夏の庭(湯本香樹実) 読書感想文の書き方:90年代の戦争文学?

 


やあやあサイ象です。

ついに100回を突破した
「感想文の書き方」シリーズ。

今回は早くもその第110回((((((ノ゚⊿゚)ノ

「あらすじ」暴露サービスとしては
第67弾となります。

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今回は「日本児童文学者協会新人賞」
「児童文芸新人賞」「ボストン・
グローブ=ホーン・ブック賞
「ミルドレッド・バチェルダー賞」など
数々の受賞に輝く湯本香樹実さんの
名作児童文学『夏の庭 ―The Friends―』
(1992)で行って見ましょ~。
 


え? まだ読んでない?

読まないで読書感想文を書こう
というのはなかなかいい度胸ですね。

ま、それも結構、
それから、読んだけどポイントが
つかめないという人は、こちらの記事で
ぜひ「あらすじ」を押さえるように
してくださいね。

夏の庭(湯本香樹実) のあらすじ:簡単/詳しくの2段階で解説



👉 ポイントを見つけよう

さあ、どうでしょう。

書けそうですか? 読書感想文。

作品をどう読むかというポイント、
目の付けどころはいくつかありますよね。

・12歳前後の少年たちの成長していく過程。

・人が死ぬとどうなるかを
見きわめようという動機で話が進む
ホラー・ストーリー的な部分。   

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・戦争と帰還兵の癒えない心の傷
――PSTD(心的外傷後ストレス障害) ――。

・各家庭が抱える現代的な諸問題
――「ぼく」の母の肝臓病と飲酒の関係など――。


そのほかにもいろいろあると思いますが、
何かポイントを見つけて、
自分の経験や日ごろ思っていることと
関連づけて書いていけばいいんですよ。


それらのなかで、問題点を明確に
しやすく、かつ高い評価を得られる
可能性が高いのはどれかといえば、
それはやはり「戦争」のテーマに
入り込んだものかなあ、と思えます。

そこで以下では、『夏の庭』での
読書感想文として「おじいさん」の
戦争体験というころにしぼって書く例を
考えてみますね。



Ψ おじいさんが戦場でしたこと

「ぼく」たち3人が「おじいさん」から
聞いた戦争での「こわい話」は、
こんな内容でした。

ジャングルの小さな村で女や子どもを
やむをえず皆殺しにしたが、
逃げようとする女を追いつめて射殺し、
死体を見ると身重だとわかった。

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「手のひらでさわると、はち
きれそうで、すべすべした腹の
中で、何かがぴくりと動いた。
その女はもう死んで
いるのにね。」
うつむいたおじいさんはどんな
顔をしているのか、
ぼくには見えない。
「それからわしは村に戻ると、
仲間といっしょに食料を
たいらげた。
そうして生き延びた
というわけだ。


「戦争だからね」とぽつりと言って、
長い沈黙と、初めて見る喫煙のあとで、
「聞かなきゃよかっただろ」と
おじいさん。

河辺が「そういうことは話しちゃった
ほうがいいんだよ」と言うと、
おじいさんは「ちょっとびっくりした
みたいな顔」をします。


戦争から帰ると、おじいさんは   57bc7ad5853a4838c2ab9b6d1104b05b_s
新妻の待つ家に戻らず、理由も告げず
行方をくらましてしまったという
話も聞いていたのですが、
別れたのは「きっとそのせい」
(戦場で身重の女性を殺したせい)だ
と河辺が言い、ぼくと山下も同感します。

それがどういうふうに、
おじいさんが自分の家、自分の
奥さん、自分のしあわせ、
そういうものすべてを捨てて
しまったことにつながるのか、
だれもはっきりとは説明
できなかった。
ただ、そうだとしか
思えなかったのだ。


これですね。

この謎を解いてみたら、どうでしょう。


👉 かわりに「説明」してあげよう

「ぼく」らが説明できなかったこの
「どういうふうに…つながるのか」に、
自分なりの「説明」を考え出すんです。

むずかしいかもしれませんが、
とてもやりがいのある仕事でしょう。


ピピッとひらめいた人は、  sherlock-holmes-462957_640
その直感で書いていってもいいんですが、
できるだけ、全文をよく読み直して、
自分の直感が正しいかどうかを検証し、
ウラ(裏付け)をとりましょう。

本文中に手がかりはたくさん
埋め込まれているはずですから。

逆に言うと、全然ひらめかない人も
じっくり読み返しながら、
そういう手がかりを一つ一つ
拾っていけば、きっと「なるほど」と
思える推理が構成されていくはずなんです。



👉 『野火』の主人公も一般女性を射殺

ん? でもやっぱりむずかしい?

手がかりが見つからんし、
考えても分からん?

その場合、いちばんいいのは
『夏の庭』のおじいさんのような
戦争を体験した人に話を聞いて、
その情報を入れ込むという手ですが、
まあそれも、なかなか機会が
ないかもしれませんね。


となると、残った方法は、 野火grass-fire-807388_640
そのような戦争体験を別の本に
求める、ということですね。

そのようなホントして最高のものに
大岡昇平の『野火』(1952)があります。

その主人公「私」こと田村上等兵は、
戦場で現地の一般女性を射殺する、
という『夏の庭』のおじいさんと
とてもよく似た経験をします。

田村がその後どう考え、どうなったかは、
おじいさんの「その後」を考える上で、
きっと参考になるでしょう。

『野火』にかんしては、こちら参照してください。

大岡昇平 野火のあらすじ:映画原作小説を簡単/詳しくの2段階で


『夏の庭』と『野火』の比較論
ということにしても立派な感想文に
なりそうですし、いっそのこと
(可能なら)主題を変えて『野火』の
感想文にしちゃってもいいんじゃ
ないでしょうか。

ともかく1990年代の『夏の庭』は、
半世紀(50年)近い歳月のスパンをもつ
「戦争文学」として読めるわけですから、
そこが一つの突っ込みどころとなります。

当ブログでは『野火』以外にも、
「戦争文学」関連の記事がありますので、
どれかを参考にしてもらえたらと思います。

原民喜 夏の花で感想文:夢が交錯する”超現実派”の文体を解説
黒い雨(井伏鱒二)で読書感想文∥今村昌平映画も参考に
火垂るの墓で感想文☆原作(野坂昭如)はアニメとどう違う?
江戸川乱歩 芋虫で感想文◎◎映画『キャタピラー』も鑑賞して

        芋虫 caterpillar-564543_640


ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、
日本と世界の種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


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