夏目漱石 夢十夜の第一夜をこう解釈! 美しい短篇で感想文を

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズも
はや第18回を数えます。

今回はいよいよ夏目漱石の異色作、
『夢十夜』に挑戦したいと思うんですね。

「こんな夢を見た」とはじまる十個の
夢語りを並べた作品集です。


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ここではとりあえず高校現代文の教科書に
も掲載されている「第一夜」について
考えますので、それ以外、あるいは
『夢十夜』全体の感想文を書こうという
場合は、今回の記事を適宜、応用して
書いてくださいね。

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👉 感想文に感想なんか書いちゃダメ?

さて、このシリーズでほぼ一貫して
開陳してきました「サイ象流・感想文の
書き方《虎の巻》
」とは、以下のようなものでしたね。

  • 学校で評価される感想文は作品を
    読んでの素直な「感想」などでは
    なく、それを機に「自分の生活を
    する
    」作文である。
  • これを書くには、まず、たとえば
    登場人物が何らかの行動をとった
    とき、「自分にはこんなことは
    できない」
    のではないかとか、
    あるいは性格的に「自分には
    こんなところはないか」と反省する。
  • 自分にはこんなところはないか……疑問009093

  • その上で、「これからは自分もこう
    しよう」という類の前向きな
    結論
    を決め、決めてから書き始める。

なんでそうなるのかといえば、学校の求める
読書感想文とはこういうもの
だから
でしたね。

だから、すくなくともコンクールで
賞を狙おうかという人は、読みながら
心に浮かぶ「感想」はひとまず横へ
置いて、「自分の生活を反省する」方向へと
頭をねじ向ける
必要があるわけです。


👉 「自分ならどうするか」といわれても

でも、この原則、『夢十夜』の場合は、
はたしてどうなんでしょう、
これで押し通せるでしょうか…。


むずかしいですね、ハイ(;^_^A

でも、それなら、なぜそれがむずかしい
のかを考えることから始めたら
いいんじゃないかと思うんです。

で、そのためには、まず作品を
じっくりと読み返す・・・。

      audrey original

え? もう面倒くさい?

それなら「第一夜」をほぼ忠実に映画化した
作品である次の動画を見てくださいね。






おわかりですね。

登場人物、とくに主人公の男はたしかに
何らかの行動をとりますが、その
いちいちについて、「自分にはこんな
ことはできない」
のではないかとか、
「自分なら、こうするのに」とか反省的に
考える
ことは、非常にやりにくい、
というか、やっても意味ないような
気がしませんか?

読み進むうち、たいがいの読者が、
そういった、なんとなく不自由なムード
というか、頭脳の自由な働きが阻まれて
いるような感じに包まれてくるのでは
ないですか?

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それはもちろん、作者漱石の狙ったところ。

まさに≪夢を見ている≫主人公の意識の
推移に読者が付き合わされていく
ような物語の進行ぶりなんですね。

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👉 夢のなかで「反省」できる?

思い出してください。

≪夢を見ている≫とき、あなたは自由に頭を
働かせて「自分には…」とか、
「自分なら…」とか反省的に考える
をしていますか?

している場合もあるかもしれませんが、
それはもう目覚める寸前とか、
眠りのごく浅くなっている場合であって、
どっぷりと≪夢≫に浸かっている間は、
人は反省などまずしないのです。

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それは言い換えると、意識に「自由」が
きかなくなっている、いわゆる「催眠術」を
かけられたのと似た状態ですね。


つまり、女が遺言のように依頼した事柄を、
男はすべて忠実に実行しますが、その様子は
催眠術にかけられた人が催眠術師の暗示の
とおりに動いてしまう
:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
様にとてもよく似ています。

つまり男は女の死と相前後して催眠状態に
入り、女の遺言に暗示されるままに
無反省に動いている、とみることも
できるんじゃないでしょうか。

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だとすると、そういった種類の行動に対して
「自分なら、そんなことは…」というような
理性的意識からする反省を云々しても
言うだけヤボ、というか無意味な感じが
しませんか?



👉 「感想」の出てくる切り口を見つけよう

というわけで、上記「《虎の巻》」の通常の
方法では捕えこめない難物が
この『夢十夜』なのです。


では、何を書けばいいのか。
どこから切り込めばいいのか。

さあ、ここが踏ん張りどころです。

切り口が思い浮かばない人は、やはり
じっくりと読み返すしかないでしょうね。

ハイ、ではまた~(*~▽~)ノ

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とここで切り上げてもいいのですが、
「ここまで読んで損した、時間かえせ~」
(=`(∞)´=)なんて、石でもぶつけられると
いけませんので、私個人として思いつく
切り口をいくつか並べておきますね。

  1. 物語の進み具合の不思議さ
    上に述べてきた語り口の特徴などを
    分析的に述べ、「夢らしさ」が
    リアルに表現されていることに
    驚いたとか、自分の見た夢との
    共通点などについて書く。

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  3. 女の言葉(遺言)の拘束力の強さ

    男はなぜそれにとらわれるのか。

    女はなぜそんなことを命ずるのか。

    「愛」「拘束」「服従」など、
    いずれかの観点に絞り、自分が
    悩んでいる具体的な問題と
    絡めて書く。

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  5. 個々の事物から受ける印象

  6. 「真珠貝」「星の破片(かけ)」
    「赤い日」「真白な百合」など、
    登場する個々の事物に着目し、
    その美しさや異様さに驚いたこと、
    またそのことと1の問題との
    関係を分析的に書く。

どうでしょう。

このどれかでやれそうですか?

どれも気に入らなくて、第4の切り口を
あなた自身が見つけようというのなら、
もちろん、それがベストです。

とにかくやってみましょう。



👉 映画を見るのも一法

それから、この作品、十人の気鋭の監督が
結集して作ったオムニバス映画(2006)も
ありますので、これを見て、刺激を受ける
というのも一つの手ですね。

そこには映画作者(監督)の
原作「解釈」がはっきりと現れます。

それが自分の「解釈」と違う場合、
それについて考え、突っ込んでいけば
高度な感想文になっていくはずですよ。

「第一夜」は久世光彦脚本、実相寺昭雄
監督によるもので、上に見た動画とは
まったく異なる、たいへん大胆な解釈の
施された秀作です。





👉 まとめ

さあ、もうこれで、書けますよね、
感想文だろうがレポートだろうが。

『夢十夜』では、ほかにも
「第二夜」「第三夜」「第六夜」
について書いていますので、
ご参照ください。

夢十夜(漱石)を解説🌛 第二夜でついに現前しない「無」とは?
漱石 夢十夜のあらすじと解釈:第三夜で感想文ならどう書く?
夏目漱石 夢十夜 第六夜のあらすじと解説:運慶が生きている?


また『夢十夜』にとどまらない
漱石の世界全般に興味が湧いてきた
という人は、ぜひこちらもご覧ください。
漱石の名言でたどる恋愛💛『吾輩』猫が読み直す『こころ』etc.

漱石という人の(とりわけ恋愛や
男女関係について)考えていたことが
手っ取り早くわかってしまいますよ(叫び)

            シュールな顔 mural-464229_640



ほかの漱石作品にも同様の
テーマは出て来ます。

それらの共通点や違いについて考えて
みるのも、人に差をつける高度な
感想文を書くには、いい方法ですね。

『こころ』についてはこちらを
ご参照ください。
夏目漱石 こころのあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説
夏目漱石 こころ:”感想は書かない”感想文《虎の巻》
漱石『こころ』のお嬢さん問題と河合奈保子「けんかをやめて」


『こころ』以外の漱石作品にも同様の
テーマは出て来ます。

それらの共通点や違いについて考えて
みるのも、人に差をつける高度な
感想文を書くには、いい方法ですね。

そのあたりを考えたい人は、こちらの
記事も参照してください。
漱石の名言でたどる恋愛笙。『吾輩』猫が読み直す『こころ』etc.
漱石「月が綺麗ですね」の出典は?I love youはこう訳せ
夏目漱石 草枕のあらすじ ∬感想文に向けて内容を解説
夏目漱石 三四郎のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説
漱石 三四郎で感想文:美禰子の愛は?”無意識の偽善者”とは?
漱石 三四郎:白い雲を見る二人の小津安二郎的ショット
漱石 それからのあらすじ:簡単/詳しくの2段階で解説
門(夏目漱石 )の簡単なあらすじと小論文へのヒント
門(夏目漱石)の詳細なあらすじ:登場人物に入り込んで解説

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さあ、書きたいことが、
なんとなく浮かんできましたか?

うーん、書けそうなテーマ
は浮かんできたけど、でも具体的に、
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?


そういう人には、当シリーズで
「感想文の書き方《虎の巻》」を
開陳している記事のどれかを
ぜひ見てほしいんです。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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One Response to “夏目漱石 夢十夜の第一夜をこう解釈! 美しい短篇で感想文を”

  1. […] となると… 「”高等”感想文の書き方」シリーズ第18回、 ・「漱石『夢十夜』は読者を≪夢=催眠≫に引き込む:感想文(18)」 をすでに思い出してくださった読者もあろうかと思いますが、 […]

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