旦那という呼び方は下品で嫌い?⦅本来の意味は〇〇だから⦆じゃ夫を何と呼ぶ?
やあやあサイ象です。
全国の妻(またはその予備軍)のみなさん、
自分の結婚相手について外で話すとき、
どう呼んで(または、呼ぶつもりで)
いますか?
ひょっとして” “って呼んでません?
あるいは敬称をつけて” “なんて。
いやいや、それで夫婦円満が保てているん
なら、ハタからとやく言う筋合いのもの
でもないんですが、でも気づいてます?
この呼び方について下品だとか、話す相手に
対してむしろ失礼だとか……とにかく
嫌いだと感じている人がけっこう多いと
いうことを。
というわけで今回はそもそも” “とは
何を意味するのかということを含め、
色々とある男性配偶者の呼び方について
多角的にリサーチしていきたいと思います。
内容はザッと以下のとおり。
好感度の高い呼び方は❔
≪家庭外で「夫」について話す際に好感が持てる呼び方はどれですか?≫
というアンケートの結果がネット上に
公開されていますので、まずそれを
見ることから始めましょう。
調査対象の詳細は明らかにされて
いませんが、「総投票数:12,363票」
とのことで、結果は以下のとおり。
2位 旦那 30% 3,824票
3位 夫 7% 936票
4位 パパ 4% 516票
5位 名前 4% 495票
うーん、やっぱり がのしてますね。
ところで、この調査、実際、自分が
どう呼んでいるかではなく、
「好感が持てる呼び方」はどれか
と尋ねたもの。
つまり、よその奥さんが自分の夫を
「旦那」と呼んで話すことを
30%の人が好感をもって聞いている、
ということですね。
そしてさらに驚くのが、やはり家庭外で
自分の夫について話すのに「旦那」に
「さん」をつけて” ”
と言う若妻が激増していること。
「ウチの旦那さんが~」
これをむしろ「下品」に感じて「嫌い」だという意見の多いことは、すでにふれてきた
とおりですが、たとえば「発言小町」サイト
に投稿しているこの人なんかもそうですね。
自分の夫を「うちの旦那さんが」
とさんづけで呼ぶ人が身近に
二人いますがイライラします
(うちの奥様がさ~、みたいに
おちゃらけて呼ぶのではなく
普通に)。
〔中略〕
「旦那さん」で話を進められると
「あなたも私の旦那さんを敬え」
と言われているような(?)
不思議な感覚に陥り、イライラ
すると自分で分析します。
「私どもの会社の社長さんが」と
言うような感じ? いや、それより
もっとイライラします。
(引用元:発言小町)
ね、こういふうに感じてる人は
多いんですよ。
いや、「おちゃらけて呼ぶ」んなら
いいんですよ。
つまり場合によっての「使い分け」の
一つとして……
でも、そうでなくマジでこれに決めてる
ふうだと、ほんとに教養も品もない
カラッポな人に見えかねません。
では、この「さん」を取ってたんに
「旦那」と呼ぶのなら、いいのか。
上記の投稿者はそれならいいと言って
いますが、う~ん、どうなんでしょう。
文句なしの呼び方は❔
冒頭のアンケートに戻りますと、これ、もし一昔前の調査であれば、1位の「 」が
おそらく60%以上でのダントツ・トップで、
「旦那」は5位にも入らなかったでしょう。
まあ一般にはこれが正式…
と思われてきたんですが、ところが
どっこい、時代の流れに押されて、
もうはやらないし、正式とも思われなく
なりつつあります。
つまり大まかに言うと、夫を「主人」と
呼ぶ妻が減っていくにつれて、その穴を
埋めるようにして増えていったのが
「旦那」派だともいえそうなんですね。
ではなぜそんなふうに変わっていったか。
要因を探れば、ざっとこんな
ところだろうと思うんです。
3と4とは矛盾するようですが、
実際、併存していると思うんです。
「ウチの旦那さんが~」なんてマジで
言ってる若奥様は、純粋に4派であるか、
またはそう見せたい人なんでしょう。
そして、3派がこれにイラつく要因の一つは
せっかくの「軽視している感じ」が
そこでは吹っ飛んでいること。
「旦那」を使う奥様方はこの両派の
どちらかであるか、あるいは内部に
この二つを矛盾したまま抱えている
人か、ということになるのかな?
「旦那」とはナンだ❓
ところで、「主人」という呼び方がなぜ不人気になっていったかは、説明する
までもありませんよね。
現代の夫婦関係は上下関係ではなく、妻は
夫に仕えるものでない以上、そんな
呼び方はオカシイ(憲法違反だし、実情に
即していない)からですよね。
でも、そういうことならば、「旦那」と
言い換えることでそのオカシサが
解消されるかというと……
これがまた微妙なんですね。
そもそも「旦那」とは何か。
多少詳しい辞書を引けば、まずこれが
もともとサンスクリット語の「ダーナ」を
音写した仏教語で、「ほどこし、布施」
というのが元の意味。
そこからそれをする人、つまり「檀家」
へと転じたのですね。
さらにそこから、商家の使用人などが
「男の主人」を敬っていう場合に使われる
ようになり、それがまたさらに広がって
妻が夫を(敬って:^^💦)呼ぶのに使われる
ようになったわけですね。
すると結局、意味としては「主人」と
いうのと変わりはない、やっぱり女性を
下に見る、ケシカラン呼び方ということに
なるんではないか……。
いやそこが微妙なところで、ここは現在
最も権威ある国語辞典と見られている
『日本国語大辞典』(小学館)の説明を
聞いてみましょう。
「旦那」の語義の第6にこうあります。
妻が、自分の夫を敬っていう語。
また、他家の主人を敬っていう
のにも用いる。
現代では敬意を伴わないで
用いられる。
なるほど、「旦那」と呼ばれても
尊敬された気がしないワケです。
(こういう場合の「現代」は
50年以上のスパンでしょう)
3派の妻たちは、「旦那」の語のこの
ニュアンスを積極的にすくい上げており、
4派の奥様たちはそうでもない
(積極的になりきれない)がゆえに
「さん」をつけて「敬意を伴わ」せずに
いられなくなる……。
おおざっぱに整理すると、ざっと
そんなふうに言えるんじゃ
ないでしょうか。
👉夫を「旦那」と呼ぶ軽さが巧みに表現された
現代小説の一つに本谷有希子さんの芥川賞
受賞作「異類婚姻譚」がありますね。
こちらでどうぞ。
・異類婚姻譚(小説)💛本谷有希子 芥川賞受賞作のあらすじは?
では、どう呼べばいいか
なんだかうるさいオヤジの繰り言のようで恐縮ですが、妻が家庭外で自分の夫を
呼ぶのに「旦那」と言っても「旦那さん」
と呼んでも、美しく聞こえません。
「亭主」という呼び方は「旦那」より
わずかに敬意が伴うような気がしますが、
大差はありません。
もし気品ある優美な妻と見られたいので
あれば、これらはおやめになっては
いかがでしょうか。
では、どう呼べばよいか?
それはもちろん「夫」(おっと)で
よいのですよ。
上記アンケートでは、これに好感を持つ
人はなんと「7%」という淋しい数字
なのですが、これからの時代、この数字は
どんどん上がっていくはずなんです。
なぜかって?
それはもちろん、由緒正しいこの日本語が
「男女平等」の理想と実情に即している
ということがあります。
また現在、男性の側で自分の妻を外で
ちゃんと「妻」と呼ぶ人が急増中で、
これに合わせていく妻の増加も
見込まれるからです。
👉妻を「妻」と呼ぶ夫については、
こちらをご参照ください。
・嫁?妻?奥さん?家内?正しい呼び方で円満な夫婦関係を
オット○○○○で行こう
え? そんなの格式張ったようで、照れくさくって言えない?
そういう奥さんにぜひ聴いてみてほしい
のが柳家小三治師匠による落語
『死神』(👇)の冒頭部分。
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「夫、夫ってなんだよ、偉そうに」
と妻は言い返します。
「お前なんかその下に『ドッコイ』
をつけるのがお似合いだよ」
そう言われて、夫は「なんだと?……
オット○○○○……」((((((ノ゚🐽゚)ノ
ね、こんな感じでかる~く、数ある
「使い分け」の一つとしてでも「夫」を
使い始められてはいかがでしょうか。
👉日本語の難しさとそれへの対策をめぐっては
以下の記事もご参照ください。
・ビッチの意味とは?日本語と英語でこんなに違う侮蔑度・ニュアンス
・おしどり夫婦の意味 🐥八雲怪談などに見る”永遠の愛”は本当?
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妻も魁(さきがけ)となる気概を
もちましょう!
ではまた~()/
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