斜陽(太宰治)のあらすじ 簡単/詳しくの2段階で解説


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズも
大台に迫る第98回となり、
「あらすじ」暴露サービス第63弾。

今回はいよいよ取っておき、太宰治の
名作『斜陽』(1946)に挑戦です。



さて、一口に「あらすじ」をといっても、
話の骨子だけでいいという場合から、
読書感想文を書くんだから
分析・解説つきの詳しいものがほしい、
という場合まで、千差万別でしょう。

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そこで出血大サービス((((((ノ゚⊿゚)ノ

「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ~~(^^)у



ごく簡単なあらすじ(要約)

まずはぎゅっと要約した
「ごく簡単なあらすじ」。

終戦後、華族の身分を失った
29歳のかず子とその母は、
東京の家を売って伊豆の山荘で
暮らしている。

出征していた弟の直治は
帰還したものの阿片中毒で、
東京へ行ったきり。

かず子は6六年前、直治に
頼まれて届けたものをした際、
小説家の上原にキスされていた。

そのことも絡み、死産もあって、
夫とは離婚に至っていた。

日没images

その上原にあて、かず子は
「私は私の恋をしとげたい」
「あなたの赤ちゃんを生みたいのです」
といった内容の手紙を3通書くが、
返事はない。

それでも「人間は恋と革命のために
生まれてきたのだ」と考える。

母は病死し、かず子は
東京の上原を訪ね、一夜を明かす。

その朝、直治が自殺。

懐妊したかず子は上原への手紙に
「古い道徳を平気で無視して、
よい子を得たという満足」がある、
「こいしいひとの子を生み、育てる事が
私の道徳革命の完成」だ、と書く。


どうでしょう?

え? なんだかよくわからん?
なんでそうなるのか……

まあ、そうかもしれません。

この小説、ストーリーよりむしろ
文章と言葉、イメージの一つ一つを、
じっくりと味わってはじめて「良さ」が
しみてくるというタイプの小説……
その最たるものなんでしょうから。

     鉛筆images

それにまあ、感想文を書くとなれば、
やはり文章がないとお話になりませんね。

ハイ、そういうわけで、やっぱり
「やや詳しい」ヴァージョンの
「あらすじ」を読んでいただくほかない、
ということになります。



やや詳しいあらすじ

では始めましょう。

この作品、「一」から「八」までの
8章構成ですが、2章ずつひとまとめに
して「起・承・転・結」の4部に分けると
わかりやすいと思いますので、以下では
そのように進めます。

下線部は原文では傍点の振られた部分。

「 」内と「”」印の囲みは原文の引用で、
太宰の名言として知られるように
なったものを含んでいます。

【起】(一・二)

終戦後、華族の身分を失った「私」
(かず子)とその母は、東京・
西片町の家を売り払い、伊豆の
山荘での暮らしを始めていた。

父は10年間に病死し、文学青年で
「不良」みたいになっていた弟の
直治は、大学の中途で召集されて
南方の島へ行ったきり、終戦後も
消息がない。

  

ある日、近所の子どもたちが    
10個ばかりの蛇の卵を見つけ
「蝮(まむし)の卵だ」というので、
「焼いちゃおう」と提案して実行する。

これについて母が「可哀そうな
事をする人ね」といったのは、
父の最期にも蛇に出会って以来
蛇を畏怖するようになっていたから。

その日、庭に何度も現れた蛇
(蝮ではない)を私は「卵の母親」
と思い、自分の母に似ているとも思う。

そうして私の胸の中に住む
蝮みたいにごろごろして醜い
蛇が、この悲しみが深くて
美しい美しい蛇を、いつか、
食い殺してしまうのでは
なかろうかと、なぜだか、
そんな気がした。

これ以降、全編にわたって、
かず子はしばしば自らを蛇に
重ねて語っていきます。

ヘビ頭 Leopard-Gecko-s

ボヤを出して騒ぎになり、近所の女性
から「宮様だか何様だか知らない
けれども」などと厭みをいわれる。

そんな経験も重なって「私の胸に
意地悪の蝮が住み」はじめ、さらに
「粗野な下品な女にな」るように思う。


しばらくして母から、直治は無事に帰還
したものの「かなりひどい阿片中毒」
らしいという話を聞く。



【承】(三・四)

 
直治が伊豆の山荘に帰宅し、今夜は
三人で直治を真ん中にして寝よう
と母がいい、私は泣きたくなる。

このあたり、母が直治を自分より
深く愛しているという「私」の
ひがんだ意識が底流するようです。

その直治は、母から金をもらって
東京へ行き、帰ってこない。

直治の荷物から「夕顔日誌」と題した
ノートを見つけ、拾い読みする。

歴史、哲学、教育、宗教、
政治、経済、社会、そんな学問
なんかより、ひとりの処女の
微笑が尊いという
ファウスト博士の勇敢なる実証。
学問とは虚栄の別名である。
人間が人間でなくなろうと
する努力である。

「ファウスト博士」が出た直後には
ゲーテへの言及もあり、また小説の
後半には「メフィスト」も出ます。

もちろんゲーテの『ファウスト』を
踏まえたもの。詳しくはこちらを。

ゲーテ ファウストのあらすじ:名言「時よ止まれ」の意味は?

      Jesus Christ and Satan the Devil
      ファウストとメフィストフェレス

不良でない人間が
あるだろうか。
〔中略〕
人から尊敬されようと思わぬ
人と遊びたい。
〔中略〕
「ママ! 僕を叱って
ください!」
「どういう工合に?」
弱虫! って」
「そう? 弱虫。
もう、いいでしょう?」
 ママには無類のよさがある。
ママを思うと、泣きたくなる。
ママへのおわびのためにも、
死ぬんだ。


「夕顔日誌」を閉じた私に
6年前がよみがえる。

すでに麻薬中毒だった直治に頼まれて
小説家の上原二郎に金を届けた際、
飲んでいる上原とすこし話してから、
階段を上る途中でキスされた。

     90f55aab9b18ba1f5d90bc9565bb8bbd_s           

それが私の「ひめごと」で、
ひとりタクシーに揺られながら
「私は世間が急に海のように
ひろくなったような気持ちがした」。

そのころ妊娠していたが、夫につい
「私には、恋人があるの」と
言ってしまう。

夫はそれを、結婚前の私が憧れを
公言していた「細田」のことと誤解し、
結局、死産を経て離婚に至った。

「夕顔日誌」の「不良」のくだりを
思い、自分も母も「不良みたいに」
思われてくる。

「不良とは、優しさの事では
ないかしら。」

以上が「三」で、「四」はすべて
かず子から上原にあてた3通の手紙から成っています。


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【第1信】

私は「女大学」にそむいても、
いまの生活からのがれ
出たいのです。
〔中略〕
私が前から、或るお方に恋を
していて、私は将来、その
方の愛人として暮らすつもり
だという古都を、はっきり
言ってしまいたいのです。
〔中略〕
私は前から、何か苦しい事が
起こると、そのM・C
ところへ飛んでいきたくて、
こがれ死にをするような
思いをして来たのです。
〔中略〕
私はその奥さまのことを
考えると、自分をおそろしい
女だと思います。
けれども〔中略〕鳩のごとく
素直に、蛇のごとく
慧(さと)く、私は私の恋を
しとげたいと思います。

上原二郎様(私のチェホフ。
マイ・チェホフ。M・C

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【第2信】

作家に恋しているのでは
ありません。
文学少女、などとお思いに
なったら、こちらも
まごつきます。
私は、あなたの赤ちゃんが
ほしいのです。
〔中略〕
私には、常識という事が、
わからないんです。
すきな事が出来さえすれば、
それはいい生活だと思います。
私は、あなたの赤ちゃんを
生みたいのです。

     57bc7ad5853a4838c2ab9b6d1104b05b_s

【第3信】
直治の「師匠さん」は「札つきの不良
らしいわ」というと、母いわく
「札つき」なら安全でいい、「札の
ついていない不良がこわいんです」

うれしくて、うれしくて、
すうとからだが煙になって
空に吸われて行くような
気持ちでした。
〔中略〕
このような手紙を、もし
嘲笑するひとがあったら、
そのひとは〔中略〕女の
いのちを嘲笑するひとです。

私は港の息づまるような 
淀んだ空気に堪え切れなくて、
港の外は嵐であっても、
帆をあげたいのです。
憩える帆は例外なく汚い。

              ヨット sea-67911_1280  


【転】(五・六)

 
上原から返事はなく、置き去りの私は
「悽愴の思いに襲われた」。

ローザ・ルクセンブルグの『経済学
入門』を読み、十二年前に急進的な
友から「あなたは、更級日記の少女
なのね」と見捨てられたことを追憶。

「革命と恋」を大人たちは
「最も愚かしく、いまわしい
もの」と教えてきたけれども、

革命と恋も、実はこの世で最も
よくて、おいしい事で、
あまりいい事だから、おとなの
ひとたちは意地わるく私たちに
青い葡萄だと嘘ついて教えて
いたのに違いないと思う
ようになったのだ。
私は確信したい。   
人間は恋と革命のために
生まれてきたのだ。


     a487b50ac11455c5d5ec066f5ee6f9af_s   

母の病状が進んで死期が近いと知ると、
私は「みごもって、穴を掘る蛇の姿」
を思い描き、自分が「油断のならぬ
悪がしこい生きもの」に変わって
ゆくように感じる。

直治と私に見守られ「日本で最後の
貴婦人だった」美しい母が息絶える。


「戦闘、開始」とばかりに、直治に
留守番させて上京し上原の家を訪ねる。

のんきに笑う妻と顔を会わせると
「ぐらぐら烈しく動揺」もしながら、
教えられた飲み屋へ行き、仲間と騒ぐ
「一匹の老猿」のような上原を見る。


二人きりになって、手紙なら「見た」
と答えた上原は「僕は貴族は
嫌いなんだ」と話しはじめる。

「今でも、僕をすきなのかい」
「僕の赤ちゃんが欲しいのかい」
という問いに答えないでいた私は、
いきなり「性欲のにおいのするキス」
を受け、「屈辱の、くやし涙に
似ているにがい涙」を流す。

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あてがわれた部屋で寝ていると  
いつか上原が入って来て、私は
「一時間ちかく、必死の無言の
抵抗」を試みたものの、
「ふと可哀そうになって、放棄した」。

「かなしい、かなしい恋の成就」。



【結】(七)

その朝、直治が長い遺書を残して自殺。

人間は、みな、同じものだ。
この不思議な言葉は、民主主義
ともマルキシズムとも全然
無関係のものなのです。
それは、かならず、酒場に
於いて醜男(ぶおとこ)が
美男子に向って投げつけた
言葉です。
〔中略〕
僕は、遊んでも少しも
楽しくなかったのです。
〔中略〕
貴族に生まれたのは僕たちの
でしょうか。
〔中略〕
僕は、もっと早く死ぬべき
だった。
しかし、たった一つ、
ママの愛情。
それを思うと、死ねなかった。

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懐妊した私から上原への
【第4信】

私の一筋の恋の冒険の
成就だけが問題でした。
〔中略〕
私には、古い道徳を平気で
無視して、よい子を得たという
満足があるのでございます。
〔中略〕
こいしいひとの子を生み、
育てる事が私の道徳革命の
完成なのでございます。
〔中略〕
M・C マイ・コメディアン






まとめ

さあ、いかがでした。

だいたいのストーリーはよく
おわかりいただけましたね。

でも登場人物の言ってることの
内容がなんだかよくわからない…

だから読書感想文やレポートも
書けない?

それでしたら、こちらの記事も
見ておいてくださいね。

斜陽(太宰治)の感想文を簡単に 🌄 【800字の例文つき】

   

『斜陽』以外の太宰作品に
ついては、これらの記事も
参考にしてください。

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ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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