安部公房 棒のあらすじ:このわからない短編で感想文だって?

 


やあやあサイ象です。

ついに100回を突破した
「感想文の書き方」シリーズ。

今回は早くもその第130回((((((ノ゚⊿゚)ノ

「あらすじ」暴露サービスとしては
第78弾となります。

Sponsored Links


今回は高校現代文の教科書に採用されて、
生徒も教師もホトホト困らせているいる
難物、安部公房先生の短編小説、『棒』
(1955。『安部公房全作品 5』新潮社、
所収)に挑戦で~す。



いや、なにが難物かって、「あらすじ」を
まとめようにも、そもそも「筋(すじ)」
があるのかしらん、と首をひねるような
シロモノで、どうまとめていいかがまず
難題…というわけなんですね。

とはいえ、ともかく、「『棒』のあらすじ」
と銘打った以上、まとめてみるしかないわけ
ですが、そのまとめ方に私(サイ象)流の
“解釈”が入りこんで来ることは、どうしても
避けられません。

はじめにそのことをお断りしておきます。


まあ「事実というものはない。   ニーチェ ダウンロード
すべては解釈だ」とニーチェ先生も
おっしゃっているわけで、「あらすじは
解釈だ
」というのも、ほんとはあらゆる
作品について言えることなんですけどね…。


起承転結があるとも思えないストーリーを
むりやり以下のような「起・承・転・結」の
4部構成の枠に押し込んだのも、その”解釈”
の一環ということにはなりますね。

👉 あらすじ

ハイ、能書きはそれくらいにして、
さっそく参りましょう。

サイ象流「『棒』のあらすじ」です。

【起】
6月の日曜日、デパートの屋上で子供
2人の守をする「私」は、手すりに
へばりついて街を見下ろしている。

上の子の「父ちゃん」という叫び声から
逃れるように上半身をのりだすと、その
声を聞きながら墜落する。

サソリ・カエルdrowning_scorpion_and_frog_tat_by_cazantyl

気がつくと、私は1メートルほどの棒に
なっており、溝のくぼみにつきささる。

怒った人々の注意は屋上の子供らに集中
したので、私は人に気づかれず、
しばらくつきささったままでいる。


【承】
双子のように似た学生2人と長身で白い
髭の教授が私に気づき、取り上げて
研究材料にし始める。

はがれそうになった白い付けひげを
おさえつけながら、先生は言う。

さあ、この棒から、どんな
ことが想像できるだろうね。

まず分析し、判断し、それから
処罰の方法を決めてごらん。

         wood-644778_640

右側の学生は、棒にしみこんだ手垢や
傷に着目し、それは捨てられなかった
からで「この棒が、生前、誠実で単純な
心をもっていた」証拠だと言う。

これに対し左側の学生が「この棒は、
ぜんぜん無能だったのだろう」
「人間の道具にしちゃ下等すぎますよ」
などと反論し、論争になる。

Sponsored Links


【転】
先生は笑いだし、君たちは同じ事を
違った表現でいっている、それを
要約すれば、こうなるという。

つまりこの男は棒だった、
ということになる。

そして、それが、この男に
関しての必要にして充分な
回答なのだ……すなわち、
この棒は、棒であった。

   098760
右側の学生が食い下がって、

 
標本室で色んな人間を見たが、棒は
はじめてだ、「こういう単純な
誠実さは、やはり珍しい」と主張。

が、先生は逆に「ありふれている」
から研究の必要をみとめない場合も
あると説く。



【結】
「どういう刑を言いわたすつもり
かな?」という先生の問いに、右側の
学生は「こんな棒にまで?」と疑い、
左側の学生は、それは当然で「死者を
罰するということに、ぼくらの存在
理由が成立っているのです」と主張。


先生が私(棒)で地面にかいた抽象的な
図はやがて怪物の姿になるが、先生は
それを消してから、「裁かないことに
よって、裁かれる連中」のことを講義で
習っただろう、と学生の記憶に訴える。

この棒は「その代表的な例」だから
「置きざりするのが、一番の刑罰
なのさ」と先生は私をころがし、
3人は立ち去る。

jesus-761298_640

誰かに踏んづけられて、私は地中に
半分ほどのめりこむ。

「父ちゃん、父ちゃん……」という
叫び声が何千人もの子供を含む雑踏から
聞こえたが、私の子供たちの声では
ないのかもしれない。



👉 寓話ではない

さて、いかかでした?

え? なんだかよくわからん?

それでは生徒さんたちが作ったらしい
この動画でもみていただきましょうか。



え? やっぱりわからん?

いや、きまじめに考えれば「わからん」
のは当然なので、むしろその「わから
なさ」を大切にするところから始める
べきだろうと思いますよ。


間違っても、わかったふりをして
「この男は『でくのぼう』だから棒に
なって、無能さを罰せられた」なんて
安直な解釈をしていい気になっては
いけません。

そもそも「でくのぼう」は本来
「木偶の」であって「棒」ではな
いわけですが、まあその点には目を
つぶってもいいでしょう。

「ぼう」という発音は   b09368a04e8ad0acac2c4024b29f9afe_s
同じなので、「でくのぼう」が連想
されることは不合理ではありません。

ただこういう解釈は、要するに合理的な
因果律にもとづいて「寓意」を読んで
いく(寓話とみなす)ものであり、その
こと自体が、この『棒』という作品の力
――新奇さ、前衛性――に逆らう、あまりに
古臭い思考だからです。


ストーリー自体が通常の因果律(「こう
だからこうだ」という合理的な思考)
で進んでいないことは、あまりにも
明らかではないですか。

そういう作品の解釈として「『でくの
ぼう』だから棒になった」なんて
言い出すのは、間が抜けと言われても
仕方ないでしょう。


この小説に価値があるとすれば、
「こうだからこうだ」というわれわれが
通常なれ親しんでいる因果律や合理的な
三段論法に揺さぶりをかけ、亀裂を
入れて来るようなところにこそ
求められるはずだからです。

このあたり、私の言ってることがよく
わからんという人は、こちらの記事を
参照してもらえたらと思います。

長嶋茂雄氏の名言に見るメタファー思考:”草の三段論法”とは?

北斎波NatureArt-s



👉 処罰に追い込まれる恐怖?

ただもちろん、読書感想文を書くという
段になっては、”草の三段論法”でなく、
通常の合理的な三段論法・因果律に
したがって思考していかなければ
ならないことは無論です。


そこでいくぶんかは合理的な思考の側に
もどって、この作品が伝えようとして
いる(かもしれない)意味や感情に
ついて考えてみましょう。

まあこれは私個人の受けとめ方に
すぎませんが、たとえば「身に覚えが
あってもなくても、人が追い込まれる」
ところの「処罰感情」といったところが
挙げられるかな、という気がします。


となると、ここはやはり、安部公房が
決して無関心ではなかったはずの、あの
フランツ・カフカも連想されますね。

カフカをめぐっては
こちらをご参照ください。
カフカ 城のあらすじ【ネタバレ】 🏰 “もてる男”Kをどう解釈?
カフカ 変身のあらすじ:簡単/詳しくの2段階で解説
カフカの変身をどう解釈?「兄=虫を介護する妹」で感想文?
村上春樹の名言♡恋するザムザとロシア映画『変身』から
    
      蜘蛛女 pet_spider_girl


『棒』で感想文を書くための情報は
ズバリこちらの記事で提供しています
ので、ぜひご参照ください。

棒(安部公房)の考察と解説 前衛性を読み取ってテスト対策

それから安部公房の作品ではもう一つ、
『鞄』という短編小説について検討
した記事も書いており、これも『棒』を
考える上でも参考になると思います。

安部公房 鞄のあらすじ… 簡単/詳しくの2段階で解説
安部公房 鞄をどう解釈 ? 主題は? 問題を見つけて感想文へ

そのほか安部公房の本を早く安く手に
入れたい場合は、Amazonが便利です。
こちらから探してみてください。


◬€安部公房の本:ラインナップ◬€

え? 書けそうなことは浮かんできたけど、
でも具体的に、どう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の種々の
文学作品について「あらすじ」や
「感想文」関連のお助け記事を
量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

Sponsored Links

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ