太宰治 津軽のあらすじと感想文💛タケ母子との心の交流を…

 


やあやあサイ象です。

今日は「感想文の書き方」シリーズ第16回、
太宰治の中編小説『津軽』(1944)で参ります。



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Ψ 感想を書いてはいけない?

さて、このシリーズでは、
「感想文に感想を書いてはいけない」という
一見、意味不明のサジェスチョンをあえて
行ってきました。

その根拠として、「Yahoo!知恵袋」での
「ikemen_busaiku」さんの回答をもとに
構成したサイ象流感想文の書き方《虎の巻》
を毎回、開陳してもきました
(下記。もうわかった、という
読者はスルーしてくださいね)

  • 学校で評価される感想文は作品を
    読んでの素直な「感想」などでは
    なく、それを機に「自分の生活を反省する
    作文である。
  • これを書くには、まず、たとえば
    登場人物が何らかの行動をとった
    とき、「自分にはこんなことはでき
    ない」
    のではないかとか、
    あるいは性格的に「自分にはこんな
    ところはないか」と反省する。
  • 自分にはこんなところはないか……疑問009093

  • その上で、「これからは自分もこう
    しよう」という類の前向きな結論

    決め、決めてから書き始める。


でも、この感想文の書き方《虎の巻》
今回ばかりは通用しないよ、という声が
聞こえてきそうですね。

というのも、この『津軽』という作品、
「津軽風土記」を、という出版社の依頼に
応えた作者が郷里の津軽(青森県西部)を
紀行し、その記録や印象を私小説的に
まとめたものなんですね。

となると、どうしてもドラマチックな展開
には乏しいですし、自分と太宰は年齢・
職業・境遇等、すべてかけ離れている。

となると、「こんな時、自分なら……」
という「反省」のできるポイントって……
いったい、あるのかしら?



Ψ ピンポイントで攻める

でもね。
全然ないってことはないはずなんですよ。

それを見つけるには、やはりすっ飛ばさ
ないで細かく読んでいくこと、
できれば「私」こと太宰の思いに沿って
物語をたどっていくことが大切になります。

つまり、やはり全体を読むこと。

それが前提にはなります。

でも、いざ感想文を書こうという段では
全体について書こうとしても難しく、
ピンぼけになりがちで、よいものになる
可能性は低いので、何を書くかはできる
だけ焦点を絞って、ピンポイントで攻める
ほうが得策、ということになるんですね。

Sparrow-s

そこで、まず全体の構成を見ておくと、
かなり長い「序編」のあとに
「本編」があり、これが

一 巡礼
二 蟹田
三 外ヶ浜
四 津軽平野
五 西海岸

の5章に分かれています。

実際問題として、どれか1章だけ読んで
「感想」をでっち上げるという荒技も
決して不可能ではありません。

でも、それだと全体の文脈が頭に入って
いないために、どうしてもピントはずれか
上滑りになって、よいものは
書けないんですね。



Ψ 自分が太宰の立場だったら……

では、どこに焦点を絞ればよいか。

「感想」が出やすいのは、やはり作品の
山場とみられている「五 西海岸」の、
特に乳母だった女性、たけとの
再会シーンでしょう。

感想文を読んで評価する側を考えても、
先生方の大半が期待されているのはそこだ
と目星をつけて、まず間違いありません。

もちろんほかの章や場面に感銘を受けた
のであれば、それで書いていけばいいの
ですが、特にない場合は、「たけ」で
行くのが正解でしょう。

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では、「たけ」との何を書くか。

たけの話す言葉、そこから浮かび上がる
二人の関係を考えていくというのが
一つですね。

たとえば、たけが眉をひそめて、

「たばこも飲むのう。さっきから、
たてつづけにふかしている。
たけは、お前に本を読む事だば教
えたけれども、たばこだの酒だのは、
教えねえきゃのう」


と言うと、私(太宰)は「笑いを収め」、
そのあと、「こんどは、たけのほうで
笑い」ます。

このシーンなんか、どうでしょう。


自分が太宰の立場だったら何を考え、
どう振る舞うか、じっくりと想像力を
働かしてみてはどうでしょう。

Child-s

きっと、こうだろうな……と思い浮かん
だら、とりあえず、それを書いて
みましょうよ。

書いていくうちに、はじめは考えて
いなかった、もっと面白い、深い
「感想」が出てくることもありますよ。


Ψ たけの娘だったら……

「五 西海岸」で書く場合、もう一つ
面白いんじゃないかと思うのは、たけの
十四、五歳の娘さんとの初対面の
シーンです。

たけの家の戸を開けて「ごめん下さい」と
連呼した太宰は、「はい」と顔を出した
少女の顔によって、たけの顔をはっきり
思い出します。

すると、もう何の遠慮もなく近寄って
「金木の津島(太宰の本名)です」
と名乗る。

 少女は、あ、と言って笑った。
津島の子を育てたという事を、
たけは、自分の子供たちにもかねがね
言って聞かせていたのかもしれない。
もうそれだけで、私とその少女の間に、
一切の他人行儀が無くなった。
ありがたいものだと思った。
私は、たけの子だ。
兄たちに軽蔑されたっていい
私はこの少女ときょうだいだ。


とても美しい場面だと思うのですが、
その美しさは、通して読んできた読者で
ないと、十分に享受できないでしょうね。

たとえば「兄たちに軽蔑されたっていい」という文。

Puppy-s

さりげなく入れられたこの一文のもつ
重みは、はじめから通して読んでいないと
伝わりにくいところで、それが伝わら
ないと、この場面もの美しさもずしりと
伝わってくることがないわけです。


Ψ 兄たちに軽蔑されたっていい……

それはともかく、読んでいてこの美しさに
動かされた人は、ここから「感想」を
書いていってみてはどうでしょう。

先ほどの場合と同様、太宰の立場に
立ってもいいですし、またこのシーンなら、
逆にこの少女の側に立って、彼女に
なりきってみるのもアリですね。

自分が彼女の境遇だったらこの場合どう
思うか、どうするかといろいろ想像を
膨らましてみるのも
楽しいんじゃないですか?


また「兄たちに軽蔑されたっていい」に
引っかかる人は、兄たちとの関係、
その描き方(ここはこの作品で最も
小説的な部分でしょうね)に着目して
全体を読み直してみるのも
有意義だろうと思いますよ。

兄たちとの関係の流れでは、
今は兄が当主となって故郷の家の
庭で芭蕉の「池や」の俳句を
思い出す場面がありますね。

これについて考えるという手も
あるでしょう。

こちらを参照してください。

松尾芭蕉の俳句「古池や」の意味は?太宰・子規・漱石に聞く




Ψ 《虎の巻》は今回も効いた<

というわけで、難物『津軽』においても、
サイ象流感想文の書き方《虎の巻》
十分に力を発揮することがわかりました(;^_^A

太宰その人なり、たけなり、その娘さん
なりになりきってみて、そこで反省した
ことを文章にしていけばいいわけですよ。

そこからなんとか、「これからは自分もこう
しよう」
という類の前向きな結論
もって行くことができれば、ハイ、
優良「感想文」いっちょ上がり(^^)у
というわけです。

さあ、文章の海へ乗り出しましょう!((((((ノ゚⊿゚)ノ

Sailing-Ship-s

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これらの記事も参考にしてください。

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ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

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