吾輩は猫である(夏目漱石)で感想文:魯迅も学んだ「人間批判」

 


吾輩は猫である。
名前はまだない。どこで生まれたか
とんと見当が……

いや、挨拶は抜きにさせてもらうが、 猫男kadnip_medium

本日はなんとその吾輩が
吾輩を生み出した母胎にほかならぬ
夏目漱石先生作『吾輩は猫である』
(1905-06)での読書感想文の書き方について
一言しようというんであるから、
まことに驚愕すべき天変地異である。

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つまり当ブログ「感想文の書き方」シリーズの
第105回として、今回はお前がやれ、
とのサイ象君からの指令なんである。

言うまでもあるまいが、
感想文を書くというからには、
作品を読んでおるということが前提となる。

たとえばこの文庫本などで目を通して
おかれたい。



なに? 長すぎる?

しかも言葉がむずかしくて
とても読み通せん?

うーむ、やむを得ん。

そのような場合は、こちらで「あらすじ」を
仕入れておかれたらよかろう
夏目漱石 吾輩は猫であるのあらすじ:簡単/詳しくの2段階で



👉 魯迅『狂人日記』の源泉?

さて、感想文である。

博識なる吾輩といえども、
なにしろ吾輩自身が主人公兼
語り手の小説なんであるから、
かえってやりにくいというか
むしろ難しいのであるが……

そうだ、そういえば諸君は
かの中国で文豪と崇められるに
至った、かの魯迅君をご存じかな?

名前だけは?

よろしい。
その魯迅君は若き日、医学生として
日本に留学していたんであるが、
そのころからの愛読書が漱石、
とりわけこの『吾輩は猫である』であった。

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で、後世、この魯迅君の   
歴史的名作『狂人日記』が中国に
衝撃を与え、日本語訳も出たので
吾輩もさっそく一読したのであるが、
すっかり目を丸くしてしまった(◎◎)。

なんだこれは、『吾輩は猫である』の
パクリといっては言い過ぎであろうが、
方法を学んでいることは間違いない、と。

つまり『狂人日記』の衝撃力は  866c4d06c7079278d3cbad65b7a0fe38_s
一般人からは遊離した「狂人」
という視点から通常の社会を見て
その不合理さ・愚劣さを嘲罵する
ところにあるわけだが、これはまさに
『吾輩は猫である』で吾輩が猫の
視点から人間社会を見てやりまくった
ことと構造がそっくり同じなのである。


いや、魯迅君を難ずるつもりはない。

この『狂人日記』で口火を切ることが
なければ、魯迅文学のその後の
進展もなく、したがって中国文学の
近代化もどれほど遅れたか分からん
のであるから。

ともかく魯迅はすぐれた作品を多く残した。

こちらの記事を参照されたい。

故郷(魯迅)のあらすじと主題…簡単/詳しくの2段階で


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👉 猫の目による人間批判

いや、もちろん吾輩は魯迅について
書けと申しておるのではない。

魯迅君が学んだこの構造に
目をつけてはどうか、と
提案したいんである。


この着眼をもって読み直すならば、
材料は第一章からふんだんに
出てくるので、辛い思いをして
最後まで読み通す必要も、
実はないんである。

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たとえば10ページも読まないうちに
「筋向(すじむこう)の白君」やら
「隣の三毛君」やらの話として
さっそく人間社会の批判が出てくる。

「玉の様な猫子を八疋」生みながら、
たたちに裏の池に棄てられた
白君は涙ながらに
「我等猫族が親子の愛を完くして
美しい家族的生活をするには人間と
戦って之を剿滅せねばならぬ」
と訴える。

三毛君はまた「人間が  003203
所有権という事を解して居ない」」
と憤慨するが、
車屋の黒君も同様の不満を持ち、
「人間てものあ体(てい)の善い
泥棒だぜ」と、自分の取った鼠が
片端から取り上げられることに怒る。

こんな調子で、猫の視点から
人間社会の矛盾や不合理を風刺する
文章がふんだんに出てくるので、
それらのどれかを採り上げて、
自分の思うところを書いていけば
よいと思うが、いかに。



👉 黒君との対話に何を読むか

ところで、この黒君と吾輩の対話は、
上記の着眼とは別の意味で
なかなか面白い。

一体車屋と教師はどっちがえらいだろう。

車屋の方が強いに極まって居らあな。
御めえのうちの主人を見ねえ
丸で骨と皮ばかりだぜ。

君も車屋の猫丈に大分強そうだ。
車屋に居るとご馳走が食えると見えるね。

何におれなんざどこの国へ行ったって
食い物に不自由は…〔中略〕

然し家は教師の方が車屋より   084120
大きいのに住んで居る様に思われる。

篦棒(べらぼう)めうちなんか
いくら大きくたって腹の足し
なるもんか。


いませんかな、あなたのまわりにも。

「えらい」から「強い」へ、
「大きい」から「腹の足し」へと
相手の言葉を強引に自分の文脈に
ねじ込んでしまう御仁が。

黒君の場合は、脳味噌が足りないので
無邪気にそうなってしまうのだと思うが、
なかには故意にこれをやる人間もおる。

その意味で、この一節ももちろん
人間観察・人間批判の文章といえる。


これに類した文章を見つけ、
自分の経験に引き寄せて
なんらかの「自己反省」につながる
文章を書いていければ、
優良感想文の一丁上がり((((((ノ゚⊿゚)ノ
と思うが、どんなものであろう。



👉 まとめ

さあ、これで感想文もなんとか
仕上げられるんではあるまいか。

何? もう少し別の視点がほしい?

それなら、吾輩の書いた漱石論として
こんな記事もあるので、ぜひ参照されたい。

漱石の名言でたどる恋愛笙。『吾輩』猫が読み直す『こころ』etc.

また漱石先生に関しては、ほかにも
これだけのランイナップがあるので、
参照されるとよかろう。

夏目漱石 坊っちゃんのあらすじ&簡単なポイント解説
夏目漱石 草枕:冒頭の名言を意味付きで解説「智に働けば…」
夏目漱石 夢十夜の第一夜をこう解釈笘關€ 美しい短篇で感想文を!
漱石 三四郎で感想文:美禰子の愛は?”無意識の偽善者”とは?
門(夏目漱石 )の簡単なあらすじと小論文へのヒント
夏目漱石 こころ:”感想は書かない”感想文《虎の巻》
漱石『こころ』のお嬢さん問題と河合奈保子「けんかをやめて」
漱石の「月が綺麗ですね」の出典を求め、「朝顔に」の俳句へ

                 バケツ猫Smile-Cat-s
さあ、もう書けるかな?

ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからん( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを覗いてみられるがよい。

当ブログでは、
日本と世界の種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しておるので、
こちらのリストから探されるとよい。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく諸君の健闘を祈る次第である。

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