レインツリーの国(小説)の名言は?映画と違うあらすじ【ネタバレ】

レインツリーの国(小説)の名言は?映画と違うあらすじ【ネタバレ】

サクラさん
映画『レインツリーの
国』、とってもステキ
でした(😻)

ハンサム 教授
有川浩さんの原作は
もっとステキかも
しれませんよ。

サクラさん
ほほ~(🐱)
どんなところが?


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ハンサム 教授
二人の関りははじめ
メールのやり取りだけ
なんだけど、彼氏の方は
メールの文章も徹底して
関西弁…;^^💦

サクラさん
それは映画もそう……

ハンサム 教授
映画ではその関西弁が
声として聞こえてくる。

でもそれが実は肝心の
彼女には聞こえてない。

 

関西弁の美しさ、オモロ
さもあくまで目から
入ってくるだけ(😿)

サクラさん
聴覚障害者だから…

この小説の数多い名言
そこのイタさと関西弁
とで、非常に味のある
ものになってますね(😿)


さて、早いものでなんと第209回を数える
“感想文の書き方”シリーズ。
あらすじ暴露としては第147弾となる
今回は有川浩さんの文句なしの
恋愛小説で行ってみましょう。

もともとは『図書館戦争』シリーズ中の
『図書館内乱』に出てくる”架空の小説”で、
これを後に独立させた中編小説(2006)。
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2007年にラジオドラマ化(NHK FM)、
2015年には映画化(三宅喜重監督、
玉森裕太・西内まりや主演)もされた
名作です!
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映画の方はこちらの予告編を
覗いていただくこともできますよ。
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さて、その原作小説のあらすじを
たどりながら名言を押さえていきたい
と思います。

まずは簡潔な方から。

簡単なあらすじ(要約)

ぎゅっと要約してしまうと
こんな感じになります。

関西出身で東京の会社員3年目の
向坂伸行は、「レインツリーの国」
というブログにはまり、管理人の
ひとみと毎日のようにメール交換
するようになる。

2か月目に入り実際に会おうと
もちかけ、ひとみはためらった末に
承知する。

いい感じで会えたものの、見る映画の
選択やエレベーターの重量オーバーの
規制音に反応しないことなどから
トラブルになり、ひとみが難聴者だと
伸行ははじめて知る。

  

その後のメールとチャットの
やり取りから、二人は互いを
深く知り、愛を育てる。

再び会うようになり、伸行の提案で
ひとみは髪を短くし、補聴器を隠さない
新しい生き方に踏み出す。

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え? なんや、ようわからへん?
それに肝心の関西弁が全然出えへし、
特に名言もないやん?

いや、それはそうでしょう;^^💦
こんな簡単なあらすじで関西弁のトークも
入れるなんて、それはちょっと無理難題。


というわけで、名言や男性主人公の
キレのいい関西弁も鑑賞しながら、
このラブストーリーの紆余曲折を知りたい
という欲張りな人には、どうしても下記の
「やや詳しいあらすじ」の方を読んで
もらう必要があるんですね。

やや詳しいあらすじ

では始めましょう。

途中に出て来る名言は青い太字
示していきます。

ラストまで包み隠さず完全ネタバレあり
参りますので、結末を知りたくない人は
読まないでくださいね;^^💦



がつきそうな部分には👉印で
注釈を入れていますが、うっとうしいと
思う人は飛ばしてください。

なお「 」内及び「”」印の白い囲みは
原文(上記文庫本)からの引用です。

1.直接会うのが駄目やったら、せめて…

関西の大学を卒業後、東京の会社に入社して
3年目の「俺」(向坂伸行/さきさか
のぶゆき)は、中学生のころ好きだった
ライトノベル『フェアリーゲーム』を
ふと思い出す。

予想外のバッドエンディングで当時は
トラウマになったほどだが、それについて
話す相手もないまま今に至っていた。

あのラストを他の読者はどう受け止めて
いるのかを知りたく思い、パソコンで
検索してたどり着いたのが「ひとみ」
という管理人の「レインツリーの国」
というブログ。


悲しい結末に心痛めたけれど、今は
別れというヒロインの決断に共感できる…
というひとみの文章に感動した俺は、
彼女が公開しているメールアドレスに
自分の思いを書きつける。

   

送信はためらったものの、「伸」という
ハンドルネームを作って送ると、
翌日にはひとみから返信が届き、以降、
二人のメール交換は大いに盛り上がる。
👉メールの文章が他と違う、それらしい
フォント(字体)で印刷されているのも
小説本の魅力の一つになっていますが、
それ以上に魅力的なのが、ハンサム
教授もふれていた「俺」の書き言葉
としての関西弁。

たとえば…

それはこっちの台詞です。

俺のほうがびっくりしてて
めっちゃ嬉しいです
(二度目や、くどいな。
関西やから勘弁してください)。

ひとみさんはあの頃一緒に読んでた
友達がおったみたいやけど、
俺はホンマに誰もおらんかったから。

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👉関西弁の魅力を発揮した小説は
谷崎や川端をはじめ数多い
わけですが、メールでそれを
やったところが新しいわけです。

谷崎・川端らの関西弁小説に
ついてはこちらもご覧ください。

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二か月目に入り、実際に会いたくなった
俺は、「一回勝負して」みようと決意し
「会って話してみん?」と送信。


ひとみからの返信は「史上最長の五日間」
途絶えてから「ごめんなさい」という
タイトルで来る。

「私も伸さんと会ってみたいです。でも、
それと同じくらい会うのが恐(こわ)い
気持ちも強いです。〔中略〕私は
あんまりキレイじゃないし…」


そもそも俺は君の頭の中身にしか興味
ないんやから、見てくれは関係ないよ

「君の言葉を君の声で聞きたい」などと
俺が押すと、ひとみも折れて
会うことに合意。

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2.重量オーバーだったんですね

ひとみの提案で、紀伊國屋新宿本店の
『フェアリーゲーム』発行の文庫
レーベルの棚の前で待ち合わせる。

裾を切りそろえた黒い長髪にヘッド
ホンをかけて『フェアリーゲーム』を
読んでいる女性を見つけ、
「ひとみさん?」と声をかける。

最初は気づかなかったが、やがて
振り向いて「『しん』さんですか?」。

俺が「伸」の読みを「のぶ」でなく
「しん」に決めたのはこの瞬間だ。


雨の中を歩いて「アジア風のカフェ」を
見つけて入り、話しはじめる。

ひとみの容姿は「一言で言えば
『惜しい』
」。

垢抜けず、話すとき「まっすぐ見てくる」
癖があってぎこちなく、会話のテンポは
遅れがち。


雨なので映画を見ようという提案に同意
したひとみだが、何を見るかになると、
「洋画の字幕版」をと不自然な頑なさで
主張し、結局見た映画はつまらず、
互いに気まずくなる。

    

「もうお開きに」ということになり、
エレベーターを待つ間、ひとみは
「すみません、私、ホントは…」と何か
切り出そうとしたが、エレベーターが
来たので、機械的に乗り込む。


重量オーバーの規制音が鳴っても反応
しないのに驚いた俺は「おい、何
ボサッとしてんねん!」と怒鳴って
引きずり降ろす。

俺の罵倒が止んでから、「…重量オーバー
だったんですね。ごめんなさい」と
謝ったひとみの髪がばらけて耳が見え、
そこには補聴器が…。


一日だけなら「何とか気づかれずに
過ごせる」かと思ったけど「やっぱり
無理だったみたいです」とひとみ。

「でも、会えて嬉しかった」…「今日の
ことで嫌になってなかったら、メールは
続けさせてもらえると嬉しいです」

涙がこぼれ落ちた瞬間、ひとみは
パッと踵を返して逃げ出す。



唖然として跡を追えなかった俺だが、
2時間も考えてから「ごめん」という
タイトルのメールを書く。

「耳悪いなんて実際に会っても全然
気づきませんでした」
教えといてほしかったわ、そんな
大事なこと
」云々。

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3.傷つけた埋め合わせに自信持たせて…

👉この章で語り手は「俺」から
「ひとみ」にスイッチします。

「俺ひとみさんのこと…カオも知らん
頃から好きやったから
」…と「好き」を
連発する伸のメール。

ずるい。私が一生懸命抑えてる
言葉なのに
」と涙でぐちゃぐちゃに
なりながら、返信を書き始めるひとみ。

伸さんは健聴者で私は聴覚障害者
なんだなと改めて突きつけられました。
〔中略〕
気にするしかない人に、そんなこと
気にするなよというのはむごいです

〔中略〕
傷つけた埋め合わせに自信持たせて
やろうなんて本当に親切で優しくて
ありがとう。
〔中略〕
でも、同情で優しくされるのが
イヤなんです。
私にだってプライドがあります


読み返して自分でも「ひどいことを
書いた」、だからもう終わりだと
思っていたところへ伸から返信。

「俺ら、今初めてケンカしてるよな。
〔中略〕仲直りするためにきちんと
ケンカしようや


こうして互いにホンネをぶっつけあう
メールやチャットのやり取りが続き、
二人は互いを深く知るようになる。

ひとみは高1の時、両親との登山中に
滑落事故に遭って両耳とも感音性難聴に
なっていること、障害者枠で採用された
製薬会社での苦楽なども語りだす。

       


10回ほどチャットしてから「リハビリで
デートしてみよう」という伸の申し出を
受け入れて再会。

会えば苛立つことも多いが、自分の
苛立ちを受け止めて苛立たないでいる
伸を「器が大きい」人と思う。


防音されていて話しやすいからと
ひとみから言いだして入ったカラオケ
ボックスで、キスされそうになり、
「嫌ッ!」と突き飛ばす。

「ごめん」と恐縮する伸に、あなたが
嫌だったのではなくて、以前、会社で
受けたセクハラ行為が心の傷になって
いたからだと説明する。

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4.ごめんな、君が泣いてくれて気持ち…

狭い歩道を歩いている二人を、女づれの
男が追い抜きざま「モタモタすんな」と
ひとみを突き飛ばす。

「ちょぉ待てやお前ら!」と巻き舌で
啖呵を切る伸に「やめて。意味ないから」
と制止するひとみ。


このことから二人はまたケンカになり、
伸は脳腫瘍で入院した父親が家族の中で
自分だけを忘れ、ついに思い出さなかった
というつらい記憶を話す。

「慰めんといてな」、俺も君の障害のこと
「ホントの意味で慰められん」からと
突っぱねる伸に、ひとみは嗚咽(おえつ)
するばかり。

    


ごめんな、君が泣いてくれて
気持ちええわ


   
数日音信のないひとみに伸はメールで
「髪切ってみいひん?」などと提案するも
返信はなく、ネットで「レインツリーの
国」を開くと「しばらく休みます」とある。

「俺のせいですか」と題したメールを
送ると、そうではなくて「本当に、
今ちゃんと考えたい」だけだと
返信が届く。

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5.歓喜の国

1か月もしてから「髪を切ることにした」
とひとみからメール。

東京で二号店までもつ腕利きの美容師
である伸の叔母に切ってもらうことになり、
3人で楽しく会話しながら、補聴器を
あえて隠さない短さにカット。


「ずっとかわいく」なったひとみに伸が
提案して洋服を買いに行く。

しつこく話しかけてくる店員にひとみは
「私コレなので」と補聴器を見せる。

  


2週間後、ひとみの知っているお粥の店で
食事し、二人ははじめて本名や住所を
知らせあう。

ひとみの本名「人見利香」に伸は驚く。

もしいつか、二人でずっと行けると
思えるようになったら、とても
大雑把に決めたサイトのタイトルの
意味を伸に教えよう。


レインンツリーはアメリカネムノキ
の別名で、ひとみ的にはレイン
ツリー=ネムノキ。

そして、ネムノキの花言葉は
「歓喜」、「胸のときめき」。

     

帰りの電車の中で、髪をかき上げて
やりました
」と伸にメールしようと思う。

伸はきっと誰にとは訊かずに
「したたかになったなぁ」と
笑ってくれるはずだった。

👉これが最後の一文です。


まとめ

さあ、いかがでした?

ライトノベルという軽いジャンルに生まれた
軽快な作品でありながら、「障害」という
重い問題を絡ませた…う~む、これはやはり
2000年代の一傑作ではないでしょうか。

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中でも光るのは、事故による感音性難聴
というヒロインの深刻な障害に、脳障害の
父に忘れられたという、こちらは「障害」
とはいえない男性主人公のトラウマ
体験を対立させたところ。

これには「安直だ」とか「比べられるもの
ではない」とかの批判もあるかもしれ
ませんが、健常者が障害者に歩み寄り
受け入れるためのヒントとして参考に
することはできますね。

   

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