谷崎潤一郎 細雪のあらすじ:€美女雪子の下痢はなぜ止まらない?

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズも
早いもの今回で第149回となり…

「あらすじ」暴露サービスとしても
いよいよ大台に迫る第97弾。

今回はかの文豪、谷崎潤一郎の
最大の長編『細雪(ささめゆき)』
(1943-48)についに挑戦です!
  


英訳題をThe Makioka Sistersといい、
要するに蒔岡家四姉妹の物語なんですね。

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さて、一口に「あらすじ」を、といっても、
話の骨子だけでいいという場合から、
読書感想文や研究レポートを書くんだから
もう少し詳しくないと……
という場合まで、千差万別でしょう。

そこで出血大サービス((((((ノ゚⊿゚)ノ
「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ~~(^^)у



👉 ごく簡単なあらすじ(要約)

まずはぎゅっと要約した
「ごく簡単なあらすじ」。

大阪の斜陽商家、蒔岡家の
美人四姉妹。

船場の本家を継いだ長女鶴子夫妻と
芦屋に分家した次女幸子夫妻、
美貌ながら縁遠い三女雪子と奔放で
恋多き四女妙子が織りなすドラマ。

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3年ほどの間に、何度も見合い
しながら不調に終わり、最後には
華族の中年男に嫁ぐ雪子と、
数度の恋愛の末、下層の男と結婚
する妙子を軸に物語が進む。

え? これじゃ全然わからん?

ハハハ、それはそうでしょうね。
なにしろ現物は900ページの
大長編なんですから…;^_^A


というわけで、もっとしっかりとこの
物語の世界に入って人物の心理を
理解したいという人には、以下の
「やや詳しいあらすじ」を読んでもらう
ことがどうしても必要になります。

原作は文庫本で900ページ以上になる
大長編で「上巻」「中巻」「下巻」の
三部構成。



👉 やや詳しいあらすじ

【上巻】
蒔岡家はかつて栄華を誇った大阪の
商家で、現在は財産を減らし、
船場の店も人手に渡っている。

両親死後、大阪の本家を継いだ長女の
鶴子と、阪神間の閑静な住宅地、
芦屋に分家した次女の幸子(さちこ)は
二人とも婿養子を取って蒔岡の名を
継いでいる。

本家は銀行勤めの夫、辰雄と6人の
子供の一家で、分家は夫の貞之助と
幼い娘の悦子の3人家族。

30歳になる三女雪子と20代半ばの四女
妙子は未婚で、本家と分家を行き来
してきたが、堅実一方の辰雄と反りが
合わず、芦屋の家で過ごす時間が
多くなっている。

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倚松庵(『細雪』執筆の家。神戸市)


四姉妹でいちばんの美人ともいわれ、
学校の成績も優秀だった雪子は、
何度も見合いをしながら縁遠い。

その一因として、数年前、当時20歳の
妙子が起こした駆け落ち事件で、
間違って雪子の名が新聞に出てしまう
という不運もあった。

妙子の相手は同じ船場の旧家、奥畑家の
三男、啓坊で、雪子が片付かないうちに
結婚は無理と見ての軽挙だった。


辰雄が記事の撤回を申し入れたものの、
新聞は撤回ではなく訂正の記事を載せ、
雪子に換えて妙子の名を出したので、
蒔岡家は恥の上塗りをした恰好。


事件後、妙子は人形作りに打ち込んで
上達し、今や作品が百貨店で売られ、
個展を開くほど。

幸子に頼んで仕事部屋を探し、
そこで長時間を過ごす妙子。

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雪子に瀬越という男との縁談が来て、
一家は乗り気になったものの、やがて
瀬越の母親が精神病を患っている
ことが判明し、断る。

数か月後、幸子の女学校での同窓、
陣場夫人から持ちかけられた縁談の
相手は野村という中年のやもめで、
調査のため1縲鰀2か月の猶予を求めた。


一方、辰雄は勤務先の銀行の支店長
として一家で東京へ引越すことになり、
雪子と妙子も一緒に行くことになる。

妙子は人形作りの仕事のために
芦屋に留まることを許されたが、
雪子は同行。


東京で元気のない雪子を案じた鶴子は
しばらく大阪に帰らせようと提案。

幸子が雪子を呼び寄せる口実を考えて
いるところに、野村のことを催促する
手紙が届き、乗り気ではないものの、
雪子を戻す口実として見合いに同意。

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幸子の流産のため1週間延期してから
雪子と幸子夫妻は野村に会うが、
あまりに老けて見えることに驚く。

夕食後、一行は野村の家に招かれ、
そこで野村は亡くなった妻子の
仏壇を雪子に見せる。


雪子が結婚できないと言うので、
蒔岡家は断りを入れ、雪子は
東京へ戻る。

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【中巻】
妙子は人形作りに飽き、洋裁と
山村舞に精を出すようになる。

啓坊が芦屋の家に来て、妙子の
洋裁と洋行の希望について、
やめさせてほしいと依頼する。


舞のお浚い会が芦屋の家で行われ、
妙子も出演するが、以前、妙子の
人形の写真を撮っていた板倉という
若い写真師が来て、撮影している。

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1か月後、関西地方は大水害に襲われ、
洋裁学院にいて、あわや死ぬかという
ところの妙子を、板倉が救出。

そこから妙子と板倉の仲が進展し、
幸子は板倉の出身階層を理由に
反対するが、妙子は動じない。


啓坊から幸子へ「妙子と板倉の恋愛を
注意する」手紙が届いたり、大阪三越の
舞の会で啓坊が板倉のカメラを
はたき落としたりする。


洋裁の師匠と共にフランスに行って
勉強をしたいと思う妙子は、
幸子に本家への口添えを頼む。

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師匠の洋行が取りやめになると、
妙子は洋服店を開くことを決心し、
本家に資金援助を依頼しようと上京した
ものの、板倉の病気ですぐに大阪へ戻る。

板倉は乳嘴突起炎という難病で、手術の
合併症からくる壊疽のため死去。



【下巻】
6月、大垣にいる辰雄の長姉から来た
縁談の相手は名古屋の名家、沢崎。

幸子、雪子、妙子と悦子は
蛍狩りがてら大垣おもむき、
そこで雪子は見合いする。


幸子は沢崎によい印象を持たず、
結局沢崎の方から断ってくる。

蒔岡家が縁談を断られたのは
これが初めて。


妙子が奥畑と縒りを戻したと聞いた
幸子夫妻が鶴子にこれを報告すると、
鶴子は妙子に東京に来るよう申し渡す。

これを拒否した妙子は絶縁される。


新しい縁談の相手、橋寺は魅力的な
中年だったが、再婚の決心が
ついていないようだった。

貞之助は雪子を連れて橋寺に会い、
話を纏めようと奔走するが、雪子の
引っ込み思案のために橋寺は
縁談を打ち切ってしまう。

その後、幸子は妙子が奥畑の家で
重病だとの知らせを受ける。
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赤痢と診断された妙子の病状は次第に
悪化し、姉たちはよい治療を受けさせ
たい一方で、妙子が奥畑の家にいる
ことを知られたくないために悩む。

結局妙子は一家の友人の病院に
移されてゆるやかに回復。

一方で幸子は絶縁後の妙子が奥畑に
頼って暮らしていたらしいこと、
また三好というバーテンとも関係が
あるらしいことを知る。

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今や妙子は奥畑と結婚するしかない
という考えに傾くが、やがて奥畑が
家族から満州行きを勧められ
ているとわかる。

幸子と雪子は、妙子が一緒に行く
べきだと説くが、妙子は同意せず、
泣きながら家を出て2日間帰らない。


奥畑は結局満州へは行かないことに
なり、雪子に新しい縁談が来る。

公家華族の御牧子爵の庶子で45歳、
米仏に留学経験があり、今は東京で
勤務しているという。

東京で御牧に会った雪子と幸子は、
その気さくな人柄に好感をもつ。

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東京滞在中に妙子は、三好の子を
妊娠して4か月だと幸子に告げ、
幸子夫妻は妙子が有馬で秘密裏に
出産するよう手配する。

貞之助が奥畑に会って、妙子の行状に
ついて他言しないよう求めると、
奥畑はこれまで妙子に使った金銭の
補填を要求し、貞之助は2000円の
小切手を切る。


結局死産した妙子は三好と所帯を持つ。

御牧家からの求婚を雪子は受け入れ、
婚礼の日取りと場所、新居も決まる。

婚礼衣装が届いても楽しげでない雪子は
何日も下痢が続き、東京へ向かう
列車のなかでも止まらない。


👉 「新しい女」妙子

どうでしょう。

さすが谷崎、と感銘を
受けられたでしょうか?

え? 全然?

いやまあ、それはやはり
むずかしいでしょうね。

実際に読んでみないと、四姉妹や
その周囲の人物の性格の面白み、
エグさなど、ググッと伝わってくる
ことはありませんからね。


私個人の感想をいわせていただくなら、
魅力的な人物としてはまず四女の妙子。

奔放に男を渡り歩きつつ、人形作りや
洋裁で自立しようとしている
ところが偉い。


この女性像、大正から昭和初期にかけての
社会現象としての「新しい女」を
映し出しているわけですね。

「新しい女」のさきがけと
見られた平塚らいてうという人の
面白さについてはこちら。
平塚らいてう塩原事件笶」才ある美人の不倫心中逃避行…なぜ?

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で、その「新しい女」妙子に、かなり
悪女的、悪魔的な側面もあるところが
谷崎らしいところでもあって、
読み応えを出しているわけですね。

ただ、欲をいえば、思い切ってもっと
悪くずるい女にしてもらえたら、
作品に凄艶な魅力が出たのではないか、
と思ってしまいますね。


そう、あの『痴人の愛』のナオミや
『春琴抄』の春琴のように…です。

これらの谷崎作品については、
こちらの記事をご参照ください。
谷崎潤一郎 痴人の愛のあらすじ💛ナオミと譲治のM的結末…
谷崎潤一郎 春琴抄のあらすじ:簡単/詳しくの2段階で
春琴抄で感想文💛佐助犯人説を谷崎先生、どう思います?
谷崎潤一郎 刺青のあらすじと考察:若尾文子主演映画も鑑賞
 
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そのほか谷崎の本を早く安く
手に入れたいという場合は、
Amazonが便利です。
こちらから探してみてください。


💛谷崎潤一郎の本:ラインナップ💛



👉 雪子の「京風」ねちっこさ

その姉で妙子から迷惑をこうむって
いるともいえる雪子もまた妙な
魅力の持ち主です。

美人なのに良縁に恵まれず、最後は
踏ん切りをつけながら、いざ嫁ぐ
となるとなぜか「下痢が止まらない」
わけですが、この悲運、自分にも
責任があるわけですよね。

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妙子のように外に自立の道を求める
ようなことは一切なく、あくまで
良縁を待つのみ。

そして縁談への対応もいちいち
心理の裏読みを期待するようで
ねちっこく、サッパリしない。

たとえば最後に御牧氏の求婚を受け
入れるに当たっても、決してすんなり
というわけではなく、うじゃうじゃ
言いつのります。

それはあたしも、貞之助
兄さんや中姉ちゃんが行けと
云われるのなら行くつもりで
いるけれども、人間一生の
大事であるから、せめて
二三日の間、心に用意が
できるまで待って欲しかった
のに、……と、お腹の中では
ちゃんと覚悟していることを
そんな風に云うのであった。

そして翌朝、ぐずぐずに納得しては
しまったものの、貞之助兄さんが
一と晩で決心せえと云やはる
よってに、と又しても恨めしそうに
云い、微塵も嬉しそうな顔などは
せず、ましてこれまでに運んで
くれた人の親切を感謝するような
言葉などは、間違っても
漏らすことではなかった。


このいかにも微妙な個性を雪子が
誰から受け継いだかといいますと、
亡くなった母親が京都の女で、顔も
性格もいちばんよく似ているのが
雪子だとされているんですね。

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ここで、ははん、なるほどと思う人も
少なくないことでしょう。

これ、典型的な京都人(特に女性)の
性格と見られてきたもので、落語に
なっているぐらいなんですね。

こちらをご参照ください。
京都のお茶漬けは「帰れ」の意味?桂米朝師匠の落語に学ぼう


最後に「下痢が止まらない」という
美女に不似合いなシモネタをあえて
もってきたのも、雪子の「京風」への
作者による懲罰だったんじゃ
ないでしょうか;^^A。


👉 まとめ

さて、いろいろと情報提供してきました。

感想文やレポートを書こうという人も
もうこれでOKですよね。


そうそう、映画を参考にするのも
いい手ですね。

たとえば岸惠子、佐久間良子、
吉永小百合、古手川祐子を四姉妹に、
二人の婿には伊丹十三、石坂浩二という
超豪華キャストの市川崑監督作品(1983)。
  


でもこれ、吉永さんと石坂さんの間に
笙。兆…みたいな感情があったりして、
原作をずいぶんいじってますので
要注意。


え? 書けそうなことは浮かんできたけど、
でも具体的に、どう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の種々の
文学作品について「あらすじ」や
「感想文」関連のお助け記事を
量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/




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