黒い雨(井伏鱒二)で読書感想文∥今村昌平映画も参考に

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズも
ついに100回を突破し、今回で
第101回となります((((((ノ゚⊿゚)ノ。

採り上げるのは、井伏鱒二の
歴史的名作『黒い雨』(1965-66)。

Sponsored Links


さて、もちろん感想文を書こうと
いうからには、作品の内容が
わかっていないとどうしようも
ありませんね。

ですので、この文庫本(⇩)などで、
じっくり腰をすえて読んでくださいね。
     




え? なかなかそんな時間(あるいは
気力……;^^A)はねえよ、ですって?

そういうご多忙な方は、せめてこちらで
「あらすじ」を押さえてくださいね。
黒い雨(井伏鱒二)のあらすじ:簡単/詳しくの2段階で


あるいは名匠、今村昌平監督による
映画化作品(田中好子主演)も
参考になるでしょう。
   


さっそくレンタルしよッ、て思いました?

でもこれ、某国への遠慮からか、
某大手レンタルショップには
置かれていないようですよ。

予告編だけなら、こちらでどうぞ。




Ψ 「被爆」という運命は圧倒的すぎる

さて、どう書くかですが、
一つはもちろん、戦争の悲惨さを主題として、
「だから絶対に二度と戦争をしてはならない」
という主張でまとめていくという方法ですね。

学校側の期待も、おおかたは
そういうところにあるんでしょうから、
それで書けそうな人は、原爆の惨禍を
描写した部分を読み直すことから
始めたらよいと思います。


でも、それはあまり気が進まない、
という人の場合、第二の方法としては、
自分が重松なら、矢須子なら……
と登場人物の立場に立って考える
「反省文」的な行き方ですね。

当シリーズでいくども広げてきた
サイ象流・感想文《虎の巻》は
まさにこの方法をすすめていたわけです。

ウーン、でも   106714
この小説の場合、登場人物に
降りかかる運命は「被爆」という
トンデモナク圧倒的なもの。

なので「あのとき、ああすればよかった」
「こうしておけば、今ごろは……」
と考えてゆける余地はほとんどない……
ようにも思えます。
 

ただ、それでも重松は矢須子の運命に
心を砕き、「ああすれば……、こうすれば」を
考え続けますので、その心理や、
「おじさん」としての立派さについて
考えることはできるでしょう。

この観点から読み直せば、
感想文の主題も浮かび上がって
くるんじゃないでしょうか。



Ψ 矢須子の実の両親は?

そして、このテーマを追っていく場合、
おそらく浮上する(気にかかってくる)のが
矢須子の実の両親のことですね。

矢須子は重松夫婦によって実子同様に
愛護されているわけですが、
実の親がないわけではありません。

でも影が薄く、矢須子が彼らに
言及する場面もない。

後半で実父の高丸という人も出てきて、
病院の矢須子を見舞ったりしますが、
親子で話す場面があるわけでもなく、
ただ医療費について「あの子の
分け前ぶん」から出したいと言って
重松を「むっと」させるだけ。

顔の壁 peace-92157__180

それに、母親の方はどうなってるんだろう?

そこに言及がないのも、
ちょっと不思議な感じがします。

まあ、なんとなく感じ取れるのは、
矢須子は重松夫婦によって
実の両親以上に愛されていること。


小説の終わり近くで強く描かれる感情は、
矢須子が病状を隠していたことへの
重松夫妻の「くやしい」気持ちですが、
そのあたりを描いた次の一節なども、
実の両親とのことも念頭に置いて読み直すと、
いっそう切なく胸に響きます。

矢須子は重松夫妻に遠慮しすぎたのだ。

婚約がまとまりかけていたとは云え、
恥ずかしがるにも程がある。

シゲ子は病院から帰って来ると、
折から庭先に出ていた重松に云った。

「ほんと、口惜(くや)しいわ。
矢須子さんは、みんな秘密にしておったんよ」

「おじさん、すみません」   132766
と矢須子は項垂(うなだ)れて通りすぎた。


シゲ子と矢須子の心理・性格が
切なく浮上するシーンですが、
この場面が生きている要因の一つに、
それが善意にあふれた「おじさん」、
重松によって語られていることも
あるんではないでしょうか。

Sponsored Links



Ψ 「気が利いていて間が抜け」たおじさん

ともかく小説全体の語り手となっている
この重松という人の、悪くいえば
「ドジ」でもある微妙にとぼけた味わいが、
記述される内容の悲惨さをやわらげ、
救いがたさを救ってもいる……

この小説ミソになっている
ともいえそうですね。


どこが「ドジ」かといえば、   weatherman-849792_640

「被爆者定期健康診断」の証明書を送るとか、
被爆当時の日記を清書することとかの
矢須子のためを思っての懸命の努力が、
むしろ「気が利いていて間が抜ける」結果に
なっていくというようなところですね。


重松をこういう「気が利いていて
間が抜け
」た人物に設定したところに
あの「山椒魚」の作家、井伏鱒二の面目がある、
ということもできるんじゃないでしょうか。


「山椒魚」をめぐっては、
こちらをご参照ください。

・井伏鱒二 山椒魚のあらすじを簡単に紹介
・井伏鱒二 山椒魚:結末部分の削除を”俳句美学”で解釈すると

         山椒魚 salamander-602493_640



Ψ まとめ

目の付けどころをいくつか
紹介してきましたが、これらのほかにも
ポイントはいろいろとあるはずですので、
ぜひ自分ならではのテーマを見つけてください。


戦争の悲惨さで行く場合は、
「戦争文学」の名作として知られる
他の作品と比較してみるというのも
面白い方法だと思います。


その場合はこちらの記事も参考にしてください。
火垂るの墓(野坂昭如)のあらすじ:作者の気持ちを考える?
夏の花(原民喜)のあらすじと解説笨ゥ感想文で抜け出すには?
芋虫(江戸川乱歩)のあらすじ:伏字だらけの問題作!内容は?

   芋虫 caterpillar-564543_640


ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

Sponsored Links

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ