安珍清姫(道成寺)は女ストーカーの話だった!映画では若尾文子が怪演

安珍清姫(道成寺)は女ストーカーの話だった!映画では若尾文子が怪演

サクラさん
道成寺といえば桜餅
ですよね~(😸)。




ハンサム 教授
いやいや、それは
道明寺;^^💦

道成寺といえば安珍・
清姫でしょう。


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サクラさん
なんすか、それ?(🐱)

ハンサム 教授
美貌の青年僧安珍を
愛してしまった、
こちらも美女、清姫。

道のため逃走して
道成寺へ向かう安珍。

追う清姫はついに…

サクラさん
桜餅に変身?(🙀) 

ハンサム 教授
そう桜餅に…
なんでやねん;^^💦

歌舞伎や人形浄瑠璃の
舞台で大蛇に変身して
きたこの人が清姫。





サクラさん
オオ~(叫び) この清姫の
物語が道成寺伝説。

今でいえばストーカー
ですね、女の(😻)

ハンサム 教授
なんや、知ってたん
かいな(😹)


というわけで、おなじみ「あらすじ」
暴露サービスの第134弾、
(“感想文の書き方”シリーズ第193回)は

「道成寺(安珍・清姫)伝説」!

能や歌舞伎で古来さかんに上演されてきた
物語で、いろいろに変形されていますが、
一般に”道成寺もの”と総称されます。


能では『道成寺』(もとは『鐘巻』)、
歌舞伎では『京鹿子娘道成寺』『奴道成寺』
『二人道成寺』『男女道成寺』、人形浄瑠璃
(文楽)では『日高川入相花王』(ひだか
がわいりあいざくら)などタイトルも様々。

上田秋成『雨月物語』の「蛇性の淫」も
同じ物語のホラー化なんですね。

現代の絵本にも芸術的香気の
高いものが出ていますね。👇

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また、なんとオぺラにも。👇

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謡曲『道成寺』のあらすじ

さて「あらすじ」ですが、上で申しました
とおり、”道成寺もの”にはいろんな異本
(ヴァージョン)がありますので、どの
ストーリーを選ぶかも問題になります。

芸術性的香気という点では謡曲
(能の脚本)かなあ、という感じが
しますので、ここはこれで参りましょう。

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能楽師、高山清司さんの絵本『道成寺 
大蛇になった乙女』(上左の広告)の
文章に依拠して進めます。

  

この謡曲、作者は不詳ですが、世阿弥が
完成させたといわれる「複式夢幻能」に
近い形をとっていて、現在を語る【前場】
から過去を語る【後場】へ飛ぶ二場構成。

ただし、【後場】の終わりではまた
現在に戻る形となります。

この「あらすじ」ではその現在に戻った
最終場面を【結】とし、その前の主要な
部分を【序・破・急】に分けてみました。

“道成寺伝説”の大まかな筋なら、
この【序・破・急】の部分だけ読んで
もらえば、それでもOKです。


それでは参りましょう。

👉印で注釈を入れていますが、
不要と思われる場合は、飛ばしてください。


🐍【前場】

道成寺は、建立に尽力しながら事故死した
橘道成の名をとって天皇が名づけられた
寺だが、ある時から鐘がなくなっていた。

新たに作られた鐘のおひろめの日、
住職は、鐘の供養の間は女人禁制に
すると言い渡した。

  

手伝いの人々にご馳走がふるまわれて
宴もたけなわのころ、ある白拍子
(しらびょうし)が現れ、鐘の供養の
ために舞を奉納したいと言う。

その美しさにまどわされた寺男は彼女を
鐘楼に入れてしまい、白拍子は面白げに
寺の来歴を舞い語り始める…
👉白拍子は、平安時代末期から鎌倉時代に
かけて流行した歌舞の一種またはそれを
演ずる芸人。

主に男装の遊女や子供が今様や朗詠を
歌いながら舞ったもの。



うっとりと見守る人々が寝入ってしまうと
白拍子は突然おどり上がって鐘を鐘楼から
引きちぎり、その鐘の中へと消える(叫び)。

みなが目をさますと、鐘は落ち、
まっ赤に焼けている。

住職は人々を帰し、「女人禁制」の
由来について僧たちに語り始める。

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🐍【後場】

🐍【序】
昔、この国(紀州)の辺地に真砂
(まさご)の庄治という者がいて、
毎年、奥州より熊野詣でする若い僧を
気に入って家族同様に扱っていた。

庄治はまだ幼い娘に、冗談半分に
「この坊さんはお前の夫になる人だよ」
と言い、娘はこれを本気にしてしまった。
👉もちろんこの僧と娘が安珍と清姫なの
ですが、能には名前は出て来ません。

名前がついたのは後世のことで、伝説の
最初の記録『本朝法華験記(げんき)』
(11世紀)の「紀伊国牟礼婁郡の悪女」や
『今昔物語』(12世紀)の「紀伊国道成寺ノ
僧法華ヲ写シ蛇ヲ救フ語(こと)」にも
名はありません。

しかもこの「悪女」は、庄治の娘ではなく
未亡人などとされており、『御伽草子』
(室町時代)の「道成寺縁起」でも
「庄治のにて、相随ふ者あまたありけり」
とあります。

実話としてはオバサンだったんでは
ないでしょうか;^^💦


🐍【破】
何年かのち、例年どおり泊まりに
来て休んでいる僧のもとに娘が
忍び込んで、訴える。

「いつまで放っておくのか。
今宵こそ私を奥州へ連れ帰って」

  


驚いた僧は、その場は適当に言い
つくろって、夜のうちにここ
(道成寺)まで逃げてきた。

住職たちは相談して「女の一念は
あなどりがたい」からと、鐘を
おろしてその中に僧をかくまった。

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🐍【急】
だまされたと知った娘は、悔しさに
われを忘れて僧を追い、日高川では
大蛇に姿を変えて泳ぎ渡る(叫び)。



寺に着いて僧を探し回る大蛇は、
おりている鐘を怪しんで、これに
巻き付く。

大蛇が尾でたたくと、鐘はまっ赤に
焼け落ち、中に隠れていた僧も
黒こげの炭になってしまった。


娘は恋する男を失った悲しみから、
日高川に身を投げて死んだ。

この寺で鐘の再興をためらってきたのは
その「執心」がしみついているからだ。

     
     『道成寺縁起絵巻』より(上下とも)


🐍【結】(【前場】に戻る形)

話を聞き終えた若い僧から
「みなで心を合わせて娘の執心を
祈りのけ、鐘を再興させましょう」
と声が上がり、住職が祈とうを始める。

やがて鐘からぶきみな音と煙が出て
鐘が苦しげに踊りだし、引き上げると
大蛇と化した娘が怒り狂って
僧たちに襲いかかる。

    

が、僧たちの必死の祈りにだんだん
弱っていき、ついに自ら出す炎で
わが身を焼いて邪念のウロコをはがす。

最後の力をふりしぼって
日高川に身をおどらし、沈む。

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古来、能楽師の試練だった

というわけで、能の場合はやはり
ストーリーは単純化され、そのぶん清姫の
「執心」という主題にぐいぐい集中
していく感じが強いですね。


その表現のために古来、能楽師たちが
どれほどの心血を注いできたかを覗いて
いただくのに好適な、素晴らしい動画が
ありますので、ぜひご覧ください。

若手能楽師の塩津圭介さんの『道成寺』
初挑戦の模様を、稽古から本番まで
伝えたもので、冒頭部分では『道成寺
縁起絵巻』の画像もたっぷり
鑑賞できまます。

本番の上演は開始35分あたりから。

役者にとって危険な試練となる、
落ちてくる鐘の中に入り込む山場が
49分あたりですので、ぜひ
そのあたりまでご覧を。 👇



多様なジャンルに生きている安珍・清姫

ところで、「あらすじ」中の👉でも
ふれた『本朝法華験記』によれば、コトは
「醍醐天皇の御代、延長6年(928年)
夏の頃」。

地名も正確に記されていますから、
話のモトは実際に起こった事件に
違いないと思われますね。


そして青年僧の美貌もしっかりと記録
されているわけなんですが、これを追う
女性の方はどうかというに、特に美女と
されているわけではないようで……

まあ、もし美人で僧の方もその気になったと
すれば、還俗(僧をやめる)という選択肢も
あったはずなので、必死こいて逃げなくても
よさそうなんですよね……;^^💦

   


でも伝説が物語になっていくと、それは
もちろん「美しい」ということにした方が
盛り上がりますから、やはりそうなります。

能でも、清姫の化身ともみられる白拍子は
寺男たちを惑わす美しさですし、歌舞伎や
人形浄瑠璃でももちろん美女。


その極致といますか、現代の映画では
希代の美女、若尾文子を清姫に、安珍には
これまた絶世の美男、市川雷蔵を配する
という贅沢きわまりない『安珍と清姫』
(1960。島耕二監督)が制作されました。

90分の長尺ですから、いろんな要素を
加えてストーリーを複雑にしています。
(清姫がはじめ誘惑的な悪女で後に
心を入れ替えるとか、ラストは大蛇が
ゴジラばりに火を吐くとか…)👇

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現代に息づくる道成寺物語の例をもう一つ
大急ぎで付け加えますと、特に清姫の
方ですが、刺青(タトゥー)の図案として
国際的に人気のようです。



👉おっと、カッコいいからって
真似をするのはちょっと待った✋。

こちらの記事などを読んで
考えてからにしてくださいね;^^💦

タトゥー(刺青)を入れて後悔しないには?🐉ニーチェ先生に聞く

刺青(タトゥー)を入れる理由 🐉EXILE、オバマ大統領に聞く

谷崎潤一郎 刺青のあらすじと考察 🐉若尾文子主演映画も鑑賞

       


まとめ

さてこれで、安珍清姫の伝説・物語に
関してはだいたいのところをわかって
いただけたのではないでしょうか。

あといくつか、おまけ情報を
付け加えておきましょう。

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謡曲の『道成寺』に関していえば、その
「複式」の物語構成は「入れ子型」
になっているともいえますね。

図示すれば、こんな感じ。👇

【前場】
【序・破・急】
【結】(【前場】に戻る形)









小説なら、こういう構成法は
よくありますよね。

その先駆的な例がメアリ・シェリーの
『フランケンシュタイン』。

日本なら夏目漱石の『こころ』ですね。
👉これらの小説については
こちらをご参照ください。

フランケンシュタインのあらすじ 👻原作小説をネタバレありで

夏目漱石 こころのあらすじ 💙簡単/詳しくの2段階で解説

      frankenstein2

👉それから冒頭でサクラさんが
間違えていた「道明寺」とその
名物、桜餅についてはこちらで。

桜餅の道明寺と長命寺の違いは?🌸低カロリーなのはどっち?

       


そんなわけで、現代においてなお
話題に事欠かない安珍と清姫でした。


読書感想文やレポートを書こうか
という人も、これだけ情報があれば
もうバッチリ。

いろんな角度から書いていけますね。



ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の多様な
文学や映画の作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


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