村上春樹 鏡で感想文【800字の例文つき】自分に向き合う?
はドッペルゲンガー
(分身)の話ですよね。
人は死ぬ(
のが古来のお約束。
でも主人公は死んで
ませんね;^^💦
鏡を見ないようにして
いる(
ってことじゃない
でしょうか。
すむように、家に1枚も
鏡を置かないように
している…。
でもそれ、自分自身と
向き合わないことだ!
とか批判的に見ることも
できるのでは?
よし、感想文はそれで
行こう!
いただきま~す(😻)
というわけで、”感想文の書き方”シリーズ
第19回は高校現代文の教科書にも
のっている村上春樹さんの短編、『鏡』
(1983.『カンガルー日和』👇所収)
で行ってみましょ~。
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👉実はまだ読んでいないとか、
ストーリーをもう一度、整理して
おきたいという人は、こちらで
「あらすじ」を押さえてくださいね。
・村上春樹 鏡のあらすじ 簡単/詳しくの2段階で解説
800字の例文
はい、ストーリーがしっかり理解できましたら、さっそく感想文に
取り組みましょう。
まずは高校の読書感想文として800字
(原稿用紙2枚)程度で書く場合を想定し、
まずサクラさんが試作して、これに
ハンサム教授が手を入れたものを
サンプルとしてお目にかけます。
では、どうぞ。
中学校の夜警をしていた「僕」が、
夜の見回り中、鏡に映っている自分の
姿におびえるという話だ。
鏡の中の自分が「心の底から僕を
憎んでいる」ように見え、彼に支配されて
金縛り状態になった「僕」は、相手の
動きをまねる形でしか動けない。
ついに大声をあげて木刀を投げつけると
鏡は割れ、「僕」は必死に逃げたが、
あとでそんな鏡などなかったことが
わかる。
これを読んで私が思いだしたのは、
以前聞いた「松山鏡」という
古典落語だった。
まだ鏡というものを知らなかった
僻地の農夫が、はじめて見て
死んだ父親に会えたと喜ぶ。
大事に思って隠しておいたが、
それを発見した妻もはじめて鏡を
見て、「夫が女を隠していた、
しかも醜い」と怒り狂うのだ。
夫の方は、自分が似ていると
よく言われる、愛する父親と
再会できたので幸福だった。
ところが妻の方は、鏡の中の自分が
夫と姦通している悪者で、しかも
容姿も醜いと来ていて、落語を
聞いている者には滑稽でも、
本人にとってはたいへん苦しい
経験だったにちがいない。
小説の「僕」が鏡の中に
もう一人の自分を見た経験は、
この妻の場合に似たもので、
その苦しみがもっと深刻に考察
されたもののように思う。
相手が「心の底から僕を憎んでいる」
ように感じてしまうのは、「僕」が
以前、人に憎まれかねない行為をし、
それについて後悔し、自己嫌悪に
苦しんでいるからではないだろうか。
そう考えると、その夜の恐怖が
「いまだに忘れられない」せいで、
その後、自分の家に鏡を一枚も
置いていないというオチにも
納得がいく。
だが、自ら認めるように、
「僕が見たのは――ただの僕自身」
なのだから、「僕」がその後
鏡を一切見ないようにしている
というのは、自分と向き合うこと
から逃げ続けていることでは
ないかという気もする。
これを克服することさえできれば、
明るく鏡を見られるようになる
のではないだろうか。「松山鏡」の
夫のように。
(794字)
どうです?
なかなかうまいと
思いませんでした?
これをそのままコピペすることは
もちろん厳禁ですが、ところどころ
つまみ食いして、自分らしい文章に
変えて使ってもらうのはかまい
ませんよ~;^^💦
400字とか、もっと短い字数で書く
場合は、あらすじを書いているところ
とか、必要なさそうな部分を
切り捨ててスリム化してください。
逆にもっと字数がほしい場合は、
自分の経験や考えをどんどん入れて
膨らましていけばいいわけです。
👉落語「松山鏡」の方に興味をもった人は
こちらの記事を参照してください。
・鏡のプレゼントはタブー?その謎を世界と日本に探る…
鏡のトンネルを行くオルフェ
もちろん『鏡』の感想文は、何か別のもの(上記の例では落語「松山鏡」)を持って
きて重ねるようなものでなくても
全然かまわないわけです。
比較対象などまったくなしで、自分の
思いをじかにぶっつけて書いていっても
いいわけですが、それだけで優秀感想文に
仕上げていくのはなかなかむずかしい
かもしれません。
そこで、こういう時に何か突き合わせるもの
――芸術作品でも、自分の経験でも、
聞いた話でも――が思い浮かぶ人は強い…
ということになります。
そんなわけですから、ここではみなさんを
お助けする意味で、「鏡」をモチーフと
した芸術作品(またはその一部)を、
「松山鏡」以外にもいくつか紹介して
おこうと思うんですね。
たとえばギリシャ神話をベースにした
有名なフランス映画に、詩人ジャン・
コクトー脚本・監督による『オルフェ』
(1950)があります。
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このなかで主人公は『鏡』の主人公と
同じように、自分の鏡像と触れ合ううちに
鏡のなかへと入り込み、長いトンネルを
通って冥界のようなところへ進み行って
しまうのですね(
こういう作品を「観る」ことも一つの
「体験」となりますから、それを
書いてもいいんじゃないでしょうか。
👉そういえばルイス・キャロルの
『鏡の国のアリス』というのも、
鏡を抜けて異世界に入っていく
という設定ですね。
その『アリス』シリーズについては
こちらを参照してください。
・不思議の国のアリス 原作のあらすじ ハチャメチャすぎて怖い?
鏡のトンネルを抜けて漱石へ
またもちろんこの「体験」を文学に求めてもいいわけです。
たとえば、夏目漱石。
「元来鏡というものは気味の悪いもの
である」と『吾輩は猫である』(九)の
猫も言っていますが、同時期の「薤露行」
(かいろこう。1905。『漾虚集』所収)で
この気味悪さが追求されています。
「ニ 鏡」という章で導入される
「シャロットの女」は、「有の儘(まま)
なる浮世を見ず、鏡に映る浮世のみを見る」
べく呪われた人で、彼女についての記述を
圧縮すると、こうなります。
塔に閉じこもって、幾年月の
久しき間、夜ごと日ごとに
はたを織って暮らすこの女が
外の世界を見ることを
許されるのは、部屋にかけ
られた鏡を通してだけ。
もし窓から外を見れば、その瞬間、
彼女に「末期」が訪れるという
呪いがかけられているのだ()。
ある日、「北の方なる試合」に
向かう騎士ランスロットが
この地に現れ、馬上の騎士の目と
シャロットの女の目が
鏡の中で出会う。
一瞬で心を奪われた彼女は、
自分に末期が訪れるのを知りながら
「サー・ランスロット」と叫び、
たちまち駆けて蒼き顔を窓外に
突き出す。
しかし、この女のことなど知る
由もないランスロットは、
塔の下を駆け抜ける。
ぴちりと音がして晧晧たる鏡は
忽ち真二つに割れる。
ともかく「鏡」が漱石のお気に入り、
というかとても気になるものだったことは
たしかで、もともとの戸籍名は「きよ」
だった奥さんを結婚後は「鏡子」と
名乗らせたほどです。
漱石自身、男前だった(”あばた”を
差し引いて見れば、ですが)ので、
鏡に見入ることは好きだったかも
しれませんね。
遺作『明暗』(1906)の主人公、津田には
自身のこの側面が託されているようです。
湯河原の旅館の洗面所で鏡に見入る場面が
ありますが(第175回)、そこで、顔に
自信をもつ”鏡好き”の「好男子」津田が
鏡を見て、ふといつもと違う感覚に
とらわれた場面です。
だから、何時(いつ)もと違った
不満足な印象が鏡の中に現れた
時に彼は少し驚ろいた。
是(これ)が自分だと認定する
前に、是は自分の幽霊だという
気が先ず彼の心を襲った。
あ、これはまさに村上春樹の『鏡』の
世界ではありませんか。
私たちはこうして、あたかもオルフェや
「シャロットの女」のごとく、鏡の
トンネルをくぐって、春樹の世界と漱石の
世界とを行き来したともいえるのでは
ありませんか?!
だとしたらこれこそはまさに
文学のよろこびでしょう。
これらに似た読書や映像の
体験はありませんか?
ない?
なければ仕方がないので、
デッチあげましょう。
あなたの奔放な想像力を先生が
評価されないともかぎりません(
要は自分の「体験」に即して自分に
しか書けないものを書くことです。
👉村上春樹をめぐっては、こちらの
記事も参考にしてください。
・村上春樹 沈黙のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説
・村上春樹 沈黙で感想文:”なりきって”考察する3つの方法
・村上春樹「恋するザムザ」とロシア映画『変身』
そのほか村上春樹の本を早く安く手に
入れたい場合は、Amazonが便利です。
こちらから探してみてください。
😹村上春樹の本:ラインナップ😹
さあ、これでもうバッチリですね。
読書感想文だろうが読書レポート
だろうが…。
ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、でもやっぱり自信が…
だってもともと感想文の類が苦手で、
いくら頑張って書いても評価された
ためしがないし(😿)…
具体的に何をどう書けばいいのか
全然わからない( ̄ヘ ̄)…?
う~む。そういう人は発想を転換して
みるといいかもしれない;^^💦
そもそも日本全国で盛んに奨励されている
読書感想文の発祥の源は「コンクール」。
各学校の先生方の評価基準もおのずと
「コンクール」での審査に準拠する
形になっているのです。
だから、読書感想文の上手な人は
そのへんのことが(なんとなくでも)
わかっている人。
さて、あなたはどうなのかな?
👉「コンクール」での審査の基準を
知るには、実際に出品され大臣賞などを
受賞している感想文をじっくり読んで
分析してみるのがいちばんです。
こちらでやっていますので、
ぜひご覧ください。
・読書感想文の書き方【入賞の秘訣4+1】文科大臣賞作などの分析から
・セロ弾きのゴーシュで読書感想文!コンクール優秀賞作(小2)に学ぶ
・アルジャーノンに花束を の感想文例!市長賞受賞作【2000字】に学ぶ
そちらで解説している「書き方」を踏まえて
当ブログでは多くの感想文例を試作し
提供してきましたが、このほどそれらの
成果を書籍(新書)の形にまとめることがで
きましたので、ぜひこちらも
手に取ってご覧ください。
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👉上記の本『読書感想文 虎の巻』は
当ブログで提供し続けてきた「あらすじ」
や「感想文」関連のお助け記事の
ほんの一部でして、載せきれていない
記事もまだまだ沢山あります。
気になる作品がありましたら、
こちらのリストから探して
みてください。
・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/
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