羅生門で感想文(400字以上) どう書く?心理/哲学/歴史…どこに着眼?


サクラさん
芥川龍之介の『羅生門』で読書感想文を
書かなきゃいけないんですが、
何を書いていいか分からないんです~(😹)

ハンサム 教授
読んでもなんとも思わないの?

サクラさん
はい、なんとも(🐱)

ハンサム 教授
ハハハ、それは困りましたね;^^💦

でも書けといわれているということは、
何かを思うはずだと先生方は思ってる…
ということでは?

サクラさん
それはそうでしょうね。

ハンサム 教授
なら、それが何なのかを推理して書けばいい。

          

その推理が当たればいい点数が
もらえること請け合いですよ。

サクラさん
いや、そんな推理ができるくらい
なら苦労しないんですよ(😾)

ハンサム 教授
しようがないなあ;^^💦

ではそれをいっしょに考えてみましょう。


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というわけで、”感想文の書き方”シリーズの
第14回は芥川龍之介の『羅生門』(1915)。
  👇


これについて読書感想文を書く場合、
どこに目をつけてどう考えていったらいい
のかを、実際の入選作も引用してながら、
考えていきたいと思います。

作品自体は国語の教科書に
載っている場合が多いですし、
文庫本で呼んでも短いので
あっという間に終わります。

それもメンドいという人はせめて
こちらの記事で「あらすじ」を
頭に入れておいてくださいね。

「芥川龍之介 羅生門のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説」

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   立派だったころの羅生門(模型) 


そこで本日の目次は以下のとおり。



1.入選作を研究しよう

まず、ある学校のウェブサイトに掲載
されている入選作を読んでみましょう。

 ある雨の降る古びた羅生門の下で
主人に暇を出されてしまった下人が
途方にくれていました。

このまま生きるために盗賊になろうかとは
思ってみてもなかなか踏み切れない、
そんなときに、生きる糧を得るために
悪事とわかって死人の髪の毛を抜く老婆に
出会います。

老婆は自分が生き抜くためであり、この
死人も生前は生きるために悪事を働いた
のだから許されるだろうと口にします。

下人はその老婆に対し正義感を燃やして
しまいましたが、しまいにはその言葉に
納得し、老婆の着物をはぎとって
しまいます。

そして「私もそうしなければ飢え死して
しまう体なのだ。」と言い残して
消え去るという選択をしました。

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 飢え死をするのか、盗人となるのか
決心がつかなかった下人。

多分、自分もその場にいたら、そう簡単に
決心はつかなかったと思います。

でも自分には罪悪をしたくないから
飢え死を選ぶなんて勇気は持ち合わせて
いないと思います。

だとしたら、私も下人と一緒の行動に
出るかも知れません。

下人がしたことは正義的なことでは
ないと思います。

しかし自分がその場にいたとしても
飢え死することを選ばずに追い剥ぎに
なることが悪と言えないと思います。

それは、生きたいという人間の生命への
執着がそこにあるからです。


 「羅生門」は「生きる」ということの
人間の本能を描いている物語だと思います。

このまま飢え死してしまうのか、それとも
悪事だとわかっていても盗人となって
しまうのか。

芥川龍之介が描いたのは、人間はどうある
べきかなどという理想ではなくて、
命の現実だと思いました。

幸いにも私達は、この命の現実を目の前に
突きつけられているような極限的な
状況のない日常を生きています。

しかし何かのきっかけで、このような
「善」「悪」の分岐点に立たされる
こともあるはずです。

       

 私は「羅生門」を読んで、人間とはつねに
「善」と「悪」が重なった存在であると
感じました。

また同時に「善」と「悪」は状況により、
揺れ動き、ひっくり返る、表裏一体なもの
であるのだと気付かされました。

そして「正義」とは、「善」とは何であるか、
その基準は思う以上に複雑で私にとっては
難しい問題となりました。

しかし、これから生きていく経験の中で
その基準を、自分が納得できるように
しっかり考えていこうと思います。

   (中学部2年 女子) 【938字】
(引用元:立教英国学院

さすがによく書けていますよね。

いや、だからってそのままコピペする
のは絶対にいけませんよ。

なぜいけないかについては
大学の場合について書いた
こちらの記事を参照してほしい
のですが、基本的な考え方は
高校以下も同じはずです。

大学のレポートでコピペは0点!それでもやる合法的裏技とは?


また上記の感想文は1000字近い長さですが、
もっと短い400~800字程度を要求される
場合も多いでしょうから、アイディアを
少々盗ませてもらうとしても、そのまま
書き写すわけにはいきませんよね。

なので、まずこの文章を縮めることから
考えてもいいと思うんですが、その方法は
2つぐらいありそうです。

  1. 前半の「あらすじ」部分をカット
    または縮小する。

  2. 後半の「主張」を1点に絞る。
    

特に400字程度とされている場合など
「あらすじ」は不要でしょうから、
上記感想文の場合、第1段落(18行)は
すべてカットしてもかまわないでしょう。

「主張」を1点に絞るといういのは、
上記の文ではそれが2点以上あからで、
たとえば以下の2点は別個の問題として
扱うこともできるはずですよね。

  1. 下人の行為は悪と言えない。
    (生命への執着によるものだから)

  2. 「善」と「悪」は状況によって
    反転する表裏一体なもの。

800字以上書いていい場合なら、入選者の
ようにこの2点をつなげてもいいわけ
ですが、400字程度の場合はそれをうまく
まとめるのは至難のワザ。

1点に絞ったほうが無難でしょう。

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2.「心理」小説として読む

さて、上記1,2の観点は「善/悪」の
定義にかかわってくる「哲学」的なものと
言えますが、すこし視点をずらせば
むしろ「心理」の問題でもありますね。

たとえばの方で見ると、前半であんなに
正義感に燃えて熱くなっていた下人の
「心理」が一転して、さっきまで自分が
「悪」として否定していたその行為を
やって涼しい顔でいるという新しい
「心理」に変化していますよね。

この変化を強烈なアイロニー(皮肉)として
打ち出すところにこの作品のミソがあるわけで、
この意味で、作者芥川の作意は「哲学」より
むしろ「心理」にあるといえそうです。

     

この種の「心理」主義こそが、何を隠そう
「羅生門」に前後して書かれた芥川の
短編小説全般を貫くモチーフ(動機)
だったともいえるんですね。

たとえばデビュー作「鼻」では、いったん
縮んだ鼻がまた伸びてしまった主人公が
むしろホッとするという「心理」のアイロニー
(皮肉)に作品のミソがあったわけです。

「鼻」をめぐっては、こちらを
ご参照ください。

芥川龍之介 鼻のあらすじ 👃簡単/詳しくの2段階で解説
芥川龍之介 鼻で感想文:教訓は?ペロー童話に照らして解説

     テングザルborneo-205096__180      


そう考えると、「心理」を読むことこそ
作者芥川の意にかなう王道の行き方だと
いえなくもありません。

たとえば「鼻」の主人公(禅智内供)の
場合と照らし合わせて下人の心理変化を
押さえてみるというのも、高度な感想文を
ねらう上では有効な方法となるでしょう。


3.「哲学」問題として突っ込む

「心理」の方はどうも苦手、
微妙なところはよくわからない…?

そういう人は「哲学」で真っ向勝負
すればいいんですよ。

たとえば上記の感想文では「下人の行為は悪と
言えない
」という立論(主張)の根拠として
生命への執着によるものだから」ということを
挙げる形になっていますが、これって
OKなんでしょうか?


生命への執着」はその人(この場合は
下人)にとってはもちろん「善」であり、
「善」は「悪」の反対語だから…という
論理なんでしょうか。

でも、何かが「悪」だといわれる場合の
基準として想定されているものは、
「善」であるより「正義」だと見るのが
まずは常識的でしょう。

つまり一個人の「生命への執着」ももし
公共の福祉にとって害をなすのであれば
「正義」にかなわないがゆえに「悪」と
される可能性があるわけですね。

    

ごく大雑把な話になりますが、『正義論』で
有名な現代アメリカの哲学者、ジョン・
ロールズにまで流れ込むカント倫理学の
基本線はそこにあるはずで、これをつづめて
言えば「正義は善に優先する」という
ことになります。

ただこの「正義」観は、各個人をすべて同一の
存在と見なして同一の権利を与えることを
前提していますので、何が「善」かという
内容において個人個人それぞれにおいて
多様だという事実を捨象しています。

ロールズ正義論のこのあたりを批判して
「善は正義に優先する」と逆転して
みせたのが、マイケル・サンデルですね。

哲学の専門家からみれば多少
不正確なことを言っているかも
しれませんが、そこはご容赦を;^^💦

サンデルの有名な本がこちら。
  


ロールズ流に「正義は善に優先する」と
考えるか、それともサンデル風に
「善は正義に優先する」とするか。

どちらでもいいので、それを基準として
下人の行為を批判的に検討してみては
どうでしょう。

きっとそのカッチリとした「哲学」的
感想文に先生もビビりますよ;y(^^)у


4.背景の「歴史」を読む

ん? 「心理」も「哲学」も苦手?

それなら「歴史」で行きましょう。

たとえば「下人」とはどういう人を指し
どういう生活を送っていたのか、
きちんと調べてみる。

芥川が依拠していたのは『今昔物語』
ですから、とりあえず現代語訳の
注釈などを見てみましょう。

そうすれば何らかの発見があるはず
ですから、そこから何か言えること、
新しい感想も出てくる可能性は
大きいですよ。

          

たとえば身分の低い人たちが何を食べて
喜んでいたかは、芥川の別の短編小説
「芋粥」を覗いてみればよくわかります。

これなんかも参照しながら「歴史」的な
感想文に仕上げるのも面白いと思いますよ。


✎ まとめ

さあ、これでもうなんとでもなりますよね、
『羅生門』の読書感想文。

「心理」「哲学」「歴史」のどの観点から
斬り込むか、自分の立場を明確にした上で、
じっくりと読み直し考えていけば、
きっといいものが書けるはず。

「心理」「哲学」「歴史」のどれも
合わないという人は、また別の切り口を
自分で見つければいいわけです。


え? なんとか書けそうなテーマは
浮かんできたけど、でも具体的に、
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

芥川の他の作品と照らし合わせてみる、
というのも一法ですね。

当ブログには芥川の作品にかんして
これだけの記事を揃えていますので、
いずれかを参考にしてください。

芥川龍之介 蜜柑のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説
トロッコ(芥川龍之介)のあらすじ:簡単/詳しくの2段階で
蜘蛛の糸(芥川龍之介)のあらすじ◎簡単/詳しくの2段階で
芥川龍之介『河童』をニーチェ先生に聞く:”高等”感想文(4)
感想文で抜け出そう:太宰『人間失格』から芥川『河童』へ

                   

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👃芥川龍之介の本:ラインナップ👃


当ブログでは芥川作品を含め、
日本と世界の数々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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