やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズも
はや第127回((((((ノ゚⊿゚)ノ

今回はあの江戸川乱歩の代表作の一つ
『人間椅子』(1925)で参りましょう。
(『江戸川乱歩傑作選』収録)



え? そらないやろサイ象はん、
学校にそんなもん出せまっかいな…
ですって?

うーん、あるいはそうかもしれん( ̄ヘ ̄)。

でもまあ、なかには話せる先生も
いらっしゃるかもしれませんよу(^^)у。

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いっちょ、やってみたらどうでしょう。

いかがなものか、と思われるような
部分は前面に出さず、ごくごく
きまじめに作品の主題に突っ込んで
行った感想文なら、あんがい高い
評価をいただけたりしてね…。


ん? やってみる?

よろしい、レッツ・ゴーだ。

え? でもまだ本文を読んでない?
読むのめんどくさいから?


ハイハイ、承知しました。

それならまずはこちらでストーリーを
頭に入れておいてくださいね~(ニコニコ)。

江戸川乱歩 人間椅子のあらすじ(ネタバレあり)とその解釈




💺 “生活反省文”型感想文へ

はじめに読書感想文の書き方について
基本的な考え方を押さえておきましょう。

要は何を狙って書くかによるのですが、
ここではとりあえず、各種コンクールの
入選も狙える”生活反省文”型感想文に
照準を合わせておきますと、そのコツは、
以下の4条にまとめられます。

“生活反省文”型感想文
【4つのコツ】

  1. 読んだ内容を自分の生活や
    体験への反省につなげる。
  2. 反省には道徳的な方向性を
    もたせる。
  3. 前向きな決意表明を結論にする。
  4. 可能なら自分の家族に言及する。

       

反省道徳前向き家族》と覚えて
おくといいかもしれませんね。

👉読書感想文については
これとは別の考え方・書き方も
あります。

それらについて総合的に
まとめた記事がこちらです。

読書感想文 入賞のコツ4条⦅評価されるのは感想ではなく…何?⦆

      


こういう考え方で書く場合、
どのあたりから主題・動機に
入り込めばいいでしょうか。



💺 触覚による恋愛

たとえばですが、私なら、以下に紹介
していくような文章を、じっくりと、
舐めるように読み返すところから
始めるでしょう。

上記の別記事でいうと「やや詳しい
あらすじ」の【承】の部分になりますが、
「あらすじ」ではすっ飛ばさざるを
えなかった文章を、まずはいくつか
拾い上げて参りましょう。


自らの太ももをクッションとして
人々を抱きとめるようになった
「人間椅子」である「私」。

人を識別したり鑑賞したりは通常の人間は
主に視覚で行いますが、これをすべて
視覚以外の五感、なかでも特に「肌ざわり」
すなわち触覚で行うようになります。

異性についても、同じことが
申されます。

普通の場合は、主として容貌の
美醜によって、それを批判する
のでありましょうが、この椅子の
中の世界では、そんなものは
まるで問題外なのでございます。

そこには、まるはだかの肉体と、
声の調子と、匂いとがある
ばかりでございます。

         

たとえば「うら若い異国の乙女」と
声から判断される女性が私の上で
からだをクネクネさせると、

薄いなめし革ひとえ隔てて、
肌のぬくみを感じるほども密着して
いるのでございます。
〔中略〕
私は椅子の中で、彼女を抱きしめる
真似をすることもできます。

革のうしろから、その豊かな首筋に
接吻することもできます。

そのほか、どんなことをしようと、
自由自在なのでございます。


こういった文章から、何を抜き出して
どう論じることができるでしょうか。



💺 美を吸収する

一つは、通常は視覚で判定される人間の
美醜が、視覚以外の五感、主として
触覚によって決定されているという、
めざましい反転ですね。

だから、「私」がいま恋しているこの
「異国の乙女」にしたところで、もし視覚に
よって感受する機会が訪れれば、あんがい
途方もない醜女で、恋もたちまちのうちに
冷めてしまう、という可能性も
大ありなのです。


このような反転の可能性に読者の目を
見開かせているとしたら、それだけでも
『人間椅子』という作品の価値は大きい
といえるんじゃないでしょうか。

この反転をさらに、学校で評価されやすい
「道徳的反省」の領域へと、さりげなく
押し込んで行くこともできますよね。

たとえば…

    

「今まで私は人を視覚的に判断して
美人だとかブスだとか思ってきた
けれど、それは一面的でよくないと
わかりました。

これからは触覚的に、さわってから
判断しようと思います……」

あ、いや、これはマズイか;^^💦


「さわって判断」はマズイけれども、
視覚に偏らない五感による総合的な
判断に心がけることに目覚めた、
というような趣旨なら、道徳的にも
とてもよい感想文になるはずですよね。

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💺 美を吸収する喜び

美しい人に接してうっとりするような場合
私たちはその人の「美」を視覚的に吸収
することで、自己のうちに喜びを湧き上が
らせているとも言えると思うんですが、
「人間椅子」の場合は、この吸収
触覚へと反転しているわけですね。

そして、彼が触覚によって吸収するのは
実は「美」ばかりではありません。

「欧州の或る強国の大使」で詩人としても
有名な人物が「その偉大な体躯」を
のせてきたとき、

私は、その偉人の肌を知った
ことが、わくわくするほども
誇らしく思われたのでございます。
〔中略〕
常人よりも暖かいと思われる
肉体の、くすぐるような感触が、
私に一種名状すべからざる
刺戟を与えたのでございます。

 その時、私はふとこんなことを
想像しました。

もし! この革のうしろから、鋭い
ナイフで、彼の心臓を目がけて、
グサリとひと突きしたなら、どんな
結果を惹き起こすであろう。

   041014    

この場面での「私」の心理の推移に
注目しましょう。

醜貌のせいでまったく自信のなかった
「私」が、今や誇りと力に充ち満ちて
テロリズムさえ敢行しかねない勢いです。

なぜこうも大きく変化したのかといえば、
この偉人の体から何かを吸収したからに
違いないのですが、この場合は「美」
ではなく「力」または「権力」とも
いうべきものでしょう。



💺 力を吸収することで…

「やや詳しいあらすじ」の【転】に入ると、
この小説の大部分をなしている手紙の
宛先となる女性作家、佳子(よしこ)の
「人間椅子」となって喜びの日々を
送ります。

佳子も「なんとなく私の椅子を愛して
いるように思われ」てくると、やがて
彼女に「椅子の中の私を意識してほしい」
という欲求が抑えられなくなります。

そしてついに、人間としての姿を
現そうと決意するのです。


醜貌を見られることの拒絶から椅子の
中に入り込んだはずの「私」の、
なんという変容ぶりでしょう。

この自信は、一体どのようにして、
どこから生まれたのでしょうか?

人間椅子statue-693121_640

え? もったいぶるな?

ハイハイ、それでは私の仮説を
申し上げましょう。

乙女たちから「美」を、強国の大使から
「権力」を吸収した時点ですでにかなりの
自信をつけていた「私」は、佳子の
「人間椅子」であり続け、彼女から
愛されているとも感じます。

このことで、今度は「愛」を、あるいは
「愛する力」を吸収してしまったのです。


ただ、そうはいっても、彼が愛されて
いると感じた佳子の「愛」はあくまでも
「椅子」の心地よさへの愛であって、
「人間」としての彼へのものでは
ありません。
      
         

ですから、実際に姿を現した「私」を
彼女が「気持ち悪い」としか感じられ
なかったのも、当然の成り行き
というほかありません。

「私」にはカアイソウでは
ありますが、これが現実。


そのような現実を教えてくれる
という意味でも、すぐれた作品
なんです、『人間椅子』は。



💺 まとめ

さあ、どうでしょう。

書けそうでしょうか、感想文。

上に述べてきたのはあくまで私個人の
解釈ですので、絶対こうだ、とかいう
ようなものではありません。

気に入っていただけた部分がもし
あれば、それを適当に使って
自分なりの感想文を書いて
もらえればと思います。



え? でも実際にどう書いていけば
いいかわからない?

その場合は、当ブログで書きためて
いますいろんな作品の感想文の例を
参考にしてもらえればと思います。

👉当ブログでは、乱歩作品ではほかに
次のような作品も扱っていますので、
参考にしてもらえたらと思います。

芋虫(江戸川乱歩)のあらすじ:伏字だらけの問題作!内容は?

屋根裏の散歩者(江戸川乱歩)のあらすじ:ネタバレ御免で探索

江戸川乱歩 陰獣のあらすじ:ネタバレ御免で結末まで

江戸川乱歩 孤島の鬼はBLの世界)))ネタバレありで結末まで

      

パノラマ島奇談[奇譚]乱歩最高作(?)あらすじをネタバレ御免で

影男(江戸川乱歩)のあらすじ:ネタバレ御免で結末まで

江戸川乱歩 怪人二十面相☆少年探偵団結成までのあらすじ


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こちらから探してみてください。


江戸川乱歩の本:ラインナップ
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👉また当ブログでは、乱歩以外にも
多くの作家・作品をとりあげて、
「あらすじ」や「感想文の書き方」の
記事を量産していますので、
こちらのリストもどうぞご覧ください。


「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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