異邦人(カミュ)で感想文どう書く?【800字の例文つき】


サクラさん
読書感想文はカミュの
『異邦人』で行こうかと…

ハンサム 教授
ほほ~、むずかしそうな
ものに挑戦しましたね;^^💦

サクラさん
これ、ドストエフスキーの
『罪と罰』への挑戦というか、
裏返しというか…

ハンサム 教授
罪を犯した人間があくまで
自分の行為を「罪」と認めず
「罰」を受け入れて死刑に
なるから?

   


サクラさん
ええ。「俺は馬鹿だから反省
なぞしない」という終戦後の
小林秀雄の発言を思い出し
ましたよ(😹)

ハンサム 教授
なるほど;^^💦、ムルソーも
「反省」のフリさえ見せれば
死刑にまではならないだろう
から、バカっちゃバカだよね。

でもその「馬鹿」さを貫いて
みせることで、読者に何かを
ぶっつけようとしている。

それは小林の場合と同じかな。

サクラさん
バカはバカでも…

ふ~む、書けそうな気が
してきました(😻)


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今回でなんと第214回((((((ノ゚⊿゚)ノ
を数えます”感想文の書き方”シリーズ、
今回は世界文学史上に燦然と輝く
アルベール・カミュの『異邦人』
(1942)に挑戦です。
   👇



それにしても作品自体を読んで
いないとお話になりません。

まだ全文を読めていない人、または
読んだけど整理できていないという人は、
こちらの「あらすじ」記事を読めば
だいたいのところがわかりますよ~;^^💦

カミュ 異邦人のあらすじ 🌞簡単/詳しくの2段階で解説

        


感想文の例(800字)

はい、ストーリーがしっかり理解できたら、
さっそく感想文に取り組みましょう。

まずはみなさんのために字数制限800字
(400字詰め原稿用紙2枚)でハンサム
教授が試作した文章をお目にかけます。

たんなる感想でなく論理的・批判的な
突っ込みが主になっていますので、
「批評文」を求められている場合でも
十分通用すると思います。

 カミュの『異邦人』は、意味不明の
部分にしばしば困惑しながらも、
主人公ムルソーの不思議さに
引き込まれて、なんとか通読できた。

不思議だと思うのは、たとえば最後に
死刑を待つばかりの状態になって
「自分は幸福だったし、今もなお
幸福であることを悟った」と考えて
いることで、自分に置きかえてみると、
こんな時に「幸福」を感じるとは
とても考えられない。

さらに自分が「より孤独でないことを
感じる」ために残された望みは
「処刑の日に大勢の見物人が集まり、
憎悪の叫びをあげて、私を迎えること
だけだった」というのが結びになって
いるのだが、私なら、こうなったら
「孤独」かどうかなどどうでもいいし、
それに群衆に憎悪で迎えられれば
「孤独」はむしろ増すのではないか、
ととても不思議に思ったのだ。

  

 これらの謎を解こうと思って再読した
結果、新たに浮かんだ仮説は、ムルソー
という人物は母親を「深く愛して」いた
ことも、マリイを「たぶん愛していない」
ことも認め、かつ「それにはなんも意味も
ない」という言い方を繰り返すけれども、
実際には、そのような「人とのつながり」
(孤独でないこと)に大きな意味を
体感していたのだろうということだ。

処刑の日にほしいと思った群衆の憎悪の
叫びも、「人とのつながり」の一形態
には違いないからではないか、と。

 またそれ以前、ムルソーは「罪」を
悟らせようと説教する司祭に対して
突然怒りだし「君は死人のように生きて
いるから、自分が生きているということに
さえ、自信がない」のだと罵倒するが、
この考え方も同じ根を持つと思う。

     十字架cross-175824_640

つまりムルソーに言わせれば、キリスト教の
教えに全面的に服従している人は「死人の
ように生きている」。

これに対して、宗教はもちろん社会の慣習
(葬式では悲しそうにするとか…)にも
反逆して生きてきた自分には「生きて
いる」と言い切る「自信」は十分あるし、
他人とも生き生きとつながっていたから
「孤独」でもないのだ、と。
          (798字)

どうです?

うまくまとまっているでしょう。

これをそのままコピペすることは
もちろん厳禁ですが、適宜、自分らしい
ものに文章を変えて使ってもらうのは
かまいませんよ~;^^💦


もちろん採り上げるテーマも上記の
感想文では多少哲学的な議論に走って
いますが、そうではない感情的な部分で
主人公をはじめ、その周りの登場人物の
心理について、自分の感じたことを率直に
書いていけばいいんですよ。

       

それぞれの人物がどなんな人で、それぞれ
どんな問題があるかは、最初に紹介した
「あらすじ」記事の方で、かなり書きこんで
ていますので、そちらを参考にして
もらえればと思います。


『罪と罰』の裏返し?

ところで、冒頭でサクラさんも言って
いましたが、この小説、殺人罪を犯して
拘束された青年のその後の物語だという
点で、ドストエフスキーの『罪と罰』と
共通しますよね。

その青年がまあモテる男で、ソーニャや
マリイのような若い女性に愛される
というあたりも同じです。

      水着women-678487_1280

でも大きな違いが「悔恨」するかしないか、
というところで、『異邦人』はこの点を
テコにした『罪と罰』へのアンチテーゼ
(反転、裏返し…)のようにも読める
わけですね。

この2つの名作を比較対照してみれば、
かなり高度な感想文やレポートが
書けるんじゃないでしょうか。

『罪と罰』について手っ取り早く
知りたい場合はこちら。

ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ【詳細版 後編】と感想文

ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ:簡単版と【詳細版 前編】

             

ドストエフスキーへの
カミュの強い関心は、これも
有名なエッセイ集、
『シーシュポスの神話』に
明らかです。 
  👇



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「条理」の立った感想文へ

ところでこの『異邦人』、実存主義文学
だとか「不条理の文学」だとか、いろんな
レッテルが貼られています。

「不条理」というとなんだかタイソウに
聞こえるかもしれませんが、モトの
フランス語は”absurde”(アプシュルド。
英語の”absurd”にほぼ相当)で、要するに
筋道が立ってなくてバカバカしい…といった
意味なんですね。

041425

これを逆手に取って、この小説も「条理」が
立たない「バカバカしい」世界だ…という
議論をするのも一つの手ですね。

ただその場合も、内容が「不条理」だから
論じ方も「不条理」でいい…ということには
ならないので、文章はあくまで「条理」の
立った説得力のあるものを目指さないと
いけません。


では、『異邦人』で読書感想文を書く場合、
上に見てきたもののほかに、どんな
「条理」がありうるでしょうか。

たとえばこんな点に目をつけたら?……
といったところを、いくつか挙げて
おこうと思います。



「何の意味もない」ということの意味

上の感想文でも言及していたように、
「それは何の意味もないことだ」という
趣旨の発言をムルソーは繰り返しますが、
その場合の「意味」って何なんでしょうね?

「人生が生きるに値しない」ことは誰でも
知っていると言い、また「人生の意味」
なんてないとも言うところからみると、
そのようなばあいの「意味」は「値」とも
言い換えられるんでしょうかね。

また結婚などについて「何の重要性もない」
という言い方をしていたところからすると、
おそらく「重要性」とも言い換えても
いいのかな?

要するに、たとえば「結婚」が普通の人に
とってもつと思われている価値や重要性、
すなわち「意味」を彼は認めない
というわけです。

     

でも、それを認めないという思想や感覚を
もつことが避けられないとしても、その感覚の
とおりに発言し、行動することは社会生活上、
多くの支障を来たします。

この小説が不思議なのは、検事も言うとおり
「インテリ」であるムルソーにそのことが
わからないはずはないのに、あたかもわざと
知らんぷりするように振る舞っている
感じがすることです。


感情の欠落……その実態は?

理解力は十分ありながら、通常の人なら
感じるであろう感情を感じないまま
行動してしまうムルソー。

今時なら「アスペルガー症候群」だとか、
ひどい場合には「サイコパス」とさえ言われて
しまいかねないわけですが、ムルソーの場合
健常な感情をあえてブロックしながら突き進む
信念の人のように見えなくもありません。

    
    断頭台(ギロチン):フランスでは1981年まで使用。

たとえば母の死に際して涙一滴こぼさず、
それでも「もちろん、母を深く愛して
いた」と言う。

感情がないわけではなく、その表現が世間の
お約束に合致する場合
を徹底して忌避し続け、
結局その生き方に命を賭ける形になって
しまった、ということかもしれません。


「何の意味もないことだ」という彼の口癖も
そのような反逆的な生き方の反映でしょう。

つまりそんなお約束に「値」はないから、
自分は従わないんだ、と。

処刑の日に大勢の見物人が「憎悪の叫びを
あげて、私を迎える」ことを望むという
姿勢にもそのような反逆的な生き方への
自信を読むべきなのかもしれません。

『反抗的人間』という本も
カミュの評論として有名です。
   👇  



3.ニヒリズムはどこから?

「人生が生きるに値しない」ことは誰でも
知っているとムルソーは言い、一般に
いわれる「人生」の「意味=価値」を否定して、
ことあるごとに「何の意味もない」と達観する。

これはある種の「ニヒリズム」に違い
ありませんが、ただ「何かを悔いるという
こと」が自分にはない
、「悔恨」することは
ないとも繰り返していますね。

     

過去はすべて自分のものとして受け入れ、
心は「これから来たるべきもの」にのみ
奪われている、と。


こうなると「ニヒリズム」ではあっても、
決して無気力ではない「強いニヒリズム」。

そう、あのニーチェを思わせるものですね。

カミュにも影響したとされる
この思想家については、ぜひ
こちらもご参照ください。

ニーチェ ツァラトゥストラは読みやすい 😹笑って読める訳は?

ニーチェ:人生の名言「復讐と恋愛にかけては女は男より野蛮

マンガ・ドラマCD『ニーチェ先生』をもしニーチェが読んだら

       

嫌われる勇気 早わかり:アドラー心理学の源流にニーチェ

タトゥー(刺青)を入れて後悔しないには?ニーチェ先生に聞く



🌅 まとめ

さあ、どんなものでしょう。

これらのポイントのどれか、あるいは
いくつかの組み合わせから自分なりの
考えを打ち立てていくことができれば、
きっと素晴らしい感想文になりますよ。



ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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