門(夏目漱石 )の簡単なあらすじと”禅”をめぐる批評・感想

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズも
はや第48回にして
「あらすじ」暴露サービスとしては第25弾。

今回は国民的作家、夏目漱石の
『門』(1910)で参ります。




これは漱石作品のなかでも”いぶし銀”と
いいますか、かなり渋めで、派手な展開の
少ない小説ですので、若い人にはやや
取っつきにくい部類に入るでしょう。

Sponsored Links




Ψ 『それから』の”それから”

でも、『三四郞』(1908)『それから』(1909)
とこの『門』とで、三部作をなす
とされています。

ということは、『それから』の末尾で友人
から妻を奪った主人公が”それから”
どうなるのか……に興味をもった人には、
その続きとして読める形に
なっているんですね。

ですので、すこし我慢して読み進めれば、
だんだん面白くなってくるように
出来ているんです。

022996

さて、一口に「あらすじ」を知りたいと
いっても、話の骨子だけでいいという
場合から、読書感想文あるいは小論文の
題材にするんだから分析・解説つきの
詳しいものが必要という場合まで、
千差万別でしょう。

そこで出血大サービス((((((ノ゚⊿゚)ノ

「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しました。


で、今回は「ごく簡単なあらすじ」。

「やや詳しい」ヴァージョンの
「あらすじ」はこちらで。

門(夏目漱石)の詳細なあらすじ:登場人物に入り込んで解説




Ψ ごく簡単なあらすじ(要約


崖下の借家に住む京都帝大中退者、
野中宗助は、広島にいた時分に父に
死なれ、上京して叔父の佐伯に遺産の
整理と十歳下の弟、小六の養育を依頼。

その後、妻のお米と上京して
役所勤めを始めていたが、佐伯の
急死により、遺産がなくなっている
こと、小六も引き取らざるを
得ないことを知る。

3b67e31325dc54a8421a3f26c02af2b9_s

借家の家主は坂井という気さくな
“高等遊民”で、ある夜、この家に
泥棒がはいったことを機縁に、
宗助は坂井家を訪問するようになる。

ある日、宗助がお米に、坂井家が
陽気なのは金だけでなく、子供が
いるからだと口にすると、お米は、
子供ができないことの苦悩を語る。

人に対して済まない事ををした
「その罪」のせいで子供は育たない
と易者にも宣告されたという。

Puppy-s

「罪」とは、宗助と結ばれるに
あたって、その前に夫(または夫同然)
であった安井を棄てた経緯。


正月に坂井に呼ばれて話すうち、
モンゴルで活動する弟が明後日、
友達の「安井」をつれて来るが…
という言葉に宗助は衝撃を受ける。

思い悩む宗助は、やがて休暇を取り、
鎌倉円覚寺の門をくぐる。

46991b2e88a80b96cc78d4c2961747c8_s

そこで「父母未生以前本来の面目」
について考えてみよと言われ、数日後、
老師の前で「ただ一句」(注)を
述べるが、「もっと、ぎろりとした所」を
持って来い、「その位な事は少し学問を
したものなら誰でも云える」と退けられる。


帰京して、役所通いの日常生活に戻り、
月が変わると昇級もあったので、
お米はご馳走を作る。

「本当に有難いわね。漸くの事春に
なって」というお米に「うん、然し
又じき冬になるよ」と宗助。

Sponsored Links



Ψ 宗助の吐いた「ただ一句」とは?

どうです?

え? なんだか要領を得ない?

うーん、まあ、やっぱりこれだけでは
わかりにくいですよね。

ですので、もう少し内容に入りたい
場合は「やや詳しいあらすじ」の方へ。

門(夏目漱石)の詳細なあらすじ:登場人物に入り込んで解説


というわけで、今回はこれでおしまい……
と行きたいところですが、それでは
あまりに手抜き(=`(∞)´=)と叱られそう
ですから、感想文というより批評文、
小論文のテーマにもなりそうな問題に
入り込んでおきましょう。

上記「あらすじ」中、(注)をつけた
「ただ一句」についてです。

その「一句」がどういうもので
あったかは、作品中には書かれて
いないのですが、漱石自身の書いた
別の文章のうちに、それらしき
ものがあるんです。

すなわち漱石自身、28歳のころ
鎌倉円覚寺に参禅した経験がある
のですが、その際、漱石自身も宗助と
同じく「父母未生以前本来の面目」
という公案をもらいました。

そして同じように見解(けんげ。回答)を
提示してやはり同じように「その位な事は
少し学問をしたものなら誰でも云える」
と退けられたんですね。

e36842a5f698ff620549bcf159170629_s

その回答の内容を漱石は、30代の英国
留学期以来書きためた『ノート』の
ある箇所に書き残しているのです。

物を離れて心なく心を離れて物なし
他に云ふべきことあるを見ず。

(『漱石全集』第21巻(1997),46ページ)


なるほど、哲学的には正しいかもですね。

「父母未生以前」(自分の両親が生まれる
前)には「心」(主観)はないんだから、
「本来の面目」(自分のもともとの顔)
という「物」(客観)もありようがない
(認知が成立しない)と……

まことにごもっともです。


でも「禅学」的にはダメなんですね、
これでは……( ̄∀ ̄)。

その経緯を『門』という小説に
書き著わしたことをどう見るか。

合理的に思考する者はついに
宗教の門に入っていけない……
等々、このへんが解釈のしどころ、
ということになるでしょう。

禅の公案というものについては
こちらもご参照ください。

夏目漱石 夢十夜 第六夜のあらすじと解説:運慶が生きている?
三島由紀夫 金閣寺の詳細なあらすじ:難解な柏木も読み解く
三島由紀夫 金閣寺で感想文:”悪友”柏木の「猫=虫歯=美」説?

9ebc42e35a597c5eb1d6f27073798e6f_s



Ψ 書けますか、感想文?

どうでしょう。

書けそうでしょうか、読書感想文。

上の「哲学/禅学」的問題に絡んで
自分なりの思考法で突っ込むのもアリ
ですし、要するに書けそうなトピックを
見つければいいんですが、そのためには
やっぱり作品全文を読む、あるいはせめて
「やや詳しいあらすじ」の方を見てもらう
必要があるでしょうね。


また『門』は、これに先行する『三四郞』、
『それから』とで三部作ということに
なっていますが、この三作の連続性という
視点から読むと、どうなのか。

そのあたりを考えたい人は
ぜひこちらの記事も参照してください。
夏目漱石 三四郎のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説
漱石 三四郎で感想文:美禰子の愛は?”無意識の偽善者”とは?
漱石 三四郎:白い雲を見る二人の小津安二郎的ショット
漱石 それからのあらすじ:簡単/詳しくの2段階で解説

           015449


『門』ばかりでなく漱石の作品を早く安く
手に入れたい場合は、Amazonが便利。

こちらから探してみてください。

■夏目漱石の本:Amazonラインナップ■



え? 書けそうなことは浮かんできたけど、
でも具体的に、どう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、漱石ばかりでなく、
日本と世界の種々の文学作品について
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

Sponsored Links

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ