芥川龍之介 蜘蛛の糸で感想文:「一本の葱」か「因果の小車」か

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズも
このほどついに100回を突破し、今回で
第102回となります((((((ノ゚⊿゚)ノ。

とり上げるのは、芥川龍之介の
あの名作短編『蜘蛛の糸』(1965-66)。

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さて、もちろん感想文を書こうと
いうからには、作品の内容が
わかっていないとどうしようも
ありませんね。

ですので、この文庫本などで、
     


全文をじっくり読んでくださいね。
ほんの5~6ページですから。


え? なかなかそんな時間(あるいは
気力……;^^A)はねえよ、ですって?

そういうご多忙な方は、せめてこちらで
「あらすじ」を押さえてください。

蜘蛛の糸(芥川龍之介)のあらすじ◎簡単/詳しくの2段階で

ハイ、これでわかりましたね。

え? まだよくわからん?

エーイ、しょうがねえ、最後の手段
こちらの朗読を聴いていただきましょうか。



さあ、これでもうわかりましたよね、
いくらなんでも……(;^_^A



Ψ 健陀多はどうすればよかった?

さて、もうわかってもらったことにして、
感想文やレポートを書き方について
解説していきましょう。


たとえば無数の罪人が自分のあとに
ついてきていると知ったとき、健陀多
(かんだた)は《どうすればよかったのか》
《どうすれば罰をうけずにすんだのか》
といったことを考え、書いていくのが
正攻法のやり方でしょうね。

その際、もし自分が健陀多なら
《どうしていたろうか》ということにも
考えをめぐらせて、「自己反省」的な
文章に仕上げていくとさらによい……。

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ハイ、これこそは、当シリーズでいくども
広げてきた「サイ象流・感想文の書き方
《虎の巻》」の基本的メソッドですね。

これでいけばいいんです。


ン? そんな学校の”思うつぼ”みたいな、
先生を喜ばせたい下心が透けて見える
ようなのは書きたくないんだ。

どうせなら人に書けないもの、
自分にしか書けないようなものを
書きたい……?


よく言ってくれました!
私はそういう人をこそ待っていたのです。



Ψ 「一本の葱」の話

さて、「待っていた」はいいけど、
それなら、何をどう書けば
いいんでしょうかね?


うんと高度になってもよければ、
作品の源泉(元ネタ)を調べる、
なんていう手もありますね。

同じ芥川の『羅生門』や『鼻』の元ネタ
『今昔物語』だったわけですが、
では、『蜘蛛の糸』はどこから
来ているのか、と。

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これついて、従来から指摘されてきたのは、
ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』
「第3部」でグルーシェニカという女性が語る
「一本の葱」の話とよく似ていることで、
これをソースと見る説が有力でした。

「一本の葱」のあらすじは
こんな感じです。

昔あるところで、
意地の悪い女が死んだ。

死ぬまで良いことをしなかったので、
悪魔に火の湖(うみ)に投げ込まれた。

あわれに思った女の守護天使は、
神様に報告できるような善行を探す。

そして、女が一本の葱を野菜畑から
抜いて乞食にやったことがあるのを
思い出し、神様に伝えた。

神様は「ではその葱を拾ってきて、
女に掴まらせ、ひっぱりなさい」
という。

守護天使はそのとおりにし、 193770

火の湖にいる女に葱を差し出す。

女が葱に掴まってのぼり、
あと少しで岸というところで、
他の罪人たちが女にしがみつく。

すると女は「これは私の葱」と言って、
他の罪人を蹴落とし始める。

そのとたん、葱はぷつりと切れ、女は
火の湖に落ち、今日まで燃え続けている。

ドストエフスキーにかんしては
こちらの記事も参考にしてください。

ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ【詳細版 後編】と感想文
ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ:簡単版と【詳細版 前編】



Ψ 「因果の小車」

それが、近年は別の説がこれに
取って代わったようなんです。

アメリカの仏教思想家、ポール・ケーラス
の小説『カルマ』(Karma,1894)の中に
“THE SPIDER WEB”という小話ががあって、
それを鈴木大拙が「因果の小車」と題して
訳したものも1898年に出ていたことが
わかり、これによった形跡が濃厚だ、
ということになった次第。

なにしろ「葱」ではなくてまさに
「蜘蛛の糸」ですし、「健陀多」の
漢字まで同じですからね。


この「因果の小車」、『鈴木大拙全集』
第26巻で読むことができますが、
あらすじはこんな感じです。

慈悲深い僧侶が、懺悔する悪人,
マハードータ(摩訶童多)に説教する
際にもちだした一つの例話。

「昔、健陀多という悪人が地獄で
苦しんでいるところへ仏陀が現れ……」
(以下『蜘蛛の糸』とほぼ同じ内容)

と話し終えた後、僧侶はこう説教する。

「ひたすら上を目指せば健陀多は
救われたし、実は大勢で上る方が
容易なのだ。

にも関わらず、彼は    mask-515257_640
我執(自分への執着)にとらわれて、
下に心をとられてしまった。

我執こそ地獄、正道(正しく生きる道)
こそ涅槃(=極楽)である」。

これを聞いてマハードータは言った。

「私に蜘蛛の糸を上らせてください。
地獄から抜け出せるよう、努力します」


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どうです?

なかなか面白いではないですか?

できれば「一本の葱」でも「因果の小車」
でも、図書館で探すなどして全文を読んで、
きっちり『蜘蛛の糸』と照らし合わせて
みましょう。

きっと面白いことがいろいろと
見つかりますよ。

どこがどう違うかがわかれば、  cobweb-69908_640
『蜘蛛の糸』を書くにあたっての芥川の
モチーフ、狙いといったものもおのずと
明らかになってくるはずですね。


そういった手続きを経た上での結論は、
漠然と「私はこう思います」とか、
「健陀多はよくないと思います」とか
主観的な思いを根拠もなく述べただけの
感想文とはまったく違うレベルに
立つものになります。

つまり「感想文」として学校で一般に
期待されるものより、大学や大学院での
「論文」に近いものになるわけですね。

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「論文」的だから「感想文」としては
ダメ…なんていわれることはよもやない
と思われますので、ぜひ「論文」的な
「感想文」を目指しましょう!

学校で評価されやすい(主観的な)感想文が
苦手な人にこそ、こういう行き方を
おすすめしたいと思います。


Ψ まとめ

照らし合わせてみる、といえば、
芥川の他の作品と比較対照する、
というのも一法ですね。


その場合はこちらの記事も参考にしてください。

芥川龍之介 鼻のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説
トロッコ(芥川龍之介)のあらすじ:主題をつかんで感想文へ
芥川龍之介 蜜柑のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説
芥川 羅生門の主張・テーマは?感想文の書き方を解説
芥川龍之介 河童で感想文?ニーチェ先生の解説を聞こう^^
感想文で抜け出そう:太宰『人間失格』から芥川『河童』へ

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ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

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「あらすじ」や「感想文」関連の
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参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/



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