サンタは日本にいつから?第1号は侍サンタ!明治の英語教科書には?

サンタは日本にいつから?第1号は侍サンタ!明治の英語教科書には?

サクラさん
クリスマスイブになると
日本中にサンタクロース
があふれかえるわけです
が、これっていつごろ
からの現象なんですか?

ハンサム 教授
それはおそらく昭和の
後半からでしょうが、
サンタの出現自体は明治
のことと思われます。


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サクラさん
で、その姿は今と同じ
赤と白の…❓

ハンサム 教授
いや、それが最初は
サムライ姿で登場した
らしいんです。

サクラさん
オ~(叫び) それでは
チョンマゲつき?

ハンサム 教授
でしょうね;^^💦

でもその後、中学校で
使われた英語教科書は
米国製で、今の私たちが
知っているサンタさんが
挿絵にも描かれてます。

サクラさん
それは、一見の価値が
ありそうですね。


というわけで本日のテーマは、いわゆる
“サンタ・クロース”は日本にいつから
いるのか。

また日本に入ってきたころはどんな
様子をしていたのか…

等々の疑問にお答えしてまいります。




内容はザッと以下のとおり。



侍サンタ 三太九郎

さて、そもそも「サンタクロース」自体が
いつ日本に初上陸したかと言いますと、
記録としては、明治7年(1874)、東京
築地にあった第一長老教会のクリスマス
祝会に登場したのが第1号サンタ…、
ということになっているようです。

ただこのサンタさん、「裃をつけ、
大小を差し」た「サムライ風の身拵へ
厳しき」人だったようですが……。

その記録を載せている横田順彌さんの
著書『明治不可思議堂』には、
  (👇)

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明治31年(1898)刊行の『さんたくろう
という小説も紹介されていて、
これも日本化したストーリーで
なかなか面白いんです。

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キリスト教徒の農家の少年、峰一と
父とが雪の中で倒れていた旅人、
五平を助けます。

その後、父が病気になって家は収入が
なくなり、クリスマス・イブに峰一に
贈り物をすることもできません。

そこへ山のような贈り物を届けるのが
あの五平。

峰一が目覚めると、枕元には
こんな手紙が。

 よく神様の教へを守り、阿父
(おとう)さんを助けて旅人の
生命を助けた、誠に感心な
子でありますから、
此の贈り物を上げます。
  
 北国の老爺(ほくこくの
おやぢ)三太九郎(さんたくろう)

  峰一殿

    

ラストはみんなで

「クリスマス万歳!日曜学校万歳!」
「三太九郎万歳!三太九郎万歳!!!」

と三唱して結びとなります。

このことからもわかるとおり、
教会の日曜学校の教材として
書かれたもののようです。

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「サンタ」は子が親に教えた?

というようなわけで、”サンタクロース”の
存在は明治の日本人に知られていなかった
とはいえないわけですが、上記の2例は
いずれもキリスト教徒の間でのこと。

信徒以外の一般の日本人がどれほど
知っていたかということになると…
これはなかなかむずかしい問題で、
ご存知の方にはぜひご教示を仰ぎたい
ところです。


まあ、徐々に(あるいはある時期、
急速に)広く知られるようになり、
「サンタが贈り物を届けに来る」という
物語(はっきりいえば「嘘」ですが)も
それにともなって一般家庭に浸透して
いったのでしょうね。

    


ここで一つ考えられるのは、この
「サンタ物語」、明治期にあっては、
むしろ子どもが親に教えるという場合も
多かったのではないか、ということです。


教育の普及が急速に進展する時代においては
むしろ子どもの方が、学校で吸収した知識を
親に授けるという逆転現象がしばしば発生
しますが、「サンタ物語」も、そのような
逆=教育の形で一般家庭に受容されて
いったのではないか。

まあこれは私の憶説ですが、根拠を示せ、
といわれるならば、まったくない
わけでもありません。

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明治の英語教科書に出るサンタ

それは、明治・大正期、日本全国の中学校で
最も広く用いられていた英語教科書、
National Readers 2 のワン・レッスンに
“A CHRISTMAS STORY”というお話が
あって、そこでまさにこの「サンタ
物語」が主題化されていることです。

ちなみにこのNational Readers 2
少年時代は英語嫌いだったと称するあの
夏目漱石も家で兄に「ナシヨナルの二位
(ぐらゐ)」まで仕込まれたと回想している
(漱石の談話「落第」)、その教科書に
ほかなりません。

   IMG_20141028_0001
   National Readers 2 表紙


IMG_20141110_0001
Lesson 48 “A CHRISTMAS STORY”(左頁下の脚注に注意)


良い子だったか、サンタはお見通し

私が所持しているNational Readers 2
奥付に「明治三十年六月十八日印刷/発行」
とあるものですが、このレッスンの開始
ページ(上の写真、左側)にある脚注は
下記のとおり。

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Christmas  
毎年十二月廿五日ニ執行ス、
基督教国ニテ老幼ノ之(これ)ヲ
楽ミ待ツガ如シ.
Santa Claus此祭日ノ前夜小児ノ
寝床ノ近辺ニ靴足袋ヲ置キ
翌朝之ヲ見レバ種々ノ贈物其内ニ
アリ、小児等 Santa Claus
来リテ之ニ入レ置ケリト信ズ、
実ハ父母ノ之ニ入レ置キシナリ.

   

つまりこんな注が必要だったということは
一般にはまだ知られていなかったことを
示していますよね。

若い人がこうして学校や本で知って親に
教え、ウチでもやるべきだと主張した
かもしれません。

「んな毛唐の真似なんざ、するこたねえだ」
と却下されて、その後自分が親になって
から実践したかもしれませんし……

という時代の変遷を映し出す
1コマともいえますね。

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さて、この”Lesson 48 : A CHRISTMAS
STORY”は、クリスマス・イブに、ある
家のママが小さなミリーとメイの姉妹を
寝かしつけながら話す言葉が作品の大半を
占める、という構成になっています。

  IMG_20141120_0004
  煙突を下りてきたサンタ
  (National Readers 2 第48課の挿絵から)


小さい子がぐっすり眠ると、
サンタさんが煙突から大きな袋を
もって入ってくるのよ。

サンタさんは、たくさんの子どもを
見てきてるから、子どもの閉じた
目が開いてたときに優しかったか、
その口から悪い言葉が
出なかったか、
ちゃんとわかるの。

今夜ミリーを見て
こう言うでしょう。

『この子の手は今休んでるが、
メイのおもちゃを片付けて
あげたし……』

〔そのほかこの日「ミリーの手」が
した良いことを列挙し、つづいて
妹のメイを見て言う〕

『この子の口はキスでいっぱいで、
手もじきにおもちゃの片付け方を
覚えるだろう』

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最後にサンタさんはママの
ところへ来て、

『この子たちが優しい良い子で
ないとママの顔は幸せそうで
なくなるだろう。

靴下におもちゃを入れ、椅子の上に
絵本を二冊置いとかにゃならんな』

      

それからママは靴下を吊るし、
二人の子が寝つくまで見守ります。

“In the morning the story
came out true.”

(朝、お話は現実になっていた)

というのが最終行。

どうです、なかなかいいと思いません?

    サンタ煙突Santa_enters_chimney_1910

まとめ

サンタという「嘘」を隠そうとやっきに
なるより、この”A CHRISTMAS STORY”
でも『さんたくろう』でも、またそれらを
ヒントに自分なりに創作したお話でも
よいので、話してあげてみては
どうでしょう。

ただその場合、ママ・パパの
本気度が必要です。

「サンタはいる。(すくなくとも)きみの
心のなかに」と目で語れば、その
“ほんとう”さはきっと伝わりますよ。
👉サンタクロースとはいったい誰なのか?
という問題をめぐってはこちらもどうぞ。

サンタクロースはクリスマスと関係ない?サンタ自身の回答は?

クリスマスプレゼントは靴下にって、なぜ?サンタの答えは?

   


👉上でふれた英語教科書にかんしては
こちらの記事を御覧ください。

クリスマスツリーの木はもともと何?漱石も読んだ英語教科書に学ぶ

サンタへの手紙を正調の英語詩で!漱石も読んだ教科書から

   クリスマスツリー211114230230_0006


👉夏目漱石の作品やエピソードに関心の
ある人はこちらもご覧くださいね。

夏目漱石のおすすめの本は?小・中学生からシニアまで人生経験の段階別

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それではみなさん、メリークリスマス!


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