青髭(童話)のモデル ジル・ド・レの実話とあらすじ(ペロー/グリムの違い)

サクラさん
青いヒゲの生えた
男なんてホントに
いるんですか?

ハンサム 教授
いたらキモいよね;^^💦

サクラさん
キモくて怖いから、
女性は寄り付かない。

ハンサム 教授
ええ。”青髭”というのは
“醜くてモテない男”を
象徴する言葉であって
リアルな存在では
ないでしょうね。

サクラさん
それでも童話『青髭』の
男は大金持ちなので、
次から次へと美女を
妻に迎えては…

ハンサム 教授
殺していた(ドクロ)

サクラさん
でもなぜ殺す必要が…❔

ハンサム 教授
“なぜ”の解明はないまま
進んでいくのが昔話の
世界ですよ。

とにかくそういう男も
いるから気をつけなさい
という教訓物語として
語りつがれたんでしょう。

サクラさん
ってことは、青髭は
ホントにいた…

少なくともモデルは
いたってこと?

ハンサム 教授
ええ。その最有力説が
何百人もの子供たちを
嗜虐的に殺害し続け、
ついには公開処刑された
ジル・ド・レ男爵。

むしろイケメンで、
髭も青くはなかった
ようですけどね;^^💦

  

ジャンヌ・ダルクを助けて
フランスを救った救国の
英雄でもあって、弱冠25歳に
して元帥に任命されるという
栄光に包まれていたんですよ。

サクラさん
ゲゲゲ~(叫び) そんな気高い
人物が最低・最悪の
行為に走るとは…

これはやはり”なぜ❔”を
問わずにはいられません。


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というわけで、おなじみ”あらすじ”暴露
サービスの第159弾(“感想文の書き方”
シリーズ第224回)は”超”問題作童話
『青髭』(la Barbe Bleue)に挑戦です((((((ノ゚⊿゚)ノ

『ペロー童話集』(1695)で形が整い、
『グリム童話』にも採録されましたが、
こちらは初版(1812)のみで第二版以降は
削除されていますので、お買い求めの
際はご注意を!









ジル・ド・レとは誰か

さて、青髭のモデルについて確実なことは
いえないんですが、多くのフランス人に
よって多分この人だろうと思われている
実在の貴族がジル・ド・レ(Gilles de Rais,
1404-1440)男爵です。

この人が青髭だったとすると、青髭も
はじめから悪かったわけではなくて、人生の
前半ではむしろ”神”の領域にありながら、
後半でとんでもない”悪魔”の世界に転落
してしまったと見られるわけですね。


いったい何が彼を”神”から”悪魔”へと引きずり
下ろしたのかといえば、一般に言われている
のが、オルレアンの戦いなどの戦線で大いに
助けて戦った聖少女ジャンヌ・ダルクがついに
イングランド王によって火あぶりの刑に
処されてしまったこと。

“神の声”を聴いてフランスを救い
ながら裁判で「魔女」にされ、
火あぶりになってしまった
ジャンヌ・ダルク。

リュック・ベッソン監督の映画
『ジャンヌ・ダルク』(後で
動画もお見せします)を含め
詳細はこちらで情報提供
していますので、ぜひ
ご参照ください。

ジャンヌダルク(映画)のあらすじ 姉へのグロい仕打ちも史実通り?

  


ジルは元来、信仰にも芸術にも至高のものを
求めたディレッタント(趣味人)で、ジャンヌ
の死の4年後にも「オルレアン攻防の秘蹟劇」
という豪壮な祝典劇をプロデュースした
ほどでした。

その心の空洞ににやがて”悪魔”が入り込んで
しまった…ということなのかもしれません。


道を狂わせてしまったのは錬金術師に誘導
された「黒魔術」だと見られています。

もともと両親の早逝により祖父のもとで
我儘放題に育ったという成育歴や、また
もともと持っていたらしい同性愛的傾向も
彼の逸脱を後押ししたようです。

同性愛は今でこそ広く
受け入れられつつありますが、
当時のヨーロッパでは犯罪。

サド侯爵(1740-1812)とか
オスカー・ワイルド(1854-1900)
とかはその罪で投獄された
ことで有名です。

ただジルの時代、騎士同士の
男色はむしろ奨励されていた
ともいわれます(東方女性との
接触による病気の予防のため)。

金目当てで取り入ってきた錬金術師の勧めで
「黒魔術」を実践するようになったジルは、
やがて男の子を誘拐しては惨殺するという
“悪魔”の所業を楽しむようになってしまいます。

その地方で突然消える少年の数がとんでもない
ことになってしまい、いくらなんでも
そりゃバレるわな…と。

「黒魔術」とか「黒ミサ」とかは
要するに通常のキリスト教
信仰における”神”をその
陰画としての”悪魔”に
入れ替えてしまう背教的・
涜神的行為。

サドを含む西洋文学の世界に
連綿と流れ、映画でも追求
されているテーマですね。

関連する作品にはこちらで
情報提供していますので、
どうぞご参照ください。

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さてそんなわけで、ジルの場合は惨殺の対象が
妻でなく男の子たちだったわけですが、
童話ではもちろん、そこまで同じにして
子供を怖がらせたりはしません。

子供向けである以上、性的嗜好を含め、
あくまで「正しい」ことを教える
ストーリーになっている必要があります。


だから『青髯』の場合はむしろ女の子の生き方を
教えるお話になっている次第で、特に1話ごとに
「教訓」がつけられる『ペロー童話集』の方では
女性は「好奇心」に負けてはいけない》という
ことが教訓として明記されています。

つまり新妻が青髭との約束を破って小部屋を
あけてしまったのは「好奇心」に負けたからで、
そこがよくなかったんだ、と教える物語に
なっているわけですよね…


ん? 『青髭』のストーリーを知らないから
よくわからない?

ハハハ、それではやはり「あらすじ」に
しっかり目を通していただく必要が
ありますね;^^💦

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かなり詳しいあらすじ

というわけで、これから童話『青髭』の
あらすじをなるべく詳しく記述して
まいります。

話の大きな流れは『ペロー』と『グリム』とで
大差ありませんが、人物設定などの細部に
それぞれの特色が出ていますので、そこに
目をつけても面白いんですよ。

つまり『ペロー』の語りが上でふれた
「好奇心」云々のテーマでまとめられている
のに対して、『グリム』ではまたそれとは
微妙に異なる点が強調されているのです。


ともかく以下では物語を「起承転結」の
4部に分け、文章の引用は上記広告の
『ペロー残酷童話集』(澁澤龍彦訳)に
準拠していきます。

『グリム』の方とで異同がある場合などは
💭CHECK!印で注釈を入れていきますが、
いちいちうるさいと思われる場合は
飛ばしてかまいません。



🔑【起】

巨万の富をもつ男がいたが、
不幸にして髭が青く、そのために
たいへん醜いので、彼を見て
逃げ出さない女はないほどだった。

その近所に身分の高い貴婦人と
美しい二人の娘が住んでおり、
青髭はそのどちらかを嫁に
ほしいと申し入れた。

この家族、男っ気のない
母子家庭のようですが、
実は、騎士になっている
2人の兄弟もいて、後半で
妹の危機を救いに登場します。

青髭がこれまでに迎えた何人もの
妻たちの所在が不明だということも
あって、娘たちは気が進まない。

   

が、青髭の別荘に家族ごと招待され、
友達も呼んで1週間楽しく過ごさせて
もらうと、妹娘の方は青髭を立派な
人と思い始め、結婚の話が決まる。

『グリム』ではこの家族が
「父親+3人の息子+娘」
という設定で、兄たちの
存在ははじめから明らかに
されています。

青髭は「王様」で、この家を
訪問して求婚。

娘は気が進みませんが、
「私が呼んだら助けに来て」と
兄たちに約束させて嫁ぎます。



🔓【承】

1か月後、青髭は新妻にこれから6週間
留守にするので、友達を呼んで遊んで
いてもいいと告げ、倉庫や金庫などの
鍵を次々に見せながら説明する。

最後に「一階の長廊下のはずれにある
小部屋」の鍵を示し、この部屋だけは、
「けっしてはいってはいけない」と
命じて、旅立つ。

  
  ギュスターヴ・ド・レによる挿絵


やってきた友達や近所の女性に豪邸を
ほめそやされても、妻は例の「小部屋」
に何があるのかという「好奇心」に
とらわれていて、ちっとも楽しくない。

ついに鍵を入れて扉を開け、中を見ると、
「壁にぶらさがった大ぜいの女」
つまり青髭が殺してきた前妻たちの
死体が目に入る。

恐怖のあまり、抜こうとした鍵を
取り落とし、拾うと血がついていて
いくら拭っても取れなかった。

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🔑【転】

その夕方、予定より早く青髭が帰宅。

渡された小部屋の鍵を見て、なぜ
血がついているのかと尋ねる。

知らないという妻の答えに、青髭は

「おれはちゃんと知ってるぞ。

おまえは小部屋へはいろうとしたんだ!

よろしい、奥さん、はいりたければ
はいりなさい。

はいって、お前がその目で見た
ご婦人方のそばに、お前の
席を見つけるがいい」

妻が泣いて謝っても青髭は赦さず、
神に祈るための数分間の猶予だけ与える。


階上でひとりになると、妻は姉を呼び、
「兄さんたちが今日、うちへ来る約束に
なっている」から、塔へ上がって
見張りをしてと頼む。

姉はその通りにするが、兄たちは見えず、
階下では大きな包丁を手にした青髭が
「早くおりてこい。さもないと…」
と叫ぶ。

兄たちがなかなか見えず、
青髭がいら立って「早くおりて
こい」と怒鳴るという反復が
3回続いて、サスペンスを
盛り上げます。

そこは『グリム』も同様ですが、
そもそも「姉」はいないので、
妻自身が窓から乗り出して
「兄さんたち、早く来て!」
と大声で叫びます。
    

森の中でワインを飲んでいた
兄たちにこの声が届き、
【起】での約束が果たされる
ことになるわけですね。



🔓【結】

ついに兄たちが見えたと姉が告げ、
妻は降りていき身を投げ出す。

青髭が髪の毛をつかみ、包丁で首を
切ろうとしたその瞬間、扉が開いて
二人の騎士が入って来る。

青髭は逃げようとするが、
つかまって刺し殺される。

 

青髭の財産をすべて相続した妻は、
それらの一部を姉の結婚や兄たちの
昇進のために用いた。

また自身もその後、立派な男と
幸せな結婚をし、青髭の記憶を
忘れ去ることができた。

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グリムは悪人に厳しい?

さて、楽しんでいただけましたか?
(あんまり楽しんでもいけない話か;^^💦)

ん? 

「あらすじ」を始める前に『ペロー』では
「好奇心に負けてはいけない」云々の
「教訓」が軸になっているという前振りが
あって、それはよくわかったけれども、
では、そのあたり『グリム』ではどう
なのかがよくわからない?

なるほど、ごもっともな疑問です。


お答えするにはエンディングにもう少し
立ち入る必要があるのですが、『ペロー』
では青髭の莫大な遺産をどう使ったかが
詳しく語られるのに対して、『グリム』には
それがなく、代わりに言われているのが

こうして青髭は、自分が
殺した女たちとならんで、
血の部屋の壁に掛けられる
ことになりました。


これ、クスっと笑ってしまった人も
いるかもしれませんね;^^💦)

笑った人はたぶん、ああ、やっぱりグリムは
悪人をしっかり懲罰しておかないと気が
すまないんだなあ…というふうに
思われたのではないでしょうか。

ディズニーなどの再話しか知らない人は驚く
かもしれませんが、たとえばシンデレラの
姉たちは、グリムの初版ではラストで足を
ナイフで削られ、第二版では鳩に目玉を
えぐり取られます(叫び

白雪姫の母親も最後は赤く焼けた靴を
穿かされて、躍り続けさせられるんですよ~(叫び

  

悪事を働いた者がラストで受ける懲罰に
かけては相当スゴいのが『グリム童話』。

その過激さはもちろん、『青髭』自体も
消えた第二版以降、削除されたり
緩められたりして一般には忘れられて
いったわけですけど。

『グリム童話』の特に初版での
この傾向については、こちらの
記事でも言及していますので、
ご参照いただければと思います。

シンデレラ原作(グリム/ペロー)のあらすじ ルーツはどこに?

白雪姫は怖い?こんなに違う原作(グリム童話)とディズニー映画

        

眠れる森の美女 原作のあらすじ:グリム版にない後日談とは?

赤ずきんのあらすじ: グリム童話とペロー童話でどう違う?

早く安く手に入れたい場合はAmazonが便利。
こちらから探してみてください。

💛グリム童話の本・絵本:ラインナップ💛
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ジル・ド・レを描く現代文学・映画

さて『青髯』物語についていえば、ともかく
『グリム』では「好奇心」は怖いぞという
ペローのテーマも受け継ぎながら、それよりは
「悪い事をすればやればお前も同じ目にあうぞ」
という因果応報的な教訓がより前面に出ている
感じが強いですね。

それはよいとしても、モデルと目されている
ジル・ド・レ自身はどうだったのでしょう。


大量の子どもを虐殺していくことに
罪悪感はなかったのでしょうか。

これが実はなかなか深い文学的テーマとして
フランスの作家たちの興味を引いてきたところで、
19世末のユイスマンスの『彼方』や、20世紀では
ジョルジュ・バタイユの『ジル・ド・レ』などが
ジルに深入りした著作として有名です。

   

映画で、も上でふれたベッソンの『ジャンヌ・
ダルク』(1999年。ミラ・ジョヴォヴィッチ
主演)で演じたのはヴァンサン・カッセルですが、
彼はあくまでジャンヌを支える人であって、
“悪”の側面はまったくノータッチです。

ヴァンサン・カッセル? 

この人、2018年には”オランジーナ”のCMで
“バイきんぐ”の小峠英二さんと共演する
ことになるフランスの名優なんですね;^^💦

こちらの予告編では、開始後30秒あたりで
チラッと出ますので、見逃さないよう
ぜひ目を凝らしてご覧ください。




“悪”の部分もしっかり描いている現代文学と
しては大作家ミシェル・トゥルニエの中編小説
『聖女ジャンヌと悪魔ジル』(1983)があります。

そこで最も興味深い登場人物はといえば、
ジルを黒魔術に導くフィレンツェ出身の
錬金術師、プレラッティでしょう。

ジルが魅了されてしまうのはこの男がジャンヌ・
ダルクそっくり(ジャンヌは元々、男勝りの
中性的な娘)だったからでもあり、結局
逮捕されて、裁判で言うこともまた面白い。
 
  

つまりジルにやらせた子ども殺しについて
問われると、しかし「神はアブラハムに
その子ヤコブを犠牲(いけにえ)にするよう
要求したではありませんか」と反論し、
「サタンは神に生き写しです」と悪魔を
讃え続けるのです。

だから信仰において揺らいでいないジルは
従容として火刑台に上り、「ジャンヌ!
ジャンヌ!」と叫びながら死んでいく
ことになります。

興味をもたれた方は是非お読みください。
  👇



それから、これはオマケですが、
1979年のソビエト連邦(現ロシア)では
意外にもこんなアニメが制作されていました。

『青い、青い髭』をどうぞお楽しみください。



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どう書く? 感想文

どうでしょう?

『青髭』に関してこれだけの情報があれば、
感想文だろうとレポートだろうと、
もうバッチリではないですか?

そうそう、青髭のような怪物的存在に
囚われてしまうとか、また悪事を働いた
者が最後に受ける懲罰の凄まじさという
あたりはアンデルセン童話などでも顕著。

比較・対照すると面白いかもしれません。

アンデルセン童話に
ついてはこれらの記事で
情報提供しています。

どうぞご参照ください。

雪の女王(アンデルセン)のあらすじ💛アナ雪”原作の怖い童話

童話 人魚姫(アンデルセン)のあらすじ💛本当は怖い恋物語

        

赤い靴(アンデルセン童話)原作のあらすじ:怖いのはどこ?

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ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

当ブログでは日本と世界の多くの
作品について「あらすじ」や「感想文」
関連のお助け記事を量産しています。

お役に立ちそうなものをこちらの
リストから探してみてくださいね~(^^)у

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≪感想文の書き方≫具体例一覧

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