三四郎(漱石)で感想文💔美禰子の真意は?”無意識の偽善者”とは?


サクラさん
三四郎といえば売り出し中の
お笑いコンビですよね~(😺)

ハンサム 教授
いや三四郎は柔道の強い人ですよ。姿……

サクラさん
ちゃうやろ~((((((ノ゚⊿゚)ノ 

              

夏目漱石の小説ですよ(😹)

これで感想文を書かなきゃいけないんです!

ハンサム 教授
なあんだ。それなら初めからそう言いたまえ;^^💦

むずかしくありませんよ。ヒロイン美禰子をどう
見るか、そこにがポイントになるでしょうね。

サクラさん
男を手玉に…ちょっとひどくないですか?(🙀) 

ハンサム 教授
かもしれないが、彼女には彼女なりの
言い分があるはず……
それを行間に読み取ってはどうかな?

サクラさん
ふ~む、面白そうですね(😹)

それで行ってみたいので、もっとヒントをください!

ハンサム 教授
いいですとも;^^y


Sponsored Links


というわけで、「感想文の書き方」
シリーズ第84回は漱石の長編小説
『三四郎』(1908)で行ってみま~す。
   


明治41(1908)年に東京・大阪の両『朝日新聞』
(当時は『東京朝日』『大阪朝日』が別でした)
に連載され、2015年にはその『朝日新聞』が
『こころ』につづいて異例の百年ぶり
再連載
を行うという驚異のロングセラー。

翌年の『それから』、その次の年の『門』とともに
「三部作」をなすとされる、その発端の
物語ということになります。

まだ読んでなくて内容を
知らない人は、まずこちらで
「あらすじ」を仕入れて
くださいね。

夏目漱石 三四郎のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説

      



👉 代助の前身は美禰子?

さて「三部作」だということになっては
いるのですが、登場人物の名前は三作
すべて違いますし、完全な続き物として
読めるわけではありません。

ただ、感想文やレポートを書きあぐねて
いる人は、まず、その「三部作」という
ところに突破口が見つかる
かもしれないんです。


「三部作」というのは、漱石自身が
銘打ったわけではなく、周りで勝手に
言い出したことですね。

いわれるようになった最大の要因は、
ズバリ、第三作の『門』で語られるのが、
友人から妻を奪った男のその後の経緯で、
これがまさに前作『それから』の
後日談として読めることでしょう。


でも、『三四郎』と『それから』の間に
そういった緊密なつながりがあるかというと、
それを見つけるのはちょっと苦しいんですね。

  OLYMPUS DIGITAL CAMERA
  東大構内の心字池(通称”三四郎池”)

第一、主人公の三四郎と『それから』の
代助とがあまり似ていない。

23歳だった三四郎が7年後に代助のように
なるというのはちょっと想像しにくい。

家庭環境などの境遇も、頭の切れも、
女性への受けもずいぶん違いますよね。


このアポリア(難問)を解く一法として
出てくるのが、代助の前身を三四郎でなく
むしろ美禰子に求めるという説なんです。



👉 不「自然」な恋愛行動

つまり『三四郎』の美禰子は三四郎との
間に恋愛に近い関係を築きながら、
他方で野々宮さんとの間でもそれに近い
ことをしていたようでもあって、
三四郎に見せつける形で野々宮さんに
耳打ちをしたりします。 

whisper-408482_640 


つまり潜在的な三角関係を活用した    
コケットリー(嬌態)がとっさに
出るんですね。


そして結局は、突然現れた第三の男と
そそくさと結婚してしまいます。

この男を愛しているのかどうかも、
それ以前の段階では三四郎と野々宮さんの
どちらにほんとは気があったのかも、
ついにわからずじまい。


一方、『それから』の代助は物語が始まる
三年前に、好きだった三千代を「義侠心」
から親友の平岡に譲るという不自然を
あえてしており、結局そのことで
「自然に復讐(かたき)を取られ」ます。

この経緯はこちらの記事に
詳しく書いています。

漱石 それからのあらすじ:簡単/詳しくの2段階で解説
 

つまり、このような視点からしますと、
恋愛や結婚にかかわる局面で「自然」に
反した行動をとってしまうという点で、
美禰子と代助が共通していることが
見えてくるんです。

だから、代助の前身は三四郎より
むしろ美禰子だ、と。

Sponsored Links



👉 漱石自身が語る「美禰子」の性格?

それなら、書けるんじゃないですか?

代助を絡ませても絡ませなくてもいいので、
美禰子のコケティッシュな振る舞いと
その反「自然」性について……

どう? 魅力的でしょう?

     audrey original

もちろん否定しなくってもいいんですよ。

美禰子の行動になんら不正はなく、
女性としてまったく「自然」に振る舞った
だけだ、と論じていくのもよいと思います。

ともかくここでは、 この美禰子という
女性の性格について、作者の夏目漱石
自身が語っていた言葉をすこしばかり
紹介しておきましょう。


美禰子のモデルになった女性も何人か
考えられるんですが、その一人が
「元始、女性は太陽であった」で有名な
平塚らいてう(明〔はる〕)。

この人がまだ女学生のころ、漱石の弟子の
森田草平と塩原温泉郷で心中未遂をする
という事件で世を騒がせました。
 
      vintage-1077954_640
      よくわからない女…… 


草平は漱石の世話により、この事件を
素材とした『煤煙』という小説を
『東京朝日新聞』に連載させてもらう
ことになるのですが、その直前に『朝日』に
連載されたのがこの『三四郎』。  

執筆前に、平塚明の特異な性格について
たくさん話したので、それが美禰子に
反映しないはずはない、と草平。

現に漱石は「どうだ、君が書かなければ、
ぼくがそういう女を書いて見せようか」
とも口にしたというのです。
(森田草平『漱石先生と私』)
     


平塚らいてうとこの事件について
より詳しくはこちらで。

平塚らいてう塩原事件:才ある美人の不倫心中逃避行…なぜ?

        らいてうyjimage



👉 無意識の偽善者?

ただ、漱石は平塚明に会っていませんし、
そもそもそう多くの女性と恋愛経験を
重ねた人ではありませんでしたから、美禰子の
人物造型にはブッキッシュな(書物からの
知識による)部分も大きいと考えられます。

草平の話す明子について「どうもわからん」
としながら、漱石は当時読んでいた
ドイツの作家ズーダーマンの『消えぬ過去
(エス・ワール)』(英訳題The Undying Past
〔消えぬ過去〕)のヒロインを引き合いに
出して、明子もこういう女だとすれば
「それで解釈ができないこともない」と
言ったというのです。

ああいうのを自ら識らざる偽善者
(アンコンシャス・ヒポクリット)

というのだ。

ここにいうヒポクリットとは
いうところの偽善者ではない。

つまり自ら識らざるあいだに
別の人になって行動する
という意味だね。

自ら識らずして行動するんだから、
その行動には責任がない。

(森田草平『漱石先生と私』。
    下線部は原文では傍点)

          

どうでしょう。 

代助も三千代を譲るという不自然を
あえてしたとき、この「自ら識らざる」
すなわち無意識の偽善
陥っていたのでしょうか。


それはともかくとして、美禰子もそのように
「解釈」できるかどうか、じっくりと
読み直してみてはどうでしょうか。

三部作の終点である『門』、
またその後の”後期三部作”の
終点である『こころ』を
考え合わせるのも一法ですね。

こちらをご参照ください。

門(夏目漱石 )の簡単なあらすじと小論文へのヒント
門(夏目漱石)の詳細なあらすじ:登場人物に入り込んで解説

夏目漱石 こころのあらすじ 💙簡単/詳しくの2段階で解説
夏目漱石 こころ:”感想は書かない”感想文《虎の巻》

             



👉 女は早く年を取る?

『こころ』の「下 先生の遺書」をじっくり
読んだ人なら、若き日の「先生」と「K」の
両方ともが、ある意味でお嬢さんに
翻弄されていたことがわかるでしょう。

これは三四郎・野々宮さん・美禰子の
三角関係の反復でもあります。

漱石の小説での男女関係は、だいたい
これが基本だともいえるんです。

      

『それから』では「自然に復讐される」
ということが主題になっていましたが、
その「自然」(nature)の対義語として
漱石がしばしば繰り出すもう一つの
キーワードが「技巧」(art)。

この対立を男女差にからめた場合、
女たちがより多く「技巧」的であり、
それは彼女らが無意識の偽善を繰り出す
ことにおいて男よりはるかに巧みである
ことからも明らかだ……

この見方に反対してもいいわけですが、
ともかく漱石自身はこの認識を保持して
いたはずで、それはほとんどの小説に
表出しています。


さらに、この男女差がなぜ発生するのか
という問題にからんで漱石が保有して
いたもう一つの洞察が「女は老人に似、
男は小児に似る
」というものでした。



同じ観点から言われた英語のことわざに
“Women age quicker than men”
(女は男より早く年を取る)というのも
あります。

ほら、『三四郎』でも与次郎が三四郎に
こうお説教するではないですか。

「何故と云ふに。

廿(はたち)前後の同じ年の
男女を二人並べて見ろ。

女の方が万事上手だあね。

男は馬鹿にされる許(ばかり)だ」                     
       (十二)

      

      

同年齢なら「女の方が万事上手」…というか、
いろんな意味で女性は早く年を取るので、
のんびりしている男どもが女性からは
どうしても「馬鹿」に見えてしまう…。

これって、実はおそらく世界中で多くの
男女が感じている普遍的な現象。

それを極度に象徴的に表現した童話が
『ピーターパン』ではないでしょうか。

『ピーターパン』と『三四郎』の
比較対照なんてのも面白い
テーマかもしれません。

『ピーターパン』については
こちらを参照してください。

ピーターパン原作のあらすじ:怖いのは子供が○○されるから?
ピーターパンで感想文?永遠の子供を愛したウェンディ…💚

    


さて、漱石文学の基礎にあったともいえる
この男女観は『ノート』(漱石全集第21巻)
にしっかり記述があるのですが、これに
関して『ノート』でしばしば参照されている
本がP・ゲデスとJ・A・トムソンの共著
『性の進化』(The Evolution of Sex,1889)。

そこに記述されている男女差についての
科学的知見――「女には同化作用(anabolism)が、
男には異化・代謝作用(katabolism)がより強く
発達している」云々――が漱石に訴えたことが
見て取れるんですね。

そのあたりまで突っ込むことができれば
これはもう感想文を超えて、大学院あるいは
それ以上の学術論文レベルですけどね。


そしてこの男女観は、これも漱石文学に
一貫するといわれる「恐れる男と
恐れない女」という男女観にも当然
重なってきます。

そのあたりを考える上では、
こちらの記事も参考にしてください。

漱石の名言でたどる恋愛💛『吾輩』猫が読み直す『こころ』etc.
漱石『こころ』のお嬢さん問題と河合奈保子「けんかをやめて」


当ブログでは漱石作品ばかりでなく、
日本と世界の種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事をたくさん書いています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

Sponsored Links

合わせて読みたい関連記事


コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ