川端康成 古都のあらすじと感想 👀京都”観光小説”の哀切さ

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズも
はや第94回にして、
「あらすじ」暴露サービス
第60弾となります。

今回は日本初のノーベル賞作家、
川端康成晩年の長編小説
『古都』(1961-62)で参りましょう。
  


さて、一口に「あらすじ」を、といっても、
話の骨子だけでいいという場合から、
読書感想文を書くんだから
分析・解説つきの詳しいものがほしい、
という場合まで、千差万別でしょう。

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そこで出血大サービス((((((ノ゚⊿゚)ノ

「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ~~(^^)у



👉 ごく簡単なあらすじ(要約)

まずはぎゅっと要約した
「ごく簡単なあらすじ」。

京都の呉服問屋、佐田太吉郎の娘、
千重子は、両親の実の子ではない
と聞かされていた。

太吉郎の図案による千重子の帯を
西陣織の若手の実力者、大友秀男が
織ることになる。

5月、北山杉を見に行った千重子は、
自分に瓜二つの娘を見かけ、7月の
祇園祭りの夜、その娘、苗子に再会し、
二人は互いが双子の姉妹であると知る。

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秀男は、その苗子をはじめ千重子と
取り違え、後には別人と知るが、
好意を寄せ、やがて結婚を申し込む。

それは自分に「千重子さんの幻」を
見ているだけの「身がわり結婚」だし、
結婚によりつながりができれば
妙な目で見られると、苗子は千重子に
悩みを打ち明ける。

一晩だけ泊まりに来た苗子は、千重子と
並んで床に就き、「あたしの親が
赤ちゃんを、捨てたのは、お嬢さんの
方どしたえ」などと長く抱えてきた
自責の念を語る。

翌朝「これがあたしの一生のしあわせ
どしたやろ」と永別を告げる。


どうでしょう?

え? なんだかよくわからん?
いったい何が言いたいのか?

ハハハ、まあそうでしょうね。


ですので、もっと詳しく知りたい場合は
2016年公開の映画『古都』(Yuki Saito
監督、松雪泰子・橋本愛・成海璃子主演)
をご覧になるのも一法です。

その予告編。👇



でもこれ、原作をだいぶいじって
二世代にわたるドラマにして
いますので、要注意。

より原作に忠実な映画化としては
市川崑監督の1980年作品(山口百恵・
三浦友和主演)の方がお勧めです。
  👇


が、もちろんこれにしても全編
原作通りというわけには
とても行きません。

そこでで、やはり以下の「やや詳しい
「あらすじ」を読んでいただくほかない
ということになるんですね;^^💦

      舞妓 格子

小説は「春の花」に始まって
「冬の花」に終わる全9章で、
春:春の花、尼寺と格子、きものの町
夏:北山杉、祇園祭
秋:秋の色、松のみどり、秋深い姉妹
冬:冬の花
と四季をめぐる終わるという
心憎い構成になっています。

この春夏秋冬がだいたい「起承転結」にも
相当するように思われますので、
以下の「やや詳しいあらすじ」は
「春・夏・秋・冬」の4部構成で参ります。

「 」内と「”」印の囲みは
原文の引用です。



👉 やや詳しいあらすじ


【春】
京都中京(なかぎょう)の由緒ある
呉服問屋当主、佐田太吉郎の
美しい娘、千重子。

両親の愛をうけて何不自由なく20歳まで
育ったが、実の子ではないということを
中学生の頃に聞かされていた。

「夜桜の祇園」だか「鴨の川原
(かわら)」だかで見つけ、あまり
可愛いので、さらってしまい、車で
いっさんに逃げてきたのだと。

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幼ななじみの水木真一に誘われて  
平安神宮に花見に行って話すうち、
「あたしは捨子どしたんえ」と
このことを告げ、大学進学をあきらめた
のもそうだし、将来の結婚もすべて
「親に絶対服従」のつもりだ、
という考えを伝える。

この真一はやはり由緒ある呉服問屋の
次男で、十年前に祇園祭りの
「お稚児さん」に選ばれたほどの
家柄と美貌の持ち主。

祇園祭りの「お稚児さん」が
京都でもつ文化的・社会的
意味については、こちらの
記事をご参照ください。

京都祇園祭の”生き神様” 歴代のお稚児さんはどこの坊ちゃま?

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千重子がくれたパウル・クレエの画集に
触発されて新奇な帯の図案を作画した
太吉郎は、これを旧知の西陣織職人、
大友宗助に見せに行く。

宗助は、今や自分をしのぐ技量と
世間で認められている息子の秀男を
呼んで、これを見せるが、無愛想な
秀男は見入って黙り込む。

「千重子さんの帯でっしゃろ」
「そうや」
「あかんのか」
「あかんとはいうとりません」
「その眼がいうとる」
「そうどすか」
「なんやて……」

というような会話の流れで、
太吉郎は秀男を殴ってしまう。

秀男はただちに手をついて謝り、
「この帯はわたしに織らせて
ほしいのどす」と頼む。

が、やがて太吉郎が心をしずめると、
「あったかい心の調和がない。
なんかしらん、荒れて病的や」
と彼の図案を批評する。


【夏】
5月のある日、千重子は、北山丸太の
加工の仕事をしている友達の真砂子と
北山杉を見に行く。

村娘の中に千重子に瓜二つの娘を
真砂子が見つけ、千重子に指し示す。

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7月の祇園祭りの夜
千重子はその娘が八坂神社の
御旅所で熱心に七度まいりを
しているのを目にする。

千重子が話しかけると食い入るように
見つめ「あんた、姉さんや、神さまの
お引き合せどす」と涙を流す。

苗子と名のった北山杉の村娘は、  
千重子が生き別れた双子の姉妹であると
確信しつつも、「身分ちがい」を
感じたか、会うなら村へ来てほしい
と言い残して去る。


その足で四条大橋を渡りかけた苗子は
「お嬢さん、千重子さん」と西陣織屋の
大友秀男に声をかけられる。

太吉郎の図案の帯を徹夜で織って
すでに届けていた秀男は、苗子に
「どうどした」と尋ね、また今度は
「わたしの考案で」千重子さんの帯を
織らしてほしいとも押す。

が、苗子は「へえ」とあいまいに
答えるばかりで、「さいなら」。

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【秋】
しばらくして、新しい帯の図案を2つ
持ってきた秀男に千重子は、あなたが
四条大橋で約束した相手は自分では
ないと告げ、その娘、苗子のために
「杉と赤松の山」の帯を織って
ほしいと依頼する。


立秋のころ、千重子は北山に苗子を
訪ね、親しく話すうち夕立にあう。

自分のからだで包むようにして
雨を防いでくれた苗子の
「親しいあたたかさ」がしみる。

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秀男に依頼した帯のことを話すと
苗子は「身がわりに、ものをもらう
なんて、そんなんいやどす」と
いったんは拒否するが、「わたしの
きょうだいやいうて」お願いした
のだから、という千重子の説得を
やがて受け入れる。


北山杉の村にその帯を届けた秀男に、
苗子は、おととい千重子の店から
着物や草履一式を送ってくれたが、
「身がわり」はもういやだという。

それでも見せられた帯に目を輝かせ、
10月の時代祭りに着てきてほしいという
秀男の熱心な誘いに応じる。

時代祭りにかんしては、こちらの
記事をご参照ください。

京都 時代祭2015年日程:有料観覧席チケットと只見の穴場は?


そのころ、経営の傾く太吉郎の店に、
真一の兄で押しの強い大学院生の
水木竜助が手伝いに来て、
番頭の裏帳簿を正すなどしていた。

竜助の千重子への執心を知る父親は、
彼を佐田家の婿養子にどうかともちかけ、
太吉郎もこれを喜ぶ。



【冬】
話があるとの電話をもらい、北山に
苗子を訪ねた千重子は、秀男が苗子に
結婚を申し込んだと知らされる。

「身がわり結婚どすわ。〔中略〕
あたしに、千重子さんの幻を
見といやすのどっしゃろ」

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それに仕事で付き合いのある
秀男の妻となれば、「まわりから
妙な目で見られ」て千重子に迷惑が
かかる、と苗子。

千重子がその憂いを払い、父が苗子を
二人目の子として迎えてもよいと
言っていると告げると、苗子は泣く。

「心の底にしみて、おおきに」


一晩だけでも泊まりに来てほしいという
千重子の願いを聞き入れ、ある夜、
苗子が来訪する。

父母とも顔を合わせてから、
姉妹二人で床に就き、話す。

「あたしの親が赤ちゃんを、捨てたの
は、お嬢さんの方どしたえ」と
苗子は早世した両親にもふれる。

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「ふた親とも、その罰を
受けたんかしら、
思いますけど……。
うちも、赤んぼどしたけど、
かにしとくれやす」

「それが、苗子さんに、なん
の責任や罪がおすの?」
「そんなことやおへんけど、
〔中略〕苗子は、お嬢さんの、
おしあわせにちょっとでも
さわりとうないのどす。
〔中略〕
いっそ消えてしまいとおす」


「いややわ、そんなん」と言う千重子を
抱きすくめた苗子は、翌朝早く、
「これがあたしの一生のしあわせ
どしたやろ」と別れを告げる。

「また、来とくれやすな」という千重子
のことばに、首を振って去る。


👉 哀切な”観光小説”

どうでしょう。
ググッと来たでしょうか?

まあ、人により、大きく評価の
分かれそうな作品ではありますね。

「捨て子」意識というようなことに
覚えのある人には(川端自身がそれで
悩んだ人ですよね)たまらない哀切さで
胸に迫る作品になっていると思いますが、
そういったことと無縁な人には……
恋愛も薄味に終わるし、なんか
物足りないかも知れませんね。


ともかく「出生」や「境遇」の問題に
作者の狙いがあったことはたしか
でしょうが、もう一つの狙いとして
明白なのが、いわば”観光小説”として
仕上げるということ。

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四季の移り変わりともに京都の名所や
四季のお祭り、それに芸妓さん、舞妓さん
まで次々に物語に組み入れていくという
サービスを律儀にこなしてますね。

ここもまた評価の分かれる
ところに違いなく、観光に興味のない
読者は少々うんざりしてしまう
かもしれませんが、京都ファンには
たまらないんですよね、これが…。

ちなみに当ブログでは京都探訪シリーズ
として上に紹介したもののほかにも、
下記の記事を揃えてます。

たとえば上でふれた「祇園祭」「時代祭」
と並んで「京都三大祭り」と称されるのが
「葵祭」でその花形が「斎王代」。

これもいろいろと面白いので、こちらで
詳細をご覧ください。
京都 葵祭の主役:
€斎王代はこんな人:第60代と歴代の美女たち

京都 葵祭で源氏物語の世界へ!2016年日程と只見の穴場は?

そほかにも、こんなにたんとおます。
どうぞ覗いてみとくれやす。
京都のお茶漬けは「帰れ」の意味?桂米朝師匠の落語に学ぼう
花燃ゆ 久坂玄瑞(東出昌大)が妻より愛した京都・島原の芸妓
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👉 まとめ

さあ、どうでしょう。

書けそうですか? 読書感想文。

川端康成作品では『雪国』でも
記事を書いていますので、
覗いてもらえると、参考に
なるかもしれません。

川端康成 雪国のあらすじと分析:岩下志麻主演映画も見て解説
雪国(川端康成)で感想文? ⛄5つの疑問にお答えします


うーん、書けそうなテーマは
浮かんできたけど、でも具体的に、
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人には、当シリーズで
「感想文の書き方《虎の巻》」を
開陳している記事のどれかを見てほしいんです。

日本と世界の種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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