サクラさん
“論理”と”理論”って
結局同じことです
よね?

ハンサム 教授
それはどうかな;^^💦

サクラさん
だって”習慣”と”慣習”
もほとんど同じじゃ
ないですか。

ハンサム 教授
う~む…;^^💦💦💦 
でもやっぱりだいぶ
違うんですよ。

“論理”には英語の”logic”
が、”理論”には”theory”
が裏に張り付いてる。



つまりそういう”お約束”に
なっていますから、結局
“logic”と”theory”の
違いを押さえるしか
ないんじゃないかな。

サクラさん
ははー(🙀) カタカナ
語じゃない部分でも
日本語はすでに国際化
してるってこと?

ハンサム 教授
そう考える君はとても
論理的です;^^✌


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というわけで本日は、「論理」と「理論」、
それからついでに「理屈」という厄介な
日本語たちについて、きっちりわかる
理にかなった説明をつけていきますので、
お付き合いください。


漢字だけ見ててもわからない

漢字の字ヅラだけ見ていれば、サクラさんも
言うとおり、「論理」と「理論」とは
順序が違うだけなんだから、意味の
違いも見えてきませんよね。

ですので、「論理」だの「理論」だのの
抽象語はもう英語みたいなもんだ
割り切って、字ヅラにとらわれない
ことが大切。
(少なくとも論述的な文章を読む上では)

     048339

つまり英語圏出身のハンサム教授も示唆
されるとおり「論理」は「ロジック(logic)
で「理論」は「セオリー(theory)」…だから
全然違うんだ、と思うべきなんです。


なぜって、こういう抽象的な意味の熟語は
ほとんど明治に入ってから英語ほかの
欧米語に対応させるために作られた
ものですよね。

もちろん従来からあった語を当てはめる
場合もありましたから、「論理/理論」なら
理屈の語を適用してもよかったようにも
思われますが、なぜかどちら用にも
採用されなかったわけです。

    business

ともかくこういう日本語改革の結果、
もとの英語はやさしい日常語なのに、
それに対応する日本語はやたらムツカシ
そう…という場合がたくさん出てきて
しまった。

「論理/理論」の場合もそうで、「ロジック
/セオリー」のほうがむしろ、なんとなく
平易だし、両者の区別もつけやすいので、
そのままカタカナ英語で使っちゃう人も
いますよね。


・そこは……というロジックで承認しましょう

とか

・ここは送りバントがセオリーですね

とか……。
             野球猫matsui-anime

こういう「ロジック/セオリー」の語感で
もって「論理/理論」も理解しちゃって
いいはずなんですよ。

国語の先生はどうしても”国粋的”に傾き
がちなので、こういう説明を嫌われる
かもしれませんが……;^^💦


え? ”国粋”云々はどうでもいいから、
「論理/理論」の意味をもっと明確に
定義しろ?

いや、ごもっとも。
それでは、参りましょうか。

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論理(ロジック)は考え方 orその理由

つまりこれら抽象的な塾語のもとの意味は
英語など欧米語での意味で考えた方が早い。

とすれば、その意味を正確に押さえる
最良の方法は、英英辞典(もちろん
仏仏辞典、独独辞典なども可)を
引いてみること。


というわけで、とりあえず今、私の手元に
ある『オックスフォード現代英英辞典』
から語釈を引用し、それに私なりの
和訳をつけて行ってみますね。

logic(論理)
  1. a way of thinking or explaining

    考える〔または説明する〕
    一つの方法


  2. sensible reasons for doing something

    何かをすることの分別ある理由

  3. 脳 logos-990390_640


  4. the science of thinking about
    or explaining the reason for
    something using methods

    形式的な方法を用いて
    何かの理由について考える、
    〔または説明する〕学問


3.はたいてい「論理」と訳す場合なので
除外してもいいと思うんですが、1.の
「考え方」自体と別に2.の用法もある
ことに注意したいですね。

つまり「考え方」自体よりは、それが
依拠するところの「理由」の方に
重点がかかる言い方。

このニュアンスで言っている場合の
「論理」は「理論」と意味が重なって
くるので、日本人にとっては逆にそこで
混乱(混同)しやすくなるかもしれません。

      

おっと、「理論」の意味をまだ詳しく
説明していないので、そこはわかり
にくいかもしれませんね。

それでは「theory(理論)」の語釈へ
まいりましょう。

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理論(セオリー)は考えのセット


theory(理論)
  1. a formal set of ideas that is
    intended to explain why
    something happens or exist

    ものごとがなぜ起こる
    〔または存在する〕のか説明
    することを意図された、
    考えの形式的な1セット


  2. the principles on which a
    particular subject is based

    特定の主題がその上に
    基礎づけられている
    ところの諸原理



  3. an opinion or idea
    that somebody believes is
    true that is not proved

    誰かが真実と信じているが、
    そうだと証明されては
    いない説や考え

こちらは3つの語義の間にそんなに大きな
違いはありませんね。

要するに「ロジック(論理)」の2の意味でいう
各種の「考え方の理由」が網の目のように
システム化されてできているワン・セット
とでもいいますか…

それはあくまで一つのセットにすぎない
ので、正しさが証明されているわけでは
ない(間違いかもしれない、仮のもの)
というニュアンスもつきまとっている
わけですね。


「論理」は方法・流れ

え? やっぱりもやもやしててワカンナイ?

では、究極のマトメをやっちゃいましょう。

上の英英辞典の定義のうち赤字で示した語、
すなわち「way(方法、行き方)」と「set
(セット、一揃い)」が鍵だと
思ってください。

ということは、つまり
「論理」=考えるway(方法、行き方)

「理論」=考えのset(セット、一揃い)

      

だから「論理」には(いくら短くても)
時間の流れが想定されているのに対して、
「理論」の方は時間より空間的な広がりで
考えられているともいえますね。

このことを、やはり欧米語への対応のために
作られた小むずかしい日本語でいうと、
「論理は通時的で、理論は共時的」という
ことにもなります。

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「理屈」と「屁理屈」の違いは?

さて残るは「理屈」ですが、これは上に
見てきた「論理」「理論」の語義のうち
「論理 3.」の「論理学」を除けば、
だいたいどれにも当てはめることが
できますね。

ただ、少し無理はあるわけで、どれの
代わりをさせても、妙なニュアンスが
ついてまわります。

ロジック」や「セオリー」の訳語に
採用されなかった理由もたぶんそのへんに
あるんでしょうね。

     あかんべえAlbert-Einstein-s

「理屈」という語のこの微妙な立ち位置が
見事に表現された一節が夏目漱石の遺作
『明暗』(1916)にありますので、
オマケとして紹介しておきますね。


女主人公のお延に、叔父の岡本が言います。

男と女が引かれあうのは「互いに違った
所があるから」だが、同じ理由で、
つまり「別物」だから、いつまでも
「一所にはなれっこない」と。

岡本はカラカラと笑い、お延は反発します。

「だけどそりや理屈よ」

「無論理屈さ。どこへ出ても
立派に通る理屈さ」

「駄目よ、そんな理屈は。
何だか変ですよ。

ちょうど藤井の叔父さんが
振り回しそうな屁理屈よ」

      (『明暗』七十五)

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       「叔父さん、そりゃ屁理屈よ」「なんだと?」…


「理屈」の語が否定的にも肯定的にも
使えることがよくわかりますね。

つまりお延が否定しようとして持ち出した
「理屈」の語を、岡本は開き直って
肯定的に使いなおした。

それでも引き下がれないお延はついに
「屁理屈」のレッテルを貼って、否定の
立場を徹底させたわけです。

この一節からよくわかるのは、もともと
否定的なニュアンスを帯びがちな
「理屈」の否定性を明確化したいときに
言われる言葉が「屁理屈」だということ。

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つまり「屁理屈」は「屁についての理論」
だとか、そういう実質的な意味の違いが
あるわけではなく、それを言う人の
立場を強烈に表現しているだけ…
ということですね。


だから誰かに「それは屁理屈だ」と
言われた場合は、自分の論理の欠陥を
さがすより、相手の心理について
考えるのが得策です。

ま、言うまでもないか;^^💦

👉『明暗』は文庫本で。
たとえばこちら。
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「理屈/屁理屈」は英訳不可能?

さてオマケのオマケですが、上に見た
夏目漱石の『明暗』に出る「理屈/
屁理屈」、英訳(Light and Darkness,
tr. by V.H. Viglielmo, 1971)では
どう訳していると思います?

ハハハ、これには私も驚きました。

訳してないんです((((((ノ゚⊿゚)ノ


つまり岡本の言った「理屈」の内容までは
訳してあるんですが、それをめぐる
お延との会話、つまり上に紹介した
部分はすべてカット!

オ~、手抜きというべきかなんという
べきか、”theory”とも”logic”とも
訳せなくて困ったんでしょうか。

     

たしかにカットしてもストーリーが
わからなくなるとかいうことは
ありません。

でもこれ”理屈屋”漱石らしい面白みで、
クスリと笑いながら考えさせられる、
とても文学的価値の高い場面。

ファンとしてはカットは悲しいですね。


訳者のヴィリエルモという人、論文も
強引、というか我田引水で評価
できません。

最高傑作(残念ながら未完ですが)の
英訳がこんな人にやられてしまった
ことは、世界的視野でみた場合の
漱石の大きな不幸でした ┐( ̄ヘ ̄)┌

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まとめ

「論理」と「理論」、それから「理屈」に
「屁理屈」……意味とニュアンス、
使い方の微妙な違いをわかって
いただけたでしょうか。

まだしっくりしない… ピンと来ない?

はい、そうだとしたら、それは慣れの
問題が大きいので、これからどんどん
論理的ないし理論的な文章を読んで
いくことで徐々にスッキリわかって
くるはずなんです。

え? 日本語ってやっぱり
なかなかムヅカシイ?
👉日本語の微妙な部分をめぐっては、
こんな記事も書いていますので、
是非ご参照ください。

散見される?散見する? 正しい意味・使い方を鴎外・太宰に聞く

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ともかく頑張ってやりぬきましょ~(^O^)/
       

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