきましょうか。
改変されている部分はないか、
眉に唾をつけてご覧ください。
誰にどう突っ込まれても対応できますし、
感想文やレポートもへっちゃらでしょう!
ん? 書こうとは思うけど、
何をどう書いていいか、
要領がわからない( ̄ヘ ̄)?
そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の多様な
文学や映画の作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。
参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。
・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/
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