キャリーのネタバレ スーの思いは?映画(1976)も怖いが原作はもっと… | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

キャリーのネタバレ⦅ラストまで原作で⦆スーは何を思う?

サクラさん
いや~『キャリー』の
ラストにはビビり
ましたよ(叫び

 
       
墓に参ったスーがなお
怖い目にあうのは、
キャリーの怒りは
おさまっていない
ということ?

ハンサム 教授
少なくともスーの
夢の中ではね。


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サクラさん
スーはたしかにマズい
ことをしたんでしょう
けど、心の底で何を
思ってるのか分から
なかったです。

ハンサム 教授
そのへんが映画の
弱みかな?

原作小説ではスー自身が
語り手の一人なので、
わからないことはない。

サクラさん
あ~それなら読んで
みたいな。

ハンサム 教授
ぜひどうぞ。

ただ、映画より何倍も
怖いのでご用心(ドクロ)


さて、先ごろついに200の大台を超え
今回でなんと第201回となります
“感想文の書き方”シリーズ。

「あらすじ」暴露サービスの第141
でもありますが、1976年(ブライアン・
デ・パルマ監督)、2013年(キンバリー・
ピアース監督)と2度にわたる映画化で
絶大な人気を維持しているスティーブン・
キングのホラー小説『キャリー』
(Carrie,1974)で参ります((((((ノ゚⊿゚)ノ

怖すぎて(?)、あるいはいろんな
事情から映画には出せなかった部分も
しっかり拾いながら、もちろん
⦅ネタバレあり📢⦆で行きますよ~;^^💦


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映画では、なんといっても1976年の
デ・パルマ作品が出色。

キャリー役シシー・スペイセクの
初々しくも迫力満点な演技は、こちらの
予告編でも片鱗をご覧になれます。
(あくまで片鱗ですが;^^💦)



かなり詳しいあらすじ

では始めましょう。

ラストまで包み隠さず完全ネタバレあり
参りますので、結末を知りたくない人は
読まないでくださいね;^^💦


映画と大きく違っていたりして、
気になる部分には👉印で注釈を
入れていますが、いちいちうるさいと
思う人は飛ばしてくださいね。

なお「 」内は原文(上記文庫本)からの
引用です。
👉いきなり注釈で恐れ入りますが、
小説の構成はいささか前衛的というか
変則的で、出版時の現在(1974)から
すれば未来の出版物である、下記の資料
からの引用が次々に並べていかれます。

・『あばかれた影――キャリエッタ・
ホワイト事件の事実と記録』(1981)
・『キャリー――T・Kの暗黒の夜明け』
(1980)
・『テレキネシス――その分析と余波』
(1981)
・『わたしの名はスーザン・スネル』
(1986)
・『わたしたちは暗黒の舞踏会を
生きのびた』(1980)



これらを読んでいくことで、1979年のこと
とされるキャリー事件の全貌が徐々に
明らかになっていくという仕掛け。

発表時より5年後の事件を語るわけ
ですから近未来SFともいえますね。

以下では大まかなストーリーを追うだけで、
どの資料の記述かにまで細かく注記する
ことはしませんので、明確にしたい場合は
やはり全文を読んでもらうしかありません。


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👿【第一部 血のいけにえ】

メイン州チェンバレンに住む16歳の高校生、
キャリー(キャリエッタ・ホワイト)は
学校のシャワー室で初潮を迎えて
パニックに陥り、クラスメートの
嘲笑の的になる。


彼女を一人で育ててきた母マーガレットは、
昔、同じ高校で、ダーウィンの進化論を
教えた女性教師を面罵して地獄行きを
予言したほどの、狂信的な原理主義的
(ファンダメンタル)なキリスト教徒。
👉聖書を絶対視する原理主義者が進化論を
認めないことは当然で、実際アメリカには
小学校で進化論を教えることを禁じている
州もあるとのこと。

性的な事柄はすべて「罪」と結びつける
徹底ぶりで、女性の生理について娘に
教えることもなかったのだ。


この事件の晩も、なぜ教えなかったのかと
なじるキャリーをクローゼットに閉じ込め
「潔白であれば、血の呪いは訪れなかった」
のだから、神に祈れと言う。

  

「御前は悪魔の申し子だよ」と囁き、
母娘は「ユー・ファック」と罵り合う。


キャリーへの嘲笑は地域に広がって
「キャリーはうんこを食べる」と
小中学校の机に落書きされるほど。

キャリーは自身へそれでも学校に
溶け込もうとし、夏休みのキャンプも
「罪悪」だと禁じる母に反抗し、縫物の
アルバイトで金を作って参加する。

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通学中、自転車に乗って彼女をからかう
5歳の少年に怒りを感じ、「落ちろ」と
心で念じると、自転車がひっくり返った。

それ以前にも同様の経験をしている
ことに思い当たったキャリーは、自分に
特殊な念動能力(テレキネシス/TK)が
備わっていることを自覚する。

   


キャリーらの学年は卒業まぢかとなり、
恒例の「春の舞踏会」の準備が始まる。

若い体育教師のミス・デジャルダンは、
例の「初潮」事件でキャリーへの嘲笑の
急先鋒だったクリス・ハーゲンセン
(有力弁護士の娘で高慢)と舞踏会の
ことを話すうち口論になり突き飛ばす。


舞踏会にはモテる男女ならカップルで
参加するのだが、クリスはビリー・
ノーランと、そしてもう一人のモテる女子、
スー(スーザン・スネル)はハンサムな
スポーツマンで人気者のトミー・ロスと
参加するものと見られていた。
👉このスーザン・スネルはもちろん
上の👉でふれた『わたしの名はスーザン・
スネル』(1986)の語り手で、この時点では
犯罪小説家。

ということは、第二部で語られる犠牲者
400人に上る大惨事(キャリー事件)の
あとも生き残ったわけですね。



逆にほかの3人(クリス、ビリー、トミー)は
生き残らなかったわけですが、このことも
スーの語りで徐々に明らかにされていきます。

「とうとう事件に関する映画まで作られ
ました」と1986年時点で言っているわけ
ですが、実際の映画はそれよりずっと早い
1976年に公開されました。

ちなみにそこでビリーを演じているのが
ジョン・トラボルタ。


スーは、キャリーに意地悪をした女子の
一人でありながら、そのことを悔い、
彼女への同情を「本気で……意味のある
行動」によって示すべきだと考える。

キャリーがトミーに「夢中」だと
見抜いていて、舞踏会では彼女を
誘うようトミーに頼みこむ。

トミーはわたしを愛していたから、
わたしがそれを望んだから、
彼女と一緒に行ったのです。
(『わたしの名はスーザン・スネル』)


これが本当によい方法なのかに疑問を
感じながら、トミーが申し込むと、
キャリーは「かつがれるのはいやよ」
と警戒するが、トミーは強く打ち消す。

「きみに一緒に行って
もらいたいからさ」

結局のところ、彼はこの言葉が
嘘ではないことに気がついた。

スーが償いのゼスチャーを
示そうとして、彼を通じて
間接にそうしていることに
なるからだった。
        (同上)


「行きたいわ。とっても。……でもだめよ。
……きっと恐ろしいことになるわ」などと
ためらいながら、ついに「いいわ」と
ささやいたキャリーはいまにも気を
失いそうに見えた。


行くことを許さないと言う母親と口論に
なるが、例の念動(TK)能力を行使。

母は驚愕し、「悪魔の子!」と呻いて
悪魔祓いの祈祷を始める。
      

 
キャリーを完膚なきまでにやっつけたい
らしいクリスは、舞踏会の2日前、
ビリーに何事かを頼む。

5人の仲間とともに近郊の牧場に
潜入したビリーは、豚の喉首を切って
生き血をバケツ2杯分用意する。

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👿【第二部 舞踏会の夜】

当日の番、自分で縫い上げた赤いドレスを
着てトミーを待つキャリーに、それを
「脱げ」とか「燃やす」とか叫ぶ母親。

例の特殊能力で制御しながら、約束の
時間を過ぎて不安になったところへ
トミーが到着し、見つめ合う二人。

ようやく、消え入るような声で、
彼女はいった。

「わたしのこと、好き?」

彼が答えた。「きみは美しいよ」

事実彼女は美しかった。

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体育館で舞踏会が進行する間、スーは
自宅にいて、自分の実行したことに
「満足していた」。

行為の「動機をあまり深く分析する
気になれなかった」が、ふと「彼は
彼女が好きになるかもしれない」
と思い、微笑が消える。

  

舞踏会のキャリーは、トミーの優しさに
また見違える美しさに驚く生徒や先生の
称賛に包まれて、楽しく過ごす。
👉映画(1976)では二人が踊り、
キスまで行くシーンが、くるくると
回転を続けるカメラワークで華麗に
描かれますが、原作にはありません。

   


10時には「戴冠式」が予定されており、
投票でベスト・カップルが選ばれる
ことになっていたのだが、クリスの
画策(おそらく組織票)により
キャリー&トミー組が選ばれてしまう。

二人は驚きながら、導かれて王座に。

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しかし王座の上の梁(はり)にはビリーの
用意した豚の血入りのバケツが仕掛けて
あり、これがぶちまけられて二人は
たちまち血まみれ。

トミーは落ちてきたバケツで後頭部を
打撲して死ぬ。

笑い声が起きると、キャリーは
「かっと目を見開き」、やがて
「彼女の顔が……こわれました」。

     

「キャリーが戻ってきたわ」という声。

会場のドアがいっせいに音をたててしまり、
開かなくなったものの、唯一非常口が
通行可能で、結果的にそこを通った
人々のみが生き延びた。


助けようと駆け寄ったデジャルダン先生も
キャリーには「自分を嘲笑している」と
しか思えず、きっとにらむと、先生は
壁へ飛ばされ、床に倒れる。

  

トミーの死も「疫病神を明るい場所に
連れてきた罰が当たったんだわ」と笑い、
「あいつらを痛めつけてやる」とロック・
バンドの電気装置のところで叫んでいる
少年を念力で感電させる。

この電気装置のショートで体育館は爆発し、
学校は大火災となる。

このときキャリーはすでに繁華街の方へと
歩いていたが、目撃者によれば、血まみれで
「骸骨そっくり」の笑い方をしていた。


キャリーがたとえば地中に埋まっている
パイプを思い浮かべるだけで、すぐに
ガスが漏れはじめので、火災は高校から
繁華街方面へどんどん延焼する。

街の教会に入って祈ると「心は超能力
地獄の圧倒的な認識に満たされ」、人々の
群れを見ては「けものたち」を「焼き
殺してやろう」と思い、そう念じる。
   
  

帰宅した時、キャリーは「皺だらけの
老婆のように見え」、母と瓜二つに
なっていた。

ナイフを隠し持った母親は、キャリーを
妊娠したことをいかにけがらわしく
感じていたかなどと語りだす。

生んだのは「犠牲(いけにえ)に捧げる」
ためだったが果たせず、3歳になった
時も殺そうとしたができなかったという。
(ホワイト家の上にのみ石の雨が
降ったのはこの時)

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「おお、ママ、わたしを助けて!」
と叫んでひざまづくキャリーにナイフが
振り下ろされ、よけようと動いた彼女の
肩に突き刺さる。

「プレゼントをあげるわ……ママがいつも
欲しがっていたもの、暗黒よ」と、
キャリーは母の心臓を心に思い描いて、
鼓動を止める。

  

クリスとビリーも同様の方法で殺した
キャリーが駐車場に横たわっているのを
発見したのはスーだった。

「スーよ」と名のると、「あなたたちは
みんなでわたしを騙したんだわ」
「キャリー、わたしの心のなかを見て」

慄然として図書館のようなスーの心を
隅々まで見たキャリーは、そこに
キャリーそのものへの悪意はないと知る。

「おお ママ わたしはこわい……
おおおおおおおおおお」と絶叫し、
キャリーは息絶える(ドクロ)。


👿【第三部 廃墟】

この夜、チェンバレンの死者は409名、
行方不明者は49名に達した。

キャリーとその”TK”現象について
州知事は特別調査委員会を任命。


人口は激減して産業もすたれた
チェンバレンの全体的印象は
「死期を待つ町」というところだ。

    


“性”嫌悪の裏にあるのは…

いやー、怖かったですね~(叫び

何が怖いって、まず何よりキャリーの
テレキネシス(TK。またはサイコキネシス)
の脅威そのもたらした結果の凄絶さですが、
それにも増して恐ろしいのがその母、
マーガレット・ホワイトという人物。

メイン州を含むニュー・イングランド地方は
原理主義的なキリスト教信者が多いことで
知られていますが、それにしても「性」への
憎しみは凄まじい徹底ぶりですね。




もちろん憎しみはには愛の裏返しという
側面もあるはずで、実際、彼女は前夫
ラルフ・ホワイトとの間のただ一度の
行為の際に感じてしまった「喜び」が
忘れられず、かつそれを自分に許せない。

キャリーの生誕時、3歳時、そして今回と
何度も殺そうとする狂気には、そういう
自分を殺すという意味が含まれている
はずで、いやーこういう人は
ほんとに恐ろしい(ドクロ)……

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小説でのこの底深い怖さからすると、
映画(1976)で作られたキャラクターは
やはり甘いといえるでしょう。

第一、女優さんの顔が可愛すぎ。

もっとスゴい顔の人にした方が
よかったと思うんですけどね;^^💦
👉こういう激しい「性嫌悪」がある
一方で、その真逆のいわゆる「性の乱れ」が
1970年代の高校でも相当に進行して
いたことも、この小説からよく
わかりますね。

そしてこの激しさの背景にあるのが
キリスト教の文化伝統に根ざす
「神 vs. 悪魔」の対決という主題。

アメリカン・ホラーの3大傑作といわれる
下記の映画もやはりそれに貫かれています。

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まとめ

ともかく、これはスティーブン・キング
最高傑作となってしまうかもしれない
画期的な問題作。

読書感想文の素材としても採り上げるに
十分な内容をもっています。

上に述べてきた解説や注釈を活用して
もらえれば、きっと高度なものが
書けるはずですよ。



なにしろ語りの仕掛けが凝っている点で
高度に芸術的なんですが、そういえば
怪奇小説の古典には物語構成に工夫を
凝らしたものが多いですね。

『フランケンシュタイン』しかり、
『オペラ座の怪人』しかり……
👉これらの作品についてはこちらの記事で
紹介していますので、どうぞご参照を。

ジキルとハイドのあらすじ ☯スティーヴンソン原作を簡単に…

フランケンシュタインのあらすじ 👻原作小説をネタバレありで

    

ドラキュラ 原作のあらすじ👻興味つきない吸血鬼小説の金字塔

オペラ座の怪人のあらすじ 👻原作とミュージカルの違いは?


ともかくスティーブン・キングの
小説世界には大いに引き込まれます。

『キャリー』でデビューしたキングの
地位を不動のものとした傑作が
『シャイニング』。

人気作家となってから経験した
ファンというものの恐ろしさ
(これもアメリカは半端ない)を
描いた怪作が『ミザリー』。
👉『シャイニング』『ミザリー』…
それからホラー作品ではないものの、
自伝的要素が強く、大ヒットした
『スタンド・バイ・ミー』の原作
『死体』などについては、こちらで
情報提供しています。

シャイニングのネタバレ 原作はキューブリック映画とどう違う?

ミザリーのネタバレ📢)))原作は映画の10倍も怖いゾォ~~~👻

    

スタンドバイミー 映画と原作の違い/意味わからん?コレ読んで納得

  


そのほかキング作品を早く安く
手に入れたいという場合はこちらから
探してみてください。

スティーヴン・キングの本叫びラインナップ

👉当ブログでは、そのほか日本と世界の
多様な文学や映画の作品について
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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