サクラさん
『千と千尋の神隠し』
のハクってステキな…
ヒト❓ と言って
いいんでしょうか?

ハンサム 教授
自分の本当の名前を
教えてはいけないと
千尋に教えて、最後に
自分の名を言いますね。



ニギハヤミ コハク
ヌシ
」と。


サクラさん
千尋は驚いて「すごい
名前、神様みたい」と。

これ、漢字ではどう
書くんでしょう(🐱)

ハンサム 教授
コハクヌシというのは
千尋と以前に会った川の
名が琥珀川なので、その
主の”琥珀主”でしょう。

サクラさん
ニギハヤミは?

ハンサム 教授
これが謎。

ニギハヤヒノミコト
なら日本神話のレッキと
した神様なんですけど。

サクラさん
それを少しイジッた
のかもしれませんね。

とすると、漢字では?


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そこで本日は、宮崎駿の傑作映画
『千と千尋の神隠し』(2001)の
不思議で魅力的なキャラの一人…

「油屋」という湯屋で「千」と名前を
変えられてしまった千尋を助け、
やがて恋愛的な関係ともなる、ハクと
呼ばれる人物をめぐる様々な謎に
迫ってみたいと思います。


その本当の名前。

それは漢字ではどう書かれるのか。

そしてそもそもこの人物の正体は何で
(神? 人間? 性別は?)、作者は
これをどこからひねり出したのか……

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というわけで以下のような内容になります。



1.ハクの本当の名前は?
漢字では?

さて、まずはハクの本名…というか
正しい名前をはっきりさせて
おきましょう。

映画の中でのハク自身の名乗りは、
ニギハヤミ コハクヌシ」。

それを疑う理由も特にないので、やはり
これが(めったに人に言ってはいけない
ところの)”本当の”名前なのでしょう。


で、それは漢字でどう書く?

これについては、宮崎さん自身の発言や
ジブリの公式発表がないので、たしかな
ことは言えません。

   

でも、そのモトになっているらしい
ニギハヤヒノミコト」ならば、
日本神話に登場する立派な神様の一人。

『古事記』で「邇芸速日命」と、
『日本書紀』では「饒速日命」と書かれて
いるまさにその人(いや神;^^💦)に
ほかならないのです。


ですので、「ニギハヤミコハクヌシ」
の場合は、もし「ミ」に「美」の字を
当ててよければ「邇芸速美琥珀主
または「饒速美琥珀主」となる
のではないでしょうか。

「コハク」の方も「琥珀」の字が正しい
という確証はありませんが、もしこれで
いいなら、「ハク」の名も「琥珀」の
ハクだから、漢字は「」だった
わけですね。


ともかく湯屋で知り合うこのハクに、
千尋は初めて会った気がせず、映画の
終わり近くになってようやく、幼時、
琥珀川で溺れた時に助けてくれたのが
この人だという記憶がよみがえります。

それならハクはやはり人間か?といえば、
白い龍(🐉)の姿になったりもしています
し、やはり”神様”と見るべきでは?

      

いやいや”神様”といっても、日本の神々は
それこそ湯屋に湯治に来ていた通りの
雑多ぶり(汚いのもいましたね)、それらの
一人ということで、まあ、そんなに偉大
とか崇高とか…とは限らないのです;^^💦


顔つきも、イケメンには違いないとしても
宮崎アニメの人物としては異例なタイプ
ですし、いかにも”日本の神様”じみて
いませんか?

ともかく”神様”に近い存在として意識
された造型には違いなく、その”裏設定”
としては、やはり邇芸速日命(ニギハヤヒ
ノミコト)があるように思われます。


ではこのニギハヤヒノミコト(いちいち
発音すると舌を噛みそうですが;^^💦)、
一体どういう神様だったのでしょうか。

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2.ニギハヤヒノミコトとは?

『古事記』『日本書紀』によりますと、
ニギハヤヒノミコトは物部(もののべ)氏
の祖先神で、天磐船(あめのいわふね)に
乗って天下り、長髄彦(ナガスネヒコ)
の妹、三炊屋媛(ミカシキヤヒメ)を
妻としたとされています。

神武天皇の東征(日向〔宮崎県〕から
大和地方への進軍)に対し、これを迎え
撃ったのがナガスネヒコで、彼は大和の
軍勢を統率して天皇軍に抗戦しました。

    
    ニギハヤヒノミコト

この戦いを天皇軍の勝利に終わらせたのが
ニギハヤヒノミコトが義兄ナガスネヒコを
殺害して(叫び)、天皇軍に帰順する
という経緯。

なにしろ神代の物語なので、裏にどんな
取引があったのか、詳細は不明ですが、
ともかくナガスネヒコ側からすれば
明智光秀、あるいは小早川秀秋ばりの、
ひどい裏切りです。
👉日本神話の神々って、なんだか
人間臭くて面白いですね。

こちらでも逸話を紹介して
いますので、ぜひご覧ください。

イザナギ/イザナミ神話のあらすじ 日本最古の夫婦は今と変わらない?

因幡の白兎のあらすじを簡単に//古事記はこう語っていた

            4f96d0952f4024681edce88e0f0ea535_s
 

それはともかく、神話が語るこの経緯を
『千と千尋の神隠し』に照らせば、ホラ、
“裏設定”が見えて来ませんか?

そう、ハクは湯婆婆(ゆばーば)の信頼
あつい筆頭格の子分でありながら、千を
助けようとしてボスを裏切っている
わけで、この点でニギハヤヒノミコトに
しっかり重なるわけなのです。


そのハクに対して千尋の中に育つ感情に
ついては、「愛じゃよ。愛」とか釜爺
(かまじい)も言ってましたし、性別は
という話になると、やはり男と見るのが
妥当ではないでしょうか。

 
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ただ、女性かと思った人も多いことが
示すのは、ハクはイケメンはイケメン
でも、”男”を感じさせることの少ない、
いわば”中性”的な美男に造型されて
いるということですね。

この点も、ハクがなんとなく人間離れ
して、神様に近い存在のように見える
ことの要因なのでしょう。

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3.本当の名はなぜ教えない?

ところでハクは千尋に、「名前」は大切
で、だから本当の名前は人に教えない
ように諭しますが、このことに作者は
どんな意味(メッセージ)を込めている
のでしょうか。


「不思議の町の千尋――この映画の
ねらい――」という文章の中で、
宮崎さんは「言葉は力である」と
力説しています。

「千尋の迷い込んだ世界では、
言葉を発することはとり返しの
つかない重さを持っている」と。

だから湯婆婆の…

名前を奪うという行為は、
呼び名を変えるということではなく、
相手を完全に支配しようとする
方法である。

   (『『千と千尋の神隠し』を読む
    40の目』キネマ旬報社)

つまり、「言葉」の中でも最も強い力を
持つはずの「名前」(固有名詞)は決して
「奪われる」ことがないようにすべきで、
そのためには「本当の名前は教えては
いけない」ということにもなります。

元来、たとえば源義経の「義経」とか、
西郷隆盛の「隆盛」とかは「諱」(いみな
:忌み名)といって、本来的には人に
教えないものとされていました。

    
    「源九郎判官義経」の図

だから普通は「九郎」「吉之助」などの
通称で呼ぶのが礼儀で、諱で呼んで
いいのは親や主君だけでした。

坂本龍馬みたいに、最後まで通称で
通して諱は結局、一般に知られない
ままだったという例もあります。


こういう習俗は「実名は霊的人格を体現
している
」という宗教的な考え方に
基くものと考えられるもので、古代は
日本や中国ばかりでなく世界各地に
あったと考えられています。

だから湯婆婆のような邪悪な支配者に
実名を知られるのは霊的人格まで
奪われてしまう、大変な危機という
ことになるんですね。


余談ながら、英語でも「本名」は普通
“real name”と言って、”true name”
とは言いませんが、”true name”の方は
まさにこの意味での実名(すなわち
何らかの理由で通常は隠している名前)
というニュアンスになるようです。

このあたりにも、名前についての古代的な
考え方の名残りが感じられますね。


4.”名なし”とカオナシ

ともかくこのようにして、古代の神に
アイデンティティの根を持つハクは、
名前の大切さを千尋に教えます。

そこにはおそらく「現代人はその
大切さを忘れている」という作者の
批評が込められているのでしょう。


ただその場合、大切なものとされる
名前はただの呼び名でなく、広い意味
での霊的人格つまりは各自にそなわる
アイデンティティに直結した実名
ということなのでしょう。

というふうに理解すると、このポイントは
千尋とハク以外の登場人物についても
言えてくるはずよね。

      

数あるユニークなキャラのなかでも
この問題を戯画化した人物とも見える
のが、今や大変な人気者になってしまった
不思議な存在、カオナシですね。

このカオナシもまた、顔がないばかり
でなく、本当の名前もわからず、発する
声もかろうじて「あ」とか「え」とか
ばかりで言葉になっていません。


「言葉は力である」というのが作品の
主題の一つなら、カオナシはまさに
「無力」の極み。

だから他の人物に簡単に体内に
入り込まれてしまいます。

   
   醤油に入り込まれたカオナシ
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このカオナシに負わされた役割は
ハクの教えのまさに”裏”。

実名(アイデンティティ)を忘れると
ああなっちゃうよ」という教訓にとっての
一種の反面教師という役割がカオナシには
与えられていたのではないでしょうか。

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まとめ

さあ、いかがでした?

謎の多い『千と千尋の神隠し』の世界
ですが、ハクの教えた「名前の大切さ」
の意味、そしてついでながら、その
教えのネガのようなカオナシについて、
これである程度、納得してもらえた
のではないでしょうか。


ともかくこの映画、前作『もののけ姫』
(1997)ですべてを吐き出した感があり、
実際、引退宣言までした宮崎監督がもう
一度やる気を起こして取りかかった作品。
  
    
    『もののけ姫』のアシタカ:ハクとはタイプの違うイケメン

前作よりは主張を抑えたサービス満点の
エンターテインメントに仕上がっている
とはいえ、ところどころに宮崎哲学の
託された深遠な”謎”が口を開けています。

「必要なことは全て描くけども、
わかるようには描かない」という
『もののけ姫』の制作方針が生き残って
いると見られなくもありません。
👉『もののけ姫』のこのポリシーや
出来あがった作品の諸々の
“謎”をめぐっては、こちらの
記事をご参照いただければと
思います。

もののけ姫の原作?絵本(絵コンテとも違う)は映画と別世界だった!

もののけ姫 エボシ御前の腕はなぜモロにもがれる?裏設定を探ると…

        

もののけ姫 玉の小刀の役割は?カヤ/アシタカ/サンと渡るのはなぜ?

「アシタカとサンに子供は?」で小説を!二次創作へ3つのシナリオ案

もののけ姫 サンのお面の意味は?縄文人/弥生人の戦いが背景に?


さあ、ともかくこれで『千と千尋の
神隠し』の世界にはだいぶ詳しく
なりましたよね。

感想文でもレポートでも、書こうと
すればスイスイと書けてしまうでしょう。



ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、当ブログで書きため
ています「感想文の書き方」シリーズ
記事のどれかを参考にしてくださいね。

👉当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
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お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょ~~(^O^)/

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