パノラマ島奇談のあらすじ 江戸川乱歩最高傑作をネタバレありで結末まで | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

パノラマ島奇談のあらすじ 江戸川乱歩最高傑作をネタバレありで結末まで

やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズもはや第87回。
「あらすじ」暴露サービスとしては
第54弾となります。

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今回は江戸川乱歩の最高傑作!
……との評価もある『パノラマ島奇談』
(1926-27。「奇譚/綺譚」の表記もあり)。
  

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さて、これからその「あらすじ」を
お届けするのですが、その「すじ」を
どの程度詳しく知りたいかは(ネタバレ
されたくないかどうかを含め)、人により
まちまちでしょう。

そこで出血大サービス!

「簡単」版と「やや詳しい」版の
2段階でお届けしますよ~。


簡単なあらすじ

まずはごく簡単なあらすじから。

売れない作家の人見廣介(ひとみ
ひろすけ)は、大学の同級生で自分と
瓜二つだと言われたことがあり、
今やM県随一の大富豪の菰田源三郎が
癇癇(てんかん)で死んだと知る。

癲癇死には蘇生の例があること、また
菰田の郷里では土葬が続けられている
ことを知った廣介は、自分が菰田として
生き返って莫大な財産を横領し、
それによって壮大な楽園を
創造しようと考える。

廣介はまずM県の菰田家や墓の様子を
調査してから、東京へ戻って客船から
身を投げて偽装自殺。

それからM県へとって返して墓を暴き、
菰田源三郎の死体は隣の墓の下に埋葬
しなおし、自分は源三郎になりすまして
菰田家に入り込む。

やがて菰田家の資産を次々と売却して
作った資金で、彼の理想郷である
「パノラマ島」の建設に着手。


英訳『パノラマ島奇談』表紙


源三郎の妻、千代子はまだ22歳の
美人だが、自分が実は源三郎でない
ことを見抜かれはしまいかと怖れて、
体の接触を避けてきた。

が、工事がほぼ完成すると、祝いの
酒宴で泥酔して千代子と事に及んで
しまった廣介は、翌朝、千代子に
別人と見抜かれたことを知る。

千代子の殺害を決意した廣介は、
彼女を島へ誘いこみ、二人でまず
入り込んだのは「上下左右とも海底を
見通すことのできる、ガラス張りの
トンネル」で、そこには悪夢のような
光景が演出されている。

青ざめた千代子に廣介は、それらは
作り物で、要は目の錯覚を利用した
「パノラマ」だと説明するが、その夜、
千代子が、夫には「あなたのような
恐ろしい才能」はなかったと告げると、
廣介は、必死に千代子を絞殺(ドクロ)


スペイン語訳『パノラマ島奇談』表紙


島の雇い人の一人、北見小五郎の様子を
不審に思った廣介が、何を考えている
のかと尋ねると、以前読んだことのある
人見廣介の短編小説『RAの話』の
ことだと答える。

廣介は関係を否定するが、北見は、
今あるパノラマ島の情景のほとんどが
この小説に描かれていると指摘し、
人見廣介はあなただと追い詰める。

さらにハンマーで柱を打ち壊すと、
そこから千代子の死体が現れ(叫び)…

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いかがでした。

これでおおよそ、どんな小説かは
わかりましたよね?

ん? でも大詰め近く、北見にすべてを
暴かれた人見廣介は結局どうなって
しまうのか❓


まあ、そこまで書いてしまうと完全
ネタバレになりますので、とりあえず
遠慮しておきました。

というわけで、その結末を含め、全体を
よく理解したいという人はやはり
はじめから「詳しいあらすじ」を
辿り直す必要があるのですね;^^💦


かなり詳しいあらすじ

それでは、始めましょう。

ここではネタバレを避けるという
姑息な配慮は一切せず、ストーリーは
惜しみなく全開しますので、結末を
知りたくない人は絶対に読まないで
ください
(◎◎)💦


もともとは雑誌『新青年』に5回にわたって
連載されたもので(このときの編集者が
横溝正史)全25章から成っていますが、
わかりやすさのため、これら各章を
「起・承・転・結」の4部にたばねて
記述していきますね。


🎡【起】(一~五)

人見廣介(ひとみひろすけ)は、
大学を出たあとも定職に就かず、
翻訳や売れない小説を書いてきた
「三文文士」。

「芸術とは『自然』に反抗して、
それに『人間各個の個性』を付与したい
という欲求だ」という哲学のもと、
「極端な夢想」を繰り広げている。

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ある日、今はM県随一の大富豪、
菰田源三郎の死を知るが、
この菰田は大学の同級生で、
自分と瓜二つだと話題になった人物。


菰田の死因は「癲癇(てんかん)」
だったが、癲癇で死んだ者が棺桶や
墓の中で息を吹き返す例もあるという
話をどこかで読んだ記憶があった。

さらに菰田の郷里では土葬の伝統が
守られていると知ると、廣介の脳裏に
ある夢想が浮かび、それがやがて
実現を目指す壮大な計画となる。


それは、蘇生した菰田を装って菰田家に
入り込み、その莫大な財産を使って
「夢想」通りの楽園を創造すること。

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🎡【承】(六~一三)

廣介はまず変装してM県へ行き、
菰田家や墓の様子を調査した上で、
東京へ戻って客船から身を投げて
偽装自殺。

それからM県へとって返して墓を暴き、
菰田源三郎の死体は隣の墓の下に埋葬
しなおし、自分は蘇生した源三郎に
なりすまして、菰田家に入り込む
ことにまんまと成功する。

  

やがて蘇生騒ぎのほとぼりが
冷めたころ、廣介は株券や不動産など
菰田家の資産を次々と売却して
作った資金で、彼の理想郷である
「パノラマ島」の建設に着手。

M県S郡の南端にある小島「沖の島」を
購入し、膨大な量の樹木や草花、
コンクリートや鉄骨の建材が
運び込まれる。


「夢想」を実現しつつある廣介の唯一の
憂慮は、源三郎が遺していったまだ
22歳の美しい妻、千代子に、自分が
源三郎でないことを見抜かれて
いるのでは(゚_゚i)…ということ。

廣介が千代子に強く惹かれながら、  
からだの接触を避けてきたのも実は
この憂慮からだったが、そのことが
千代子には不審の種となって、蘇生後は
愛されなくなったと1年も悲しみ続ける。

少女Beauty-s

「沖の島」の工事がほぼ完成し、それを
祝う酒宴でつい羽目を外してしまった
廣介は、泥酔状態を介抱してくれた
千代子と事に及び(明記されていない
ものの、そう受け取るしかない)
、翌朝、
千代子に見抜かれたことを知る。

「彼のからだには亡き源三郎と違った、
何かの特徴があったのです」
(((゜д゜;)))。

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🎡【転】(一四~二三)

千代子の殺害を決意した廣介は、
「島の上でしばらく
いっしょに
暮らしたい」と妻を誘う。

廣介を「疑い恐れ」ている千代子は、
はじめ拒みながら「やっぱり彼に
愛着を感じていた」から、とうとう
承諾して、ともに出かける。


廣介の方でも、殺すことに決めは
しながら、千代子への愛はむしろ
つのるばかり。

心の底では惹かれあいながらも、
決して交わることのない恋を胸に
島に到着した男女が、まず入り込むのは
「上下左右とも海底を見通すことの
できる、ガラス張りのトンネル」。

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種々雑多な魚類、海草、岩石や  
ガラス板一杯に吸い付く大ダコ、
遠方は怪物がひしめき合う悪夢のよう。

この光景に青ざめた千代子の手を
廣介が引いて進んでいく。

見上げるような山や目のくらむ谷、
どこまでも続く黒い森、若い男女が
戯れる青い草原……

が、それらは作り物や雇い人の演技に
すぎず、要は目の錯覚を利用した
「パノラマ」なのだと廣介は説明する。

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現れた2羽の大きな白鳥の背に乗って
行くと、幾十人もの全裸の男女が
アダムとイヴの鬼ごっこのように
遊んでおり、到着した「巨大なる花の
すり鉢の底」では、千代子もいつか
知らず脱衣していて、羞恥心など
ないまま、快い湯に浸かる。


夜が訪れ、ふと我に返った千代子は
廣介への「疑いと恐れ」を口にする。

「源三郎はあなたのような恐ろしい
才能を、まるで持っては
いませんでした」
    
見抜かれて高笑いした廣介は、
自暴自棄の調子でこう告げる。

お前を可愛く思う気持ちは
「いっそお前といっしょに死んで
しまいたい」と思うほどだが、
「パノラマ国」の完成を見ずには
死ねない。

だから「お前を殺すほかに
方法はない」と。

なんでもあなたの言うとおりにする、
親も兄弟もあるから「殺さないで」
と哀願する千代子は、首に噛みついて
抵抗するも、ついに絞殺される(ドクロ)。

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🎡【結】(二四~二五)

島の雇い人の一人で、文学者だともいう
北見小五郎という男が廣介の一挙一動を
見つめている。

不審に思った廣介が、何を考えて
いるのかと尋ねると、人見廣介の
短編小説『RAの話』のことを
考えていたと答える。

   

「自分は以前、雑誌の編集局にいたので
このボツになった小説の原稿を読んで
知っている」という北見は、「あなたは
人見さんから、この小説の筋などを
聞きましたか」と尋ねる。

廣介がこれを否定すると、北見は、
今あるパノラマ島の情景のほとんどが
この小説にすでに描かれていると指摘し、
あなたが人見廣介に違いないと断定。


続けてハンマーで柱を打ち壊すと、
そこから千代子の死体が現れ(叫び)、
これも『RAの話』に暗示されていた
とおりだ、と説明する。


菰田家の親族である東小路伯爵家から
派遣された者だという北見は、
墓荒らしと遺体の移動についても
証拠を固めていた。
      
観念した廣介は、30分の自由を所望。

      

やがて打ち上げられた巨大な花火は
廣介の五体を粉微塵に砕くものだった。

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感想文のネタ満載

さあ、どうでしょう。
楽しんでいただけましたか?

この作品、連載中は上記「あらすじ」の
【転】で多くのページをさいている
パノラマ島の夢幻的な描写が
退屈がられたという話です。

でも後に萩原朔太郎の賞賛を
勝ち得たのもまさにそのあたりの
超現実主義的描写あればこそ
に違いありません。
👉ともかく読書感想文を書くには
持って来い、その素材は満載の
小説ですよ。

詳しくはこちらをご覧ください。

パノラマ島奇談[奇譚]で感想文◎◎乱歩の夢見たテーマパーク


👉この大エンターテイナー乱歩の世界を
めぐってはかなりの記事を
書きためています。

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「探偵型」と「犯罪者型」と両方面の
才能を併せ持ち、自在に使い分けた
偉大なエンターテイナー、乱歩。

書けるネタはいくらでもあるはずですね。
👉当ブログでは乱歩以外にも日本と世界の
多様な文学や映画の作品について、
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