シンデレラの原作は怖い!足を切断しても靴に入れる執念…そのルーツは?
ボーイ”と呼ばれること
があるほどで、一つの
代名詞になっている
シンデレラ。
でもその原作は
「怖い」とか…(🙀)
はっきりしませんが、
「怖い」というのは
グリム童話版を言って
いるのかな。
シンデレラの姉たちは
ガラスの靴に足が入らず
哀れに思った母親が
ナイフで爪先やかかとを
切ってあげます;^^💦
ではないですか💦
靴が穿けた姉は王子の
馬に乗せられてお城へ
向かいますが、途中で
流血のため発覚。
してませんか(😹)
結婚したらロクなこと
ありません。
でもそこは童話。
悪いヤツはきつく懲ら
しめるというのが
グリムのお約束です。
小さい方がいいと言うの
なら、昔の中国の纏足が
ベストだという話になり
ませんか❓
『シンデレラ』のルーツ
は実は中国だという説も
あるんですよ。
というわけで、”感想文の書き方”シリーズ
第121回の今回は、お待たせしました、
あの『シンデレラ』((((((ノ゚🐽)ノ
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とりわけその有名な「ガラスの靴」が
示している、女性の足のサイズへの
男たちの(というか文化的な)執着に注目
しながら、ハッピーエンドのこの童話が
実はかなり怖いお話でもあることを
原作にさかのぼって見直していきたい
と思います。
いや、厳密には「これが原作だ」と言える
ものはないのでして、最も有名な
『グリム童話』(1812~1857年)の
「シンデレラ」にしても、それより古い
『ペロー童話』(1695)の「灰かぶり」
(サンドリヨン)にしても民話の語り直し
なのですね。
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ではその民話はどこから来たのか、
という”ルーツ”がまた興味深い
テーマになってくるのですが、
ともかく本日のリサーチ内容は
ザッと以下のようになります。
おわりに
ペローとグリムとの違いは?
あまりにも有名な物語ではありますが、実は細かくは知らないという方も
いらっしゃるでしょうから、まずはじめに
最新のディズニー実写映画(2015)の
予告編をご覧に入れましょう。👇
フランスのペローもドイツのグリム兄弟も
取り上げて自分らなりに語り直したわけですが、
実は『ペロー』より早く、イタリアの
『ペンタメローネ』(1634~36)という本にも
ほぼ同じ話が出ているのですね。
ともかくこれらに共通する大まかな
ストーリーは以下のようなものです。
姉たちに日々いじめられていた。
あるとき、城で舞踏会が開かれ、
姉たちは着飾って出かける。
自分も行きたいがドレスのない
シンデレラの前に魔法的な能力を
もつ存在(仙女、白い鳩など)が
現れ、舞踏会へ行かせる。
美しく、王女のように見えた
灰かぶりは王子に見そめられる。
遅くなったので帰ろうとし、
階段に靴を落とす。
王子は残された靴の合う足をもつ
女性を妃にするとおふれを出し、
探し回る。
シンデレラの家にも来て、
姉2人も試すが足が入らず、
シンデレラだけが穿けたため、
王子の妃として迎えられる。
ただ、これ以上詳しく語ろうとすると
『ペロー』か『グリム』かで、
ずいぶん違いが出てくるわけですね。
ディズニー映画や日本の絵本の多くは、
だいたい『ペロー』の方に準拠して
作られていますが、その理由の一つは
カボチャが仙女(魔女)の魔法で
馬車にされて……
というあたりで絵になりやすく、
子供に受けやすいことでしょう。
では『グリム』ではどうやってドレスや
馬車が出てくるのかと言いますと、
2羽の白い鳩の導きで木を揺する
ことで出現します。
で、その木というのがシンデレラの
死んだ実母の遺言によって植えたもの…
というのがミソで、そこは上記の
ディズニー実写版でも採り入れています。
さて、『ペロー』が選ばれるもう一つの、
そしておそらく最大の理由は、『グリム』
で何度出てくる、身体をひどく傷つける
恐怖場面(もちろん悪人への懲罰として
行なわれるのですが)がないということ。
『ペロー』と『グリム』では『グリム』の
方がずいぶん怖いというか、悪い継母や
お姉さんへの懲罰が厳しいことが
よくわかるんですね。
大足女の靴は血まみれ
で、その残虐性が最も強烈に現れるのが王子のもってきた「ガラスの靴」を
姉たちが頑張って穿こうとする場面。
上記「ちくま文庫」(1857年第五版から)
池内紀訳で読んでみましょう。
母は娘にナイフをわたした。
「足の指がなんだね。
切っておしまい。
お妃になれば、歩かずにすむ」
娘は、つま先を切りおとし、
むりやり足をおしこんで、
いたみをこらえながら
王子の前に出た。
(画像出典:Grimmreaderblog)
王子はこの娘を馬に乗せて城へ向かう
のですが、途中で例の2羽の白い鳩が
現れて叫びます。
ごらん
大足の女の
靴は血まみれ
ほんとうの花嫁は家にいる
言われるまで気づかない王子様も
どうかしていますが(😹)、お伽話は
たいがいそんなもの。
王子は急遽、家へ引き返し、
もうひとりの娘に靴を試させます。
母はこんどは「かかと」を切れといい、
娘は言われるとおりにして、
その後の展開はまったく同じ。
そして、その後の成り行きはみなさん
ご承知のとおり、シンデレラと王子の
ハッピーエンドというわけです。
さらに両眼👀をつつきだされる
初版はそれで終わりなんですが、その後の版ではさらに後日談として、
結婚式の場面が書き加えられます。
それがまた面白い……
といってはお姉さんたちにかわいそうで、
だから現代の『シンデレラ』では描かれ
ないんでしょうけど、そこで彼女らは
さらに苛酷な運命に見舞われるのです。
例の2羽の鳩が現れて彼女らの両眼👀を
つつきだしてしまい(
最終行はこのとおり。
いじわると、いつわりの
ばちがあたって、
二人は生涯、目がみえない。
いや~きびしいですね~(((゜д゜;)))
もともと道徳的な傾向の強かった
グリム兄弟ですが、時代を経ると
ともに厳酷さはさらに増したようで。
いや、それはともかくとして、
ちょっと気になりませんでした?
鳩たちが王子に姉たちの足を見ろと
叫んだ時の、「大足の女の……」という
あざけりのセリフ。
足が大きいというのは、女性にとって
それほど大きなマイナス・ポイント
だった……
ということなんでしょうか❓❔
👠 1899年の映画ではいかに?
こうして『グリム』の方は初版の1812年から第五版の1857年にかけて懲罰の厳格さと
残酷性を増していきましたから、子供向けの
絵本などがむしろ『ペロー』を採るように
なったのは、自然の成り行きかもしれません。
映画の草創期(1895年~1900年代)には
短編映画『シンデレラ』が何本も制作されて
いますが、その最初のものと思われる
1899年作品もやはり『ペロー』準拠
であることが、こちらの動画から
わかります。 👇
“大足”は下層のしるし?
足は大きいより小さい方が高貴で美しいように感じられる……
今はどうかわかりませんが、当時の
ヨーロッパの一般的な美意識としては、
まあそういうものだったんでしょうね。
逆に足が大きいのは、下層のしるしで
品がない……
というのも農家や労働者階級の女性なら
子どもの時から踏ん張って働くので
足は発達して大きくもなりますし、
穿く靴も粗末でかさばるので、
どうしたって「大足」と見られる。
上流階級はその逆……というわけ。
なので、シンデレラの姉たちの
「大足」があざけられることには、
かなり深い意味を読むこともできて、
彼女らの母親がもともと下層出身で、
さらにいえば娼婦であった可能性への
当てこすり……
かもしれないのです。
グリムの懲罰が苛酷さを増していったのも
あるいはそういう部分にかかわるのかも
しれません。
👉グリム童話での懲罰の過酷さが
1世紀半前のペロー童話と比べて
歴然としていることについては
こちらの記事もご参照ください。
・青髭(童話)のモデル ジル.ド.レの実話とあらすじ(ペロー/グリムの違い)
・赤ずきんのあらすじ:グリム童話とペロー童話でどう違う?
・赤ずきんのあらすじ//グリム童話とペロー童話でどう違う?
・眠れる森の美女 原作のあらすじ王子の母は人食い女だった?
唐の美少女、金の履を落とす
ともかく「ガラスの靴」が穿けた女性はシンデレラだけだったということで、
彼女こそは最も高貴にして美しい女性、
ということになるわけですが……
さあそこで、全国の「大足」女性のみなさん、
イヤミの一つも言いたくなりません?
そんなに「小足」がいいなら、
纏足(てんそく)をしていた昔の
中国女性がいちばんいいのでは?……
これが纏足の”実態”
まことにしかり;^^💦
でも実はこれ、軽いジョークの域を超えて、
まさにそこにこそシンデレラ物語の
“ルーツ”があった!……
という可能性も否定しきれないトピック
なんです。
というのも、『シンデレラ』にきわめて
よく似たお話が唐代(9世紀)の異聞雑記集
『酉陽雑俎』に採録されており、この話が
シルクロード経由でヨーロッパに伝わって
変形したものだという説もあるからです。
それが「葉限(イェ・シエン)」という
物語で、そのあらすじは以下の通り。
だったが、母と父にあいついで
死なれてから、意地悪な継母と
その娘と暮らしている。
継母は葉限に辛い労働を強い、
可愛がっていた魚も食べて、
その骨も隠してしまう。
そこへ蓬髪で粗衣を纏った人が
天より降りてきて彼女を慰める。
「魚を殺したのは継母で、
骨は堆肥の下に隠してある。
持ち帰って部屋に隠し、欲しいものが
あったら、その骨に祈るといい」
葉限が言われた通りにすると、
金も宝も衣装も望みのまま。
節句の祭で、継母と妹が葉限に
留守番を言いつけて出かけた後、
葉限も、翡翠の羽衣と金の履で
着飾って出かける。
が、祭りで妹に見とがめられた葉限は
慌てて引き返し、その際、金の履を
片方落としてしまう。
葉限の落とした履は隣国の
陀汗国で売られて国主の手に。
これを人にはかせると、足の小さい
者でもそれより一寸だけ小さくなり、
国中のどの女性の足にも合わない。
やがて葉限が見いだされて
御前に進み出ると、国主は
天女のようなその美貌に惚れ、
葉限と魚の骨を国へ連れ帰り、
継母と妹は石打の刑に処す(
この「葉限」の物語、明治~昭和の
大博物学者 南方熊楠が英文で西洋に
報告することで知られるように
なったもの。
その後の学者たちの調査で、実は
よく似た話が世界中に分布している
ことがわかってきたんですね。
ともかく、靴に足がぴったりはまるかで
お嫁さんさがしをするという物語が、
これだけ世界中に広まっているところを
見ると、女性の「小足」への男の憧れは
普遍的(だった)ということに
なるんでしょうか?
明治日本の「おしん物語」
さて、ここで日本にも目を向けましょう。たとえば明治期、日本にはじめて
入って来たころの「シンデレラ」が
どんなふうだったかなんていうのも
非常に面白いテーマです。
これは明治期の国語教科書『国語読本
高等小学校用 巻一』(1900/明治33)に
入っている「おしん物語」(坪内逍遙
による翻案)。
もちろん右の「おしん」さんが
日本版シンデレラ。
身なりは粗末でも、よく見ると顔は
やはり美人(日本の美人画の伝統に
則っています)。
魔女の役をする天女が中国風になって
しまうのも、文化的に面白いところ。
ともかく『シンデレラ』は問題満載です。
ペローやグリムばかりでなく、アンデルセン
など近代の創作童話と比べてみるのも
面白いんじゃないでしょうか。
👉上ですでにふれた童話のほか、グリムや
アンデルセンの”怖い”童話については
こちらで詳しく情報提供しています。
ぜひご参照ください。
・童話 人魚姫(アンデルセン)のあらすじ:本当は怖い恋物語
・赤い靴(童話)はとても怖い話⦅アンデルセン原作のあらすじを簡単に⦆
・ラプンツェルのあらすじ💛グリム原作初版は何がヤバかったの?
・雪の女王(アンデルセン)のあらすじ💛アナ雪”原作の怖い童話
・白雪姫は怖い?こんなに違う原作(グリム童話)とディズニー映画
おわりに
さて、そんなわけで、『シンデレラ』をこう見渡してきてわかるのは、子供だましの
ような昔話にもけっこう深い、文化的要素が
幾重にも隠されている、ということですね。
それらを発見する姿勢で読み込めば、
感想文やレポートも、高度なものが
書けてしまうはずなんです。
ん? 書けそうなことは浮かんで
きたけど、でも具体的に、どう進めて
いいかわからない( ̄ヘ ̄)?
そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の多様な
文学や映画の作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。
参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらのリストからお探しください。
・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/
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