終わりよければすべてよし(シェイクスピア)15の名言【英語原文つき】 | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

終わりよければすべてよし(シェイクスピア)15の名言【英語原文つき】

サクラさん
シェイクスピアの
『終わりよければすべて
よし』って、タイトルが
すでに一つの名言のよう
に聞こえますが、ホント
に名言といっていいん
でしょうか?

ハンサム 教授
というと?;


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サクラさん
終わりというか結果
良いものであれば、
そこに至るプロセスや
手段は悪くてもいいと
言っているようにも
聞こえるので、受け
入れにくいんです。

ハンサム 教授
なるほど。ヒロインは
賢くて可愛くかわいい人
ですが、目的達成のため
に取る手段は道徳的に
問題がありますね;^^💦




サクラさん
例のベッド・トリック
ってやつですが、私なら
そうまでして愛を得たい
と思わないし、実際、
相手の気持ちを変える
ことはできないんじゃ
ないかと…。

ハンサム 教授
う~む。そのへんは
あくまで喜劇と割り
切って、彼女とその
周りの人々の言葉や
考え方に学んでいけば
いいんじゃないかな。

サクラさん
それでは「終わりよけ
れば…」以外にもどんな
名言や名セリフが出て
くるのか、一つ一つ
教えてください。


というわけでおなじみ”あらすじ暴露”
サービスの第225弾(“感想文の書き方”
シリーズとしては第312回)となる今回は、
シェイクスピアの喜劇にして”問題劇”
とも呼ばれる『終わりよければすべて
よし』(1602~05) 👇
     

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この作品から15の名言・名セリフを
抜き出して英語原文つきで徹底解説
して行きますよ~((((((ノ゚🐽゚)ノ

内容はザッと以下のとおり。


さて、せっかくの名言も劇のストーリーが
頭になければその深い意味が響いて来ない
ので記憶に残りにくいし、覚えたとしても
ついてくる価値は半分しかありません。

だから全体を読むか観劇するかするに
越したことはないのですが、残念ながら
その時間がない、あるいはもう忘れた…
という人は、まずストーリーの概略を
インプットしておきましょう。

必要のない方は飛ばして、ただちに
対訳で読む15の名言・名セリフ
の方へ進んでくださいね。

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ごく簡単なあらすじ(要約)

では参りましょう。

まずはぎゅっと要約した”ごく簡単”
ヴァージョンのあらすじ。

ロシリオン伯爵家の名医として
聞こえたナーボンの娘、ヘレナは、
若き伯爵バートラムへの恋に悩む。

パリのフランス王は重病で、
ナーボンが存命ならば…
と惜しんでいる。

父の遺した処方箋で王の病を治癒
すればバートラムとの結婚も可能と
一計を案じたヘレナは、上京して
王に直訴し、「失敗なら死刑に。
成功なら夫を選ばせて」という
条件を呑ませる。

治療は成功し、ヘレナに選ばれた
バートラムは、しぶしぶながら
王命にしたがって結婚するも、
初夜のベッドを拒否して
フローレンスの戦場へ。

ロシリオンに戻ったヘレナと彼女を
愛する伯爵夫人には、バートラムから
ひどい拒絶の手紙が来ており、ヘレナは
自分の行為を悔いて巡礼の旅に出る。

       


フローレンスへ来たヘレナは、
知り合った未亡人から、バートラムが
彼女の娘ダイアナに言い寄っている
ことを知る。

この母子と信頼し合ったヘレナは
バートラムがつけている家宝の指輪を
利用しての一計を案じる。

すなわちダイアナが彼の言いなりに
なると思わせて、その指輪を質に取る
形での逢引きを暗闇で行うことにし、
自分が代わりに行って抱かれる…と。



ヘレナはもう死んだと思われており、
ロシリオンへ来た王はバートラムに
貴族ラフューの娘との結婚を勧める。

受諾したバートラムは、彼女への「愛の
贈り物」としてラフューから所望された
指輪を渡す。

が、これはヘレナのつけていた指輪だ
というラフューの指摘に伯爵夫人も
王も同意。

そこに旅先でヘレナから請願書を
預かった紳士が到着し、王は
ダイアナ名でバートラムを告発する
その手紙を読む。

バートラムが再尋問されるところへ、
ダイアナが登場してバートラムの
妻を名乗る。

言い逃れするバートラムにダイアナが
差し出した指輪は紛れもない伯爵家
家宝の指輪。

王がその指輪の入手経路を尋ねても
ダイアナは口を割らず、バートラムに
肌を許してもいないと言い続ける
ところへ、死んだはずのヘレナが(叫び)。

バートラムは彼女に許しを乞う
とともに愛を誓う。

👉まだよくわからない、全体の
ストーリーをもっと細かく知りたい
という読者さんは、ぜひこちらを
お読みください。

終わりよければすべてよし(舞台)のあらすじ⦅シェイクスピアの問題劇⦆
      
    



対訳で読む15の名言・名セリフ

お待たせしました。
それではそろそろ始めましょう。

日本語は基本的に上記の小田島雄志訳に
依拠しますが、名言らしさや、文脈の
わかりやすさの観点から改変した部分も
あります。

🌹 第一幕/Act Ⅰ

【名言 その1】
パローレス (処女性を守る方法を問われ)
永久に処女を守り通そうとするのは、
この大自然共和国にあっては
賢明な政策ではないのです。

処女を失うことは当然処女を殖(ふ)やす
ことであり、処女を手に入れるにはまず
処女を捨てるほかないのです。

          〔第一場〕

     


Parolles It is not politic in the
commonwealth of nature
to preserve virginity.
Loss of virginity is rational increase
and there was never virgin got
till virginity was first lost.
👉「処女を失うことは処女を殖やすこと」
だというのは現代では通じにくい論理
ですが、避妊法などほぼなしのこの
時代では、処女喪失は出産に直結し、
生まれる子のうち半数は「処女」だから
…という理屈ですね。

パローレスはそこから、だから「処女性を
弁護することは自分の母親を非難する
ことになる」という屁理屈に飛躍します。


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【名言 その2】
パローレス (あくまで処女性を守るという
ヘレナに)
処女とはチーズのごときもの、
虫がわいて、固い皮だけ残して
食い荒らされるのです。


そして結局自分の胃袋を
食い尽くして死ぬことになる。
          〔第一場〕

      


Parolles To speak ont the part of virginity,
is to accuse your mothers;
which is most infallible.
[ellipsis]
Virginity breeds mites,
much like a cheese;
consume itself to the very paring,
and so dies feeding his own stomach.
👉行き遅れはしまいかと焦る「処女」
への脅しとして、昔は有効だったかも
しれない殺し文句。

今や効力ゼロでしょうし、うかつに
使えば、すでにセクハラですね;^^💦


【名言 その3】
ヘレナ (独白) 私たちは人間を救う力は
天のみにあると思い込んでいる、
でも、その力が私たち自身のうちに
あることもよくある。


天も私たちに自由に動く余地を
与えている、だから思ったとおりに
ことが運ばないのは私たちの怠慢から。
          〔第一場〕

Helena Our remedies oft in ourselves do lie,
Which we ascribe to heaven: the fated sky
Gives us free scope, only doth backward pull:
Our slow designs when we ourselves are dull.
👉すべては「天=神」の思し召しで
個々人の運命も定められている…
と考える中世的発想を打破する
ルネサンス期に興隆した「自由意志」の
思想がヘレナの口を通して語られた形。
 

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【名言 その4】
伯爵夫人[バートラムの母] (ヘレナの恋心を
知って)
自然の子である以上、
人間だれでもそうなのだ。
この恋の棘は青春のバラには
つきものであり、私たちが
生まれながらにもっているように、
私たちの血は生まれながらに
恋するようにできている。

          〔第三場〕

    


Countess If ever we are nature’s,
these are ours; this thorn
Doth to our rose of youth rightly belong;
Our blood to us, this to our blood is born.       
👉人は「生まれながらに恋するように
できて」いるけれども、恋はバラと
同じく「棘」をもつもの。

シェイクスピアがこの恋愛観をとことん
表現しきった名作があの有名な
『ロミオとジュリエット』。

この悲劇に出る名言・名セリフは
こちらで。

ロミオとジュリエットの名言・名セリフ 英語原文では何と?

       
 

【名言 その5】
ヘレナ (伯爵夫人に) わかっているのは、
愛してもむだ、望みはない、
ということだけ。
でも、そのいくら注いでももってしまう、
篩(ふるい)のなかに、私は愛の水を
注ぎ続けているのです、
尽きることのない愛の水を。

          〔第三場〕

     


Helena I know I love in vain,
strive against hope;
Yet in this captive and intenible sieve
I still pour in the waters of my love
And lack not to lose still:
👉この二人の問答は物語全体を
予告する気味もある、第1幕の山場。

ロイヤル・シェイクスピア・
カンパニーによる2013年公演の
情景をご覧ください。👇




🌹 第二幕/Act Ⅱ

【名言 その6】
(バートラムに) 名誉が輝くのは、
だから、祖先から借り受ける
のではなく、自分の行為から
つかみとるときだ。

名誉ということばは、それだけでは
奴隷にすぎぬ
、墓という墓に
こき使われては偽りの墓碑銘を刻み、
真に名誉ある骨を土と忘却の墓に
埋もれさせたまま、知らぬ顔を
決め込んでいることが多い。
          〔第三場〕

King honours thrive,
When rather from our acts we them derive
Than our foreigners: the mere word’s a slave
Debosh’d on every tomb, on every grave
A lying trophy, and as oft is dumb
Where dust and damn’d oblivion is the tomb
Of honoured born indeed.
👉「名誉ということばは、それだけでは
奴隷にすぎぬ」というパローレスの
穿った言葉は、『ヘンリー四世』
(第一部・第二部)などに出る人物
フォルスタッフが「名誉ってなんだ?」
と自問して、結局到達する結論──
「空気だ」──を連想させます。

ともかくパローレスがフォルスタッフに
似た立ち位置にあることは明らかです。

詳しくはこちらで。

ヘンリー四世のあらすじ(第一部・第二部)フォルスタッフには爆笑!

    


【名言 その7】
パローレス (バートラムに) イヨウ!
心がはずめば声もはずむ、いい調子だ。

若くて結婚、人生の欠損
となったら、調子はずれだ。
          〔第三場〕

Parolles Why, these balls bound,
there’s noisein it; ‘Tis hard:
A young man married is a man that’s marr’d:

     

🌹 第三幕/Act Ⅲ

【名言 その8】
ヘレナ (ダイアナとその母に)
計画どおりにやってみましょう。
うまくいけば、むこうはよこしまな
心を抱いて正しい行為をするわけだし、
こちらは正しい心を抱いて正しい
行為をすることになる

どちらも罪にはならないとはいえ、
罪深い事実にはなるけれど。
          〔第七場〕  

    

Helena Let us assay our plot;
which if it speed,
Is wicked meaning in a lawful deed
And lawful meaning in a lawful act,
Where both not sin, and yet sinful fact
strive against hope;
Yet in this captive and intenible sieve
I still pour in the waters of my love
And lack not to lose still:
👉この奇策がいわゆるベッド・トリック

同様の手口を使ったもう一つの
シェイクスピア問題劇が
『尺には尺を』です。

詳しくはこちらで。

尺には尺を(舞台)のあらすじ シェイクスピア劇のセクハラ・パワハラ

      
         


🌹 第四幕/Act Ⅳ

【名言 その9】
貴族1 人間の一生は善と悪を
より合わせた糸で編んだ網なのだ。


われわれの美点は欠点によって
鞭打たれることがなければ
高慢になるだろうし、われわれの
罪悪は美徳によって慰められる
ことがなければ絶望するだろう。
        〔第三場〕
       


First Lord The web of our life is of
a mingled yarn, good and ill together:
our virtues would be proud,
if our faults whipped them not;
and our crimes would despair,
if they were not cherished by our virtues.
👉可憐なるヒロイン、ヘレナが達成
しようとしている善き終わり(End=目的)
にしても、その手段は悪いともいえる
わけで、このドラマ自体が「善と悪を
より合わせた糸で編んだ網」のような
ものですよね。

この意味で、劇自体に自己言及しつつ
“善/悪”や”美徳/悪徳”が実は表裏一体
だという哲学を説く言葉のようにも
受け取れます。

       ⚡ ドクロ 💘 叫び ⚡

【名言 その10】
ヘレナ (ダイアナとその母に)
それにしても、不思議なのは男心!

憎んでいるものをあれほど
可愛がることができるとは、
みだらな思いに目がくらみ、
漆黒の闇夜がさらにいっそう
暗くなるときには。

          〔第四場〕

   

Helena But, O strange men!
That can such sweet use make of
what they hate,
When saucy trusting of the cozen’d thoughts
Defiles the pitchy night; so lust doth play
With what it loathes for what which is away.
👉暗闇で自分をダイアナだと思い込んで
激しく愛撫したバートラムの「男心」を
不思議がるヘレナの複雑な思い。

そうまでして男を得ても、その後、心から
愛してもらえるという保証もないのに…
と理性的な人は思うでしょうが、
理性で割り切れないのが恋心
というものでして…;😻💦


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【名言 その11】
ヘレナ (ダイアナとその母に)
そう言っているうちにも
やがて夏がくるでしょう──
野バラは棘ばかりでなく
葉もしげり、痛いだけでなく
甘い香りを放つようになるでしょう。
〔中略〕
時がたてば生き返るはず。
終わりよければすべてよし、
終わりこそつねに王冠です、

途中はいかに波風立とうとも、
最後がすなわち名誉です。
          〔第五場〕   

     


Helena But with the word the time
will bring on summer,
When briers shall have leaves
as well as thorns,
Defiles the pitchy night; so lust doth play
And as sweet as sharp. We must away;
Our wagon is prepared, and time revives us:
All’s well that ends well;
still the fine’s the crown.
Whate’er the course, the end is the renown.
👉タイトルになっている諺(ことわざ)
──All’s well that ends well──がここで
初めてヘレナの口から出ます。

その意味は「もしある状況の結果が
ハッピーなら、そのことがこれに
先立ついかなる困難や不愉快さをも
埋め合わせする」
(if the outcome of a situation is happy,
this compensates for any previous difficulty
or unpleasantness.──Oxford Languages)
ということだそうですが、さて、
どう思います?

これはまあ、あくまで一つの諺であって、
普遍的な真理というよりは、「そういう
場合もあるよね」という程度の洞察と
見るのが妥当なところではないでしょうか。

この意味で「ハッピーな終わり(outcome
=結果)」のために不道徳な手段を辞さない
という話を主筋とするこの喜劇が”問題劇”
とされたのは当然の成り行き。

ただヘレナのこのけなげな決意に嫌悪感を
もってお説教を始めるような人がいたら、
そんな人とは付き合いたくないな…
と思わせるだけの美徳──一途な愛、強い
意志とすぐれた知恵──を十二分に備えた
可憐なキャラクターがヘレナ。

彼女を造型したシェイクスピアの
手腕をこそ称えるべきでしょう!

👉またここで話を大きくしてよければ、
終わりよければすべてよし」という
ヘレナの自由意志的姿勢は、シェイク
スピアを一種の「悪人」として高く
評価していたあのフリ-ドリッヒ・
ニーチェが唱えた「運命愛」の思想にも
つながっていくものかもしれません。

つまり、人生の終わりに自己の運命を
嘆くのでなく「すべてよかったんだ」と
思う…そう思えるような生き方とでも
言いますか……

ニーチェの哲学については
こちらもご参照ください。

ニーチェ ツァラトゥストラは読みやすい?訳本選びがカギに

“結婚生活は長い会話である”とニーチェが言ったって本当?出典は?

🌹 第五幕/Act Ⅴ

【名言 その12】
ラフュー (ダイアナを軽蔑して) この女は
大きめの手袋ですな、
脱ぐのもはめるのも自由自在だ。
          〔第三場〕

     


Lafeu This woman’s an easy glove,
my lord, she goes off and on at pleasure.

👉言うまでもないでしょうが、
「手袋」が女性器の隠喩(メタファー:
たとえ)として用いられているわけで、
今時うかつに使用できる名言では
ありません;^^💦


【名言 その13】
ダイアナ (なぜバートラムを告訴したか
と王に問われ)
この人が罪を犯して
罪を犯さなかったからです。

この人は私を処女ではないと思い、
そう誓われるのでしょう、
私は私が処女であり、この人は
それを知らないと誓います。
陛下、私は淫売婦ではありません。
私は処女の身です。
          〔第三場〕   

Diana Because he’s guilty and he’s not guilty:
He knows I’m no maid and he’ll swear to’t;
I’ll swear I am a maid and he knows not.
Great king, I’m no strumpet, by my life;
👉【名言 その1】以来ぽつぽつと
出てきた「処女」をめぐる議論を締め
くくるかのように、自分の守られた
「処女性」とバートラムの罪悪について
「Aであり、かつAでない」という
排中律めいた論法ででまわりくどく
述べたもの。

       ⚡ ドクロ 💘 叫び ⚡

【名言 その14】
ヘレナ (実情を知ったバートラムに)
あなたがごらんになっているのは
妻の影にすぎません

名前のみで実体はありません。
          〔第三場〕

  
  
Helena ’Tis but a shadow of a wife you see,
The name and not the thing.  
👉死んだと思われていたヘレナが
突然、王とバートラムを含む一同の
前に姿を現して吐く言葉。

これに対してバートラムが「名も
身もある。許してくれ!」と
嘆願することで、ヘレナはついに
実体ある「妻」となる次第。

死んだと思われていたヒロインが
甦るように出現してのハッピー・
エンドは晩年のロマンス劇『冬物語』
(1610-11)の前触れのようにも読めます。

『冬物語』についてはこちらで。

冬物語(シェイクスピア)のあらすじ【簡単&詳しく】狂王と監禁妻のロマンス

           


【名言 その15】
(締めでダイアナに) おまえが正直な
手を貸したためだろう、さいわいにも
一人の妻が妻の身を、おまえが
処女の身を保てたのも。

ここにいたったさまざまな
いきさつについては、いずれ
はっきりわからせてもらえるだろう。

終わりがこのようにめでたく
収まればすべてよしだ、
苦い過去は過ぎ去り、
甘い未来を迎えるのみだと。

          〔第三場〕 
  
     


King For I can guess that by thy honest aid
Thou keep’st a wife herself, thyself a maid.
Of that and all the progress, more or less,
Resolvedly more leisure shall express:
All yet seems well; and if it end so meet,
The bitter past, more welcome is the sweet.
👉第四幕で初めてヘレナの口から
出て(名言 その11)、第五幕第一場でも、
もう一度噛みしめるように言われていた
た「終わりよければすべてよし」を
踏まえた表現が、最後に王によって
言われます。

主題が追認される形となり、まことに
メデタシ、メデタシのエンディング。


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ヘレナは幸せになれるのか❔

というわけで、この”問題劇”に出る名言
としてまず挙げなくてはならないのは、
すばりタイトルにも取られ、本文中でも
2回半も繰り返される「終わりよければ
すべてよし」!
(「2回半」の「半」というのはラストの
【名言 その15】では同じ内容が含まれている
とはいえ、表現上同一ではないから;^^💦)

ただこの諺の危うさ、”問題”性は【名言
その11】
のところでも解説した
とおり。

とすればこの劇、「これで終わり、
メデタシ、メデタシ」と締めちゃって、
ホントにいいのかな?

という一抹の余韻…
というか不安、苦々しい部分を残し
ながら無理やりに閉じたエンディング
だという見方もありそうです。
     
    

けなげなヒロイン、ヘレナがついに
勝ち取った終わり(End=目的)──すなわち
バートラムとの結婚──ですが、これ、
その後のことも視野に入れた場合、
いささか危ういものなのでは?

バートラムも一応、納得して幸せそうに
してはいますが、これは穿って見れば
「王の命令」だからという側面もあり、
ヘレナを抱いて妊娠させたのも暗闇で
その女性をダイアナだと思い込んでの
行為だったわけです。

劇の前半であんなに嫌がっていた
ヘレナとの結婚を、今や心の底から
望んでいるというのは、本当に
ありうることなのか…

そこに大きな”“が浮上してしまう
わけですね。

    


悲しいことに、この疑問を強める材料
として、バートラムの言葉はどこまで
ホンネか判断しにくい部分が多く、この
不誠実さはパローレスの影響を脱した後も
ほとんど変わっていないように見える
ということも指摘できます。
(この点については上記別記事の
「やや詳しいあらすじ」の注釈を
ご参照ください)

つまり王の前で誓いはしたけれど、
この色男、ほんとうにヘレナを愛し
続けてくれるのか

もう一つの、この問題性…
あなたはどうお考えでしょうか?
👉いやいや賢いヘレナのことだから、
結婚後も、夫がよその女性にフラフラ
しそうでも、強い愛と意志力と知性を
フルに発揮してつなぎ止め続けるに
違いない…
という見方ももちろん可能です。

シェイクスピア作品で言えば
『間違いの喜劇』のエイドリアーナ
なんて、そういう女性の一典型ですね。

『間違いの喜劇』についてはこちらで
情報提供していますので、
ぜひご参照ください。

間違いの喜劇(シェイクスピア 舞台)のあらすじ⦅俺って誰?の笑い⦆

     



⦅付録⦆映画『恋におちたシェイクスピア』

ともかく結婚をゴールとすることは
シェイクスピアばかりでなく古来より
喜劇一般のお約束であるわけですが、
芝居でない現実の人生の問題はむしろ
そのにある。

このことは、妻アン・ハサウェイと
長く別居していたシェイクスピア自身も
痛いほど経験したところのはずで、
上記『冬物語』のほか『オセロ』
『アントニーとクレオパトラ』などでは
まさにそれ──結婚の問題──が主筋に
なっています。
👉詳しくはこちらでどうぞ。

クレオパトラ歴史秘話!愛と謀略の生涯をシェイクスピアはどう描いた?

オセロ(シェイクスピア)のあらすじを簡単に/&詳しく漱石コメントつきで

    


さてそのシェイクスピア自身ですが、
郷里ストラットフォード・アポン・
エイヴォンに妻を置いたままロンドンで
恋をしなかったという確証はありません。

まだ若く30歳そこそこのシェイクスピアが、
『ロミオとジュリエット』執筆と同時進行で
それこそロミオばりの熱い恋をしていた…
という設定のロマンティック・コメディ
映画が『恋におちたシェイクスピア』
(アメリカ・イギリス合作、ジョン・
マッデン監督、1998)です。

なんとこれアカデミー賞では作品賞のほか
脚本賞・主演女優賞・助演女優賞・音楽賞
・美術賞・衣装デザイン賞と7つの受賞に
輝きました!

ただこの作品、ほとんどの部分が
フィクションですので、勉強として見る
場合には繭に唾をつけることが必要です。
👉詳しくはこちらで。

恋におちたシェイクスピア(映画)考察!どこまで実話かネタバレする

   



まとめ

さて、これだけの情報があれば
もうバッチリですよね。

コトこの問題劇『終わりよければ
すべてよし』の名言・名セリフに
関する限り。

誰かさんにちょいと知ったかぶりを
してやろうかという場合も、
あるいは感想文やレポートを書こうか
という場合も…。

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ん? シェイクスピア作品について
上記以外のものについてもどんどん
見ていきたい?

はいはい、当ブログでは上記以外にも
喜劇・悲劇・歴史劇など21以上について
当ブログでは「あらすじ」などの
情報を提供しています。

気になる作品をこちらから
お探しください。

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ん? 書けそうなことは浮かんできたけど
具体的にどう進めていいかわからない
( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、ぜひこちらをご覧あれ。
👉当ブログでは、日本と世界の文学や映画の
作品について「あらすじ」や「感想文」
関連のお助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/



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