江戸川乱歩 人間椅子で感想文 ∬薄革を通し吸収する美・力・愛

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズも
はや第127回((((((ノ゚⊿゚)ノ

今回はあの江戸川乱歩の代表作の一つ
『人間椅子』(1925)で参りましょう。
(『江戸川乱歩傑作選』収録)



え? そらないやろサイ象はん、
学校にそんなもん出せまっかいな…
ですって?

うーん、あるいはそうかもしれん( ̄ヘ ̄)。

でもまあ、なかには話せる先生も
いらっしゃるかもしれませんよу(^^)у。

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いっちょ、やってみたらどうでしょう。

いかがなものか、と思われるような
部分は前面に出さず、ごくごく
きまじめに作品の主題に突っ込んで
行った感想文なら、あんがい高い
評価をいただけたりしてね…。


ん? やってみる?

よろしい、レッツ・ゴーだ。

え? でもまだ本文を読んでない?
読むのめんどくさいから?


ハイハイ、承知しました。

それならまずはこちらでストーリーを
頭に入れておいてくださいね~(ニコニコ)。

江戸川乱歩 人間椅子のあらすじ(ネタバレあり)とその解釈



👉 自分なら…と考えてみる?

はじめに当「感想文の書き方」シリーズで
オススメしてきた秘伝、サイ象流・
感想文の書き方《虎の巻》
の風呂敷を今回も
一応ひろげておきましょう。

(もういい、わかったという方は
スルーしてくださいね。)

  • 学校で評価される感想文は作品を
    読んでの素直な「感想」など
    ではなく、それを機に
    自分の生活を反省する
    作文である。
  • これを書くには、まず、たとえば
    登場人物が何らかの行動を
    とったとき、
    「自分にはこんなことはできない」
    のではないかとか、あるいは
    性格的に「自分にはこんな
    ところはないか」と反省する。
  • 自分にはこんなところはないか……  疑問009093   

  • その上で、「これからは自分も
    こうしよう」という類の
    前向きな結論
    を決め、
    決めてから書き始める。
(「Yahoo!知恵袋」での「ikemen_busaiku」さんの
回答に触発され、構成していったもの)

この方法を『人間椅子』にそのまま
当てはめるってのは、ちとむずかしい
でしょうね。

第一、”椅子に入り込んで「人間椅子」に
なった人間”になってみて、「自分なら…」
どうかと考えてみるなんて、およそ
学校的には認められそうにないこと
ですもんね、ハハハ。

でも、だからといって、   忍者images
このポイントをすっ飛ばして
「こんなことをするやつはバカヤローだ、
考えるだけでゲス下郎のボケ、カスだ」
と完全に突き放して非難するだけ
だったら、感想文はいいものになる
はずがありません。

それは作品の主題・動機に入り
込まない、ということですから。


では、書くとするなら、どのあたりから
主題・動機に入り込めばいいか。



👉 触覚による恋愛

たとえばですが、私なら、以下に紹介
していくような文章を、じっくりと、
舐めるように読み返すところから
始めるでしょう。

上記の別記事でいうと「やや詳しい
あらすじ」の【承】の部分になりますが、
「あらすじ」ではすっ飛ばさざるを
えなかった文章を、まずはいくつか
拾い上げて参りましょう。


自らの太ももをクッションとして
人々を抱きとめるようになった
「人間椅子」である「私」。

人を識別したり鑑賞したりは通常の人間は
主に視覚で行いますが、これをすべて
視覚以外の五感、なかでも特に「肌ざわり」
すなわち触覚で行うようになります。

異性についても、同じことが
申されます。

普通の場合は、主として容貌の
美醜によって、それを批判する
のでありましょうが、この椅子の
中の世界では、そんなものは
まるで問題外なのでございます。

そこには、まるはだかの肉体と、
声の調子と、匂いとがある
ばかりでございます。


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たとえば「うら若い異国の乙女」と
声から判断される女性が私の上で
からだをクネクネさせると、

薄いなめし革ひとえ隔てて、
肌のぬくみを感じるほども密着して
いるのでございます。
〔中略〕
私は椅子の中で、彼女を抱きしめる
真似をすることもできます。

革のうしろから、その豊かな首筋に
接吻することもできます。

そのほか、どんなことをしようと、
自由自在なのでございます。


こういった文章から、何を抜き出して
どう論じることができるでしょうか。



👉 美を吸収する

一つは、通常は視覚で判定される人間の
美醜が、視覚以外の五感、主として
触覚によって決定されているという、
めざましい反転ですね。

だから、「私」がいま恋しているこの
「異国の乙女」にしたところで、もし視覚に
よって感受する機会が訪れれば、あんがい
途方もない醜女で、恋もたちまちのうちに
冷めてしまう、という可能性も
大ありなのです。


このような反転の可能性に読者の目を
見開かせているとしたら、それだけでも
『人間椅子』という作品の価値は大きい
といえるんじゃないでしょうか。

この反転をさらに、学校で評価されやすい
「道徳的反省」の領域へと、さりげなく
押し込んで行くこともできますよね。

たとえば…       041014    

「今まで私は人を視覚的に判断して
美人だとかブスだとか思ってきた
けれど、それは一面的でよくないと
わかりました。

これからは触覚的に、さわってから
判断しようと思います……」

あ、いや、これはマズイか(;^_^A


「さわって判断」はマズイけれども、
視覚に偏らない五感による総合的な
判断に心がけることに目覚めた、
というような趣旨なら、道徳的にも
とてもよい感想文になるはずですよね。

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👉 美を吸収する喜び

美しい人に接してうっとりするような場合
私たちはその人の「美」を視覚的に吸収
することで、自己のうちに喜びを湧き上が
らせているとも言えると思うんですが、
「人間椅子」の場合は、この吸収
触覚へと反転しているわけですね。

そして、彼が触覚によって吸収するのは
実は「美」ばかりではありません。

「欧州の或る強国の大使」で詩人としても
有名な人物が「その偉大な体躯」を
のせてきたとき、

私は、その偉人の肌を知った
ことが、わくわくするほども
誇らしく思われたのでございます。
〔中略〕
常人よりも暖かいと思われる
肉体の、くすぐるような感触が、
私に一種名状すべからざる
刺戟を与えたのでございます。

 その時、私はふとこんなことを
想像しました。

もし! この革のうしろから、鋭い
ナイフで、彼の心臓を目がけて、
グサリとひと突きしたなら、どんな
結果を惹き起こすであろう。


この場面での      スクルージ ダウンロード

「私」の心理の推移に注目しましょう。

醜貌のせいでまったく自信のなかった
「私」が、今や誇りと力に充ち満ちて
テロリズムさえ敢行しかねない勢いです。

なぜこうも大きく変化したのかといえば、
この偉人の体から何かを吸収したからに
違いないのですが、この場合は「美」
ではなく「力」または「権力」とも
いうべきものでしょう。



👉 力を吸収することで…

「やや詳しいあらすじ」の【転】に入ると、
この小説の大部分をなしている手紙の
宛先となる女性作家、佳子(よしこ)の
「人間椅子」となって喜びの日々を
送ります。

佳子も「なんとなく私の椅子を愛して
いるように思われ」てくると、やがて
彼女に「椅子の中の私を意識してほしい」
という欲求が抑えられなくなります。

そしてついに、人間としての姿を
現そうと決意するのです。


醜貌を見られることの拒絶から椅子の
中に入り込んだはずの「私」の、
なんという変容ぶりでしょう。

この自信は、一体どのようにして、
どこから生まれたのでしょうか?

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え? もったいぶるな?

ハイハイ、それでは私の仮説を
申し上げましょう。

乙女たちから「美」を、強国の大使から
「権力」を吸収した時点ですでにかなりの
自信をつけていた「私」は、佳子の
「人間椅子」であり続け、彼女から
愛されているとも感じます。

このことで、今度は「愛」を、あるいは
「愛する力」を吸収してしまったのです。


ただ、そうはいっても、彼が愛されて
いると感じた佳子の「愛」はあくまでも
「椅子」の心地よさへの愛であって、
「人間」としての彼へのものでは
ありません。
      
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ですから、実際に姿を現した「私」を
彼女が「気持ち悪い」としか感じられ
なかったのも、当然の成り行き
というほかありません。

「私」にはカアイソウでは
ありますが、これが現実。


そのような現実を教えてくれる
という意味でも、すぐれた作品
なんです、『人間椅子』は。



👉 まとめ

さあ、どうでしょう。

書けそうでしょうか、感想文。

上に述べてきたのはあくまで私個人の
解釈ですので、絶対こうだ、とかいう
ようなものではありません。

気に入っていただけた部分がもし
あれば、それを適当に使って
自分なりの感想文を書いて
もらえればと思います。


え? でも実際にどう書いていけば
いいかわからない?

その場合は、当ブログで書きためて
いますいろんな作品の感想文の例を
参考にしてもらえればと思います。

乱歩作品では以下のような
ものがございます。
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笨ェ江戸川乱歩の本:ラインナップ笨ェ

また当ブログでは、乱歩以外にも
多くの作家・作品をとりあげて、
「あらすじ」や「感想文の書き方」の
記事を量産していますので、
こちらのリストもどうぞご覧ください。


「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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