サクラさん
『羅生門』で読書感想
文を書くんですが、
作者の芥川龍之介が
何を言いたかったの
かわかりません(😹)

ハンサム 教授
わからなくても
感想文は書けますよ。

作者の主張は不明でも、
登場人物の言ってる
ことは明快だから、
それについて思うこと
を書けばいい。

サクラさん
はは~、そうなんだ。

下人にしても老婆に
しても、言ってる
ことは一応、スジが
通ってますもんね(😹)

ハンサム 教授
そうでしょう;^^💦

 

それらについてよく
考えて行けば、作者の
言いたいことも見えて
くるかもしれませんよ。


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というわけで、”感想文の書き方”シリーズの
第14回は芥川龍之介の『羅生門』(1915)。
  👇


これについて読書感想文を書く場合、
どこに目をつけてどう考えていったら
いいのかを、こちらで作製した例文も
ご覧に入れながら、いっしょに考えて
いきたいと思います。

👉作品自体は国語の教科書に
載っている場合が多いですし、
文庫本で読んでも短いので
あっという間に終わります。

それもメンドいという人はせめて
こちらの記事で「あらすじ」を
頭に入れておいてくださいね。

芥川龍之介 羅生門のあらすじ 簡単/詳しいの2段階で解説

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   立派だったころの羅生門(模型) 


そこで本日の目次は以下のとおり。




1.600字~800字の例文

ストーリーはもう大丈夫…という
ことにして、さっそく感想文に
取りかかりましょう。

まずお目にかけるのは、高校の読書
感想文として600字~800字(原稿用紙
1.5~2枚)程度で書く場合を想定して
サクラさんが試作してハンサム教授が
添削したものです。

中学生の人などには少し高度かもしれ
ませんが、わからないということは
ないはずですので、ひとつ挑戦する
気持ちで読んでみてください。


 芥川龍之介の『羅生門』を読んで
まず思ったのは、非常に論理的に事の
進んでいく物語だということだった。


 舞台は平安末の京都の荒れ果てた
羅生門で、解雇された下人が、
これからどう生きるか途方にくれて
いる場面で始まる。

もはや「盗人になるより外に仕方が
ない」とも思いながら、それを肯定
するだけの「勇気」も出ないという
心理状態である。


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 この下人が眠る場所をさがして楼上に
上り、死人の髪の毛を抜いている老婆を
見つけて「はげしい憎悪」を感じる
というのが次の展開だ。

この時の下人の「憎悪」について、
作者は「老婆に対すると云っては語弊が
ある」として「むしろ、あらゆる悪に
対する反感」だと言いかえる。

それなら初めからそう書けばいいでは
ないかとも思えるが、もちろんこういう
言い方にも意図がある。

その一つは、彼が一応は「正義漢」で
「悪」と見えたものに強く反発するが、
それがなぜ「悪」なのかを考えたりは
しない人間だと示すことだろう。


 それなら下人は頭が悪いのかというと、
そうでもなく、この行為についての
老婆の弁明をよく理解するのだ。

老婆の言い分をまとめれば、自分は
生きていくためにこの髪の毛でかつらを
作ろうとしている、それが悪事だと
しても、この死人も生前は悪事を働いて
いたから、自分の行為を大目に見て
くれるはずだ、ということになる。


 皮肉なことに、老婆のこの論理が
下人に、「盗人になる」という前半では
持ち切れなかった「勇気」を与えて
しまうのだ。

   

「では、己が引剥(ひはぎ)をしようと
恨むまいな」、自分もそうしなければ
生きていけないのだから、と。

つまり老婆の身の上に自分を重ね、
すべて同じことがいえると瞬時に判断
しているのだから、頭は決して悪く
ないのである。

同時に老婆を見て感じた「あらゆる
悪に対する反感」が実は底の浅いもの
だったことも、ここでの「勇気」に
よって示された形で、そこも面白い。

たいへん皮肉で論理的な作品だと思った。
             (793字)
         
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どうです?

なかなかよくまとまっている
と思いません?


これをそのままコピペすることは
もちろん厳禁ですが、ところどころ
つまみ食いして、自分らしい文章に
変えて使ってもらうのはかまい
ませんよ~;^^💦

400字とか、もっと短い字数で書く
場合は、あらすじを書いているところ
とか、必要なさそうな部分を
切り捨ててスリム化してください。

逆に1600字とかもっと字数がほしい
場合は、自分の経験や考えをどんどん
入れて膨らましていけばいいわけです。



2.”心理”小説として読む

もちろん『羅生門』の感想文としては
上記のサクラさんのような着眼が
すべてでなく、いろんな角度、いろんな
視点から考えていくことができます。

こここkではそれらを”心理””哲学”
“歴史”の3つのポイントに絞り込んで
何をどう書けるかの可能性について
考えてみたいと思います。


まず”心理”。

たとえば前半であんなに正義感に燃えて
熱くなっていた下人の”心理”が一転して、
さっきまで自分が「悪」として否定して
いたその行為をやって涼しい顔でいる
という新しい”心理”に変化しています。

これをサクラさんは「皮肉な…」という
風に形容していたわけですが、”irony”
(アイロニー)という英語で呼んだ方が
より正確かもしれません。

その面白みを狙うところに芥川の主な
モチーフ(動機)があったと見るならば、
この作品は”心理小説”だということに
なりそうです。

     


こういう”心理”主義こそが、何を隠そう
「羅生門」に前後して書かれた芥川の
短編小説全般を貫くモチーフ(動機)
だったともいえるんですね。

たとえばデビュー作「鼻」では、いったん
縮んだ鼻がまた伸びてしまった主人公が
むしろホッとするという”心理”の
アイロニーに作品のミソがあったわけです。

👉「鼻」をめぐっては、こちらを
ご参照ください。

芥川龍之介 鼻のあらすじ 👃簡単/詳しくの2段階で解説

鼻(芥川)で読書感想文を書こう【高校生用1000字の例文つき】

     


そう考えると、”心理”を読むことこそ
作者芥川の意にかなう王道の行き方だと
いえなくもありません。

たとえば「鼻」の主人公(禅智内供)の
場合と照らし合わせて下人の心理変化を
押さえてみるというのも、高度な感想文を
ねらう上では有効な方法となるでしょう。

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3.”哲学”問題として突っ込む

“心理”の方はどうも苦手で微妙な
ところはよくわからない…?

そういう人は”哲学”で真っ向勝負
すればいいんですよ。

たとえばある人の感想文では「下人の行為は
悪と言えない
」という立論(主張)の
根拠として「生命への執着によるもの
だから
」ということを挙げて
いるんですが、この理屈はOKなんで
しょうか?


生命への執着」はその人(この場合は
下人)にとってはもちろん「善」であり、
「善」は「悪」の反対語だから…という
論理なんでしょうか。

でも、何らかの行為が「悪」だといわれる
場合の基準として想定されているものは、
「善」であるより「正義」だと見るのが
普通でしょう。

つまり一個人の「生命への執着」ももし
公共の福祉にとって害をなすのであれば
「正義」にかなわないがゆえに「悪」と
される可能性があるわけですね。

    

ごく大雑把な話になりますが、『正義論』で
有名な現代アメリカの哲学者、ジョン・
ロールズにまで流れ込むカント倫理学の
基本線はそこにあるはずで、これをつづめて
言えば「正義は善に優先する」という
ことになります。

ただこの「正義」観は、各個人をすべて同一の
存在と見なして同一の権利を与えることを
前提していますので、何が「善」かという
内容において個人個人それぞれにおいて
多様だという事実を捨象しています。

ロールズ正義論のこのあたりを批判して
「善は正義に優先する」と逆転して
みせたのが、マイケル・サンデルですね。

👉哲学の専門家からみれば多少
不正確なことを言っているかも
しれませんが、そこはご容赦を;^^💦

サンデルの有名な本がこちら。
  



ロールズ流に「正義は善に優先する」と
考えるか、それともサンデル風に
「善は正義に優先する」とするか。

どちらでもいいので、それを基準として
下人の行為を批判的に検討してみては
どうでしょう。

きっとそのカッチリとした「哲学」的
感想文に先生もビビりますよ;^^💦

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いやいや”哲学”的に読むというならば、
そもそも「小説」を含めた「物語」全般に
真実性の保証はあるのか…という問題にも
ぶち当たるかもしれません。

芥川もやがてそこへ向かったわけで、
その表現が6年後の『藪の中』(1921)。

日本映画の世界的傑作と名高い黒澤明
監督の『羅生門』(1950)も、実は
この『藪の中』との結合として制作
されているんですね。

👉映画『羅生門』についてはこちらで
詳しく情報提供していますので、
ぜひご参照ください。

羅生門(映画)のあらすじと解説//黒澤明は”藪の中”に何を投じた?

    



4.背景の”歴史”を読む

ん? 「心理」も「哲学」も苦手?

それなら「歴史」で行きましょう。

たとえば「下人」とはどういう人を指し
どういう生活を送っていたのか、
きちんと調べてみる。

芥川が依拠していたのは『今昔物語』
ですから、とりあえず現代語訳の
注釈などを見てみましょう。

そうすれば何らかの発見があるはず
ですから、そこから何か言えること、
新しい感想も出てくる可能性は
大きいですよ。

          

たとえば身分の低い人たちが何を食べて
喜んでいたかは、芥川の別の短編小説
「芋粥」を覗いてみればよくわかります。

これなんかも参照しながら「歴史」的な
感想文に仕上げるのも面白いと思いますよ。



まとめ

さあ、これでもうなんとでもなりますよね、
『羅生門』の読書感想文。

“心理””哲学””歴史”のどの観点から
斬り込むか、自分の立場を明確にした
上で、じっくりと読み直し考えていけば、
きっといいものが書けるはず。

それらのどれも合わないという人は、
また別の切り口を自分で見つければ
いいわけです。

芥川の他の作品と照らし合わせてみる、
というのも一法ですね。
👉当ブログには芥川の作品にかんして
これだけの記事を揃えていますので、
いずれかを参考にしてください。

蜘蛛の糸(芥川)で感想文【800字の例文つき】高校生ならどう書く

蜘蛛の糸(芥川龍之介)のあらすじ◎簡単/詳しくの2段階で

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👃芥川龍之介の本:ラインナップ👃



さあ、書きたいことが、
なんとなく浮かんできましたか?

ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、でもやっぱり感想文は
苦手で、具体的にどうやっていいのか
わからない( ̄ヘ ̄)?

なるほど。

そういう人はまず、そもそも「感想文」
とはどういうもので、自分はなぜそれが
苦手(嫌い)なのかというところから
考え直してみてはどうでしょう。
👉こういった「感想文」問題で
悩んでいる人はまず、こちらをの
記事を読んでみてください。

きっと目からウロコですよ。

読書感想文 入賞のコツ4条⦅評価されるのは感想ではなく…何?⦆

      


👉また当ブログでは日本と世界の
種々の文学作品について
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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